うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

リーダーの証明

大激闘 マッドポリス'80

第5話「シンジケートの女」

(監督:野田幸男 脚本:高田純)

 

開幕からいきなり車でバーに突撃し、何故かマフィアチックな服装で発砲!するMP。

薔薇を咥えた氷室以下は強制家宅捜索でバーカウンターを漁り始め、そこから拳銃・マグナム44を見つけ出す。

さらに、思想家っぽい男女が営みの最中にもかかわらず強引に立ち入り、捜索の結果その部屋の冷蔵庫からも拳銃を見つける今度は工作員チックな服装になったMPは、JMが武器の密売に乗り出したことを確信します。

 

「事件は一週間前、小さな交通違反事件から端を発した」

25kmの速度オーバーで白バイに切符を切られそうになったアイドル俳優・高樹健二(演じるは郷さんもといリュウソウ族長老こと団次郎氏)の拳銃所持が発覚し、警察から事情聴取を受けることになるも、シラを切り倒した結果検察に送検されることになっていた。

ダッシュボードに雑にしまってあったり、白バイ警官にあっさり拳銃だと見抜かれる高樹がだいぶ間抜けなのですが、これでも一応密輸組織のNo.2に当たる存在であり、MPにとっては組織のボスを探る絶好のチャンスでもありました。

 

そのボスと目されるのは、高樹が所属する芸能プロダクションの若き女社長ケイ・三好。

彼女は社長業の傍ら、拳銃のシンジケートとして裏の世界で暗躍していました。

「自己顕示欲の塊って感じね」

自分の作ったスタジオから暢気にラジオを放送しているケイをマークしていたMPは、高樹が地検に送られるタイミングを図り、高樹の誘拐作戦を決行に移すことに。

「やつら(検察)に任せておいても埒があかん。なんとしても高樹の口を割らせろ」

※警察官のセリフです。

ところでこの場面、何故か進司がマフィア服装を継続しているのですが、役者的に何か美味しいものを感じたのでしょうか(笑)

 

高樹送致当日、悠子の仕込んだチューリップ爆弾で撹乱作戦を展開し、検察とケイを上手く出し抜いたMPは首尾よく高樹を確保。

「ジャパンマフィアか!

 待ってたんだよ!!」

アイドル俳優という肩書き、団次郎氏のやや可愛げのある演技から、これまではどちらに傾くか分からない状態でしたが、バイクで迎えにやってきた進司をJMと勘違いし、それに嬉々として乗り込むことで完全にクロに。

「嵌められた可能性も否定できない俳優」から「JMのメンバー」に切り替わる劇的さがたった一言に集約されていて、印象的なシーンでした。

その直後、パスタを頬張っているMPに囲まれることになり天国から地獄に向かうのですが。

 

「こんなことしといて何が身の安全だよ!知らないものは知らない、それだけだ!!」

新田からムチではたかれたり、悠子に色目を使われつつも抵抗を見せる高樹に氷室が

「風呂入れてやれ」

と高樹をサウナに閉じ込め、蒸し風呂地獄に陥れることに。

手錠されてるから服を全て脱げない高樹は、ジャケットとシャツだけを辛うじて脱ぎ、筋肉アピールをしながら助けを乞う。

脱水症状になりながらも口を割らない高樹に対し、氷室は追い討ちをかけるように

「進司、塩が効くかタバスコが効くか、試してこい」

ウルヴァリンの爪を装備した進司が付けた傷口に塩とタバスコを交互に塗られ、悶絶した高樹は組織のボスがケイであることを白状。

アイドル俳優、塩とタバスコに屈した男となってしまう。

 

高樹の更なる白状から"ディスクジョッキーすなわちDJ"=ラジオのパーソナリティという単語を聞き出した氷室は、素性を隠しケイにコンタクトを図り射撃勝負を挑むことに。

「何を賭けるかは…言わずもがな」

互角の勝負を見せ引き分けとなった2人は束の間のコーヒータイムに入り、前回同様またも敵ボスと食事の席を共にするMPメンバー。

「女性にはあまり縁のない武器の密輸というのが、無粋ですがね…」

密輸のブローカーという設定で、嫌味たっぷりにケイに語り出す氷室が実にいい(笑)

 

悠子の調べによって、ケイはラジオの翌日である第4土曜日は休む傾向にあり、その日に密輸取引が行われていることに勘づく松村。

密輸取引は月末、第4土曜日はケイのディスクジョッキーの翌日だとやけにデータが出揃っているのですが、このエピソードの中で何ヶ月も経過してるとかそんなことでも起きてるのでしょうか(冒頭でJMが密輸取引に手を出し始めたと言及されており、ずっと前から追っていたわけではない)。

 

「勘弁してくれよぉ!殺されるよ…勘弁してくれよ!!」

取引場所を未だに吐かない高樹の監禁を続ける進司と新田の隠れ家に、スキンヘッドブラザーズ率いる怪しい暴走族が現れ、危機を覚えた新田は高樹を隠そうとするも…一方その頃、お茶し終えた氷室とケイは別れ際に

ねぇ氷室さん…もし、私がその組織のボスだったら、どんなことをしてもNo.2を探し出して、自分たちの手に取り戻すでしょうね。

 ボスの名前を喋るなんて、許せないと思わない?そういう男は、組織のために抹殺しなくちゃいけないわ

「仲間の皆さんによろしく」

ケイの言葉と渡されたメモ書きに入っていた進司と新田の盗撮写真により、2人が狙われたことに気付いた氷室は急いで隠れ家に駆けつけるも2人はボコられ、高樹はケイに取り戻されてしまいます。

進司と新田をしっかり殺していかないスキンヘッドブラザーズはやたらと詰めが甘いのか、または「血だるまになってた」という悠子の証言から頭を撃たれたりしても死ななかった可能性が考えられ、前回は影を潜めた"マッドポリス未確認生命体説"が再浮上して参りました。

 

例の如くいつものように、三田村富樫と接見する今回のボスことケイ・三好。

新しい組織会員との取引にケチをつけたくない三田村は、若き女性ボスであるケイに対してもいつもの圧力。

「やつらには、重要な幹部を何人もやられている…このままに済ますわけにはいかん…!」

「ミスターリボルバーが、早く私のサインを欲しがっておりますので」

ディスクジョッキーの際に読み上げていた横浜のPNミスターリボルバーとは密輸業者のことであり、横浜の港にて小切手にサインし拳銃を受け取った三好は、氷室に残した言葉の通り高樹を飛び降り自殺に見せかけ始末することに成功。

前回から引き続き、女性ボスは有能です。

 

最近はコスチュームにも遊びが欲しいぜ…とOPで印象的な戦闘服に身を包んだMPは、ケイのディスクジョッキー放送中を狙い、ケイのサインをもらった氷室が単独でうごくことに。

「一人で大丈夫か?」

大丈夫だ、問題ないではなく「何かあったら頼む」と単身突っ込む氷室に危うさを感じたのか、悠子は靴底にしれっと発信機を仕込んでおり、いつでも居場所を把握できるようにしていました。

ラジオ放送中の曲を流す時間に、スタジオ越しで会話をする2人。

「敵のボスの始末は着いたの?」

「もうすぐだ…そいつは今、俺の目の前で喋ってる」

「うふ…氷室さん、武器の密輸は"買収"というベアリングで回転するという言葉があるの。ご存知?」

ケイはラジオの電波で暗号を送り取引をしていたことを氷室の前で白状するも、スタンばっていたスキンヘッドブラザーズが氷室を強襲、なんとMPのボスを捕らえることに成功し、女性ボスは有能揃いです。

 

発信機で動きを追っていた松村以下は、気絶させられ運ばれるキャップの姿に困惑しながらも後を追いかけることに。

そこに暴走族の妨害が入り、苛立ちを抑えられないマッスルチームを制して松村があえて誘いに乗ることで、相手を油断させるよう冷静に指示を出します。

「芹沢、あのうるさいゴキブリどもを、どっかに誘い込め」

※警察官のセリフです。

冗談はさておき、冷静なキャップの不在で俄然チームの頭の沸点が低くなってしまう中、氷室と同格の松村がサブリーダーとして冷静に振る舞える姿は、最高にカッコよかったです。

 

氷室を縛り付け、意趣返しの花爆弾を設置し爆発事故に見立てて殺害しようとするケイ。

「良いものはどんどん取れいれるのは、ジャパンマフィアのやり方だから」と大変嫌らしい物言いで、更に高樹の時同様マスコミすら操作して、平気で事実を捻じ曲げるケイの極悪さが、底の方にどんどんと突き抜けていきます。

冥土の土産にと、2つの教会の廃墟が取引場所だと聞かされた氷室は抵抗虚しく爆弾の隣に置き去りにされてしまいます。

「さよなら…負け犬さん」

 

暴走族を引きつけていた芹沢以外の4人は発信機の反応を追い、氷室救出に駆けつけます。

あわや無残氷室爆死のところを、ギリギリで救出に間に合い、まさかのミニチュア爆発!!!

