うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

暴太郎戦隊ドンブラザーズ「おおもも、こもも」

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』

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ドン2話「おおもも、こもも」

(監督:田崎竜太 脚本:井上敏樹

前回の…ドンブラザーズは!…ではなく自称天才漫画家・鬼頭はるかの栄光と転落を振り返るところから始まる冒頭。

「訳の分からないうちに戦士ってやつになった私は、全てを失った……で、バイトを始めた」

と、妙に無表情な五色田介人がマスターを務める喫茶店・どんぶらでウェイトレスとして働くはるかのバイト先での諸々の態度含めて色々納得はいかないが、とりあえず地に足つけようとする逞しい姿勢を見せるのはストレスの少ない部分。

「で、申し訳ないが……私には金がない」

そんな喫茶店にやって来たマスターの趣味が見え隠れするメイド服のウェイトレスを顔を見ずにはるかだと見抜いた怪しい男はコーヒーを啜ってからカミングアウトし、お巡りさんこっちです。

「金には人々の欲望・悲しみ・怨念がこびりついている、不浄の物だ。だから持たない。

 …そこでだ、コーヒー代の代わりにどうだろう? 私が、俳句を詠むというのは」

社会的に見て明らかに不利な立場にいる男が流れるように取引を持ち出し、運良く五色田マスターが寛容だったことから涙を流しながら読んだ俳句で事なきを得た俳人は悠々とどんぶらを後にする。


「俺を信じろ。縁にも色々あるが、俺との縁は、超良縁だ!」

そんなことも露知らず、桃井タロウは本日も宅配便と共に縁を振りまいており、平凡で職場でも冴えない男認定されていながら、結婚生活3ヶ月で幸せを噛み締めているサラリーマン・雉野つよし(諸々の要素がすっごく不穏)、そして指名手配犯なのに普通にアパートに戻ってきて、張り込んでいたであろう刑事に追いかけられる自称無罪の男・犬塚翼と縁を結んだり結べなかったりしていた。

そんなタロウは、仕事仲間からバカ正直なのを良いことにお弁当のおかずをいつも献上させられていて、つよしの職場もそうでしたが一般人の当たりが嫌な方向で強めなのは現代において好き嫌いがかなり分かれそうで、井上脚本の手癖ともいえる部分ではありますが『ゼンカイジャー』との差別化という面もやはり強そうです。

「タロウ君はあたし、いくつだと思う?」

「68だ!」

空気を読めず、年齢の割に若いと言われる(実際若いとは思う)職場の母親的存在・さなえさんに実年齢を叩きつけるタロウは前回言及のあった「嘘をつかない」という部分にマイナスの含みも発生して、縁結びのアプローチも相まって善人の皮を被った狂人路線を貫くようです。


「もっと若くならなきゃ…もっと…!」

タロウに悪意の無い現実を叩きつけられたことでスイッチの入ったさなえさんに陰我を感じたホラー…ではなく鬼の気配が近づき若返りを果たしていた頃、バイト休憩中にスマホから檻男・陣のビデオメッセージを受け取ったはるかは15時に所定の場所に桃井タロウが現れることを写真付きで説明を受け、うん、なかなか親切設計。

しかしその場に現れたタロウは配達中で車を運転していたため、はるかに気付くことは無く全然親切じゃなかった…というか井上脚本

代わりにはるかは、その場所にタイミング良く現れた槍を持った様子のおかしい男を桃井タロウと判断し、追跡していたところを40代から20代くらいにさなえさんが若返る場面に出くわしてしまう。

「えーッ!?この人、変だ…」

桃井タロウ=変人に違いないという判断基準を持ってはいるものの、一応様子のおかしい人を見て「変だ…」と言えるはるかはギリギリ人間の心を保てていそうで安心しました(笑)

「ねぇ、誰だか分かる?」

「…さなえさん、お疲れ様!」

「私、いくつに見える?」

40代になった際に未だ実年齢を叩きつけてきたタロウに再々アタック(意味は若干異なります)を仕掛けるさなえだが、タロウの答えは変わらない。

「68!」

「……いくつに見える?」

「68、早く帰りなよ、さなえさん。まだ寒いんだし」

決して嘘をつかないためか、相手の嘘すら通用しないタロウは現実を叩きつけるだけでなく、さなえさんをその場に放置するというなかなかのドSっぷりを発揮し、ギリギリ人の心をキープしてるはるかがこの人に跪いてしまっていいのか、すごく心配になります。


「もっとだ…もっと……もっと若く!!」

若さへの渇望が頂点に達したさなえから出た電車のレールが若い女性を吸収し出し、ついにその姿は機関車のような烈車鬼(トッキュウジャーモチーフだから年齢絡みというエグい設定)に変貌してしまう。

「どうしよう、逃げたい…でも戦わなきゃ! 戦士だし…『初恋ヒーロー』の作者だし!!」

桃井タロウに会うつもりが、ヒトツ鬼との不慮の遭遇を果たし、立ちすくみながらも戦士として戦うことを決意するはるかには元々戦いに向かったワケではない(そもそも自分から戦いに向かったことは無かったのでした)という理由はありながらも、唐突さを隠しきれなかったのは残念。

「やめて! あなたは人間よ、元に戻って!」

アバターチェンジしたオニ黄が真っ先に取った行動が前回のよっぴー案件を受けてのことであることは手堅い仕事で、しかしそれも虚しく間髪入れずに駆けつけるメタリックブルーのバイク暴君。


烈車鬼を制止しながらバイク暴君を相手にし、キャパオーバーに陥ったオニ黄はその場に現れた桃井タロウ(人違い)に三度目のスライディング跪きを敢行し助けを乞うも、

「ウザい虫だ。どうする?ソノイ」

「好きにしろ、ソノザ」

槍男はバイク暴君のお仲間であり、それぞれソノイ、ソノザと名前が判明したところで四面楚歌となり窮地に陥ったオニ黄だったが、そこにキジ桃が飛んで駆けつけ、今のところ一番ヒーロースキルが高い気がするぞ雉野(笑)

「首輪も鎖も俺にはいらない。ましてや犬小屋など…うあー!!」

「犬!?」

「好きで犬やってんじゃねぇよ」

そして、クールなようで何だかノリの良さそうな子どもサイズのイヌブラザーが加勢し、先日黒ゼンカイザーが回収したリュウソウジャーギアを用いて何とリュウソウブラックにアバターチェンジ!

ついでキジ桃もリュウソウピンクにチェンジし、アバターという設定を活かしてか子どもサイズだったイヌ黒がしっかりと大人の体型に変わり、逆にキジ桃が女性の体型に変わるというのが面白いアイデア


「何なの?この人たち…」

様子のおかしい人が多すぎてもはや本当の桃井タロウと会っても偽物認定してしまうのでは…と不安を抱いたのかメンバーの見てないところでタロウはアバターチェンジし、またも天女を連れ神輿に乗ったバイクに跨り登場する赤タロウ。

前回あえて変身シーンを見せなかったと思われる赤タロウでしたが正直今回も見せる意味合いは薄く、せっかく初回て主人公の変身シーンをスキップするという変化球を投げ込んだのにも関わらず(販促の都合もあとは思われますが)どうも中途半端になってしまい、これなら第1話で変身シーンを見せた方が良かったなぁと思います。

「やーやーやー!祭だ祭だ!踊れ!歌え!!」

主人公補正を発揮した赤タロウはソノイ、ソノザ、烈車鬼3体を相手に華麗な剣捌きを見せ、

その立ち回りの中で唐突にアルターギアを起動して玩具サイズの赤タロウアルターアルターチェンジし、アバター空間を活かしてトリッキーな戦法を見せるソノイたちは急に我に返り、アバタージャンプで帰宅。

うーん…アルターの登場が唐突だっただけでなくソノイの撤退がまあまあ雑に処理されてしまい(ヒトツ鬼を無視する理由は今後語られるかもですが)、この数分は悪い時の井上脚本が続いてしまったなぁ…。


1体取り残された烈車鬼はアルターにチェンジしたことで幽体離脱状態になった赤タロウを背負う

オニ黄たちに襲いかかり、アルターから元に戻ってオニ黄の頸動脈を締め、烈車鬼(さなえ)に容赦なく回し蹴りを叩き込む赤タロウが果てしなく人の心を失っています。

「お供たち、必殺奥義だ!!」

ビィィッグ!ボンバー!!

