うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

許さないは異次元への切符

最近仕事で高所に登る人をよく見るのですが、まるで忍者のように俊敏に動くので私には真似できませんね…。

 

本日は忍者ヒーローの感想です。

※本文はあくまで劇中設定の羅列ではなく個人の感想を書いてるものであり、ネタバレや不快感を覚える内容もあるかもしれませんので、事前にご了承ください。

 

スーパー戦隊勝手にまとめ

第18作目

忍者戦隊カクレンジャー(1994〜1995)

 

あらすじ:

かつて忍者によって封印された妖怪軍団が、その忍の末裔によって解放されてしまった。

再び妖怪を封印するために、鶴姫率いる現代の忍者たちの珍道中が始まる。

 

登場人物:

サスケ/ニンジャレッド

猿飛佐助の子孫。頭の回転が早く、冷静な判断をその場で下せるレッドにして参謀格。

また、リーダーである鶴姫に対しても兄のように接し気にかけている。

戦闘力もメンバー随一であり、仲間たちのピンチを何度も救っている。主に剣技と分け身の術で相手を翻弄するトリッキーな戦術を使う。

 

鶴姫/ニンジャホワイト

鶴姫家24代頭領であり戦隊初の女性リーダー。

4人の男を率いて妖怪を封印するという使命感を持っているが、年相応の脆さを見せることもある。

妖怪との戦いで父を亡くしていたと思っていたが、思わぬ形で再会することになる。

戦闘スタイルは鶴のように舞うスピード戦法。

 

サイゾウ/ニンジャブルー

霧隠才蔵の子孫。サスケとともに妖怪の封印を解放してしまった。

金にがめつく涙もろいお人好しだが、困ってる人を放っておけない優しさは人一倍強い。

戦闘スタイルは逆手持ちした剣技と水を使った戦法。実力はサスケに次いで高く、強敵を一人で相手にすることも多い。

 

イカイ/ニンジャイエロー

三好清海入道の子孫。大食いでゲームやファストフードが好きな現代っ子

よくサイゾウと行動を共にしており、二人揃って酷い目に遭うこともしばしば。

しかし追い詰められることで実力を発揮するタイプで、仲間たちのピンチを救うこともある。

戦闘スタイルは力で相手をねじ伏せるパワーファイター。

 

ジライヤ/ニンジャブラック

児雷也の子孫。カタコトの日本語で話すアメリカン忍者。口数は少ないものの鍛え抜かれた肉体とちょっとした茶目っ気が魅力。

「Shut up!」と相手に飛びかかるが返り討ちに遭うことが多い。

戦闘スタイルはキック攻撃がメインで、岩属性の忍術も使う。

 

ニンジャマン/サムライマン

かつて三神将の弟子として妖怪軍団と戦っていたが、大魔王に騙され多くの人間を傷付けた経緯から三神将によって壺に封印されていた暴れん坊忍者。

短気で単細胞だが、過去の経験から繊細な一面も持っている。

青二才」と言われると怒り爆発してサムライマンに変わる。

 

百地三太夫

神出鬼没なカクレンジャーの協力者。

あまり多くを語らずに彼らを導いていく。

鶴姫の父に仕えていた身であり、彼の秘密について隠したまま貴公子ジュニアに命を奪われてしまう。

 

ブン

鶴姫家に仕える三太夫の弟子の少年。

かつて鶴姫の父に救われた善良な妖怪で、陰ながらカクレンジャーをサポートする。

 

太郎・次郎

ブンが率いる双子の犬。

その正体は鶴姫の父の弟子で大魔王によって呪いをかけられた双子の忍者で、二度人間に戻ることで死んでしまう。

鶴姫のピンチにはブンと共に駆けつける。

 

三神将

「心」のツバサマル「技」の隠大将軍「体」の無敵将軍から成り、カクレンジャーを導く存在。

世界の平和を保つため、カクレンジャーの心を理解しつつも時には残酷な判断を下すこともある。

大獣神に近いようで、比較的まともな部類。

 

