うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

青い宝石は委ねられた

なんだか久しぶりな感じがするシリーズ感想。

 

※本文はあくまで劇中設定の羅列ではなく個人の感想を書いてるものであり、ネタバレや不快感を覚える内容もあるかもしれませんので、事前にご了承ください。

 

スーパー戦隊勝手にまとめ

第8作目

超電子バイオマン1984〜1985)

あらすじ:

機械による支配を目論む新帝国ギアが地球に襲来。

同時に、謎の巨大ロボがバイオ粒子を受け継いだ5人の戦士を見つけ出す。

 

登場人物:

 

バイオマン

郷史朗/レッドワン

スペースシャトルパイロットであり、バイオマンの頼れるリーダー。

バイオ遺伝子により動物と会話でき、鳩連絡員や犬猫通信員の育成なども行っている。

中盤まで髪型が安定しない。

 

高杉真吾/グリーンツー

元カーレーサーであり、気さくで心優しいサブリーダー。

機械の整備などに長けており、メカ人間の解体なども瞬時に行ってしまう。

ダミ声、角刈り頭と序盤は悪いイメージが先行しがち。

 

原竜太/ブルースリー

マリンスポーツプレーヤーで身のこなしも軽いチームのムードメーカー。

子どもに優しく一生懸命な性格。

少々老け顔。

 

小泉ミカ/初代イエローフォー

ニンジャを先祖に持つキャメラマン

1話から妙に強い。

しかしバイオキラーガンの餌食になり、若い命を散らしてしまう。

 

矢吹ジュン/2代目イエローフォー

元アーチェリー選手のおてんば娘。

バイオ遺伝子を持っていながら、海外にいたためバイオロボに発見されずにいた。

ミカに代わりイエローフォーとして戦うことになる。

水着回でバキバキの筋肉を披露する。

 

桂木ひかる/ピンクファイブ

フルート奏者でありお嬢様タイプ。

かと思いきや中盤からはスポーティな面が目立ち、ジュンに比べキャラは迷走しがち。

バイオ遺伝子により薬草の調合ができる。

 

ピーボ

500年前に滅ぼされたバイオ星からやってきたサポートロボット。

バイオマンを導く存在でありながら、子どものようにわがままですぐトラブルを運んでくる役立たず。

 

蔭山秀一

ドクターマン(蔭山秀夫)の実の息子。

父の存在を知り、会おうとするが人間からかけ離れた父に戸惑いを感じてしまう。

後に柴田博士の助手としてバイオマンに協力する。

「特急指令ソルブレイン」で増田純役の井浦秀智氏が演じている。

 

柴田博

終盤に登場する謎の人物。

メカ人間に心を与える良心回路を持っており、それによってギアに対抗していた。

その正体は郷の父親紳一郎であり、自らをメカ人間に改造していたためバイオ遺伝子を無くしている。

 

新帝国ギア

ドクターマン

機械による世界の支配を狙うギアのボス。

元々は人間であったが、感情を持つことを愚かしく思い、自らをメカ人間に改造していた。

残忍かつ冷酷なボスだが、感情を否定している割にまだどこかに人間としての情を抱えているような描写がある。

 

ビッグ3

メイスン

ギアビッグ3のリーダー格。

中年の男性型のメカ人間であり、知略に長けているうえ、ドクターマンの人間味にどこか違和感を感じたりとギアの参謀格でもある。

 

ファラ

女性型メカ人間で、主にメカジャイガンを利用した大規模な作戦を秘密裏に進めるタイプ。

ちょくちょくコスプレをするのだが、すぐに正体がバレるのであまり効果はなさない。

 

モンスター

パワータイプの大男型メカ人間。

頭を使うよりも腕っぷしで相手を捻じ伏せるタイプであり、初登場ではレッドワンをお手玉のように投げるのが印象的。

ジュウオウとは兄弟のようなコンビネーションを発揮する。

 

ファラキャット

ファラの側近。

猫のような軽い身のこなしで相手を翻弄する。

 

ジューノイド5獣士

3つの顔を持つサイゴーン

単眼頭部のメッツラー

ゴリラのようなジュウオウ

飛行能力を有したメッサージュウ

水棲生物のようなアクアイガー

の5体から構成される怪人軍団。

中盤、メタルメガスの無差別攻撃によってメッサージュウとアクアイガーが大破。

残った三体は強化改造されサイゴーンはメイスン、メッツラーはファラ、ジュウオウはモンスターに従って行動することになる。

 

プリンス

ドクターマンの息子として登場。

父に似て冷酷な性格ではあるが、自身の出自に戸惑いを感じ錯乱してしまう面も。

最初は人間だと思われたが、結局はドクターマンが息子に似るよう作ったメカ人間だった。

 