ではなく、お供3人がハンドルを回すと持ち上がる台から七色の必殺斬撃を見舞う桃代無敵・アバター乱舞で烈車鬼をドン・ドン・ドンブラザーズ!!

初めてストーリー内で出た戦隊名が様子のおかしい男3人の決めセリフになってしまった!(笑)

倒されたヒトツ鬼は前回に引き続き巨大化して烈車鬼ングと化し、列車型の巨大な鬼にバイクで立ち向かう赤タロウがCGの出来も相まってなかなかの迫力。

まあすぐにジュランティラノを召喚して合体してしまうので、細かい点が雑になってしまうのですが(前回と違い黒カイザーではなく赤タロウが呼んだら来た)。

必殺のドン・ゼンカイクラッシュで烈車鬼ングを撃退したことでトッキュウジャーのアバタロウギアは黒カイザーによって回収され、吸収されていた若い女性とさなえも元通りに戻っていた…ってさなえにジャケットかけて最初から知ってたみたいな態度で最後は優しさを見せたみたいになってますが、鬼から解放するために放置したり回し蹴り叩き込んだり「ドン・ドン・ドンブラザーズ!!」してたのタロウ!?

人の心とは、一体何なのか。


「ねぇタロウ君、私、いくつに見える?」

「68、でも、生き生きとしている。幸せな68に見える」

若く見られることを嬉しく思いながら、お世辞を言われることにどこか二律背反として存在していたさなえにとってその一言はいっそ清々しく、現代らしい"肯定"のアプローチがありながら、現実の人間関係における"気遣い"に疑問を投げかけるという挑戦的な部分も本作は目立ち、この点でも好き嫌いはハッキリしそうです。

「ひょっとして、あいつが桃井タロウ……なんか、嫌だ…」

バイト中に頸動脈ホールドを思い出したはるかは跪くべきドンの存在を薄々と認識し出し、アバタロウギアを手元でこねくり回す五色田マスターが黒カイザーであることを示し、何故黒カイザーの回収したギアをドンブラザーズの全員が扱えるのかなど多くの謎を残しながら、未だ素顔で会うことのない戦士たちはそれぞれの日常を過ごしていたところで、つづく。

 

 

星獣戦隊ギンガマン』以来、実に24年ぶりに《戦隊》シリーズのパイロットを担当することになった田崎監督演出で、多くの情報量を秘めていながらそつなく映像として一定の盛り上がりを見せ、《平成ライダー》で磨かれたパイロット職人として確かな技術は令和の世においても健在です。

一方で未だ5人揃わないどころかメンバーの顔すら把握できてない、中途半端になった赤の初変身、目的と手段が不明瞭なソノイたちと作風を示すパイロット版でありながらカタルシスの欠如が顕著で、掴みの部分が良くも悪くも独特なのは吉と出るか、凶と出るかといったところ。

ガジェット的な面でいうと、特にアバタロウギアの扱いは『ゼンカイジャー』以上に雑になってしまいそうな不安がありますが、アバターであることを活かして姿形が変わる設定は面白いと思うので、使用回数が多くなると嬉しいです。

そしてすごく気になる点として、指名手配されながら普通にアパート住みで宅配便を受け取ろうとし、「俺は無実だ!」アバター逃走を決め、なおかつ戦闘にはノリノリで参戦し「ドン・ドン・ドンブラザーズ!!」と叫んでしまう犬塚さんに大変ときめいてしまって、今後も楽しみにしております(笑)

 

 

そんなこんなで次回、俳人(本作で一番顔が好み)参戦で五つの力!

ウルトラマントリガー「笑顔を信じるものたちへ」

ウルトラマントリガー』

第25話「笑顔を信じるものたちへ〜PULL THE TRIGGER〜」

(監督:坂本浩一 脚本:ハヤシナオキ)

 

おいおいおいおい

どうしてこうなった。

 


前回から引っ張ったテーマを何一つ完遂することなく、唐突に差し込まれた"光と闇の融合"と過去作要素にひたすら困惑させられ続ける悪魔のような最終回。


冒頭、前回の勢いそのままにメガロ大先輩Ⅱに立ち向かうWトリガーがGUTS-SELECTの支援あってもあっさり敗北してしまい、それ自体は良いのですが、変身解除に追い込まれたケンゴがつい先程までナースデッセイにいたアキトとユナのシャトルに回収され一時帰宅するという正気を疑う描写が差し込まれ、前回の最後でGUTS-SELECTが示した覚悟を早々に台無しにするという、もうキャラクターの動向が雑とかそんなレベルでは治らない大失策。

RPGに例えればセーブ不能の魔王城に突入してラスボスに挑むが歯が立たないことに戦闘中気付いたため、戦闘から逃げ出して脱出呪文で城下町に避難してるようなものであり、かつてここまでインスタントに臨める最終決戦があったものでしょうか。


「コアの力に直接触れて分かったんだ。カルミラの暴走を止めるには、彼女の持つ力と同等の力…エタニティコアの、光と闇の力で中和させるしかない」

大先輩との戦闘中、暴走したエタニティコアの力をお借りしたケンゴが唐突に「コアの意志」みたいなものを聞いたと告げるのですが、布石がほとんど仕込まれていなかったコアの中から最終決戦における命題が示されてしまい、作劇の粗によって定義付けを放棄され、何故この世界に存在しているかも不明な超パワーが物語の鍵を握るという本作の真骨頂とも呼べるダメ展開。

更にその結論が元々トリガーの物であったイグニスの持つトリダーの闇の力をケンゴに返せば、光と闇の力を使い戦えるというもので、う、う、受け渡し可能な闇って何?

本作において"光と闇"は概念的なものではなく、トレーディングカードのような携帯性を秘めた物質となってしまい、その媒体となったハイパーキーは扱いの不明瞭さも相まって実に中途半端な描かれ方をなされることに。

これは序盤から感じていたことなのですが、超古代から存在した力を現代の技術で引き出すというアイデアは面白かった一方、石版から力を取り出す(パワー、スカイ)、別世界のウルトラマンの力を再現する(ゼット)、本人が直接力を注ぎ込む(リブット、イグニス)、無から生えてくる(トリニティ)など悪い意味で自由度が高いため、制作側でもあまり取り決めが無かったのではと勘繰ってしまいます。

終盤においては都合の良い箇所だけ抽出されてしまったようでキー=鍵という名を冠していながら、物語の鍵になり得なかったのは非常に残念でした。

おまけに第22話のトリニティキー譲渡を引き合いに出して受け渡しに説得力を持たせようとするのですが、本作特有の中途半端に地に足を付けようとする作劇が目立ち、物語の大元をしっかり描き出さない中でその場その場の理屈を押し付け、そんな行為は薄い氷の上にベニヤ板だけ打ち付けて足場を作りましたと言っていることに等しいワケで、本当に物語に対する目線が明後日の方向に吹き飛びすぎてます。


「今は3000万年前とは違います! ユナには俺たちGUTS-SELECTがいます。絶対に運命は変えられます!!」

主人公と化したアキトの熱い宣言が決まり、ユナがエタニティコアにアクセスして集めた力をナースデッセイに集め、光と闇のトリガーの力に変えてメガロ大先輩Ⅱに打ち込む作戦に挑むGUTS-SELECT……多分、テッシン隊員は作戦の半分も理解してないでノリで決めてる。

そしてこんな状況においても「…賛成」という全然面白くないセリフしか与えられないヒマリ隊員が実に不遇で、ここ数話のヒマリの扱いの悪さはもはや訴訟を起こされてもおかしくないレベル。

更に作戦開始に際して、街の被害を食い止めるために海上への移動を促すのですが、中に乗ってるケンゴに釣られてか移動するナースデッセイにノコノコ付いていくメガロ大先輩Ⅱの姿が目を覆いたくなる間抜けっぷりで、移動するだけで大先輩を誘導できるなら最初から海上をウロウロしていれば良かったのでは?という疑問も発生してしまい、脚本も演出も本当に肝心なところで詰めが甘い。


イグニスからトリダーの力を受け取ったケンゴは新たに生まれたキーをブートアップ!