妖怪軍団

妖怪大魔王

中盤から登場する妖怪軍団のボス。

卑劣かつ知略に長けており、人々を苦しめてきた。

身体に大量のマイナスエネルギーを宿しており、斬られることでそれが放出されてしまう。

 

貴公子ジュニア/ガシャドクロ

大魔王の息子で妖怪軍団のリーダー的存在。

感情の起伏が激しく、オカマ口調で会話するなどひときわ個性的。

三太夫を仕留めるも隠大将軍の登場によって倒される。

 

白面郎

妖怪軍団の軍師であり、死亡したと思われていた鶴姫の父。

カクレンジャーを一切寄せ付けない戦闘力を持っており、大魔王の右腕として妖怪軍団で地位を築いているが…。

 

ポイント:

第18作目にして採用された東映特撮の十八番「忍者」モチーフ。

現代に蘇った妖怪たちを忍の末裔が相手にする、というオーソドックスな物語なのですが、そこに詰まった要素は挑戦的なものが多くありました。

忍者と聞けば「和」要素が目立つものだと思いがちですが、本作にはメンバーに現代風若者やアメリカン忍者を織り交ぜ、忍者のイメージに対するギャップを引き出す工夫が行われてました。

また、攻撃の際にアルファベットのエフェクトが出たり、妖怪のデザインにアメコミキャラのような意匠があしらわれていたりなど「和」と「洋」のミックスが行われており、大変特徴的でした。

 

そのメンバーの若者的描写などを見るに、90年代東映特撮におけるヒーロー性の追及が本作のテーマだったのかもしれません。

前作「五星戦隊ダイレンジャー」は基本二話完結であり、戦士たちの未熟さを描き出していたのですが、描き方が悪かったことで少しキャラクターの印象が悪くなってしまいました。

しかしこの等身大の人間を描く際にも製作側の配慮が見られます。

物語のスタートは「金に目の眩んだサスケとサイゾウが誤って封印を解いてしまう」とまとめられることが多いのですが、その発端は「複数の暴漢に襲われる中年の男を助けに入った2人が、怪我して倒れた男に代わって金をある場所に届けることを頼まれた」という流れで、善意と責任感を持った2人が言う通りにその場所に向かった結果、封印解放に加担させられたという経緯があります。

恐らくは、本当に金目当てで2人を動かしてしまっては今後いかに正義の味方として活躍しても、ヒーローにはなれないことを懸念し製作側で理性が働いたのかと考えます。

大まかになぞればどうしようもない若者のやらかしなのですが、分解すればちゃんとその若者にもヒーローの素質は宿っているという描写を入れることはヒーローがヒーローたりえる最終防衛ラインを守った結果だと思います。

同時期に製作されたメタルヒーローシリーズの「ブルースワット」も本作同様ヒーローとは言い難い者たちが、ヒーローになっていくというテーマを志向していたと思われるのですが、90年代初期は試行錯誤の宝庫故に今見たら怪作揃いです。

本作も例に漏れることなく、初の女性リーダーや司令官ポジションが一定しない、バス移動でロードムービー的に展開されるエピソードなど革新的な要素が詰まっております。

しかしどうにも据わりが悪かったのか、「青春激闘篇」と銘打たれた中盤からこの路線は影を潜め、王道ヒーローものに転換していきます。

キャラクターの性格(特にサスケ)も使命感に満ちた戦士という造形に変わってしまい、結果的な善し悪しはともかく、まるで違う作品のようになりました。

当時はアニメでも「機動武闘伝Gガンダム」「勇者警察ジェイデッカー」「美少女戦士セーラームーンS」などの子ども向け作品も多く、少し視聴者を逃すことが命取りだった時代だと思われます。

それでも本作は路線変更が功を奏したのか市場を「カクレンジャー一色」に染めたという経緯がある模様です。

………同期が「ブルースワット」だったことが最も大きな原因な気はしますが。

まあここまでにしておきましょう。

 

