うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマンZ「未確認物質護送指令」

ウルトラマンZ』

第9話「未確認物質護送指令」

(監督:中川和博 特撮監督:尾上克郎 脚本:鈴木智

「数ヶ月前、宇宙怪獣ゲネガーグの爆発によって、未知のエネルギーを持ったメダルが地上にばら撒かれた。防衛軍はそれを密かに回収していた」

防衛軍は特殊なプラズマを放出していたメダルを研究していたのですが、謎の宇宙ロボットキングジョーに研究所が襲撃され、その内の3枚を強奪されてしまいます。

地球人側からしたら未知のツールであるメダルについての防衛軍の動向が語られ、前回が“繋ぎ“の回だったこともあり、第二部スタートといった導入。

 

後日、ストレイジ指令室ではキングジョーを使ってメダルを強奪した宇宙人の犯行声明をモニターしていました。

「諸君が宇宙の秘宝を、他にも隠していることは知っている」

第1話でゲネガーグ(に取り憑いていたセレブロ)が強奪したメダルが宇宙人たちに"宇宙の秘宝"として定義し、どこかの宇宙海賊が狙い出しそうな雰囲気となりました。

 

私は温厚だから大人しく渡せば悪いようにはしないよ、とメダルの譲渡を求める宇宙人。

襲撃した研究所で働いていた研究員を操ることで、自らの正体を明かさずにメッセージを残す点が非常に不気味です。

また、宇宙人が思いっきり非道な行いをしているため、ストレイジからしたら交渉の余地も無く、メダルを渡すという選択肢も無いというのが短いやりとりで上手く描けています。

 

反面、後の描写を見るに宇宙ロボットの出現に興奮していたであろうユカが指令室で常時ニヤニヤしており、研究員が操られてる映像を見てもその表情を崩さなかったのはかなり踏み外してしまった感。

前回までを見るに、ユカは倫理観の箍が外れ気味のキャラとして描写されてはいるのですが、あまりやりすぎてしまっては笑える範囲ではなくなるので今後への不安が募ります。

 

「とにかく、こんな野郎に絶対に奪われるわけにはいかない。何が起ころうと無事送り届けることが我々の任務だ」

メダルの力を応用できないか研究している統合先進装備研究所(略称:統先研)に残ったメダルを護送することになるストレイジ

護送車での任務になるため、ハルキが初のウインダム搭乗で出撃し護衛に回ります。

護送ルートにトンネルがあり、狙われるとしたらそこだと確認をする辺りは本作らしい丁寧さが出てました。

 

作戦開始され、その場にヨウコ先輩がいないことに気付くハルキ。

「ヨウコには別な任務がある。ハルキ、期待しているぞ」

車内で意味深に笑い合う隊長とユカ…。

途中までは順調だった護送作戦ですが、そこにキングジョーが出現。

道路のカーブから車を掴みに行こうとするキングジョーですが、ハルンダムがギリギリでそれを退けます。

「言うこと聞けっつうの!」

ハルンダムはキングジョーを後ろから押さえつけますが、なんと分離されてしまい頭パーツだけ持って崖を転がっていってしまいます。

 

更に分離した別パーツでトンネルに入った護送車を追いかけるキングジョーは先回りし、隊長とユカを取り囲みます。

ジーっとしててもドーにもならないと判断した隊長とユカは護送していたものをキングジョーに渡してしまいます。

そこに駆けつけ自分が守れなかったと謝罪するハルキ。

しかし渡したものは偽物であり、本物はヨウコ先輩が別ルートで送り届けているという囮作戦だったことを明かされます。

ウソが苦手なハルキだけには作戦の概要を話していなかったということですが、先程統先研についてもすぐにピンと来ない面があったりととことんプロフェッショナルからかけ離れて描かれています。

本作は最終回から逆算してシリーズ構成を立てているとのことですが、第5話におけるプロフェッショナルへの言及と、その後のブリーフィング中のハルキの行動が全く繋がっておらず、後の展開において足を引っ張り過ぎています。

 

「お話は伺っています、ご苦労様でした」

無事に統先研に到着したヨウコ先輩から本物のメダルを受け取った研究員はなんとカブラギであり、突如アタッシュを開け中身を確認。

素っ頓狂な高笑いを上げ、逃走し始めます。

劇中としては宇宙人以外との初会話、いきなり高笑いを上げるなど今までとはややかけ離れた行動を見せており、第二部に入ったことでセレブロの動きも変わってきたということでしょうか。

にしても唐突に現れているので、字幕付きで見ないとカブラギとは認識しづらいことも含め理解に苦しむ描写であり、出番はあったもののカットされたなどの都合があったのでしょうか。

余談ですが、到着したヨウコ先輩が車のドアを閉めずそのままにしてることが、最近『80』21話でのオコリンボール侵入を見たこともあってすごく気になります。

 

逃走するカブラギを追うヨウコ先輩ですが、偽物を掴まされたポンコツロボットキングジョーが現着し事態は泥沼に。

キングジョービームの直撃を受けたと思われたヨウコ先輩が次のシーンでは何故か無事であり、その場のスリルをでっち上げるために雑な展開を用意してしまったのは残念なところ。