光と闇を纏った真の姿・トリガートゥルースとなってメガロ大先輩Ⅱとの最終決戦に挑み、

やってしまった、

(しかも浅瀬)での戦い。

そしてそんなトリガーの苦戦する姿を中継で見つめ、最終的には声援を送る一般の子どもたちによって力を供給するトリガー。

海上への移動で分かってはいましたが、中途半端な『ティガ』の再現をここに来て選択していしまい、"光と闇"の定義が不満でただでさえ足を引っ張る流れだったところに、トドメと言わんばかりに過去作要素がぶち込まれてしまい、完全に、作品のアイデンティティーを失ってしまいました。

海上移動の必要性の薄さ、劇中に欠如していた(というか皆無だった)一般人からの目線、声援が明確にウルトラマンを支える力になる等々ノイズになる事項が怒涛の勢いで押し寄せ、作品が積み重ねてきた要素をあっさりと押し流してしまい、「本作は『トリガー』なのか、『ティガ』なのか」という問いに対し答えを用意できずに最後は『ティガ』再現で誤魔化すといった手法で『ウルトラマントリガー』としての特徴を最終回において消失させることになってしまい、一体何を考えたらこんな酷いことが出来るのでしょうか。

「は、入ってきやがったぁ!?」

「闇がダーゴンの姿に?」

「こっちはヒュドラムだ!」

強いてあげるとしたら映像で見れば分かるのに、ご丁寧に状況を説明する緊張感の無いセリフ群が本作の特徴ですかね。


「何故、あたしを…闇を拒絶する…?」

「違うよ、カルミラ。僕は、光であり人である…そして闇でもあるんだ。だから、闇を拒絶なんかしない!」

GUTS-SELECTの面々が薄気味悪いスマイル教に目覚め、その支援によりメガロ大先輩Ⅱをタイマーフラッシュで爆殺したケンゴは泣き言をのたまうカルミラに寄り添い、うーん…カルミラに「拒絶」という単語を言わせるのなら、以前話した宇宙を闇の一族だけに塗り替えるという目的を概念的な"闇"と掛け合わせて掘り下げられる鉱脈はいくらでもあったと思われるのですが、ケンゴの考える闇は概念やメンタル的なものでなく、単純に「闇属性を持ったパワー」程度のものでしかないと解釈できず、セリフだけで色々説明していながら明らかに情報が不足していて、それをノリと勢いで誤魔化す本作の構造は極めて歪だと判断せざるを得ません。

色々めんどくさくなったのか、光を浴びたカルミラさんは満足して消失し、それを看取ったケンゴはナースデッセイに帰還。


しかし喜びも束の間、エタニティコアの暴走は止まっておらず、それを鎮めるためにコアに直接触れたケンゴはコアの中心に飛び込むことを決めていた。

「嫌だ…嫌だ嫌だ! 誰が笑顔で見送ってやるもんか! 笑顔になってほしいなら、一日でも早く帰ってこい…」

皆が皆つまらないリアクションをする中で、率先して主人公力とヒロイン力を発揮するアキトが今回の救いでしたが、仲間たちとついに花開いたルルイエ(一応前回、会長が目を向けて存在をアピールするも、例の如く物語に一切関係しない)に見送られ、コアに飛び込んだケンゴはコアと同化し…これは………

「ロボタック海に死す」。

 

メタルヒーロー》シリーズ17作目

テツワン探偵ロボタック

第45話「ロボタック海に死す」

(監督:ヒデ・I 脚本:山田隆司

主人公の犬型ロボット・ロボタックが天変地異を鎮めるため、仲間たちに白々しく見送られながら海に飛び込むという衝撃の最終回。

前作『Z』も最終回にて『ブルースワット』エンドを果たしましたが、《ニュージェネ》シリーズは《メタルヒーロー》シリーズと浅からぬ因縁があるのでしょうか…。

 

ついに迎えた最終回ですが、既に書いている通り救いようの無い事故っぷりでした。

変に理由付けしようとして肝心なところは見て見ぬフリをする設定、中途半端な『ティガ』リスペクト、雑といった表現すら相応しくないレベルでの演出の間抜けさ、どれを取っても褒められるポイントがほとんど無く、おまけに前回運命を乗り越えることを選んだユナの前で、自己犠牲を選ぶケンゴの姿が描かれ、否定したものを改めて肯定するにしてもあまりにも段取りが悪く、最後の悲壮な決断にも心を乗せることは出来ませんでした。

それはそれとして、唐突な"光と闇の同化"には現実社会における多様性への理解という側面もありそうですが、そういった部分を描写するにしても"光と闇"双方の掘り下げが本編で全く進められることはなく、「巷で流行ってるから取り入れてみようぜ」という感覚から来る上辺だけをなぞった多様性になってしまっており、中途半端な理解は逆に対立を生んでしまうのではないかと一抹の不安すら感じさせます。


本作の歪な構造についてもっと深掘りしていきたいとは思いますが、長くなると思うので『エピソードZ』公開前にTVシリーズのまとめ感想を軽く書いていこうと思います。

不満が先行した感想ばかりになってしまいましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございます。

 


以上、『ウルトラマントリガー』でした。

ウルトラマントリガー「闇の支配者」

ウルトラマントリガー』

第24話「闇の支配者」

(監督:坂本浩一 脚本:ハヤシナオキ)

見どころは、火星で流れてるニュース番組にて、

「3日前、突如現れた異形の生物により、

地球に闇が広がっています

というトンデモ原稿(笑)


「ハッハッハ!皆あたしに平伏しなッ!!」

昭和のコントの絵面なのが一層おぞましいメガロゾーア大先輩から噴き出る闇にナースデッセイはまともに身動き出来ず、もはや用済みで始末されかけたユナを助けに地上へ降下するラーメンの使徒たち。

「これが、エタニティコアに触れた闇の姿…?」

エタニティの力を得ていつも以上に情緒の安定しないメガロ大先輩はマルチトリガー出現に興奮し、吹っ飛ばされつつもスカイアローを使って反撃するトリガーのアクションはカッコ良かったです。


大先輩のみでなく、闇の力に触れられたことでエタニティコアも暴走しており、地球はおろか全宇宙さえ消し飛ぶ程のエネルギーが放出されそうになっていた。

「あたしの望みはトリガー!トリガーのみ!! 宇宙が消滅しようと…関係ないねぇ!!!」

生まれた時から聞く耳を持たない大先輩にそんな事情は通用せず、今日もあっさりピンチになるトリガーを守るべくユナは祭壇に立ち、かつてのユザレと同じように指輪をかざしてユザレ遺伝子の解放を試みる!

「そうか…あなたも怖かったんだ……でも、守りたいものがあったんだよね? …私も守る! 皆の、笑顔を!!」

恐るべし、邪悪遺伝子の思し召し。

自らの命を賭してケンゴを、地球を守ろうとするユナであったが、天に掲げたその手を引き戻したのはアキト!!

「どうして止めるの!? これはユザレの末裔としての!巫女としての私の…」

「それがどうした! ユザレと同じ結末を迎える必要なんてない!! ユナはユザレじゃない! ユナはユナだッ!!!」

 

おおおおおおおおおお!!

アキトォォォォォォォォォ!!!

最終盤に来て主人公の立場を強奪してしまわんばかりのセリフが見事に決まりました!