救出はややあっさり進んだものの、直後に立ち上がって

「行くぞ!取引の現場だ!!」

と叫ぶ氷室キャップは安定のカッコ良さ。

 

言葉の通り、廃墟の教会で取引を交わしていたケイファミリーとクライアントのもとに、MPの爆走車が駆けつけ先制の発砲!

そこに暴走族を誘い込んできた芹沢も合流し、すかさず発砲!

「氷室…生きていた…!!」

爆弾で木っ端微塵にしたどころか、油断から取引場所までしっかりと教えていたことが完全に仇となり、やはり罠に嵌めようとしたら返り討ちに遭うのがこの世界のルール。

 

ここからは怒涛の銃撃戦となり、曲がりなりにもマフィアである暴走族はが意外と良い動きを見せたり、拳銃を乱発していたことで弾切れを起こした直後、ショットガンに切り替え対応する松村など見どころ満載!

車をよこすフリをし裏切ってクライアントを見殺しにするケイファミリーですが、ケイは氷室が車で追い、何故かシンメトリーで拳銃を構え出す進司と新田(直後、得意の股下発砲)はスキンヘッドコンビを見事ゲッツー。

前回の石上VS松村・芹沢もそうでしたが、一度してやられた相手に今度はこっちがやり返すという「借りを返す」文法は任侠映画の強い本作ならではといったところでしょうか。

 

最後は氷室とケイの迫力のカーチェイスバトルが展開され、冒頭からバーに突っ込む姿や、車の席越しに会話をする氷室とケイの描写があるなど、クライマックスをそのエピソードごとのポイントでしっかりと盛り上げようとしており、手堅いながら鮮やかな手並み。

しばらカーチェイスを展開したあと、逃げようとしたケイの車に氷室のドライビングショットが命中!

操縦不能になった三好カーは、崖から墜落のうえ爆発炎上というここに来て、ボスが射殺以外で処理されることに(今までで一番エグい殺し方)。

 

勝利と結果を得て、タバコを吸う氷室ですがその表情は重く、先程も横転した車に密輸した拳銃と札束が重なり、それを沈痛な面持ちで見つめるMPが描かれるなど、今回はやけに重苦しくオチに繋がることに。

「俺の勝ちだーーー氷室は密かに心の中で呟いた。しかし、その心は何故か晴れないままだった。

 確かに一つの戦いは終わり、マッドポリスは勝利を収めた。だが彼らの前には、まだ十数余人に及ぶジャパンマフィアの幹部たちの影が、巨大な壁のように立ち塞がっているのだ」

そう、自分たちはまた5人のボスしか始末できておらず、いつまたケイや高樹のような存在が襲ってくるかも分からず、マッドポリスの前途には未だ暗雲が立ち込めているのです。

 

 

前回に引き続き女性ボスの登場。

氷室と同等の射撃の腕を持ち、自身のラジオで取引の暗号文を流し、MPや三田村富樫を前にしても決して怯まない胆力も持ち合わせていることから、これまでで最強かと目されるボスでした。

また氷室とケイの絡みを通してMPとJMの表裏一体を表現し、氷室のネガ存在がケイであり、しかしそこに宿る意思の違いが勝負を分けることになる、という展開はベタながら面白かったです。

 

全体で見るとややあっさりめの氷室救出や、唐突に登場する取引場所の教会など、最後にかけて話が強引になってしまったのは残念だったところ。

また前回から氷室の迂闊レベルが高くなってるようにも見えるので、もう少し修正がほしいところです。

 

それでも前述の通り、クライマックスのカーアクションに繋がることで車関係の突飛な演出には最初はびっくりするものの、唐突にならずスムーズにカーチェイスを描いてくれたのは嬉しかったです。

暴走族の扱いはやや雑になったものの、サブリーダー松村を見せるために結果的には良い舞台装置となってくれました。

キャラの動きにもそれぞれ遊びか乗ってきており、作品の方向性が温まってきた頃かと思いますので、今後も楽しみにしたいです。

 


次回「殺しの追撃は、あなたもターゲット」

ついに出たメタ発言!

ルール無視のやつらに愛の掟で戦う戦士

大激闘 マッドポリス'80

第4話「切り札は黒いクイーン」

(監督:長谷部安春 脚本:山本英明

 

「世界各国に勢力を広げている国際マフィアの幹部が、続々と日本へ集結を始めた。彼らの来日の目的は、ジャパンマフィアの結成を祝って開かれる特設カジノに参加することだった。

 警視庁はいち早くこれを察知し、参加外人の密着尾行を始めた」

 

そんなワイドショーの特集みたいな始まり方をせんでも…という導入から、今回のボスである石上聖子と三田村富樫の接見が最初から描かれるという異色パターンに発展。

石上は日本の領海外に船を浮かべ、そこを特設カジノとして開く計画を立てていました。

「パーフェクト…予定通り、明後日開きます」

「警察はだいぶ動いているようだが…」

今日も圧力に余念の無い富樫に怯まず、カジノの開催を約束する石上には三田村も強い信頼感を寄せております。

「期待している…君の資金力と、社交会での顔で、賭博組織が結成できたんだから…」

 

特設カジノのことを聞きつけ、案の定行動開始していたマッドポリスは松村を潜入させ、石上と賭博の場で接触

チップではなく金貨で賭博する辺りが、とても嫌な感じです。

「我が社は今夜で倒産です。哀れな中小企業の社長のために、食事でもご馳走してはくれませんか?」

「よろしいわ…何なりとお申し付けください」

おい(笑)

クイーン石上に負けた(フリをした?)ギャンブラー松村は食事をご馳走してくれとだいぶ強引な誘い方を見せ、やたらと顔の怖い執事(芹沢)運転のもとオススメのお店に。

ちなみに芹沢は松村のことを「兄貴」呼びで、組織内の関係がまた掘り下げられることに。

 

カジノのことをグチグチ言いながら食事する松村。

ここの場面で意外なのは松村、テーブルマナーがイマイチ。

おまけに隣に座ってる石上とやたら距離が近く、お互い窮屈そうなのがすごい気になります。

食事中、それとなくあなた暗黒街にも顔が通りますよね?と探りを入れる松村の言葉をいなし、石上は席を外し、MPである松村と芹沢を始末するよう部下に電話で指示。

男2人はそんなことにも気付かず、彼女を自宅まで送ろうとし、JM構成員が待ち伏せしてるポイントまで向かってしまいます。

「おかげさまで、今夜はスリル満点…」

さて、復習です。

Q.「マッドポリス」時空において高確率で発生する現象は?

ヒントは前回感想に転がってると思います。

 


石上宅もとい地獄への一本道をひた走る松村と芹沢の前に現れる2台の車。

たじろぐ男2人をよそに、石上はこれでMP2人の首討ち取ったり!と余裕の笑みを浮かべるも…その車から降りてきたのはマフィアに変装した氷室以下。

A.罠に嵌めようとしたら、返り討ちに遭う。

ことが上手く運びすぎていることを疑問に思った氷室が直前で相手の待ち伏せに気付きこれを撃退、入れ替わって逆に石上を待ち伏せすることに成功したのでした。

「おかげさまで、今夜はスリル満点、素敵な夜だ」

 

無抵抗の石上を建設現場に連れていく氷室以下。

カジノで違法な賭博が行われる日時と居場所を吐かせるために、JMのボスの1人である石上を一睡もさせず監禁することになります。

「死にたくなきゃ、こっちの条件を飲んでもらう」

俺たちはマッドポリスっちゅうくらいだから、あんた1人消すくらいささやかな冗談で済むのよ」

「あんたをコンクリート詰めにするぐらい、簡単なんだぜ」

※警察官のセリフです。

さすがに不憫に思ってか、初対面から石上のことを気になってた芹沢が見張りと称してこっそりパンと牛乳を渡そうとし、「え、そういう展開なの…」と身構えたのですが、そこはさすがに氷室が気付き芹沢を制してくれました。

「あんたの頑張りがどこまで続くか、見物だな」

 

「その夜、帰宅途中の警視総監が襲われた」

一方、石上を捕らえられたJMの方では目には目を、歯には歯を作戦でまさかの警視総監誘拐。

総監と石上の交換を持ちかけ、前回から引き続き人質交換展開に発展。

「逆さ吊りにしても吐かせるんだった…ちょっと紳士的過ぎたようだな」

総監の救出を第一に考えた氷室は組織に電話するよう石上に指示し、双方人質の無事を確認。

自分のことはいいから使命を果たせ、と氷室に勇敢な言葉を残す総監がカッコいい。

 

