うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマンZ「ファースト・ジャグリング」

ウルトラマンZ 』

第5話「ファースト・ジャグリング」

(監督:辻本貴則 脚本:中野貴雄

アラスカで発見された古代石器が3万年前の文明によって作り出されたものでは?というニュースを見るストレイジでは、謎の寒さにかじかむヨウコ先輩に対してヘビクラ隊長が寒いギャグをかましていました。

そこに季節外れの雪とともに、アラスカ山脈の雪原から冷凍怪獣ペギラがやってきます。

ここでの雪のシーンなのですが、季節感がイマイチ掴めず(一般人の服装を見るに春頃でしょうか)、ペギラが出現したことによる異常気象という押し出しが弱かったのが残念。

気象に対するリアクションも、冷え性のヨウコ先輩が一人で寒がってるだけなので効果的ではありませんでしたし。

ペギラ出現により、発進する先輩ンダムと地上で避難誘導に向かうハルキ。

ここでウインダムの発進シークエンスは非常に凝っており、見応えがありました。

ここではメカニック隊員の使い方も良かったです。

 

街で暴れるペギラは冷凍光線で車をひっくり返します。

ここでの車の中目線で、中の物が浮いたり吹っ飛ばされてる様子が見えたりする描写はすごく面白かったです。

そこに駆けつける先輩ンダム。

自慢のパワーと機動力で互角に戦います。

イヌイットの古い文献によると、ペギラが目覚めたのは例の古代石器が原因であり、石器は自身を封印する光の槍だと判明します。

地方の古い伝承に怪獣の記載があるという展開は脚本家の中野貴雄氏がシリーズ構成を務めた『ウルトラマンX』『ウルトラマンオーブ』に近い雰囲気があり、何も無かった前回までよりは良い方向性です。

その古代石器は住民の避難所になっている大学に保管されているため、さらに奮起するヨウコ先輩とハルキですが、先輩ンダムが冷凍光線を浴びてしまいます。

退避を促すユカですが、ヨウコ先輩は

「ここで怪獣を食い止めて、その間に一人でも多くの人を助けないと…それが私の仕事だから!!

コクピットで叫ぶも、ペギラによってウインダムは氷漬けにされてしまいます。

 

先輩のピンチに、ゼットに変身しようとしたハルキですがその背後に…

「よぉ、元気?」

と謎の怪人が出現し、ゼットライザーを奪われてしまいます。

「どこにいるんですかゼットさん…返事をしてください!!」

謎の怪人にも逃げられ、何も出来なかったハルキはゼットに対して叫ぶのですが、この辺りはどうも唐突。

この後の描写を見るに、ライザーが無ければゼットと意思疎通が図れないようです。

「俺は、俺は何も出来ないのか…」

しかし、そこに息も絶え絶えのヨウコ先輩のうわ言が通信で聞こえてきます。

「絶対に守る…絶対に守る…皆を………それが、私の仕事だから……」

「先輩……そうだ、まだ何かできるハズだ…俺だってパイロットじゃないかッ!!!

ヨウコ先輩に対する憧れめいたものを感じさせる(やはり姐さんタイプの方が好みなのでしょうか)ハルキは走り出します。

 

同じ頃、謎の怪人=ジャグラス ジャグラーは森の中で、なにやらライザーを用いた儀式を始めます。

「星の瞬く狭間の闇よ、暗黒のパワーを我にもたらせ。光から闇へ…闇から光へぇぇぇ!!!」

新たに邪悪な色をしたジャグライザーが完成します。

ここからは悪い意味で怒涛の展開…

 

ストレイジ基地に戻ったハルキは、メカニック隊員の制止を振り切りセブンガーでペギラ撃退に向かいます。

案の定苦戦するハルンガーは左上腕部を破損するのですが、それでもハルキは脱出せず。

「ヨウコ先輩はギリギリまで諦めなかった…人々を守るためには、自分の身を顧みない!あれがプロだ!!俺も、俺もプロでいたいんですッ!!!」

 

……え?

 

さらにペギラにロケット噴射タックルをかましたことで、ひらめキーングしたハルキはロケット噴射の炎でウインダムの氷を溶かします。

 

………え?

 

そしてどこかのツルちゃんが使ってたような1人用ロケットブースターを背負ってヨウコ先輩の救出に向かいます。

このシーンは独特なシュールさがあって面白かったです。

 

無事ヨウコ先輩をウインダムから救い出し地上に下ろしたハルキでしたが、ペギラはそこを狙って冷凍光線を放ち、あわや何度目だ命の危機という状況をジャグラーが救います。

あっさりとゼットライザーを返却したジャグラーの正体に疑問を抱きながらも、ペギラと戦うためにライザーを起動するハルキ。

そこですぐに変身せずに、異変に対して疑問を投げかけるゼットが挟まれたのも良かった点。

しかし出てきたと思ったら

「ハルキ!今までどうしてたんだ!?」

「ウルトラヤバい闇の波動を感じたぞ!!」

と外の状況を把握できていないようで、ゼットさんのポンコツ化が進みます。

 

慌てて師匠三倍盛りに変身したゼットはいきなり空中戦に入り、なかなか見応えがありました。

しかし空中は飛べるペギラの独壇場であったのか、撃墜されるゼット。

そこに、大学で保管されていた石器(解析の途中だったりしたのか、机に野晒しという状態)が輝き出し、巨大な光の槍となってゼットの上に降臨。

 

 

 

 

 

……………えぇ!!!???