本作キャスティングが個人的に会心の出来で、また従来のヒーロー像からの脱却を目指してか奇抜な服装をすることが多かったため、ビジュアル面でもかなり個性的です。

その服装から瞬時に色の少ない忍者装束に着替えるのはメリハリが効いてて、良い演出でした。

まあその影響でタンクトップ一枚しか着てなかったジライヤがそれを脱ぐことでより厚着の忍者装束になるという不思議なシーンが生まれるわけですが、それも味といえるのが本作です。

また中盤はサスケの太ももの露出が凄いのですが、演じた小川輝晃氏のインタビューによると「鶴姫(広瀬仁美氏)があまり露出できないから、僕が露出担当になった」とのこと。

どこまで本当のことか分かりませんが、一体誰が言い出したんでしょうか笑

 

敵組織も従来とは違い、前半は決まった幹部が存在せず各地で人間社会に溶け込んでいる妖怪を倒して回るというロードムービー形式でした。

ぬらりひょんがボスみたいな扱いみたいでしたが、貴公子ジュニアが登場し、そして大魔王が参戦。

大魔王は鶴姫家の白面郎を手下にしたり、ニンジャマンを騙して人々を襲わせたり、ダラダラを生み出しカクレンジャーを全滅寸前に追い詰めるなど歴代ボスの中でもかなり狡猾で残忍。

最終的に「ブルースワット」同様概念的な存在として処理されてしまいましたが、確かに"悪意"を具現化したようなキャラ造形は柴田秀勝氏の演技も相まって絶妙でした。

 

鶴姫の父であり大魔王の右腕の白面郎ですが、正直あまり良い印象は無いです笑

中盤以降のシリアス部分担当みたいな扱いですが、その度に鶴姫が「お父さま!?」と叫ぶので、少々ワンパターンに感じました。

印象としては「ちょっと登場の早い、強くて頭の良いバイオハンターシルバ」です。

身内が敵側にいるという展開は「鳥人戦隊ジェットマン」からよく見られたものですが、色々パターンを考えては玉砕するトライ&エラー形式ともいえるでしょう。

 

本作登場するロボが三神将と呼ばれ、カクレンジャーたちの上に立つ存在となっております。

二作前の「恐竜戦隊ジュウレンジャー」でも1号ロボの大獣神が戦士たちを導く神という位置づけで、ものすごい上から目線でありがたいお言葉を発しておりました。

三神将も似たような立ち位置なのですが、場合によっては死んだフリする大獣神と違って、常に全力を尽くしてカクレンジャーをサポートしており、サスケに武器を授けるなど割と良い上司像だったと思います。

ニンジャマン封印の件も、騙されてたとはいえ取り返しのつかないことをしていたので仕方ないと思いますし。

 

おすすめエピソード:

第4話「妖怪ポリスマン」

第15話「げえ!!凄い奴」

第16話「赤猿の鬼大事」

(監督:坂本太郎 脚本:杉村升

本作の推しはなんと言ってもサスケ。

そんな彼の頼もしさと一人でも戦い抜く精神力が見ることのできる回をセレクションしました。

「このサスケ様が来たからには、てめぇたちはもうおしまいだ」

第42話「強奪忍者パワー」

(監督:小笠原猛 脚本:杉村升

第43話「三神将最期の日」

第44話「傷だらけ大逆転」

(監督:渡辺勝也 脚本:杉村升

本作最大のトラウマ妖怪ダラダラ登場回。

極限まで追い詰められたカクレンジャーがタイトルの通り、傷だらけになっても逆転するというカタルシスが最高の3話です。

「やい大魔王!覚悟しやがれ!!」

 

5段階評価:

☆☆☆★★ 3/5

特徴的な演出と個性的なキャラクターが多く、キャッチーな作品です。

恐らく路線変更はあったと思うのですが、雰囲気を崩さず王道ヒーローものに転換できたことはとても良かったと思います。

ヒーロー像に対する試行錯誤はあるものの、好感度の高いメンバーにも恵まれてストレスが少ないのもオススメポイントです。

基本はトンデモ忍法ですが、時に本格的な忍者スキルを見せることもあるので戦闘シーンも面白いです。そして本作は高岩成二氏が初めてレッドのレギュラーを務めた作品です。

是非ともご覧ください。

 

「人に隠れて悪を斬る!!」

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