「指令を伝えるから、メモを取ってちょうだい」

直前に伝えることを条件に人質交換の場所を決めることになり、構成員にメッセージを託す石上。

しかしそれは暗号文であり、MPが自分を収容している場所を巧みに伝達していました。

保安庁を名乗りカチコミを仕掛けてきた構成員に対し、さすがに待ち伏せできなかった氷室以下は相手の発砲!で劣勢に陥り、悠子は脚を撃たれ負傷し(ムーディー組の弱点は左脚か)、石上を盾に構成員を引きつけた芹沢もその凶弾に痛めつけられ、石上を逃してしまい、まさかの「マッドポリス」ルール敗北の瞬間。

前回、メンバー全員銃弾の効かない未確認生命体説が浮上しましたが、打ちどころが悪ければ戦闘不能にまで陥るシーンが挿入され、完敗ムードを容赦なく醸し出し緊張感MAXな展開。

マッドポリス」ルールが通用しなかった理由としてはやはり"スピード感"が重要であると思われます。

先程松村が紳士的過ぎたと言及していたように、明後日にも開かれる(MPはその情報を知らないとはいえ)カジノの概要を掴むために、石上が「空腹と寝不足で根負けするのを待つ」というのはあまりにも悠長過ぎますし、「待ち」の姿勢が目立ちスピード感が足りないという点は、第1話から垣間見える、決断力の不足している氷室をキャップとするMPの最大の弱点と言えるかと思われます。

しかし、実際に石上を逆さ吊りにする氷室以下を見たいかと言われればそうではなく、犯罪者に容赦の無いと謳いながら、あくまで正義の刑事であることから逃れられないジレンマを本作は抱えているようにも見えます(芹沢が散々言ってたように、相手が美しい女性であることも原因ではありますが)。

「キャップ…本当にあたしたちの負け…?」

 

満身創痍のMPを尻目に、見事逃走に成功した石上は富樫に夕方カジノで落ち合うことを約束し、そんな石上の背中を蛇行運転しながら追跡する芹沢。

息も絶え絶えな芹沢から通信が入り、尾行の中継をすることで氷室以下を石上の向かう場所に誘導することに。

「芹沢生きてるのか!?」

芹沢の無事を聞いた瞬間、声を上げる氷室は相変わらず仲間想い。

「私も行きます!!」

あたいもハジキぶっ放したいよ兄貴!!!

と負傷した悠子も声を上げますが、今回は芹沢通信の中継役としてお留守番になり、氷室以下4名で今回も銃火器ノルマ達成し、出撃!

咳き込みながらも必死の追撃で、石上の逃走場所を探り当てた芹沢は事切れ、通信終了。

助手席で、子犬みたいな顔で通信を聞く進司がやたら面白いのですが、一体どうした!?

 

逃走場所にやってきた石上以下は、もう人質として残す必要も無いと警視総監を凍死させようと冷凍庫に放り込みます。

すぐに殺そうとせず、あくまで苦しませようとそのまま冷凍庫に閉じ込める辺りはマフィアらしい性格の悪さと、始末の仕方にこだわるあまり逆転されるきっかけを与えてしまう「悪の組織らしさ」が出ててとっても、ショッ○ーです。

冷凍庫に掛けた鍵を持ち出した石上が見張りを部下に任せ、特設カジノに向かおうとした瞬間に響く銃声。

そこには車の上部からひょこっと上半身を出して発砲!する進司の姿が!!!

氷室運転のもと助手席に座っていたのは、そういうことだったのか!!!!!

 

すぐさま銃撃戦が始まり、前回に続き発砲!した相手から情報を聞き出そうとするMP

だから殺してから聞くな。

「女は俺が探す!」

MPはそれぞれ石上迎撃の松村、総監救出の氷室以下に分かれて行動し、氷室は構成員との撃ち合いに勝利し、冷凍庫の鍵も爆弾であっさり解除し、子犬のように縮こまっていた総監を無事に救出成功。

「俺に撃たれるより、降参した方が得だぞ!」

※警察官のセリフです。

石上を追いかける松村は徐々に距離を詰めていき、投降を呼びかけるも交渉不可能と判断したため車で逃走しようとした石上を射撃一発で射殺。

石上に一杯食わされ続けた松村が、最後は一発で勝負を制するのがとても渋い。

しかし直後、芹沢を探しに行った氷室から「総監頼んます!」と雑に総監を預けられ、余韻に浸れないムーディーであった(笑)

 

銃弾を腹に受け、車の中で倒れていながらも「腹が減った」で済ませる未確認生命体・芹沢の無事も確認され、中継班の悠子もひっそりと喜んでいました。

悠子は男勝りそうなキャラクター性を持っていながら、出しゃばり過ぎない奥ゆかしさが絶妙なバランスで、堀川まゆみ氏のルックスも重なりとても良い味を出しています。

逆に今回は田口久美氏演じるマフィアの女ボス・石上は今までのボスの中では最も肝が据わっており、女性でありながら(という書き方は今時らしくありませんが)非常に力強さを感じ、動きは少ないながらも抜群の存在感を醸し出しております。

 

カジノに向かっていた三田村は、その道のりに警察が駆けつけていたことから石上の敗北を悟り、踵を返すのみでした。

そしてマッドポリスは、今回の功労者である芹沢がグーグー眠っているのを横に、これからの戦いに更なる結束を誓うのです。

「その日開かれていた特設カジノは直ちに手入れされ、ジャパンマフィアの賭博組織は完全に壊滅した。それは間一髪の勝利だった。

 マッドポリスの行く手には、まだ多くの危機が待ち構えている。最後の勝利まで、彼らの道のりは長い

 

 

4回目にして初の女性ボスが登場。

MPが要人の身柄を押さえ、交換展開が発生するのは前回と同じように見えましたが、前回感想で言及した「マッドポリス」ルールを破壊するレベルの謀略に長けた石上勢力に、MPが一度は完全敗北する姿を見せたのが衝撃でした。

同時にそれは、前述の通り第1話の八代と氷室の掛け合いからも垣間見えた、氷室をキャップに据えるマッドポリスの弱点を突いた展開にもなったのですが、それにしても悠長過ぎる監禁作戦、暗号文を見抜けない迂闊さ、冷凍庫の鍵を爆弾であっさり解除(これも前回と一緒)など、雑な部分が目立った印象でした。

長時間監禁するつもりだったならあの建設現場は長居には向いてないでしょうし(相手が女性という油断と気遣いもあったのでしょうが)、今までの描写的にボス級が簡単に口を割るとは思えないので、別に石上が特別凄いとならないのはやや違和感のあったところ。

 

ただ、ここで「マッドポリス」ルールを破り、MPの弱点を突いてきたという点はとても興味深く、これを掘り下げてもらえたら嬉しいところですが、この時代にシリーズ構成という概念があったかも怪しいので、ほんのり期待する程度に収めておきます。

それと今回のメイン格である松村と芹沢にも、それぞれの活躍ポイントが用意されてて、ひたすら株を落とすだけにならないのは良かった点です。

……重傷でありながら一晩中追いかけっこしてた芹沢は若干緊張感を削いでしまいましたが(笑)

 

 

次回、氷室ついにヒロイン化!?

思うように動けず

お世話様です。

 

最近は「マッドポリス」以外あまり書けていない身でしたが、ちょうどスマホの機種変更を行い引継ぎに時間がかかっていた次第。

 

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そんなわけで組立済だったこちらの紹介も遅れました。

現在デカールシールを貼るかで悩み中…。

 

とか色々思っていたらガンダムの公式Youtubeチャンネルで「0080ポケットの中の戦争」と「0083STARDUST MEMORY」が配信されているため、そちらも楽しく(という表現でいいのか)見ております。

 

色々と誘惑が多い現状ですがもう一件、放置しておいた品がこちら。

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S.H.Figuarts

ウルトラマンフーマ

 

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ウルトラマンタイガ」放送開始からおよそ一年半、トライスクワッド3人目の戦士・ウルトラマンフーマがついにアーツで到着。

今回は全体像というよりは、若干グラビア風味で撮影。

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せっかくなので、他の2人もタイガスパークを強調してのアップ写真を撮りました。

そしてこの3人が揃ったということは…

「生まれた星は違っていても!」

「共に進む場所は一つ!」

「我ら!!」

トライスクワッド!!!

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遂にトライスクワッド集結!

「タイガ」本編だけでなく「ウルトラギャラクシーファイト」でも活躍が見られた3人ですが、アーツで揃うとまた格別。

どれもレベルの高い造形で、非常に満足度が高いです。

 

「光の勇者、タイガ!!」

「力の賢者、タイタス!!」

「風の覇者、フーマ!!」

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一昨年の杉並公会堂でのEXPO THE LIVEで見せた、この並び立ちが再現したくて仕方なかったから感無量…!!