 

『トリガー』世界におけるユザレ関係の肉付けは不足してる割に、ユナの巫女としての葛藤は比較的描かれてきたとは思いますが第15話で運命を受け入れることを選んだユナに、「そこまで背負う必要は無いんだよ」と気遣ってくれる存在が最終回一歩手前でやっと出てきてくれました。

これまで守る守るを連呼しながら具体的な方策を考えてこなかったケンゴとアキト(及びGUTS-SELECT)には多少の不満はあるものの、独りよがりに陥りがちな人物の動向を真正面から殴りにかかる展開を見られて気持ち良かったです。

まあ一番の問題は、この程度のセリフが入っただけで感動を覚えてしまうくらい本作のアベレージが低い点にあるのですが(^^;;


「ユナは間違ってる! 皆の笑顔には、ユナの笑顔も必要なんだ!!」

主人公力の低下に焦ったケンゴはトリニティ発動でまたも二刀流を披露し、更に地球で見つけた"ゴクジョー"であるユナを守るためにイグニストリダーも乱入して一気に逆転ムードに。

頼れる二番手ウルトラマンとして活躍するトリダーは素直にカッコいいと思うので、やはり第22話の出来の悪さが……あ、いや…何のことか思い出せないな(棒読み)。

ラーメントリガーズはWゼペリオン光線によってメガロゾーアとの光線撃ち合いを制し、大先輩、ば、爆死?

…なんてことは無く、メガロゾーアから発生する闇は留まるところを知らず、ラーメンズは変身解除して撤退し(イグニスの謎ワープ技が炸裂)、ケンゴたちを乗せたナースデッセイもテッシンのど根性で何とか闇空域を離脱することに成功する。


その後、邪悪会長の命令によりTPU本部に帰還したGUTS-SELECTは会長から地球に起きてる異変を知り、3日間目を覚まさないケンゴを介抱しているという名目でユナが手を握っているのですが、邪悪遺伝子がケンゴの細胞の活性化を阻害してる可能性も否定できません。

もしくは邪悪遺伝子を3日間かけて浸透させることで、新たな悟りに導こうとしてる可能性も…あ、この辺でやめておきます。

「ケンゴ…世界の皆から、笑顔が消えちゃった…」

「ユナ……スマイルスマイル」

眠っていて返事できないはずのケンゴの声をユナは何故か耳にし、力が有り余ったのか火星にいる母の前にも精神体として現れるケンゴ。

恐るべし、邪悪遺伝子の思し召し。

「こんな僕を見ても、あんまり驚かないんだね…」

「ハハッ…あなたの母親だもの。あなたのラーメンの好みなら、何でも知ってるわ」

じゃなかった「あなたのことなら、何でも知ってるわ」

ケンゴ母は3000万年の時を超えて転生したケンゴを遺跡で拾い上げ、その瞬間にトリガーが元ヤンだった時代のあらゆる記憶を目の当たりにしており、21年前に神秘体験を得ていた。

そんな母の後押しを受けケンゴの心は身体へと帰っていき、長い眠りから目を覚ましたかと思ったら突如鳴り響くサイレン!


「見つけたよ! マナカケンゴ!!」

恐らくケンゴが目覚めるまでスタンばっていたメガロ大先輩が、ナースデッセイが格納されているTPU本部をターゲットに活動再開。

更に休暇中に力を溜め込んでいたのか、その姿は人とも怪獣ともつかないものと変貌しており、メガロゾーアは第二形態となりケンゴに迫る!

「何であいつはお前を狙ってるんだ!?」

テッシン隊員の詰め寄りに、とうとう隠しきれなくなったケンゴを見兼ねて隊長が徐にケンゴの肩に手を置き、強く語りかける。

「我々はGUTS-SELECTの仲間だ。お前がどんな秘密を抱えていようとも、何も変わらない…!」

母の、そして隊長の後押しにより自分がトリガーであることをGUTS-SELECTの前でカミングアウトするシリーズお決まりの身バレシーンなのですが、この場にいる半分以上の人が正体を知っている(または勘付いている)ので、ここでカミングアウトを持ってきても意外性も無ければ盛り上がりも一切ありません。

おまけに本作は似たような存在であるユナ=ユザレを同じメンバーの前で公言というイベントを先に消化してしまっているため、ケンゴがトリガーであることを隠す必要性が限りなく薄く、シリーズの約束事をストーリーのピークに持ってこようとした結果、色々と無理の生じたシーンになってしまいました。

この世界における"ユザレとは何か?"をきっちりと定義しているという前提のもと、何かしら理由付けをしていれば回避できた落とし穴だったと思うのですが、本作は見えてる落とし穴に自分から竹槍をセットした挙句、いきなり頭からダイブして勝手に串刺しになってるみたいな作劇が本当に多い。


「この地球には、私の大切な娘がいる。大切な仲間たちがいる…今はここが、私の故郷だ」

「なるほどね……確かにこの地球はゴクジョーだ! カルミラに渡すわけにはいかねぇな」

ケンゴに協力を求められたイグニスは出身がこの世界でない会長に世界を守る理由を問い(故郷というワードは監督の好きな『ウルトラマンレオ』リスペクトでしょうか)、卵が先か鶏が先かみたいな返答をいただいたところで決意を固める。

「GUTS-SELECTの総力を以て、メガロゾーアを迎え撃つ! 皆、覚悟は出来てるな!?」

ラジャー!!!!!

出自を超え、立場を超え、星を超え、次元を超えて…あらゆる想いを載せた筋肉戦艦ナースデッセイ号に集いしラーメンと筋肉の使徒は戦地へと赴き、2人のトリガーがメガロゾーアに飛び込んでいったところで、次回、最終回!!!

 

 

エタニティコアの不明瞭さ、ケンゴの正体を隠していた意味、ユザレの定義不足、特に意外性の感じられない会長の戦う理由など、気になる部分は多くあったものの、「ユザレと同じ結末を迎える必要なんてない!!」のアキトが役者の熱演もあって本作における最高のクライマックスになったので、それだけで満足してしまいました(笑)

ラーメンと筋肉の使徒が辿り着くゴールはどこにあるのか、「新時代の『ティガ』」が最終回で何を描いてくるのか、見届けていきたいと思います。

ウルトラマントリガー「マイフレンド」

ウルトラマントリガー』

第23話「マイフレンド」

(監督:坂本浩一 脚本:ハヤシナオキ)

「闇の力が、増幅している!?もしや…ヒュドラムの闇を吸収したのか!!」

GUTS-SELECT全員のアリバイ作りのために撮影した記念写真をアキトがにやにや見つめていたところに、カルミラ大先輩の呪術で操られたダーゴンが出現し街を破壊し始める!

「こいつはすげぇ!闇パワーが増大してやがる!」

マルゥル隊員の全くワケの分からない解説が差し込まれる中ファルコンが出撃し、地上に向かったケンゴは変身してダーゴンを止めにかかるも、光と闇の筋肉対決第3ラウンドに敗北し、トリガーの倒れた衝撃で天高く吹っ飛ばされる地上のユナ(笑)

だったが、ヒロイン力判定をミスったダーゴンはユナを受け止め、突如正気へと戻る。


「ユナ、我はお前に…人間に惹かれているのだ!」

内ゲバの激しい闇の一族として女王様の鞭に叩かれるより、強い絆を持つ人間の少女にビンタされる毎日の方が幸せだと気付いたダーゴンは大先輩を見限り、ここぞとばかりにYou,ラーメンの使徒になっちゃいなよ☆と勧誘するケンゴであったが、ただでは首を縦に振らなかった。

「その前に、悔いの無いよう、3000万年前からのケジメを付けさせてほしい!」

ダーゴンは夕闇が迫る中、決闘の時を待ち、そこに現れるトリガー。

「決着を着けるぞ!いざ、尋常に…勝負!!」

ダーゴンの思いを汲み、いきなりトリニティにブートアップ!し本気の勝負に挑むトリガーだったが、その時を待っていたかの如く大先輩は再び呪術発動でダーゴンを洗脳し、決闘の願いすら踏み躙ってしまう。

…てかダーゴン喋りすぎです。

冒頭のセリフだったり、「最後の願いすら踏み躙るのか!」だったり、親切に自身の状況を視聴者に解説するのはいかがなものか。

脚本から滲み出ている演出とキャラ描写への信頼の無さは、本作の致命的な弱点であるなぁと改めて。


大先輩の闇のパワーも加わった闇マシマシダーゴンはトリニティを圧倒する筋肉を身につけており、今日も今日とてあっさり吹き飛ばされて画面から消えるグリッタートリガーエタニティ。

