『ウルトラマンZ』
第4話「二号ロボ起動計画」
(監督:辻本貴則 脚本:鈴木智)
前回あっさり目だった冒頭ナレーションは丸々カット。前作形式に戻りました。
怪獣輸送アピール作戦によって予算を確保できたストレイジは特空機二号ウインダムを製作中。
全身に付いたブースターでウルトラマンゼットのように飛行が可能ということで、ストレイジがゼットのデータを収集して研究してることが判明。
前回、事務次長が「ウルトラマンを超えるロボットを作れるのでは」的なことを言っていましたが、今後の布石かもしれません。
しかし予算の限界で割とギリギリのやりくりだったのか、パーツの発注先が違うことから調整に時間のかかるウインダム。
ユカのボヤきを聞きつつ、バコさんは調整を頑張ると言葉を残します。
そこに政府肝入りのジオフロントの近くに地底怪獣テレスドンが出現。
データがあることから前回のゴモラやテレスドンなどの怪獣は、既に何体か出現してる世界観ということでいいみたいです。
ヨウコ先輩がセブンガー、ハルキとユカが地上に出撃しテレスドン撃退に向かうが、データよりも早いというテレスドンに手も足も出ず今日も敗退。
ここでの特撮は、辻本監督らしく気合が入っていて見応えはあるのですが、街が焼かれビルが倒させる光景はあまりにもテレスドンによる被害を映像的に大きくし過ぎたと思います。
まあ作戦後の指令室で隊長が「また長官に怒られるな」的なことを社有車を民家の塀にぶつけてクレーム入った、みたいな微妙なテンションで語るので、もうそういう世界観でいいということみたいです。
そんな中セブンガーに貼りついてたテレスドンの肉片を採取したユカは冷蔵庫にそれをしまいます。
以前から回収した肉片を調べてたりしましたが、それをコレクション感覚で採集してる隊員がいるということで、怪獣という存在が珍しくないと表現。
今後、怪獣専門家や怪獣ジャーナリストみたいな人も出てきたりするのでしょうか…?
冷蔵庫にハルキはプリンを入れていたのですが、ユカが怪獣の一部を入れていることは知ってたと思うので、色々危なっかしいぞ!
自己防衛本能が薄いように見えるのですが、そういった危うさはある意味ウルトラマンの一心同体になる人には必要な特性なのかもしれません。
そして今回テレスドンが出現した理由はジオフロント建設に伴う騒音ということで、ほんのり環境破壊ネタ。
本作に限らず、掲げたテーマを言うだけ言ってあとは特に触れないみたいな作劇はちょっと苦手。
それこそゼットにジオフロント建設に対して何か反応を示させれば良いと思うのですが、戦闘以外ではめっきり喋らないので、もう製作側も割り切って考えているようです。
(正直、環境破壊ネタは平成ウルトラシリーズの時にやり過ぎたと思うので、掘り下げてくれない方がありがたいのですが。)
また上の組織に対する言及、政府の関係施設が襲われるということがちょくちょくあり、これも今後の布石でしょうか。
強力なテレスドンに対してセブンガーでは力不足。
セブンガー以上のパワーと機動力を誇るウインダムのバッテリー充電が急がれるのですが、フル充電に4日はかかるとのこと。
「もうウインダム…どうしたら君はお腹いっぱいになるの?」
悩めるユカは同じくウインダム起動に全力を注ぐバコさんに対して、機能をオミットして充電に注力しましょうかと提案。しかしバコさんは
「自分の理想を簡単に捨てちゃダメだ」
焼き芋を巻いていたホイルはセブンガーのダクトカバーであり、意外なものが別のところに役立つかもとユカを鼓舞します。
そして同じ頃、1話でゲネガーグの残骸を運んでおり何かに取り憑かれた研究員カブラギがライザーを持って光の扉にアクセス。
そこにはウルトラマンではなく怪しげな機械があり、何か液体を入れたらジラースメダルが完成…。
終始無言で無表情なのですが、目の演技と不穏な演出で異常性を表現できてて面白いです。
翌日、再度出現したテレスドンに対してハルンガー出撃。少しファイトしたらあっさり倒されてしまい、あっさりゼットに変身。
………2話の前半でゼットが反応しなかったのは、ただ寝てただけなのではという疑問が消えません。
前回ゼットファイッを見せた筋肉三倍盛りに変身したゼットですが、テレスドンに追い詰められてしまいます。
ゼロ曰く「まだ3分の1人前」なゼットを表現したかったのは分かりますが、先週出たばかりのタイプをもう苦戦させてます。
この後の展開を見るにウルトラマンだけでなく、ストレイジのロボットも含めて地球を守れるヒーローなんだという考えが本作の方向性だと思われます。
そこで冷蔵庫の中でエネルギーを発していたネロンガの角を使い、ウインダムのバッテリーを一気に充電しようと提案するユカ。