撮影スペースの都合で若干窮屈になってしまいましたが…。

 

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最後はOPの1シーンで締め。

タイガの手がフーマも被ってしまったのは許して。

 

というわけで直近のプラモレポートと、フィギュアーツフーマでした。

終わってみたらフーマの写真は少なく、実質トライスクワッドの紹介と化してしまったのですが、「タイガ」シリーズはとても気に入っているので、この機会に紹介できたからまあいいかななんて(おい)

 

またも緊急事態宣言の延長が発表され、巣篭もりが多くなると予想されるので、次のプラモに手をつけたいと思いながらも、最近は一癖ある刑事ドラマにハマっているので手は動くのやら。

そうこうしてるうちに明後日からは「ゼンカイジャー」もスタートするので、楽しいことがいっぱいだな!!(ヤケクソ)

 

こんな感じですが、今後ともよろしくお願いします。

本当の最後に、今度作ろうと思ってるプラモでお別れです。それでは。

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愛のままに わがままに

大激闘 マッドポリス'80

第3話「狙撃者を撃て」

(監督:長谷部安春 脚本:峯尾基三

 

「ジャパンマフィア城西支部、高松総業幹部・神保雷蔵、本部への上納金6千万円余りを横領して逃走。全国のジャパンマフィア組織に直ちに回状が回され、この男の首に懸賞金が付いた。3ヶ月前のことである。

 その情報をいち早く掴んだ東京地検特捜部は、都内に潜伏中の神保と極秘裏に接触を持った。その結果、身辺警護と刑事訴追の免責を条件に、ある事件の証人に立たせることになった。

 その事件とは、ジャパンマフィアの政界工作の一環として多額の政治献金が発覚、贈賄容疑で高松総業社長・高松麻男が逮捕され、クロシロは法廷の場へと持ち込まれていた。その黒いカネの運搬役を務めたこの男・神保は、検察側にとって文字通り"切り札"となる人物である。

 氷室たちマッドポリスは、3日後に控えた裁判の日まで、この有力な証人を組織の手から守らなければならなかった

 

冒頭から長文のナレーションで説明が入り(実際、ナレーションじゃないと説明しきれない情報量)、検察庁でタバコをふかしながら警護の任に就くことになるMP。

裏切り者の始末に駆り出される構成員の対処や、検察庁とJM間の繋がりも否定できないことから、特捜部の指名があったとのことであり、前回のNo.1坂本の存在も活きて納得度の高い展開。

「まあ幸か不幸か、俺たちマッドポリスとしては、特捜部に見込まれたっちゅうわけだ」

 

3日後の裁判まで神保を護衛するため、神保を乗せたジープで隠れ家に向かうMP(運転席でタバコをふかす氷室が最高にクール)ですが、そのジープをつけ狙う存在を松村と氷室が察知。

「…尾けられてるな」

「尾けさせましょ…」

無言で笑い合う2人…

※警察官同士の会話です。

 

到着した潜伏先にて、神保から取り調べもとい事情を聞き出すMP。

組織の金を奪い逃走したことで、その隠れ家を知っていたと目された愛する女性を組織に殺されてしまい、怒りのまま神保は組織の情報を検察に売ろうとしていました。

その亡骸はなんと全裸で川に打ち捨てられており、物理的にだけでなく、女性としての尊厳も大きく傷つけられた状態で発見されたという形でJMの悪辣さを強調。

「あいつの落とし前は必ず付けてやる…裁判で何もかもぶちまける…!」

女性の写真を燃やしてカッコ良く宣言する神保ですが、元はと言えば、金に目が眩んで持ち逃げした自分が原因なんですが…。

 

夜になり、尾行していたJM構成員が神保隠れ家を奇襲し発砲!

しかしそれはMPの仕掛けていた待ち伏せの罠であり、氷室たちは今回の指示者を聞き出そうとするも、狙撃によって構成員は全員射殺されてしまいます。

物陰に入り暗視ゴーグルで狙撃者を見つけた氷室は新田を連れて追跡に。

軽々しくフェンスを越える2人がカッコいい。

「この距離から4人を狙い撃ちとは、痺れるような狙撃の腕ですね…」

追跡中にジョニー大倉氏演じるスナイパーと接触した新田はワンパンで気絶させられ、拉致されて拷問されることに。

 

神保に(死体の)写真を見せ、射殺された4人はJM連中であることを確認し、更に射撃の腕が立つ者の存在を聞き出そうとするも、

「俺だって、この世界で15年生きてきた男だ。ウチの連中のことは、一人残らず知ってる……そんなやつはいねぇ」

という発言に、本当にこいつ長い間組織にいたのか…?と微妙な空気が流れ始める隠れ家(笑)

勤続15年の割には6千万円程度の金で組織を敵に回し、自分の女を殺されたと逆恨みして証人になろうとするなど、神保が悪い意味で命知らずの無能にしか見えないのが今回困惑するところ。

「やつを罠に嵌めたはいいが、こっちも犠牲を出した…新田がやばい」

罠に嵌めようとしたら返り討ちに遭うのがこの世界のルールです。覚えておきましょう。

 

翌朝、氷室以下芹沢と進司のヤクザチーム2名は、社長不在の高松総業を指揮する幹部の中岡を尾行…かと思いきや拉致・暴行。

昨晩の構成員死体を見せつけ自白を迫るも、容疑を否認する中岡に対し、

「…顔洗ってやれ」水の溜まった洗面台に顔を押し付けるヤクザチーム。

割と長い時間水に顔を押し付けられたことで観念した中岡は、自分は指示で動いていたのみであり、その指示を出していたのは元レンジャー部隊出身の殺し屋・古賀礼二であることを白状。

古賀は拉致した新田を利用し動いてくることが予想されるため、対応が後手に回るMP。

 

当の古賀は富樫と接見しており、神保が証言することで複数の代議士の名前が流れ、これまでの政界工作が台無しになることを食い止めるよう毎回恒例の圧力をしっかりと掛けられていました。

「先生もお前の腕を頼りにしておられる…やれ、必ずだ」

 

その古賀からMPに新田と神保の交換の要求電話が掛けられ、その対応において「神保なんかくれてやりましょうよ!」と神保に対して割と優しい態度を見せていた進司も、このように声を上げるくらいに追い詰められていました。

「要求は飲めんが、一応相手の誘いには乗ろう」

今、新田のヒロイン力が試される。

 

またも古賀から掛かってきた電話に今度は氷室が応答。

毎回氷室を指名する古賀が何か面白い(笑)

新田の無事を確認した氷室は、神保を新田と交換することに承諾、したかと思いきや

「要求は無視」

逆探知で敵のアジトを特定し、今日も大量の銃火器ノルマを達成しMP出撃!

その頃、新田は謎の地下室に連れ込まれていました。

「考えても見ろ、神保は重要な証人…お前とじゃ比較にならん」

 

敵アジトの工場に到着した氷室以下ヤクザチームは奇襲を仕掛け、新田の救出に向かいます。

取り押さえた構成員の銃声で奇襲に気付かれてしまう進司という描写が細かい。

「おい!俺たちの仲間どこだ?」

死体を盾に敵を炙り出し返り討ちの発砲!を浴びせた氷室の発言が、先程の古賀のセリフと対比されておりカッコ良かった場面。

しかし、急所を撃ってから聞くな。

 

何とか地下室を探り当て新田を救出する氷室以下ですが、案の定それは罠であり毒ガス缶を放り投げられた部屋に閉じ込められることに。

氷室以下新田を加えた筋肉ヤクザチームが毒ガス吸って御陀仏になりかけながらも、こんなむさ苦しいやつらと心中してたまるかと頭をフル回転させた氷室は、マガジンから抜いた弾丸の薬莢から火薬を抜き集め、即席爆弾を作り部屋の扉を破壊する。

それと並行して、神保が運ばれてくるであろう地裁周辺のビルにて狙撃の準備を整える古賀は、予定通り神保を運ぶムーディー組の到着を待っていました。

 

地裁に到着し、神保をジープから降ろそうとする松村に、罠をすり抜け間一髪で届く氷室の連絡。

罠に嵌めようとしたら、返り討ちに遭うのがこの世界のルールです。

神保が狙われていることでムーディー組はその場から動けなくなるものの、公判の時間は迫っており、早く証言したい神保は降りたいと駄々を捏ね始め、それを殴って黙らせる松村。

氷室以下筋肉ヤクザチームも地裁に駆けつけ、そこで拷問され徹底的に身体を痛めつけられていたハズなのにピンピンして職場復帰する新田。

前回、四方八方囲まれて銃撃戦を展開していた中で一切被弾しなかったMPですが、被弾していなかったのではなく、並の銃弾が効かない程の強靭な肉体を持っている未確認生命体説が浮上してきました。

 

現場に到着しながらも、古賀の狙撃位置が掴めず迫る公判の時間。

氷室はこの状況において、一か八かの勝負に出る。

「証人を車から出してくれ!狙撃点を探ろう」

「…何だと?」

「古賀は神保を狙撃する、その前に俺たちが古賀を倒す。やってみよう」

※警察官のセリフです。

「…やばいな」

難色を示しながらも、他に手は無いと了解した松村は、警戒しながら神保をジープから降ろし、その後あっさり古賀を見つけ出す氷室。

スコープにめちゃくちゃハッキリ映る古賀の注意を新田が引き、一瞬のスキを突いて発砲!した氷室スナイパーライフルの弾丸が古賀の左胸に突き刺さる!

