うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマンZ「守るべきもの」

ウルトラマンZ』

第11話「守るべきもの」

(監督:武居正能 脚本:吹原幸太)

色々あってついに配備された特空機3号機キングジョー・ストレイジカスタム。

冒頭から、その武装を嬉々として読み上げるハルキはもちろん、新しい兵器にウキウキを爆発させていました。

シリーズ構成の吹原氏がパイロット以来に登板し、新武装について特有の丁寧な紹介をねじ込んでまいりました。

しかしハルキは、父親の命日ということで実家のある深間市に帰省、かつて父親のマサルとキャッチボールをした過去を思い出しつつ、母ジュンコとの平和なひと時を過ごすことに。

 

その深間市にある工事現場では、繰り返しの作業の影響でどくろ怪獣レッドキングが出現し、隊長はハルキに深間市の避難誘導を任せ、新装備キングジョーを出撃させます。

「野郎ども!急ぐぞ〜!!」

ここで各自に指示を出す隊長、整備班に発破をかけるバコさん、それに応える隊員たちと、ストレイジという組織の規模を改めて強調してくれたのは今回良かったところ。

「キングジョー・ストレイジカスタム、出撃準備!!」

ヨウコ先輩操縦のもと、ストレイジが作り直したキングジョーが今、夢に向かって飛び立つ。

 

現地で避難誘導にあたるハルキ(第5話で避難誘導していたことから自然な対応)は、逃げ遅れその場で泣いている子どもを発見、そしてかつて凶猛怪獣ギーストロンの出現によって父マサルを失った過去を思い出します。

「いいかハルキ、お前が母さんを守れ!!……大丈夫、また会える」

非番の救急隊員か何かだったのか、マサルは逃げ遅れた一般人を一人でも多く助けるために、自分を犠牲にしてしまいます。

今度は失うワケにはいかない、ハルキはゼットライザーを起動させ筋肉三倍盛りに変身。

レッドキングを吹き飛ばし、子どもを上から鷲掴みして救出します。

仕方ないことなのですが、この場面ではバンクシーンを使わないでほしかったです。

ウルトラマンR/B』でも変身前とバンクシーンとで服装が違うという描写がありましたが、インナースペースでは服装も含めて、そういうモードに入っているみたいな解釈でいい感じでしょうか。

 

「ありがとう、ウルトラマンゼット!」

子どもからの声に応え、威勢よくゼットファイッを始めたゼットですが、こっちの方が本物のレッドファイッであるレッドキングの攻撃にまたも苦戦。

そこにヨウコ先輩の駆るキングジョーが現着。

「ゼット様、一緒に戦わせてください!!」

最近の仕事モチベーションはウルトラストーカー行為なのでは疑惑のあるヨウコ先輩は、ゼットと力を合わせてレッドキングと対峙。

しかし作業現場の近くにもう一体のレッドキング(デザインは2代目)が出現し、先輩ジョーはそちらの対応に回ることになります。

「すみませんゼット様!そちらお任せしまーす!!」

飛んでいく際に気を付け、するのが細かい。

先輩ジョーは反応速度の違いに苦労しつつも、2代目を足止めします。

 

一方、力では勝てないと思ったのか師匠三倍盛りにチェンジしたゼットさんは久々にスラッガーヌンチャクを披露し、先日手に入れたレジェンドメダルによる必殺攻撃を連続で見舞わせ、レッドキングを撃破。

リク君先輩との出会いにより主人公力に目覚めた結果、今回ハルキが販促の鬼と化しています。

 

苦戦する先輩ジョーの前に、瞬間移動で登場する平成ゼット。

バロッサ星人に感化されたのか、2代目の前に手を出して猫騙しのような戦法を使っております。

街に出現したレッドキングと違い、崖から離れようとしない2代目を不審に思ったハルキは、そこにレッドキングの卵があることに気付きます。

先程自分たちが倒したレッドキングは、自分の子どもを守ろうとしていただけだった…?

レッドキングにかつての父、そして子どもを助けようとした自分を重ねたハルキは、過呼吸になり動揺。

 

「俺は…なんてことを…」

急に動きの鈍くなったゼットを不思議に思いながらも、ヨウコジョーはキングジョー最強光線をお見舞いしてやるぜ汚物は消毒だぁとしますが、ゼットがそれをバリアー。

ゼットの行動に何かを感じ取った2代目は卵と共にそこから消失。

「ああ、ありゃもたねぇなぁ…」

ジャグラー隊長の真意やいかに。

母との平和なひと時も終わり、夕焼けの街を出て行くハルキ。

父とキャッチボールをした、かつての自分の声がハルキの頭には響いていました。

 

 

キングジョー・ストレイジカスタム初登場回となりましたが、今回は顔見せ程度。

第3話以来の登板となった吹原脚本による主人公のバックボーンが語られる回となっておりました。

誰かを守るプロフェッショナルとして、ストレイジで戦うハルキの背景を補強するのと同時に、本作初参加の武居監督のノスタルジーを感じさせる演出が良かったです。

 

主人公の帰省、人類の所業(悪意は無いにしろ)により怪獣出現、同種を守ろうとする怪獣など、やはり『ガイア』を彷彿とさせる要素が多いように感じます。

ポイントなのは、主人公がそれを理解しないまま怪獣を倒してしまったことであり、またその怪獣の行動もあくまで人類側の勝手な解釈であり、少なくとも今回では正解が見つけ出せていないこと。

ハルキの父マサルはギーストロンの襲来によって命を落としておりますし、ハルキが助けた子どももレッドキングに襲われるところであったと考えると、今後は怪獣との向き合い方を見つめ直すといった方向性になるといったところで、ここにきてこれまで怪獣を爆殺してきたことが活きてくるのでしょうか。

怪獣という未知なる存在との相互理解・共生といった要素は『ガイア』『コスモス』『X』などでも見られたものですが、新しいアプローチを見られることを期待しております。

 

今回はハルキの背景描写ということで、ビックリするくらいストーリーが薄いです。

これは悪口ではなく、あくまでキングジョー出撃と今後への要素のフリを見せるということで、取捨選択の結果かなと思います。

しかし中盤からゼットさんが戦い尽くしだったのは、どう見てもやりすぎ感。

変身バンクを除いて必殺攻撃を発動させるまでハルキのインナースペース描写も無かったので、そういった部分で情緒が見えなかったのは武居監督の演出に期待していただけに残念。

また、人物の関係こそ見えてはきたものの、それぞれのキャラの細かい部分は描かれていなかったので、そういうのはご想像にお任せといったところでしょうか(わざわざ説明しろとも思いませんし)。

 

バロッサ星人回ではどうも誤魔化し気味というか、大らかな作品からシリアスな方に今後大きく流れが変わっていきそうだなと、不穏なものを感じます。

 

 

そんなところで次回、地球の叫び。