そして艦内待機命令はどうなったのか、悠長に地上で観戦していたユナに迫る、本日2度目の生命の危機。

冒頭の回想シーンでわざわざユナ=ユザレがエタニティコアに繋がる鍵であることに言及してるのにも関わらず、アキトは自分だけナースデッセイに帰還してて案の定ユナのピンチにすぐ駆けつけられないのが本当に知能の低い展開で、全く物語に集中できません。

ピンチの状況を作り出すにしても、自ら設定したシチュエーションに矛盾が発生してるようでは本末転倒です。

「トリガー!そして、強き人間たちよ!我を…カルミラに操られた我を止めるのだぁ!! 我が誇りのために…! 本当の強さを教えてくれたユナを、我が剛力で傷つけないためにぃ!!」

ユナに迫りながらも僅かに残った正気で自身の動きを止めていたダーゴンだったが、ついにその心と身体はカルミラの呪術に覆い尽くされ問答無用の筋肉バトルマシーンと化してしまう。

「……お前も、ユナを守りたいんだな」

脳は筋肉、筋肉は脳、立場を超え繋がった光と闇の筋肉マシマシラーメンズは、今ここに解散の契りを交わす。


「俺に、あいつとの決着を着けさせてください!!」

ナースデッセイがバトルモードを起動し、リブットキーを取り出したアキトは自らマキシマナースキャノン発射を志願。

隊長が何かを感じ取って備え付けの発射口を託すのですが、GUTS-SELECTからしたらダーゴンとアキトの関係は全くといって触れてきてないものであり何の積み重ねも見当たらないので、ノリと勢いだけで任せてしまった感がすごく残念。

ノリと勢いで判断する、というキャラ付け自体は別にいいのですが、これまで割と常識人・まとも寄りな描写がなされてきた隊長に求められるムーヴではなく、積み重ねるべきロジックと、ある程度の理屈はスキップしてもいいというパッションのバランスを測り損ねているようにしか見えません。


「俺もお前と同じだ…ユナを守る!!」

うーーーーーん、「俺と同じだ」という前振りから出てくるのがそんなつまらないセリフでいいのかアキト。

闇の一族に生まれながら人間の強さに惹かれたダーゴン、人間として光になることを求めながらその想いが打ち砕かれ闇を覗かせたアキト…上手く対比させられていれば、物語としてもう一跳ね出来たと思われるのですが。

2人の繋がりがユナを介したものから一切発展することはなく、「ユナを守る」という動機以外に心の共鳴を見出すことができなかった(それを描けてこそ、物語は"劇的"になるワケであって)のは話の流れこそ無難ではありましたが、終盤の盛り上がりを大きく欠いてしまった印象を受けます。

邪魔に入ってきたカルミラ大先輩にかかりっきりのトリガーはまったくの役立たずとなり、リブットキーをブートアップ!したナースデッセイのマキシマギャラクシウム(まさかの体当たり)がダーゴンを貫き、「マイフレンドォォォ!!!」というもはやギャグとしても笑えない断末魔で粉々に砕け散る筋肉巨人。

「何が…"マイフレンド"だ……ウザいんだよ…」


その頃トリニティを完膚なきまでに叩きのめし、ダーゴンの闇を吸収してますます強力になった大先輩は地上をうろついていたユナに迫る!

「あんなに手こずったユザレを、こうも容易く捕獲できるとは…ダーゴンも役に立ったねぇ!」

 

……ひっっっどいセリフ(笑)

 

大先輩、感謝を述べるならダーゴンではなく、本作の脚本家だと思います。

はぁはぁ…これだからやめられねぇ…と大先輩の鞭に打ちのめされ地面を舐めるケンゴの前でユナは連れ去られてしまい、翌日の朝、カルミラはユザレの祭壇にユナを捧げ、3000万年越しに再びエタニティコアへとアクセス!

「ハハッ!アハハハハ……これが、エタニティコアの力…!!この力さえあれば…あたしは神にもなれるッ!!!」

強大なエタニティの力に触れたカルミラの身体は醜く膨れ上がり、大地を裂き巨大な獣の姿となり地上に君臨する。

もはや巨"人"の形すら留めない変化を嬉々として受け入れるのはおぞましく出来上がってて良かったシーン。

「これが、世界を暗黒で覆い尽くす、闇の支配者…?」

「……カルミラ…」

邪神・メガロゾーアが高笑いを上げて、つづく!

 

 

闇の3巨人の中では最も好感度の高かったと思われるダーゴン退場回、最終盤に入りメインの坂本監督とハヤシ脚本がギアを入れてきたといった流れを感じます。

しかし待機命令を忘れ何故か決闘を地上から見学し最終的に大先輩に誘拐されるユナ、カラータイマーが鳴る暇も無くあっさり敗北し消滅するトリニティ、気絶してるユナの手を念力で動かして指輪パワーを解放する大先輩等々、雑な状況設定と、話の流れを重視するためにキャラクターの知能と身体スペックを下げてしまうご都合主義が悪目立ち。

ユナを攫った後に夕方から日中に変わってる描写も謎で、時系列の整理すらまともに出来ていないのか心配になってきます(遺跡が他国にあって時差が生じてる可能性もありますが)。

 

ストーリー面でも人間の強さを認めた敵側の武人キャラが、散り際に強敵を友と認めるというプロット自体は王道で悪くは無かったのですが、前述のアキトとダーゴンの関係性が劇的に変化することはなく、横からの肉付けに失敗していることで何とも気分の乗らない幕引きにダーゴンは晒されることになりました。

またダーゴンのトドメに使ったのが、本作の外的要因の代表でもあるリブットのハイパーキーであり、2話連続でメインキャラの退場に外様の力を使ってしまったことが、本作の魅力を大きく削いでしまってるように感じます。

予想を裏切り、オーソドックスな怪獣スタイルで登場したメガロゾーアはカルミラの変貌も含めて面白かったので、この辺りがまた良い方向に転がると良いのですが果たして。

 

 

次回、スマイルスマイル!!(キレ気味)

ウルトラマントリガー「ラストゲーム」

ウルトラマントリガー』

第22話「ラストゲーム

(監督:辻本貴則 脚本:足木淳一郎)

 


\ピンポンパンポーン♪/

 

 

 

このブログをお読みの方にお知らせします。

 

ウルトラマントリガー』第22話の感想について、いつも以上に激しい内容になることが予想されます。

 


ご不快になられる方が多いと思われるので、それでも読んでみたいという方は引き続き、うらひろの『トリガー』感想をお楽しみくださいませ。

 


以上、お知らせでした。

 

 

 

\ポンパンポンピーン♪/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最ッッッッッッッッッ低。

 

 

 

 

 

 

 


本当に何でこのエピソードにOKが出たのかが全く理解できない。


つい最近トリガーダークとして大暴れしていたイグニスとGUTS-SELECTの関係(信頼と断絶、そこからの再生)をなぁなぁのまま進行させた弊害で両者のぶつかり合いに一切感情が乗らず、既成事実だけをポンポン並べてくる作劇は改善の余地なし。


それだけならまあいつもの『トリガー』なのですが、最も足を引っ張ったのは今回の怪獣枠であるラクリ武者メカムサシンの存在。

イグニスを追う途中で何の脈絡も無く現れたスイッチをケンゴが押す(これもどうかと思いますが)ことで現れたロボット怪獣ですが、見た目そのままに流暢な歌舞伎節を披露する姿が緊張感をブラックホールの彼方まで放り込んでしまいました。

結局イグニスの仕組んだものなのか突如発生した怪異なのかが作中では不明瞭であり、前者だとしたらグリッタートリガーとバトルナースを追い詰める程の実力を持つメカムサシンを何故ヒュドラムとの戦いに使わなかったのか(使うことを選択肢にすら入れてない)という点、後者だとしたら登場があまりにも唐突かつケンゴの足止めをする邪魔者として都合が良すぎるので、不条理な怪異としても成立していないという点が常に引っかかりとして存在しており、色々な意味で化け物みたいな存在。