 

悪魔のスナイパー古賀は倒れ、神保は無事、検察に引き渡されることになり、今回も勝利したマッドポリスに目をやる三田村富樫…。

 

「神保の証言を得て、ジャパンマフィアと政界との黒い癒着にメスが入れられた。マスコミは東京地検特捜部の活躍を讃え、ジャパンマフィアへの不屈の戦いを持ち上げた。

 その陰に、氷室たちマッドポリスの活躍があったことは、誰にも知られていない

 

 

パイロット2話を終えた後の初回ということで、発砲と爆破が抑え気味のやや大人しかった回。

地味なりに即席爆弾作成の手順など凝った展開を見られましたが、速攻でピンピンしてる新田や、あっさり見つかってしまう古賀など、終盤の展開にやや無理があったように見えました。

 

また先述の通り、今回のキーマン神保のキャラ設定がめちゃくちゃな点。

JM勤続15年でありながら、本部への上納金たった6千万円を持ち逃げし、それが原因で自分の女を殺されたことを逆恨みして東京地検に重要な情報をチクろうとするなど、身の程知らずの小物感が激しく、おまけにスナイパー古賀のことも把握していないなど、その行動と持ち合わせてるデータに奥行きが無く、"特捜部における重要な証人"という存在として説得力が薄かったのも辛かったです。

全体的に間延びしている演出も見辛く、前回予告から結構期待して割にあまり伸びの無かったエピソード、という印象。

 

まあところどころ入るアクションや、今では絶対見られない全裸で打ち捨てられる女性の姿など、見どころも多く、最後のナレーションもマッドポリスそのものの生き様を見ているようで良かったです。

 

 

次回、女か、総監か

友よ君はなぜ

大激闘 マッドポリス'80

第2話「No.1抹殺計画」

(監督:関本郁夫 脚本:柏原寛司

 

冒頭からいきなりとあるビルの警備員と管理人に実力行使を働き、また鍵の掛かった社長室のドアノブを発砲!で破壊し、そのまま爆弾で金庫破りを行うマッドポリス

とあるビルの主・前島不動産の社長室の金庫から発見されたヘロインを、なんと屋上から捨てる行為に出ます。

「あ〜もったいねぇなぁ…6kgのヘロインっつったら末端価格で約…18億っすよ18億!」

※警察官のセリフです。

 

「氷室以下マッドポリスのターゲットは、ジャパンマフィアの間では"No.1"と呼ばれているヘロイン密輸部門の黒幕であった。No.1は配下の暴力団前島組を使い、大量のヘロインを密輸している。

 しかしNo.1に関し、氷室たちは何も掴んでいない。No.1を叩かない限り、ジャパンマフィアのヘロイン密輸ルートを壊滅したことにはならないのだ」

MPは自分たちがヘロインの入手ルートの元を潰したことにより、前島組の代表前島が新たなヘロインを得るためにNo.1に泣きつくことが予想され、密輸のためにNo.1が動いたところを押さえるという作戦に出ます。

「No.1燻り出し3段論法…ってとこか」

本部でブリーフィングしながら、悠子が注いだ酒を氷室と松村が酌み交わすのが面白い場面です。

 

前島がNo.1に会うタイミングを図るために、前島組の表の顔である前島不動産にアルバイトとして以前から潜入していた進司は、バレバレの盗聴器を社長室に設置し幹部の会話を盗み聞きしていました。

案の定、ヘロインを奪った相手がMPだと考えた幹部連中は盗聴器の存在に気付いたことで、潜入してる"犬"を炙り出すのと同時に、MPを袋のネズミにするために嘘の緊急会議の情報を流し誘き出そうと計画。

盗聴器があまりにも雑な置き方なのですが、潜入担当の進司は最若手であることを考えると、脇が甘いのも仕方ないかと思うところです。

 

まんまと釣られてホテルにやってきた仮装などもせず隠れる気ゼロなMPは、ロビーにて前島がホテルにやってきたことを確認し、エレベーターでその部屋へと向かいます。

「前島は殺して構わん、しかしNo.1は、生かして捕まえろ。いいな?」

※警察官のセリフです。

会議中(という設定)の部屋に突入したMPは、待ち伏せしていた前島の部下と銃撃戦に。

しかし、不利な状況にも冷静に対処した命知らずの警官たちは発砲!そしてしれっと手榴弾を投げ爆破!!

見事前島組を返り討ちにし、死亡確認を怠らない警察官の鑑っぷりを見せてMPは撤退することに。

 

自分たちが罠に嵌められたことで、潜入している進司の身を案じ、その救出を芹沢と新田に任せ、松村はプレイガイド、氷室は街をぶらつくといいとあるディスコに向かい、それぞれの別行動が開始。

ヤク中が跋扈するディスコにてヘロイン売人のフリをし、No.1の情報収集を行おうとする氷室の前に、

ヤク中とはいえ女性にもパンチ膝蹴りと容赦ない麻薬Gメンが参上!

そこには氷室の先輩刑事であり、敏腕捜査官である坂本主任も駆けつけていました。

「お前は優秀なデカだった。そのお前が今は、本庁勤務を外されてるそうだな……何を嗅ぎ回ってんだ?」

第1話終盤のシーンにおいても、普通の警察官はどうやらマッドポリスの存在を認知しておらず、彼らに恐れおののいているのは上層部だけの可能性が出てきました。

「人のショバ荒らすようなマネはよせ!」

ぶらぶらしないで働け!と氷室に暴力で語りかけ牽制する坂本。

血を拭うようハンカチを渡した後に蹴り落とす、というアメとムチの使い分けが素晴らしい(笑)

「やられてみて初めて分かったけど…警察ってのは暴力的だな」

※警察官のセリフです。

 

先輩たちが思い思いの行動をしているその一方、潜入していた進司は、案の定前島組にフルボッコにされていました。

「柄悪い連中いっぱいおるぞぉ」

「あー先輩より柄の悪いのいましたか」

救出担当の芹沢と新田は前島組事務所に向かい、芹沢は何の違和感もなく前島組のボディガードに加わる(笑)

ついで新田も加わろうとするも流石に止められたので、不意打ちでボディガードをフルボッコにし、更に拳銃まで入手。

ここの場面、芹沢と新田のセリフはほぼアドリブっぽく、任侠ものに多く出演してる2人の掛け合いが味わい深いところ(笑)

 

そのまま進司が捕まってる部屋に向かうも、カチコミに勘付いた組幹部は進司を人質に。

仕方なく銃を捨てる芹沢だが、幹部の目線が拳銃に向かった隙を見逃さず、新田が物陰から芹沢の股下に飛び込み発砲!

組幹部を仕留め、進司救出に成功します。

「おう兄ちゃん、お前なかなか男前になったな」

「先輩と…同じような顔になっちゃったっすよ…」

潜入にバレながらも、MPに関する情報は一切漏らさなかった進司への芹沢らしい労いとも取れる良いシーンでした。

 

同じ頃、松村が調べ上げた前島不動産が協賛してるコンサートを行う予定の海外ミュージシャンが来日

し、氷室、松村、悠子はその荷物と同時にヘロインが密輸されると睨み空港の駐車場で張ることに。

その場での確保は分が悪いとタイミングを図るMPですが、そこに坂本率いる麻薬Gメンが駆けつけ、荷物と共に密輸されたヘロインを確保。

麻薬Gメンに先を越されたことで、せっかく見えかけていたNo.1の行動を追うことが出来なくなってしまい、氷室は嫌がらせに坂本に挨拶。

「あ、ハンカチ洗って返します」

しつこい去り際を見せる氷室を見つめる坂本の横には、「No.2」と書かれたアンプが置かれてありました。

 

度重なる失敗をNo.1に報告する前島ですが、いい加減にしろとついに始末されてしまいます。

そしてそれを指揮したNo.1は、部下にタバコの火を付けさせた際にその顔を明かす。

その正体はは麻薬Gメンであり氷室の先輩刑事・坂本主任であった。

No.1の手がかりを失ったように見えたMPでしたが、進司が盗聴していたNo.1への連絡先、局番「393」から氷室は電話を掛けられていた先が、麻薬捜査本部にあることを突き止めます。

 