バイオハンターシルバ

かつてバイオ星で反バイオ勢が作り出した戦闘マシーン。

バイオ粒子を持っているものに反応し、バイオマンとギアも関係なく無差別に破壊活動を行う。

専用ロボのバルジオンになかなか乗れずヤキモキしている。

 

ポイント:

"戦士になる運命なら、それに従うべきなのか"

当時の東映特撮ヒーローの定石ともいえる「戦う宿命」に一石を投じようとした作品。

バイオマンの5人は、500年前に地球を訪れたバイオロボがバイオ粒子を振りまいた祖先たちの遺伝子を継いで戦士になります。

しかし、遺伝子を持ってるからといって戦う義務はどこに発生するのか、個人としての夢を捨てるべきなのか。

序盤で覚悟を決める4人に対しイエローの小泉ミカだけはすぐに納得せず、バイオマンとしての戦いを拒否します。

当時なりに、常態化していた戦士が戦いに行くまでの流れを変えようとしていたことが窺えます。

しかしその流れは第2話であっさり終わってしまうので、今後の課題として残されます。

 

前作「科学戦隊ダイナマン」が徹底的に王道作品だった反動からか、本作は意欲的な設定が多く盛り込まれております。

まずは今まで巨大戦要員でしかなく、物語にあまり絡まなかった巨大ロボが物語の中心に組み込まれます。

バイオロボはバイオ星から地球の同士と戦うためにやってきて、意思を持っているという描写があります。

当時としては画期的な展開だったと思います。

またそれに関連して、等身大の怪人はジューノイド5獣士と固定されており、1話ごとに新規で登場するのはメカジャイガンという巨大な敵だけです。

メイン商材である巨大ロボの活躍に注力するという発想が出始めた時期ともいえます。

 

挑戦的な内容が採用された反面、毎度ジューノイドは撤退させるだけで撃破できず、バイオロボの意思を描く都合で苦戦が増えるなど、やや爽快感に欠けた展開であったことは否めません。

またキャラクター強度が異常に低く、前後作で魅力的なメンバーを描いていたメインライターの曽田博久氏が全体的に冴えない印象でした。

当時はメンバーの「私」の部分がクローズアップされないのが普通だったのである意味当然といえますが、終盤においてそれにまた一石を投じようという動きが見えました。

リーダー郷史朗の亡くなっていたと思われた父紳一郎が登場し、心を大きく揺さぶられます。

こういった、ヒーローの使命と個人の感情を天秤にかける展開は後に「超新星フラッシュマン」などでも見られるのですが、ノウハウの不足からかこの時代ではどうも上手くハマりません。

しかし、こういった小さい改革を続けてきたことによって、90年代でのシリーズの大飛躍が生まれたので、無下にはできないのもまた事実。

 

キャラクターの話になりましたが、バイオマンのキャラ付けは郷史朗を除き迷走しまくってます。

高杉真吾はシティボーイを気取ってる割に角刈りヘアで決まってないし、南原竜太は取って付けたような過去を語ってプリンスに絡んだと思ったらその後秀一とはほとんど絡みが無いし、ひかるは設定だとお嬢様タイプのキャラなのに役者の特技を活かしてかスポーティな面が目立ったりと色々…。

序盤からキャラが立っていたのが郷さんとミカだったのですが、ミカはかなり早い段階で降板してしまいジュンに交代しました。

そのジュンはJAC所属の役者が演じていたこともあり、活躍の機会は多かったのですが、おてんば娘から真面目な女戦士へのスライドがどうも話の都合に引っ張られた感じがして、キャラ改変が過ぎたと思います。

 

そんな中、バイオマンはやっぱり郷史朗。

凛々しい顔つきにハスキー気味の声、スラっとしたスタイルに冷静な頭脳と熱い心を持った、カッコいいが服を着て歩いてるみたいなキャラクターです。

前作レッドの弾北斗は少し主張が薄めの甘いマスクで、温和な性格であったことから「近所のお兄さん」のようなリーダーだったのですが、郷さんは子どもに対しても真っ正面からぶつかり、その熱さで誰かの心を動かす「兄貴」体質の対照的なリーダー像となりました。

製作側の方でも郷さんカッコいい的な考えはあったのか、中盤辺り異常なまでに単独での活躍が目立ちます。

逆にそれが80年代特有のレッド一強描写に繋がり、やはりマンネリから抜け出すことの困難ぶりを証明するような形になってしまいました。

 