最終的にメカムサシンの持っていた日本刀をトリガーがトリガーダークに届け、最後のヒュドラム戦を盛り上げようとしてくるのですが、前述の通りイグニスが仕込んだであろうメカムサシン(劇中でアキトが言及しているため、スタッフの中でもそういう認識かと思われます)の武器をトリガーが瀕死になって持ってきても、元はと言えば誰のせいよ?と突っ込まざるを得ない状況になってしまっており、3億5000歩譲ってイグニスは無関係だったと解釈しても、「全く無関係な怪異の所有物が、イグニスにとって最も重要な戦いの武器になる」ということになり、外的要因が物語を動かしがちな本作においてはもはやレベルの低いセルフパロディにしかなりえません。

また、終盤唐突に日本刀といえば『ブルースワット』なのですが、あちらは一応メンバー3人の中に日本刀所有者がいるうえに、ストーリー自体は大真面目に取り組んでいたように見えたので、比べ物にもなりませんね。

いつもだったら引き合いに出して楽しく触れることが出来たのですが……まさか令和の世において『ブルースワット』を超える妖刀使いが出てくるとは思いもよらず。

 

「お友達の声援で強くなるぅ!?ざけんじゃねぇよッ!!」

ヒュドラムもヒュドラムで、序盤こそ3巨人の中では特に魅力的な描かれ方をされてはいたのですが、中盤以降は大先輩の部下Bで留まってしまい、上記のセリフの通り結局その場のノリでヒーローショーのお約束をすごーく嫌な感じで弄ってしまうという最悪なキャラ付けをされることに。

ヒーローショーの重要性について、近年の円谷プロはコロナ禍に遭ったことで痛い程分かっているはずなのですが、そんなところに触れてまで何でこんなメタネタを放り込む必要があったのか。意味不明。

しかも脚本はそんなヒーローショーをよく担当していた足木さん、本当にどうしてしまったのか。

ヒュドラムの断末魔もギャグに寄せてしまったことで「あくまで本人たちは大真面目に戦っているんだ」という面も補強しきれず、ヒュドラムとの最終戦は茶番でしかなかったという結論に落ち着き、同時にイグニスの着地点としても大滑りしてしまう特大級の事故案件。


ちょくちょく良いシーンはあった今回ですが、そんなものを覆い隠すかのごとく内輪受け全開の悪ノリ、意味不明なロボット怪獣登場によって繰り出される支離滅裂な展開、積み重ねを放棄した上に目先のアイデアに飛びついた結果劇的さよりその場の勢いを重視した演出、全てがマイナス方向に作用し、全く楽しめないエピソードでした。

前作からやや感覚が合わないなと感じていた辻本監督…第9話のブチギレ会長は傑作回だったので本作では期待していたのですが、もし今回みたいな演出を続けるなら、作品を見つめる視線はこれまで以上に厳しいものになりそうです。

ウルトラマントリガー「悪魔が再び」

ウルトラマントリガー』

第21話「悪魔が再び」

(監督:辻本貴則 脚本:継田淳

いきなりトリガーが変身したと思ったら前回のバリガイラー戦のプレイバックであり、そしてその戦いが今回の引き金になるというなかなか珍しい導入。


シズマ財団の研究センターで調査が進められていた2つのカプセル、その中にはそれぞれ液状となった青と赤の生命体が封じ込まれていた。

およそ3億5000年前の古文書に記載された内容をさらっと解析しているのですが、桁が違いすぎて超古代文明と同列に出来ないのでは。

バリガイラーの落とした雷によって、封じられながらも活動を再開した青と赤の悪魔のカプセルを保護するべくケンゴとアキトが研究センターに向かい、ユナは待機命令を受けることに。

「先日のような勝手な行動は、許さんぞ」

良かった…隊長が前回のこと忘れてなくて良かった……!!(この程度のことで安心してしまうのが『トリガー』クオリティ)

というか前回爽やかに見送ったバリガイラーの行動が今回になって結構響いてきており、本当に笑顔で送り出して良かったのかあの誇り高き畜生。


ラーメンの使徒が研究センターに着いたと同時に青い液体が突如活性化し、液体から気体、最終的にその姿は青色発泡怪獣アボラスへと変化し、泡を吐いてビルを溶かし始める!

ケンゴは研究員たちの避難誘導に当たっていたが、怪獣に気を引かれていたため後ろから迫る溶解泡に気付かなかったアキトを庇い、泡に取り込まれてしまう…って避難誘導中に思い出したようにアボラスに発砲し始め(研究員の避難が終わってないのに何故か威嚇射撃で気を引こうとしてる謎)、その棒立ちの背中に泡が迫るという構図が色々な意味で間抜け過ぎて、以前も不用意な発砲で生命の危機を迎えていたのに全く反省が見られません。

そうこうしてるうちに雑に放置されていた赤カプセルからも赤色火焔怪獣バニラが解放されてしまい、どうやら昔からライバル関係にあったのか2体の怪獣はビルを破壊しながら取っ組み合いを始める。


「ケンゴが…ケンゴがぁ!!」

アキトが怪獣出現を察知した隊長からの連絡にもまともに応えられなくなっている中、カルミラ大先輩とダーゴンは異世界海底で2大怪獣大暴れをモニタリングしており、「これはまた好都合だねぇ」と混乱に乗じてユザレ誘拐を画策する大先輩は、何故こうも他力本願なのか。

ダーゴンをお使い代わりにしようとし、自身から積極的に動こうとしない主体性の欠如が自身の目的の軽さを裏付けしてしまっており、こういう場面で芯の通ってないキャラ造形が足を引っ張ってきています。

覚醒したユザレの力を甘く見ると痛い目に遭うぞとお使いを拒否するダーゴンと大先輩の間でも軋轢が生まれ始めてきており、仲良さげに絡んでいたのは第7話くらいでしたが、闇の巨人の心はもう一つの場所には無いという状況設定は上手くハマっています。


「GUTS-SELECTの本分を忘れるな!」

通信じゃ何やら分からんとナースデッセイに呼び戻されたアキトは現場でケンゴ救出を志願するも、怪獣を排除することがまずチームのやることだと隊長に釘を刺されることに。

隊長の言ってることはもっともなのですが、緊迫したこの状況で隊員が4人くらい後ろで棒立ちになっているのは、良いんですか隊長。

隊長とアキトの言い合いは監督のツイートからほぼ役者任せで撮ったシーンと明言していましたが(ずり落ちそうなキャップを掴んだのはアドリブとのこと)、直後のシーンでそのアフターフォローがしっかりしてないどころか、むしろ迫真の演技を台無しにしてしまってます。

本職の特撮パートはアボラスとバニラの怪獣プロレスが徹底して描かれ、映像としてはしっかり楽しめましたがそれ以外の適当さは実に天井知らずです。


同僚が説教されている場面を目撃しGUTS-SELECTの本分を思い出したヒマリ隊員はやっとファルコンで怪獣殲滅に向かうも、余計なちょっかいを出したことでむしろ2体の恰好の的となりファルコン、登場から20秒程であっさり撤退

挙句、トリガーがなかなか現れないと情けなく愚痴るマルゥルを叱る隊長、来年の健康診断では胃にも異常が発生してそうです。

「この程度の古文書が読めなきゃ、トレジャーハンターは務まらないってな」

怪獣への対処法を探すべく古文書を解析していたアキトに、前回ユナを密かに助け信頼ポイントを貯めてきているイグニスが見参。

アボラスとバニラは凶暴なだけでなく、倒されると全てを死に追いやる毒の血を放出してしまうという実に悪魔的な特性を持っており、悪戯に殲滅は出来ないことが判明し…バリガイラーの暴走がとうとうシャレにならないところまで侵食してきており、

やはり、前回粉々に吹き飛ばすべきだったのでは。

しかしアボラスの溶解泡はバニラの火炎放射で取り除けることも発覚し、アキトはケンゴ救出と2大悪魔撲滅運動をイグニスに呼び掛ける。

「涙なんて二度とごめんだ。それが自分でも、他人でも…もちろん、地球人であっても」

ケンゴを想うアキトの涙を見たことで、かつての仲間たちとの別れの涙を思い出したイグニスはラーメンの使徒加入テスト参加に快く賛同し、世界よ、

これがヒロイン力だ!!


「お前から取り返した後、気になる部分を改良した。これならきっと、力の制御が出来るはずだ」

イグニスの手錠を解除したアキトは続けて、以前没収したブラックスパークレンスとトリダーキーを徐に取り出し…改良したってことは自分で変身する気満々だったな!!