自分が趣味で保管していた怪獣のパーツが思わぬところで役に立つということをバコさんに得意顔。
………怪獣の定義が曖昧なままその力を使う展開をやってしまいました。
てっきり既存のパーツを繋ぎ合わせて、何とかするというユカとバコさんの頭脳を見せる展開になると思っていたのですが、ユカが集めていたマジックアイテムに救われるというレッドゾーン。
特空機のシステムに怪獣の遺伝子が使われているとか、そういう設定があればまあ分かる展開ではあるものの、そんな超エネルギーを発するものを個人単位でコレクションしてるという点においてもこの組織は大丈夫なのか。
まあ、街が破壊されても「オー!カブキ・アタック!!」と喜んでいる人が予算の采配を握ってる組織なので、そういう倫理観なのかと思われます。
充電を終えたウインダムはヨウコ先輩操縦のもと現着。
「ゼット様、一緒に戦わせてください!」
やはりストーカー属性が強めと思われるヨウコ先輩が操縦するウインダムはそのままゼットと残虐コンビを組みテレスドンを倒そうとします。
しかし、そこでカブラギがジラースメダルをテレスドンに与え、エリマキテレスドンにパワーアップさせてしまいます。
またも苦戦するゼットと先輩ンダム。
今日はスピードだなと師匠三倍盛りにチェンジしたゼットと、出てきて早々ぶっ倒れた先輩ンダムは
「一緒に戦うって言ったはず!!」
と言って立ち上がり、やはり厄介なストーカー属性が強い気がします!
ゼットは空に飛び攻撃を避けつつテレスドンの注意を引きつけ、その間に先輩ンダムはガッチリ組み合いエリマキ剥がしのノルマ達成。
空中ブレーキからのゼスティウム光線とウインダムミサイルの合体技によってテレスドンを撃破します。
2話連続で怪獣を爆散させました。
「これも光の国で作られたやつ?」
「いや、違う。このメダルにはウルトラマンではなく、怪獣の力が宿っている」
「…怪獣メダルってとこか」
とことん丁寧な説明です。
しかし砕け散るメダル。
「ウルトラメダルの技術を使って誰かが作ったんだ…こんなものが悪用されたら大変なことになる…!」
「でも…一体誰が?」
黒幕のカブラギは無言で頭を抑えていました。
作戦終わり、ウインダムの電力問題に関してはネロンガの器官を解析して人工的に再現するという着地点に落ち着きました。
「よぉし、早速じゃあウチの次男坊のメンテナンスだ!」
「ウチのぉ?私たちの、でしょ?」
と言って腕を組むユカとそれに照れを隠せないバコさんが描かれるのですが、物凄く生々しいボディタッチと言い回しで何故このやりとりでGoサインを出したのか。
「まあ皆の新しい家族ってことで、よろしくな!ウインダム」
穏やかな雰囲気で締め…かと思いきや
「はぁ…なんか別の玩具で遊んでみるか」
ルービックキューブで遊んでいたヘビクラ隊長はそれを放り投げ、モニターの映ったゼットを闇の視線で見つめていた…。
パイロットの田口監督に引き続き、ミニチュア撮影に評判のある辻本監督が初サブパイロット。
テレスドンの出現や歩行、ゼットの空中アクションといった見応えのあるシーンが多かったです。
反面、大袈裟に演出し過ぎて被害が心配になってしまうのと、最後のユカとバコさんの距離感が怪しすぎたのである程度セーブしてもらいたいところ。
ストーリーに関しては鈴木智氏が「ウルトラマンコスモス」以来の参加ということですが、シリーズ構成自体が最後から計算されているとのことなので、本作の流れに沿ったという感じ。
特空機の問題点に対して怪獣の力を使って解決するというアイデアそのものは面白いのですが、それが個人のコレクションによるものという展開には首を捻ってしまいました。
せめて組織で保管してるデータにしておけば、ユカの気づきにも組織全体を巻き込むことが出来たのですが、ユカが個人単位で所有してたマジックアイテムで問題解決してしまったので、前回まで目立っていたメカニック隊員たちが後ろでリアクションしてるだけになってしまったことがすごく残念です。
前述しましたが、本作はウルトラマンだけでなく特空機も含めてヒーローとして描写しようとしているように見えるので、それに絡むメカニック隊員の活躍が描かれないとゼットも毎回苦戦を見せるだけになっており、どうも中途半端に感じます(人数やキャスティングの都合もあるので仕方ないと思われますが)。
これからの特空機には怪獣の力が技術として使われるみたいなので、それが上手く転がってくれれば嬉しいです。
また、カブラギの何かおかしいような動きも「そうすればそれっぽい」というような考えで終わらせないよう何かロジックがあればなと思います。
そんなところで次回、想像以上に早いタイミングで闇のストーカー登場!
ウルトラストーカーヨウコ先輩に挑む!(違う