通信で現状を把握した隊長はハルンダムを向かわせようとしますが、ウインダムに乗っては間に合わないと判断したハルキはゼットライザーを起動。

ヨウコ先輩のヒロイン力に危機を感じたハルキが光の扉("ヒーローズゲート“という名称とのこと)にアクセスするのは素直にカッコ良かったです。

キングジョーにあわや消炭にされかけていたヨウコ先輩とカブラギですが、そこに師匠三倍盛りになったゼットさんが現着。

またもヒロイン力をチャージしたヨウコ先輩は引き続きカブラギを追跡します。

キングジョーに立ち向かうゼットはそのパワーに苦戦し、ゼスティウム光線すら通用しません。

 

戦いの衝撃で転倒しメダルの入ったアタッシュを落としたカブラギですが、積極的に拾うことはせずにキングジョーにサルベージされる様子を見つめるのみ。

その直後ゼットさんがアタッシュを手掴みで、文字通り横取り!

カブラギはメダルがゼットの手に渡ったことを確認すると、含み笑いを浮かべながらその場を去ります。

これまでウルトラメダルに関しては眼中に無さげであり(リクを攫った際もキラ星メダルはガン無視してましたし)、ヨウコ先輩に追跡されていた際も時々立ち止まったりするなど、目的はメダル強奪ではなくゼットにメダルが渡ることと、その場をかき回すことにあったと考えられます。

謎の高笑いなどこれまでと動きが変わったこともあり、カブラギの野望も次のステージに達したのかもしれません。

 

「ウルトラ面目ない…」

横取りしたメダルはコスモス、ネクサス、メビウスのものであることは分かったものの、そのメダルの使用法をド忘れするゼットさん。

やはりポンコツか…!!

パワー負けの末マウントを取られタコ殴りにされるゼットは、ユカの分析によって分離状態だと接合部が剥き出しになり外装が弱くなることを知ります。

パワーといえば筋肉だと筋肉三倍盛りにチェンジし立ち上がったゼットはそのままゼットファイッと思いきやまたもねじ伏せられてしまい、情けない声でハルキに助言を請います。

「ダメだ!どうしよう!?」

「えっ!?俺に聞く?」

やはりポンコツか……!!!

フルバンクの変身シーンを見せられた後に苦戦するところを見せられて、単純にテンポが悪いです。

 

何を思ったのか分離する相手にこっちも4人になろうと言い出すハルキの提案で、平成三倍盛りにチェンジするゼット。

前回脅威の性能を見せたガンマイリュージョンで4人同時光線を斉射し、分離したところをミラクルホールドで空中磔の刑にしたゼットは平成メダルを使った影響で使用法を思い出したのか、横取りメダルの力でライトニングジェネレードを発動しキングジョーを撃破。

ここでの流れだとキングジョーの装甲を破れないから分離した際の接合部を狙うというものだったと思うのですが、何故かその前に分離した後のことを言い出すハルキ、平成ゼットの出した分身がただ光線を出すためだけの発射台にしかなっておらず挙句分離形態は1人でホールドできてしまうなど脚本と演出がとことん噛み合ってません。

師匠と筋肉の力より平成三倍盛りの方がノーリスクで強いのではと思わさせられて、本作の丁寧な設定づけに大きくダメージを与えています。

また、必殺技の使用法をド忘れしてたシーンを入れた割にあっさり思い出してしまうのは、その場その場の面白さを優先した結果、要素を上手く回収できておらずかなり雑な展開。

ビーム直撃を受けたはずのヨウコ先輩がほぼ無傷なシーンもあるなど、後先考えていないシナリオが目に余ります。

 

「あのメダル、結局統先研に届けられなかったのか…どんな分析が出るか興味あったんだけどな…」

「まあウルトラマンが持ってっちまったんだから仕方ないな。長官はもうあの宇宙ロボットに興味が移ってるよ、部品を回収するんだと」

作戦終わり、珍しく任務を果たせなかったストレイジ指令室では色々と不穏な会話が展開されます。

「宇宙の秘宝かぁ…」

その中でも、以前メダルに触れていたヨウコ先輩は宇宙人の発言に何か引っかかりを覚えます。

最後はキングジョーの部品を回収している場に宇宙人の手が生え、え、地底人だったの?でつづく。

 

本作のキーアイテムであるメダルを軸とした新展開スタートとなった今回は、ストレイジの作戦に怪獣(ロボット)が絡むという序盤を彷彿とさせるプロットながら縦軸の物語を大きく揺さぶる展開となりました。

前回登板で難なく組み立てた鈴木智氏の脚本は大きな抜けは無いものの、個々の要素は少し外し気味な印象でした。

 

ウルトラシリーズ初演出である中川監督と同じく初特技監督の尾上監督が登板したこともあり、イマイチ脚本家と演出陣で連携を図れていないように見えてしまいました。

特にゼット変身以降の流れはめちゃくちゃな展開にした割に、ズレた解決策で終わらせてしまってどうにも消化不良。

キングジョーの動向に関しては、無機質なロボットへの脅威が上手く表現できてて良かった点です。

 

またカブラギの動向についても、今後への布石かとは思われますが大きく揺さぶってきたので面白く変化することを期待しております。

予告を見るに次回とで前後編となるので、もろもろが次回に繋がってほしいです。

総合的な評価は、また次回。

 

 

次回、ヨウコ先輩のヒロイン力を前に、ハルキと宇宙海賊の間に愛の嵐が吹き荒れるーーー