夜中に1人で掛け声の練習してたなアキト!!(笑)

「未来を染める漆黒の闇、それは俺のことだ…イグニス、お前じゃない!!」(嘘)

冒頭のやりとりでイグニスには未だ懐疑的だったラーメンの使徒からしたら黒スパを微調整していた動機はあまりに謎ですが(機械弄りしたくなる性分といえばそれまでではある)、

「ヘボ発明家のやっつけ仕事か…期待しないでおくぜ?」

「…ウザい」

というやりとりは洒落が効いてて良かったです。

しかし隊長からしたら、2話連続で若手隊員が密かに命令違反を行っており(しかも2人とも会長の身内)、来年の健康診断の結果がいよいよ心配になってきました。


「未来を染める、漆黒の闇!

 トリガーダーク!!」

登場直後のダブルパンチで2大悪魔を開幕KOし波に乗った真トリダーは勢いそのままにスピーディな勝負を展開し、バニラの首根っこを掴んでケンゴを包んでいた溶解泡をバニラ火炎で焼き払う!

光のバリアで守られてたケンゴは溶解泡で溶かされることなく生還し、2大悪魔から足蹴にされているトリダーを助けるべくマルチトリガーにブートアップ!

3000万年の時を越え、ついに肩を並べた光と闇のトリガーは2億7000万年の違いがなんぼのもんじゃぁぁい!と2対2のタッグマッチへと挑み、迫力とスピード感がなかなか見応えのある戦闘。

……にも関わらず、肝心の毒の血関係は「瞬時に灼き尽くす」というよく分からない結論に落ち着き、強引に主題歌を流して必殺技でそれっぽい描写をしただけになったのはかなり拍子抜けで、尺の使い方をミスった感。

じゃあ何を削れば良かったかなぁ…と考えると、

真っ先に浮かぶのがファルコンなのが辛い。


「やつらは互いに助け合い、ますます強くなる。翻って我々は…闇の一族は……」

ダーゴンが誰もいない異世界海底で思いに耽ていた頃、戦い終わったケンゴはテスト合格ということでイグニスとラーメンの絆を育もうとしており、そんな2人の前に命令違反コンビがイグニスに礼を言うためだけにわざわざ現れる。

3人とも新たなラーメンの使徒誕生にすっかり油断してしまっており、密かにブートアップ!した等身大トリダーにユナが連れ去られてしまい、これ以上ないヒロインポイントを稼いだ!でつづく。

 

 

相変わらずどこまで演出プランを立ててるのか不明かつ適当なドラマパートがチラつく回でしたが、前回ほどシリアスとギャグの揺らぎが感じられず、後半は見応えのあるバトルを中心とする展開で、終わってみたら意外と楽しめたエピソードでした。

初代から本格的に復帰となったアボラスとバニラに新しい特色が加えられ、解決法はあっさりしてしまったものの、本作では最も扱いの良い怪獣になったかと思われます。


細かいところではイグニスの涙関連をクローズアップするなら、アキトにしろ過去のイグニスにしろ「涙」の描写をもっと印象的に演出しておけば劇的になったのになぁとは思う所存。

しかしイグニスの軽妙な発言がやや演技の拙いラーメンの使徒とは相性は良く、本作では珍しくキャラ同士の掛け合いで面白いと思わせてくれたのも良ポイントで、あれ、意外と褒めるところが多い(笑)

 

 

そんなこんなで次回、イグニス、死す(嘘予告)

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン1話「あばたろう」感想

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『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』

ドン1話「あばたろう」

(監督:田崎竜太 脚本:井上敏樹

「私は生まれながらの天才だ。漫画の神様に愛されている」

女子高生でありながら期待の新人漫画家でもある鬼頭はるかがマンガ大賞を受賞するという場面から早速、流れるように炸裂する井上節(笑)

はるかはその帰り道で突如怪物に変わったタクシーの運転手に襲われ(今回だけ見てると本当に唐突で謎)、授賞式でもらった花を振り回し抵抗していたところを謎のライダーによって救われる。


「何故花を散らす?花は風に散るもの…或いは人知れず落ちるもの…」

「何、詩人?ここで詩人か?」

直近で80年代戦隊を多く見た身としては、そのイズムが濃く出てるこのシーンだけでもうお腹いっぱいです。

全身水色スーツでハーフ顔の二枚目謎ライダーは腕のブレスを操作して戦闘形態へと変身し、運転手鬼を一刀両断に伏せてから散った花の一輪をはるかの胸に差し、名乗ることもなくその場から颯爽と退却。

「いたんだ…本物のヒーローが…!」

明らかに只事ではない状況において、はるかのときめきゲージが急上昇しており、異常者が出てきたと把握する現実的な目線を持ち合わせていながら、その場で起こったことよりまず自分の感情にひた走ろうとする辺りが実に井上脚本


大賞をクラスメイトから祝福され、その状況に水を差す生徒から守ってくれる彼氏もおり、SNSのフォロワーも増えていることで幸福の有頂天に立つはるかだったが、スマホをいじってただけなのに、突如として現れた黄色いサングラスを身につけてから、見えていた世界が一転する。

「お前…見えるのか?」

茶店の中年サラリーマン、広告塔の美女、デートするカップル…特定の人物がカラフル模様の異人に見え、存在を認知されたことからその異人(しっくり来ないのでもう戦闘員と呼びます)に追いかけられ、人間世界に密かに紛れ込んでおり(しかも大勢)、その存在を認識した人間に敵意を持って襲いかかる戦闘員の描写は《ウルトラ》シリーズに近いものを感じ、更に前作『ゼンカイジャー』で徹底された「見た目の異なる種族との共存」と真っ向から対立することで差別化を図っていき、物語の方向性をスタートから存分に見せつけてきています。


「助けて、マイヒーロー!」

突然服を脱ぎ戦闘態勢に入った戦闘員たちに追い込まれたはるか(ヒロイン志望)の前に、白馬の王子様…ではなくファンキーな銃・ドンブラスターが出現し、銃が勝手に作動してオニシスターに強制変身させられる!

ヒロインになるにもまず、戦わなければ生き残れない!!

意外にも戦闘センスの高めなオニ黄はこれ地形効果も積極的に活用し、戦闘員から逃れることに成功するも、知られざる秘密を知ってしまったことで自身の漫画に盗作疑惑をかけられ、クラスメイトや彼氏からも見放されてしまい、栄華に満ちていた人生は転落へと向かうことに。


「何なに…転落?いきなり…?」

公園で黄昏れるはるかは全ての始まりとなったサングラスのせいにして放り捨てようとするも、既に呪いのアイテムと化していたことでまたも強制装着され、今度は不審な男が檻に閉じ込められている謎の空間に飛ばされてしまう。

「君には4人の仲間がいるが…まずは桃井タロウを探すことだ。

ーーー彼の前で跪き、忠誠を誓え

「彼が君を導いてくれるだろう。そうすれば、失ったものを取り戻せる」

21年前、川を流れてきた桃から出てきた赤ん坊を拾っていた男・陣から戦士認定を受けたはるかは、精神的に結構追い詰められている状態からか割ととんでもない命令をあっさり飲み込んでしまい、疑問を挟むより行動を起こそうとする変な前向きさは実に井上脚本のヒロインといった趣きを感じます。

「あの人だ…多分。私が失ったものを取り戻せるなら、街中を全ッ部探してやる!」

授賞式の夜、自分を助けてくれたバイクの王子様こそ救世主だと考え動き出したはるかだったが、その直前にぶつかった配達員の胸元の名札に、桃井タロウの名が刻まれていたことには気付くことは無く………

うーん、井上脚本!!


一方で、冒頭ではるかに敵意を向けラケットに大量の釘を打っていた元卓球部のクラスメイト・ヨッピーこと吉岡が何者かに取り憑かれたように超人的な力を発揮し、殺人卓球で次々と卓球の強豪を打ち破っていき、食堂で急に勝負を挑まれながらもお盆で受けて立つ高校チャンピオンが逞しい(笑)

「俺はもっと強くなる!もっともっとぉぉ!!」

ヨッピーの卓球に勝つという思念が破壊衝動へと変わるのと同時にその姿は怪物・シソツ鬼と変化し、引き摺られるようにして戦闘員アノーニが出現して人々に襲いかかる!