新帝国ギアに関してはビッグ3が魅力的な幹部でした。

リーダー格のメイスン、紅一点ファラ、脳筋モンスターと役割が明確に違うことも大きいと思います。

また幹部でありながら、どう頑張ってもドクターマンには敵わないのも愛嬌があって良かったです。

中盤お約束の裏切り展開があるのですが、ガチで裏切って玉砕するという流れは笑ってしまいました。

 

反面、ジューノイド5獣士は影が薄いというか名前が覚えられない。

アクアイガーなんて滅多に活躍しないまま、メタルメガスに大破させられており、ビッグ3に一体ずつ付く流れにならなければ、バイオエレクトロンのサンドバッグ以上のものにはなりませんでした。

強いていえばジュウオウはモンスターとの絡みが多く、名前と見た目が特徴的なことからも分かりやすいキャラでした。

 

それと問題はバイオエレクトロン

他作品でいえば合体バズーカに相当するものなのですが、毎回パターンが違う合体技を見せるというコンセプトであり、これもかなり意欲的。

しかしどの技も中途半端な使い方に終わってしまい、印象に残らないという状態でした。

改めて前作の「爆発!」×5は色々な意味で破壊力が高かったのだなと思いました。

結局、中盤出た強化版のスーパーエレクトロンは体当たりみたいな技でしたし。

 

本作で有名なキャラクターの一人、バイオハンターシルバについても語る必要があります。

一眼見ただけでハカイダーモチーフだと分かるのですが、全身銀色のカラーリングもあってデザインはかなりカッコいいです。

その役回りは、強敵というよりただの邪魔者笑

前作のダークナイトは自身を悪魔と名乗り、場を掻き回すことに違和感が無かった(何となく理由も察することができた)のですが、シルバは物語をぶった切るために出現していたので、完全に邪魔者でしか無かったです。

ちなみに一番酷かったのは最終盤、いきなりプリンスを作り始めてギアのネオグラードに忍びこませようとするのですが、目論見に気づいた秀一がプリンスと入れ替わってネオグラードに侵入し、結果的にシルバを利用した形になりました。

………秀一をドクターマンに会わせるためだけに(スタッフによって)唐突にプリンスを作らされるという酷い役回り。

とことんスタッフの都合で動く、悪い意味で残念なキャラクターでした。

ちなみにカウントしたところ

「バルジオンさえあれば!」

のセリフは計3回言ってました。

 

おすすめエピソード:

第8話「戦え!星に誓って」

(監督:堀長文 脚本:曽田博久)

第7話と前後編。前編はピーボがあまりにもうるさいのですが、それが後半にピーボとバイオマンの熱い絆と戦う決意に繋がるのは唸りました。

堀監督の演出も見どころいっぱいです。

「ピーボ泣くな!どんな結果になろうとも、泣かないと約束したはずだぞ?」

 

第13話「ジュンよ」

(監督:堀長文 脚本:曽田博久)

2代目イエロージュンが加わって次のメイン回。

アーチェリーキャプテン真田広之がジュンを連れ戻そうとするのですが、そこに立ちはだかる郷史朗。

またバイオマンは郷さんの意見がとても強いのでは、という疑問が生じる回でもあります。

「俺たちは秘密の戦士!例え家族にさえも、正体を明かしてはならない!!」

 

第37話「殺し屋シルバ!」

(監督:服部和史 脚本:曽田博久)

散々なことを書きましたが、シルバの立ち回りはやっぱりカッコいいです。

そんなシルバ初登場で大暴れの回です。

レッドVSシルバも見どころです。

「邪魔するモノは、破壊する!」

「バイオ粒子反応あり!!」

「破壊!破壊!!破壊!!!」

 

5段階評価:

☆☆★★★ 2/5

やはり前後の作品に比べてストーリーもキャラクターもレベルが低いと感じます。

革新的な要素を多く取り入れ、シリーズに新しい流れを持ち込もうとした姿勢はとても評価できます。

しかしまだそういった要素を上手く扱えず、どうしても路線が変わってしまったように見えてしまうのも厳しいところでした。

しかし本作で挑んだヒーローの「私」の部分については、後の「超新星フラッシュマン」「光戦隊マスクマン」などでも取り上げられる要素であり「鳥人戦隊ジェットマン」において一気に開花します。

そのための種付けになった作品であると思います。

何度も言いますが本作は郷史朗を見るための作品です。

彼が育てた鳩連絡員の活躍を見たい方は是非本作をご覧ください。

それと劇中ではほとんど流れませんでしたが、挿入歌「Blue Togetherness」は名曲なので、是非一度ご視聴あれ。

 

以上、バイオマン感想でした。

 

「スーパーメーザー!エネルギーチャージ!!」

「バイオ粒子斬り!!!」

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