とあるバーで鉢合わせ語り合う氷室と坂本(氷室が呼び寄せた?)。

「何故俺の周りをうろついてる?」

「麻薬捜査のコツ、教えてもらおうと思ってさ。行く先々であんたに先を越される…何か特別なルートでも?」

ほぼ直接疑いをぶつける氷室(笑)

「…麻薬捜査は俺の仕事だ。これ以上深入りするとこの前みたいな傷じゃ済まなくなるんじゃないか?」

「退散しましょ……ごちそうさま」

先輩からの優しい圧力に耐えかねた氷室は、確信したように嫌がらせの一言を残してその場を去る。

「こないだのハンカチまだ返してないね、返しますよ…明日」

 

うーんこの一連の流れはやりとり自体は面白いのですが、初めに坂本=No.1であることを(視聴者に)バラしてしまっているので、氷室が推理し直接確認して、真相にたどり着く描写が無駄に長すぎてしまったような印象です。

これなら前島が始末される段階で坂本の顔は見せずに、氷室が局番に気付く→バーで坂本に直接疑念をぶつける→No.1坂本顔見せという流れにしといた方が良かった気がします。

第1話でも潜入捜査の件で色々順番違いが発生していましたが、演出側で少し解釈違いがあったりしたのでしょうか(前島始末というイベントが発生する以上、仕方ない判断だったのかもしれませんが)。

 

バーから戻った氷室は、夜中の麻薬捜査本部に進司を連れて侵入。

いつの間に盗んでいた鍵を使い、押収した麻薬保管庫に忍びこみ、麻薬の袋を開けた氷室はペロッ…うどん粉!」と断定し、麻薬Gメンの誰かがヘロインとうどん粉をすり替えて市場に流通させていたことを見抜き、坂本がNo.1だと確信を持ったことであえてハンカチを置いていき、No.1に挑戦状を叩きつけます。

 

氷室の潜入を受け、JM両輪の三田村富樫と接見するNo.1坂本。

MPが自身の正体に気付いたことで、マークされてることを逆手に取り全組織で返り討ちにする戦法を思いつき実行に移すことに。

つい最近も、似たような作戦で失敗していたような…。

「頼んだぞ、No.1」

 

MPにマークされてることに気付いていながら、行動を起こすNo.1坂本に罠の可能性を見るMP。

しかし、氷室の決意は揺らぐことは無い。

「罠ならハマってやろうじゃねぇか、どうせ一度はケリつけなきゃいけねぇんだ」

※警察官のセリフです。

冗談はさておき、八代キャップのセリフと似てきており、前回引き継いだ"キャップとしてのバトン"を、こういった形で見せてくるのが渋くてカッコいいところ。

今回も机の下のボタンを発動し、おびただしい量の銃火器を持ち出し出動したMPは、No.1坂本が向かった市民会館に駆けつけることに。

ジャケットを脱ぎ、OPでのランボーモードを発動した新田が本気だ!

 

明らかに静かすぎる会館内を探るMPは見晴らしの良い会館ホールに誘い出されてしまい、No.1構成員たちに四方八方から銃撃されることに!

しかし罠に嵌められた(今回2回目)ことに焦らずに、すぐさま自分たちを照らす照明器具を発砲!で破壊し、全くピンチに陥らず次々と構成員を射殺していく(笑)

 

「坂本!いい加減に諦めろ!!」

No.1坂本を追いボイラー室にやってきた氷室は、刑事であり射撃の腕が立つ坂本の銃弾を右腕に受け、両手持ちのライフル銃を使用不能に。

しかし機転を利かせた氷室は、坂本の反応速度の高さを懐中電灯を用いて逆に利用し誘き出し、その隙を逃さず発砲!

氷室の弾丸を受け、立ち上がることもままならない坂本はそれでもまだ拳銃を取ろうとする。

氷室はそんな哀れなNo.1の姿に、最後の一言と共に冷徹な弾丸を見舞う。

「お休み…No.1」

 

「ジャパンマフィア最大の資金源となっていたヘロイン密輸の黒幕・No.1を氷室たちは倒した。しかし、ジャパンマフィアの氷山の一角を崩したに過ぎない。

 ジャパンマフィアの巨大な組織は、依然として、氷室以下マッドポリスたちの前に立ちはだかっている」

着実にJMの要人を潰していくMP。

しかし今回のように、何度も罠に嵌められていてはそう命も保たないと思われるので、油断は禁物だ!

「戦いは、これからなのだ」

 

 

氷室をキャップに据えた新生マッドポリスの活躍が描かれた第2話。

氷室の刑事時代の先輩が登場し、更にその先輩がJMの要人でありそれを乗り越えるという展開により、氷室の決意と、JMには容赦ないマッドポリスのスタンスが更に強調されたエピソードとなりました。

また、前回ではやや割りを食っていた芹沢と新田に活躍のシーンが用意され、松村・悠子のムーディー組との良い差別化が図られたのも良かった点。

坂本の正体バレの順番違いこそ気になりましたが、初回同様発砲!爆破!!が自重されてなくて楽しい話でした。

今後も楽しみに見ていきたいと思います。

 


次回

「ジャパンマフィアと政界との黒い癒着。その鍵を握る幹部が、マッドポリスの罠に落ちた

 

!?

 

 

↓動画リンク貼っておきます(2/24まで)

https://youtu.be/Zz7r0yD3GHs

全力のスタート

お世話様です。

 

今日は4月並の気温となって、過ごしやすくなってきました。

来週はまた気温が下がるらしいので、体調管理しっかりしていきましょう。

そんな今日はお待ちかねのこちらを。

 

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スーパー戦隊 MOVIEレンジャー 2021

本日公開、早速見て参りました。

以下、ネタバレを含めて感想を。

 

 

「魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE ビーバップ・ドリーム」

(監督:山口恭平 脚本:荒川稔久

 

あらすじ:

充瑠、為朝、宝路を含む多くの人間が悪夢に閉じ込められる事件が発生。

それはかつてオラディン王に倒されたヨドンヘイムの魔女ヌマージョの妹・ミンジョが、クリスタリアが崩壊した際に盗み出したドリームストーンを悪用し起こしていたものだった。

キラメイジャーはミンジョが支配する世界の"夢の主"を探すために、夢の中に飛び込む。

 

ポイント:

中盤のアレだけで-1000点

 

いや、ほんと、何故このタイミングであのネタを突っ込まなければいけなかったのか…。

確かに本編でも少し取り入れていたものではありますが、ある程度緊迫していた場面でガッツリやられると全く笑えなかったです。

 

気を取り直して、これまでのいわゆる"夏映画"に当たる作品がまさかの本編終了直前の時期に公開となり、あまり本編とのリンクは考えられてない(インタビューでも監督がそう言及)内容となりました。

いつもだったらVSシリーズに相当するタイミングなのですが、本作を含め個別の物語を展開することに徹底しており、尽く異例。

 

見どころは、ドリームストーンに貼られた呪いの札を雑に引っ剥がす瀬奈。

そしてそのドリームストーンですが、声優の緒方恵美さんが宝塚の男役をイメージして演じているらしく(パンフレットより)、低音で攻めてくる感じが個人的には東映版「遊☆戯☆王」を彷彿とさせ、闇の扉が開かれそうでドキドキが止まらなかったです。

それとアクションはもれなくキレが良く、スピーディかつダイナミックでこれぞ劇場版!という完成度で、非常に見応えがありました。

 

ストーリーとしては「キラメイジャー」らしくロジカルで真面目な展開でしたが、映像面でやや分かりにくい表現だったことと全体的に画面が暗かったのがどうにも取っ付きづらく、プラスポイントがほとんど無かった残念な作品といった印象。

予定通り公開された場合に

「ゼロワンREAL×TIME」と同時上映だったら、一体どうなっていたんだろう…といういらぬ心配まで出てしまう作品でした。

 

 

「騎士竜戦隊リュウソウジャー 特別編 メモリー・オブ・ソウルメイツ」

(監督:坂本浩一 脚本:丸山真哉)

 

あらすじ:

リュウソウレッド・コウの兄弟子であるナダ。

ガイソーグの鎧の呪縛を振り切ったと思ったのも束の間、リュウソウジャーを守るために散っていった彼の知られざる物語を、コウは知ることになる。

 

ポイント:

例年通りいけば恐らくキラメイジャーとのVSシリーズが予定されていたと思われ、そのスケジュールの穴埋めのように製作されたと思われる本作(推測ばっかですいません)は、およそ15分程度の短編となりました。

まあ企画自体がおまけ程度のものであり、続編ではなくエピソードの間にあった出来事という形の作品なのであまりツッコむところではないのですが、15分でここまで脚本のクオリティを下げられるのかと、ある意味感心。

 

物語のテイとしては「コウがバンバに後から聞いた知られざる物語」という形になっているのですが、今回のストーリーでは概ねコウはナダ、バンバと行動を共にしており、「どこまで」がコウの知ってる話で、「どこから」が知らない話なのかあまりにも不明瞭。