タロウ探し中だったはるかはまたも強制変身からの移動によって現場へと赴くことになり、変わり果てたクラスメイトからヤクザキックを受けたところに、再び現れる、バイクの王子様ーーー!!


「桃井タロウ様!あなたに忠誠を誓います!だから、ヨッピーを元に戻してください!!」

スライディング跪きで忠誠の重さを表現するオニ黄だがヒロイン力の不足からか邪魔者のように足蹴にされ、そしてその刃はあの日の夜と同じく、人間が変異した怪物へと振り下ろされる。

「ヨッピー!?」

「もういない、消去した」

「何で…あなたヒーローじゃないの!?」

シチュエーションは冒頭とほぼ同じでありながら、数々の難を経験したはるか(と視線を共有している視聴者)の中でその意味が大きく変わり、ヒーローだと思っていた男が理解し合えない異種族であったことを克明に描き出し、戦うべき本当の"悪"は何なのか?という問いかけを鮮やかに促していて流石。

また、行動のきっかけこそ自分のために動いていたはるかでしたが、桃井タロウ(人違い)を見つけたらまずヨッピー救出をお願いする、という行動も嫌みになり過ぎず、前作とは方向性が異なりながらも演出・脚本共にベテランのバランス感覚が光ります。


人の生命を何とも思わないバイク暴君に怒りを向けるオニ黄だがアノーニに阻まれ多勢に無勢となっていたその時、いきなり転送されてくる桃色サングラスを掛けたスーツ姿の男。

ひたすら追い詰められてるオニ黄は桃色=桃井だと超速判断し、今回2度目のスライディング跪きを敢行するもまたもや空振り。

「そんなこと言ってる場合?君もさ、戦士じゃないの!?」

桃色グラス男はツッコミこそ真っ当ながら言ってることは某ジェットマンのそれに近く、相変わらずサラッと出たセリフに狂気を含ませるのが上手です(笑)

アバターチェンジ!!」

桃色グラス男はドンブラスターを自ら起動させ、人間のシルエットからは大きくかけ離れた超細身のピンク戦士・キジブラザーに変身!

「デカッ!てかこいつもタロウじゃないワケ!?」

目的の人物と違うと分かるやいなや「こいつ」呼ばわりを受けるキジ桃が加勢し、賑やかになってきたところを畳みかけるように、鳴り響く祭囃子…踊り子と屈強な担ぎ手を引き連れ、神輿の上に乗ったバイクに跨り参上する1人の男がいた!!


「やーやーやー!祭りだ祭りだ!!

 袖振り合うも多少の縁、躓く石も縁の端くれ…

 共に踊れば繋がる縁、この世は楽園!

 悩みなんざ吹っ飛ばせぇ!!

明らかにその場のテンションを測り損ねている男がまさかの桃井タロウ…?と懐疑的になるオニ黄を横目にバイクから飛び降りた赤い狂気がバイク暴君に斬りかかる!

「さぁ、楽しもうぜ!勝負勝負!!」

「楽しむだと…?この世の人間はどこまで穢れているのか…」

赤タロウとバイク暴君の切り結びはスピード感と復活の浅井レッドのキレもありなかなか楽しめたのですが、尺の都合か短く済まされてしまったのが勿体無かった点。

まあこれらは今後にお預けでしょうか。


「これ以上は我が剣の穢れ…」

ヨッピーに吹き飛ばされていた卓球チャンピオンの金メダルへの渇望を引き出し騎士竜鬼に変化させたバイク暴君は撤退し、どうやら野良鬼に取り憑かれたヨッピーとは異なり、無理やりヒトツ鬼に変えることも出来そうな雰囲気ですが、今後適当に扱われそうで少し不穏。

騎士竜鬼に切りかかられながらもプロレス技でホールドし、アノーニに苦戦する黄と桃をゼンカイギアの連射能力で支援して赤タロウがリーダーとしての器量と実力者っぷりを発揮。

「ザングラソード・快刀乱麻!!」

アバター空間を活かしたファンネル攻撃からの必殺剣で騎士竜鬼を斬り伏せたのも束の間、休む暇も与えてくれずに騎士竜鬼は鬼ング(キング)へと巨大化!


「悪縁は断ち切るに限るぜ!!」

上空に発生した電脳空間のような街で暴れる鬼ング(ビルを破壊すると実際の街にも影響あり)にバイクで単身飛びかかる赤タロウ、そしてそれを見ていた黒いゼンカイザーがジュランティラノを召喚し、そのままドン・全界合体!!

真っ赤なボディと剣を携えたドンゼンカイオーの戦闘はほぼフルCGで描かれ、前作でも特徴的であったCGロボ戦にアバター空間のような描写を取り込むことでロボ戦の違和感を減らそうとする試みが感じられ、未だ試行錯誤の段階といった具合ですが今後面白く繋がってほしいと思う部分です。

騎士竜鬼ングはドンゼンカイオーの必殺斬りによってまたも斬り伏せられ、宿主となった卓球チャンピオンは無事生還し、その力の欠片はリュウソウジャーのセンタイギアとなり黒ゼンカイザーの手に収まることに。

「あなたたちが、私の仲間?」

「あー、その件はまた改めて」

そして戦いが終わって間もなく赤タロウとキジ桃は時間切れとばかりに消失してしまい、オニ黄も足下に落ちていたヨッピーの釘打ちラケットを拾うこともできず、強制ログアウト。

結局桃井タロウを見つけることは叶わず、はるかは溜息を着く一方だった。

「一体どこにいるの?桃井タロウ…」

 

 

 


情報量多いな!!!

 

 

 

 

本日スタートの新戦隊、詰め込まれた要素の整理もしたいことから書き始めましたが、スルー出来ない事項が多すぎてまとめに困ります(笑)

書いていて分かったことなのですが、初回でありながらキャラクターが自ら名乗るシーンが一切見つからず、"桃井タロウ"を探すストーリーとして見ても若干のもどかしさを感じました。


真っ先に抱いた印象として、謎を完全なる謎として引っ張り、事情がすぐには飲み込めないながらもちょっとしたキャラ描写に善性(悪性)を感じさせるよう配慮が行き届いており、情報量の割にエピソードとして完成させられているのが凄い第1話。

メインライターとしては『ジェットマン』以来31年ぶりとなる井上敏樹の脚本ということで直近ではあまり評判の良くなかった印象ですが、1エピソードに求められる情報を漏れなく振り分け、キャラの動向に無理が生じない(それでいて高感度稼ぎも怠らない)筆力はやはりその道を駆け抜けてきたベテランの仕事に相応しく、更にパイロット職人として《平成ライダー》シリーズを長年支えてきた田崎竜太監督の見せ方も相まって、「全く説明が無い第1話」としての完成度の高さは、それこそ初期《平成ライダー》を思い出させる作りに似ています。

その代償として流れるように細かい要素が差し込まれるので、食い入るように見てないとかなり分かりづらく、思ったことや表現したいことを言語化することが要請されがちな現代においてこの作劇がどれくらい通用するかも見どころであり、白倉Pを始めとするスタッフからの時代に対する挑戦状といった側面も垣間見えてきます。


ストーリーとしては戦隊陣営・バイク暴君陣営・ヒトツ鬼と三巴の様相を呈していますが、アノーニ戦闘員がヒトツ鬼に引き寄せられたように見えたかと思いきや途中からバイク暴君に従うような素振りを見せたり、暴君自らヒトツ鬼を生み出したりと相互の関係が気になるところ。

また、赤タロウが縁を結ぶことを重視しているのに対し、アバターとなった仮想の自分にお供がいるという状況が非常に不穏であり、誕生から既に謎に満ちていますが、桃井タロウは個性豊かなお供たちと絆を育むことができるのか。

そして口数が減り、黒い服を身に纏う五色田介人の目的は一体何なのか。

次回を楽しみにしたいと思います。


あとバイクの押出し方が色々と良かったので、今後もバイク押しを続けてくれたら嬉しいですね!