 

 

光の槍、ゼットランスアローを手にしたゼット。

「これは、何です…?」

ウルトラマンの力を感じる…何万年の時を経たウルトラの力を!!」

「え、そんな昔からこの地球にウルトラマンがいたんですか?」

「分からない…ただ、こいつの使い方は分かる!分かっちゃいます!!」

過去にウルトラマンが来ていたことを匂わせる発言ですが、都合の良い設定というだけで終わる可能性もあるので頭の片隅に留めておきます。

 

古代の光の力で放ったランスファイヤーで、ゼットはペギラを爆殺。

さっきまで優位に立っていたのにも関わらず、光のマジックアイテムを手にしたゼットによりあっさり焼き鳥にされてしまったペギラ…。

そこに様子を見ていたジャグラー=ヘビクラ隊長がジャグライザーを起動。

ゼットンさん、パンドンさん、マガオロチ…お待たせしました!闇の力、お借りします!!」

『劇場版オーブ』での超合体のシーンを、正にセルフオマージュした変身バンクでゼッパンドンに変身するヘビクラ。

戦い終わりのゼットに襲いかかります。

テレポート攻撃によってランスアローをはたき落とされるゼット、そこまでオマージュしなくても…。

その際に第2話で見せた心眼も使って戦うゼットは、細かい部分も拾ってて良かったです。

 

特空機も入れれば、今回何回目だという苦戦を見せるゼットですが、ハルキは諦めません。

「例え相手がどんなに強くても、俺は諦めない…俺たちは怪獣退治の専門家だから!!!」

怪獣をぶっ潰す宣言にひとりでに反応したランスアローを手に、主題歌バックで立ち上がるゼット。

そのまま今度は氷の槍アイスアローでゼッパンドンを爆殺。

 

………もう驚きもしません。

 

問題が多すぎて整理が追いつかないレベルなのですが、まずヨウコ先輩が氷漬けになってでも食い止めようとしてたペギラが、ハルキがセブンガーで出撃するまでの間に何をしてたのかが不明瞭だったため、ウインダムが無駄死にしたようにしか見えませんでした。

前回まで、怪獣の登場において最初と2回目で時間が経過していることが多い印象だったのですが、同じような文法に沿った話し運びによって、時間経過が不明瞭だったのが今回厳しかったところ。

ウインダムが凍らされてからハルキがセブンガーで出撃するまでにどれくらいの時間が経過してるのかが分からず、さらにその間ペギラがどうしてたかも不明なので緊張感がありませんでした。

ヨウコ先輩のプロ意識に対してハルキのリアクションしか見ることができず、市民を守るための頑張りが無駄に終わった展開もいただけません。

 

そしてセブンガーが苦戦するのはいつものことなのですが、残り少ないエネルギーを使ってロケット噴射でウインダムの氷を溶かすという展開も目が点。

前回、怪獣のデータを特空機に組み込み強化するようなことを言ってたと思うのですが、そんなこともなく更にこんな時に限ってバコさんがいないのも締まりが悪すぎます。

せめて冒頭にセブンガーのロケット噴射について何か言及しておけばと思うのですが…。

 

ゼットランスアローに関しては、率直にもう何年目だと思ってしまいました。

一応古代石器という形で物語冒頭から出現してる要素ではありますが、ストレイジ側がニュースで知るような内容のもので全く関係はありませんし、今回押し出されていた「プロの仕事」というテーマに全くマッチングしておらず、いくら玩具販促が絡んでいる難しい状況だとしても看過できない酷さ。

ジードクローの頃から何も進歩していません。

しかもテーマがマッチングしない中で、終盤"ハルキのプロとしての信念"と"怪獣退治の使命“が混線してしまい「どんな状況でも自分の身を顧みず人々を守るプロ(この考えもどうかと思いますが)」を目指すハズが「怪獣退治の専門家」にスライドしてしまう流れも悪かったです。

おまけにハルキとヨウコ先輩のプロに対するこだわりは今まで描かれていませんし(ハルキに至っては長官に怒られてる際にどうでも良さそうに振る舞うというプロにあるまじき行為すら見せている)、前述の時間経過の都合でウインダムが無駄死にしたように見えたのも(物語として)テーマの後押しが出来ておらず、納得度が薄いものになってしまいました。

書いていて思いついたのですが、偶然にも同じ脚本家が書いている『劇場版R/B』における違和感の正体は書きたいフレーズに対して、それまでの描写がしっかりしていないので"描きたいテーマに対してシナリオが追いついていない"という点だったのかと感じました。

 

戦い終わり、なぜか地上でヨウコ先輩を探すハルキ。

先程自分で救護班を呼んでいたのに、この行動は意味不明。

プロを目指すと言っていた割にメカニック隊員の制止を振り切ったり、救護班の存在を忘れるなど、周りがあまりにも見えてなくて、ハルキが成長したように見えなかったのも今回の残念ポイント。

 

「ハルキ、出動許可も無いのにセブンガーぶっ壊したな?分厚い始末書書いてもらうからな!

………いいから早くヨウコに会ってこい」

地面に倒れながら通信でハルキを叱るついで良い上司ポイントを稼ぐヘビクラは、そのまま闇の笑いを止められないところで、つづく。

「あぁ…面白ぇ」

 

特空機二台いることによる展開、新武器登場、闇のストーカー堂々出陣とあらゆる要素が入り混じった今回ですが、だいぶ事故感が強い(^^;;

正直シナリオとしては見どころがほとんど無いと感じたので、逆に辻本監督の特撮はすごく見応えがありました。

前作でも見せたいわゆる「勇者パース」でランスアローを構えるゼットはストレートにカッコ良かったです。

ペギラ襲来のシーンも田口監督とはまた違う視点を見られたので、次の登板も楽しみです。

 

 

次回、主役は遅れてやってくる?