まあ今回の描写を見るに、ガイソーグの力が失われていること(だから本編でもウデンに敗北してしまう)だと思われますが、情報共有がちゃんとしてないにも関わらず、他者の解釈を受け付けるような姿勢でない丸山P(今回は脚本も務めている)の悪い癖が出てしまったような気がします。

 

同じような場面で、本編でも設定が色々曖昧だってマイナソーの存在について今回もだいぶ特殊な個体が出現するのですが、コウたちがあまりにも超速理解でその個体の特徴を見極めるので、もはやミスリードなのでは?という疑問が生じ、どうしても本編に集中できず。

キャラの動向や逡巡に、視聴側がついていけないという「リュウソウジャー」クオリティは短編の劇場版でも相変わらずで鳥肌が立ちました。

 

尺とスケジュールの都合もありますが、新規着ぐるみ無しで変身もレッドのみ、本編最多演出を務めた坂本監督でありながら特にこれといった面白みも無く、期待はしていなかったのである意味予想通りではあったのですが、それでも少し物足りないレベル。

というものの、一年前の役者が当時のイメージそのままで再び集い、キャラクターの掛け合いには安定感があると思ったので、リュウソウジャー」の魅力はこういうところにあるのだなと改めて感じることができたのは良かった点。

できれば坂本監督演出のもとキラメイジャーとのVSが見たかったところですが、まあ仕方ない。

 

 

「機界戦隊ゼンカイジャー THE MOVIE 赤い戦い!オール戦隊大集会!!」

(監督:中澤祥次郎 脚本:香村純子)

 

あらすじ:

悪の王朝トジテンドに立ち向かうゼンカイジャー。

今日も戦いで勝利を収め、日常に戻った彼らの前に現れたのは、かつて違う世界の戦隊たちが倒したはずの悪の戦士たちであった。

 

ポイント:

昨年の「キラメイジャー episode ZERO」に続き、本編放送前の顔見せ映画である本作ですが、ゼンカイジャーのメンバー全員が揃い、変身シーンまで披露するなど去年と大きく変わり、一つの映画として成立している大変気合の入った作品。

待ちに待ったメインが中澤監督×香村脚本の戦隊ということで、細かい描写にも色々と見所が詰まっており、すごく楽しめました。

"ゼンカイジャーが一般市民から見たらどういうヒーローなのか"という点を見せてきたのは意図的な気もしますが果たして。

 

ストーリーとしては、ゼンカイジャーの前に歴代悪役を操るスーパー悪役ワルドが出現し一悶着といった内容。

歴代キャストとして「ゴーカイジャー」からバスコとサリー、「ルパパト」からザミーゴ、声の出演で「ニンニンジャー」の九右衛門、「ジュウオウジャー」のバングレイ。

余談ですが、バスコとザミーゴは中澤監督×香村脚本が初登場のキャラクターであり、バスコ演じる細貝さんも今回のことは喜んでいたそうです。

 

5人は捕まり、まとめて鉄鎖で縛り付けられながらも、悪を許さない介人の特攻で変身アイテム・ギアトリンガーを取り戻し、更に過去両親から授かり財布に保管していたレッドギアを起動し、オールレッド召喚!

10年前のレジェンド大戦レベルではないものの(演出した中澤監督本人も、あれは正気の沙汰ではないと振り返っている)「ゴーカイジャー」以降のレッドが増えてることもあり迫力は十分。

残念ながらその後レッドたちの活躍はほとんど見られませんでしたが、ゼンカイジャーの活躍を存分に見ることができ、取捨選択としては妥当だったかなと思います。

 

最後、アカレンジャー・海城剛のみ変身解除してゼンカイジャーにエール。

映画のタイトルといい「ゴレンジャー」回はここで消化といったところでしょうか(必ずしも「ゴーカイジャー」や「ジオウ」と同じような客演ペースというワケではありませんが)。

基本的にゼンカイジャーが悪の集団に絡まれて、全レッド召喚してドンパチを見せるという流れですが、その中でも正義・悪双方のキャラの掘り下げを進めており、ただの設定の垂れ流しにならなかったのは見事でした。

 

それと個人的に面白かったのは、主人公・五色田介人(白)とキカイノイドのリーダー・ジュラン(赤)がコンビみたいに描かれていたこと。

今回の映画が「赤い戦い」ですし、赤であるジュランが主人公と絡めて出番が多かっただけかもしれませんが、レッドが重要視されるスーパー戦隊シリーズにおいてレッド枠のジュランの扱いが他のメンバーと一緒になるとは思えないので、本編の縦軸においても重要になってくるかもしれません。

 

他に細かい点を挙げると

・連射スピードが早く、殺意高めのギアトリンガー

・自らダイナマイトボールになり、仲間にトスさせ敵にぶつかるゼンカイザー

・原作通りに性格の悪いバスコとザミーゴ

・闇のヤイバ、ビッグフットの筋グゴン、未だに現役…

・胸から火炎放射するゼンカイジュラン

・悪の親玉の塊であるワルドに、物怖じせず立ち向かうゼンカイジャー

などなど面白いシーンが多く、今回の映画3本の中で一番面白かったです。

 

最後、主題歌が流れるのも嬉しく(去年はインストのみでした)、来月からの放送がとても楽しみです。

しかしこれで映画が終わってしまうため、「MOVIEレンジャー」としては少々寂しかったのはここだけの話。

 

 

以上、「スーパー戦隊MOVIEレンジャー2021」の感想でした。

 

ちなみにキラメイジャーの劇場限定アクリルキーホルダーを3つ買ったのですが、内訳はシルバー、時雨、ピンクでした。

本当にありがとうございます。

2人の力合わせ、その先へ進め

ウルトラマンZ』

 まとめ感想

 

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もう2ヶ月近く前になりますが、昨年12月に華々しく最終回を迎えた『ウルトラマンZ』。

初めて全話感想を書いた作品として、まとめ記事を書こう書こうと思っていたらこんな時期になってしまいました。

遅ればせながら、思ったことをつらつらと述べていきたいと思います。

 

※あくまで個人の感想であり多分に偏見も含まれますので、ご覧になる際はそういった点もご了承ください。

 

 

 

まず本作の特徴ですが、各話記事でも何度か書いている通り「手堅さ」「足腰の強さ」が挙げられると思います。

メイン監督を務めた田口清隆監督がシリーズ構成に名を連ね、最終回から逆算して物語が組み立てられた本作をメインライターである吹原幸太氏が丁寧に描くことでストーリーにブレが少なく、また特空機の活躍や、怪獣を中心とした作劇が見せるべき要素をしっかりとプッシュできておりました。

前作『タイガ』において最も不評だった部分は、せっかく揃えた設定を上手く物語に取り入れることができず、スタッフがそれぞれ違う方向に暴走してしまった点にあると思うので、『Z』という作品はコレがイチオシ!という部分を明確にしていたのが基本的な点でありながら、本作が人気になりえた要素であると思います。

 

玩具面においてもコレクションアイテム"ウルトラメダル"を展開することで、『オーブ』『ジード』で好調であったと思われるフュージョン路線を展開できたことが大きかったです。

またそれに合わせて、若き戦士ゼットを"3分の1人前"の未熟者と設定したのも面白かったです。

終わってみれば3枚のメダルが補っていたゼットに、ハルキとベリアロクが加わり三位一体になることで一線級の戦士に変わるという構成だったことが分かるのですが、取っ掛かりの設定と玩具展開が一致してたのもスッキリしてて良かったです。

 

手堅さと安定感を武器としている本作ですが、いわゆる"ニュージェネレーションシリーズ"の総決算というような多くの要素が入ってるのも特徴です。

メインキャラであるヘビクラ隊長は『オーブ』に登場したジャグラスジャグラー本人であり、『ジード』の主人公・朝倉リクが現役ヒーローと同じ変身アイテムを使って新しい変身を行い、公的機関である防衛隊が『X』以来に登場する等々…

特にヘビクラ隊長の行動原理は以前の作品と密接にリンクしており、"過去作品の出来事が、現役作品の縦軸に大きく絡んでくる"という要素は長期シリーズらしい強みであると同時に、かなりの挑戦であったのでは。

 

次にキャラクターについてですが、それも非常に魅力的なメンバーが顔を揃えました。

その中でも特に好きなのは、もちろんナツカワハルキ

(色々なジャンルで)最近視聴していた作品において"主人公の弱々しさ"がどうしても目立つことが多かったのですが、本作の主人公ハルキは各回感想でもちょくちょく書いている通り、私が最も主人公に必要なものだと考える"突破力"を持っているキャラクターであると感じます。

リク君先輩の前で戦士の一人となる宣言をする姿や、M1号を元に戻すために真っ先に口を開く姿は、分かりやすくヒーローという存在を示しており、特に好きな場面。

 

他に挙げるのはどうも難しく、というのも全体的に好きなキャラは同じくらい好きなので、同立でヨウコ先輩、隊長、バコさんといったところ。

ユカさんは後半での動きは悪くなかったのですが、前半での無神経さと価値観がコロコロ変わる姿がどうも共感できず残念ながら…。

人外組だとゼットさんはポンコツキャラとしての描写自体は面白かったものの、メインストーリーに大きく絡んでこないのが惜しかったところ。

魔剣さんはキャラというよりはbotと化してしまってた印象がどうも拭えないのですが、ヨウコ先輩に上手く転がされてしまう姿が見られたりと、「ベリアルっぽいけどベリアルじゃない」描写は面白かったです。

 

 

エピソードごとのポイント・評価

※繰り返しになりますが、個人の感想になりますのでご了承ください。あくまで明確な基準というより印象評価になります。

 

評価:

◎すごく良かった

○良かった

ー普通

△微妙

✖️ダメ回

 

第1話「ご唱和ください、我の名を!」○

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

・変身レクチャー

・「ウルトラ難しいぜ」

 

第2話「戦士の心得」

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

・丁寧な説明

・闇の稽古

・変身までの経緯は雑

 

第3話「生中継!怪獣輸送大作戦」◎

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

・硬芯鉄拳弾とカブキアタック

・ベータスマッシュ登場

・プロレス戦闘

 

第4話「二号ロボ起動計画」△

(監督:辻本貴則 脚本:鈴木智

セレブロ活動開始

・特空機2号ウインダム起動

・光放つオオタコレクション

 

第5話「ファースト・ジャグリング」✖️

(監督:辻本貴則 脚本:中野貴雄

・ゼットランスアロー登場

ジャグラー暗躍開始

・プロフェッショナル

 

第6話「帰ってきた男!」

(監督:坂本浩一 脚本:林壮太郎

・筋肉の戦士リク君先輩

ジード、新しい姿

ポンコツAIギルバリス

 

第7話「陛下のメダル」

(監督:坂本浩一 脚本:林壮太郎

セレブロ、ベリアルメダル生成

・ゼットさん等身大アクション

・ゼロ師匠降臨

・リクからハルキ、主役の座は渡された

 

第8話「神秘の力」

(監督:坂本浩一 脚本:小林雄次

・ガンマフューチャー登場

・劇場版スプリーム

・坂本特有の脚技

 

第9話「未確認物質護送指令」

(監督:中川和博 特撮監督:尾上克郎 脚本:鈴木智

・ハルキ初ウインダム

・ライトニングジェネレード初使用

・キングジョー回収

 

第10話「宇宙海賊登場!」

(監督:中川和博 特撮監督:尾上克郎 脚本:中野貴雄

・強敵?バロッサ星人登場

・ゼットさん再び等身大戦闘

・基地侵入イベント

・バコさん影の殺し屋疑惑

・竜巻閃光斬

 

第11話「守るべきもの」

(監督:武居正能 脚本:吹原幸太)

・キングジョーストレイジカスタム発進

・ハルキの過去

・怪獣は倒していいのか

 

第12話「叫ぶ命」

(監督:武居正能 脚本:根元歳三

・キングジョー躍動

・きな臭い防衛軍

・ゼットほとんど活躍できず

 

第13話「メダルいただきます!」

(監督:内田直之 脚本:池田遼)

カネゴン中心の総集編

・意外といい動きを見せるユカ

・EDの小粋な演出

 

第14話「四次元狂騒曲」

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

セレブロジャグラー接近

・「マグロ…ご賞味ください」

・ハルキ、父との再会

 

第15話「戦士の使命」

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

・リク君先輩再登場

セレブロからメダルを奪うハルジャグ

・黄金の嵐、デルタライズクロー

 

第16話「獅子の声」

(監督:越知靖 脚本:小林雄次

・ユカ主役回

・ロケーションがめちゃくちゃ

・メダル合成メツボロス

 

第17話「ベリアロク」✖️

(監督:越知靖 脚本:中野貴雄

・面倒くさい魔剣さん

・バロッサ2代目

・目が血走るゼット

 

第18話「2020年の再挑戦」✖️

(監督:辻本貴則 脚本:継田淳

・ケムール人二度目の来訪

・何故か裸

・ハルキにも春が来た

 

第19話「最後の勇者」

(監督:辻本貴則 脚本:根元歳三

・ゼットの名付け親エース兄さん

ヤプールしつこい

・異次元の力

 

第20話「想い、その先に」

(監督:武居正能 脚本:小林雄次

・謎の組織登場

ストレイジ活躍

・バコさんバズーカ

 

第21話「D4」

(監督:武居正能 脚本:鈴木智

・マザーケルビム、デカイ

・次元を破壊する力D4

ストレイジ解散

 

第22話「それぞれの明日」

(監督:坂本浩一 脚本:林壮太郎

・バロッサ3代目

・ピエロバコさん

・等身大ゼット三度

パイロット岩田栄慶

・セブンガースペシャル波乗りクラッシュ

 

第23話「悪夢へのプレリュード」

(監督:坂本浩一 脚本:吹原幸太)

・ウルトロイドゼロ起動

・坂本監督、繋ぐ意識

・何故か帰宅する海獣コンビ

 

第24話「滅亡への遊戯」

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

・ついに牙を剥くセレブロ

・ウルトロイドゼロからデストルドスに

・無職愚連隊結成

 

第25話「遥かに輝く戦士たち」

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

・バコさんドリル

・初キングジョーを乗りこなすハルキ

・「ペダニウム粒子砲…」「レーザーショット、フル出力…」「「発射!!」」

ストレイジご唱和

・Z字ゼスティウム光線

 

演出本数は田口監督7本、辻本監督4本、坂本監督5本、中川監督(尾上監督)2本、武居監督4本、越監督2本、内田監督1本の全25本。

メインの田口監督を筆頭に特徴的な演出が多かった本作ですが、個人的には坂本監督と武居監督の回が大当たりでした。

いつも通り坂本監督はヒーローの活躍を見事に描いていたのですが、自身の演出だけにこだわらず作品を進める上での"繋ぐ意識"を見られたのが嬉しかったです。

武居監督は今までこれといったエピソードは無かったものの、ストレイジのメンバーを多く動員してその活躍を積極的に見せるのが田口監督と同じくらい上手だったのがプラスポイントでした。

逆に評価の悪いエピソードが多くなってしまったのは辻本監督と越監督の演出回となりましたが、脚本面での折り合いもあるので次回以降に期待したい。

 

脚本面では吹原幸太9本、鈴木智3本、中野貴雄3本、林壮太郎3本、小林雄次3本、根元歳三2本、池田遼1本、継田淳1本の全25本(敬称略)。

シリーズ構成に田口監督が加わり丁寧に組み立てていたからか、メインの吹原さん以外のライターは3本で4人並ぶという不思議な構成。

鈴木さんや根元さんのように無難に書き上げる方もいれば、中野さんや林さんのように特徴が出るのも面白かったところ。

特に林さんのセリフのセンスは、自分の好きな香村純子氏の脚本を彷彿とさせてすごく惹きつけられました。

「リク君先輩!俺が力を貸すって言ったじゃないっすか!!」

は本当に大好きなセリフ。

 

縦軸の要素としてはストレイジの活躍、それに伴う防衛軍の暴走とセレブロの暗躍、ジャグラーの目的の謎といった部分にあるかと思いますが、組み立てが丁寧だった割に最終回においてどうも消化不良気味だったのは気になるところ。

シリーズ通して最終回でテーマをまとめるのはあまり上手いという印象は無いので、要素がまだ生きていた分まだマシだと言えますが、改めてテーマがあちこちから栽培マンのごとく生えてきて自爆し出した前作は衝撃の内容だなと。

 

今のところ8年連続で新作を作り続けているという記録更新状態で、これからも栄光と試行錯誤の両面を抱えて続いていくであろうウルトラシリーズ

最近はどうにも"もがき"が目立ったシリーズの中で、本作はそれを突破する力強さを見せてくれました。

先細りにならず、新しい要素を加えながらも過去の要素で作品を活性化させていくことは前述した通り長期シリーズの強みと言えるので、これからも臆さずに続けてほしいです。

 

強引な結びとなりましたが、とりあえず本作があったことで次回作のハードルが上がると同時に、俄然楽しみが増える(今やってるクロニクルも何だかんだ楽しく見てる)ので、これからもシリーズに強い期待を持って接していきたいと思います。

本当に楽しい作品でした。

 

 

以上、遅くなった上に簡単になりましたが『ウルトラマンZ』まとめでした。

 

お付き合いいただき、ありがとうございました。

 

「この手が届く限り、皆の生命守るぜ!!」

 

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