うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマンZ「叫ぶ命」

ウルトラマンZ』

第12話「叫ぶ命」

(監督:武居正能 脚本:根元歳三

「実用行動時間、あと1分!」

ハルンガーと先輩ンダム、2人がかりでも歯が立たない怪獣が出現し、セブンガーの活動時間が限界を迎えたと同時に、平成ゼットに変身したハルキですが、怪獣を追い詰め光線を放とうとした直前で前回のことを思い出しギリキャンセル。

序盤からいきなり変身バンクと必殺技バンクが連続で見せてしまったため、すこぶるテンポが悪かったです。

ハルキは前回、父親レッドキングを倒してしまったことをまだ引きずっており、メンタルのブレに反応したのかピコピコ鳴り出すカラータイマー。

結局、怪獣にスキを与える格好になったゼットは、怪獣の放ってきた強力砲撃をガードしようとするも弾き飛ばされてしまいます。

 

怪獣に敗れ地底に逃したストレイジは、指令室で長官から説教を受けることに。

ところが山梨県の地底から出現した怪獣は、ユカが回収した肉片から遺伝子操作された痕跡があることが判明しており、今回も胃を痛めている長官は、隊長に問い詰められ怪獣の正体を語り出します。

どうでもいいのですが、今回ユカが拾ってきた肉片はかなりグロテスクであり、改めてこれ(に近いモノ)の隣にプリン置いてたハルキはやはり危なっかしい。

 

怪獣の名前は爆撃雷獣グルジオライデン。

10年前地球に落下してきた怪獣であり、山梨県の地底で防衛軍が監視していたところ、突如目を覚まし地上に出現したとのことです。

ストレイジの特空機もグルジオライデンのデータを元に制作されていると明言され、第4話でのウインダム充電の理由付けとなりました。

「被害が拡大する前に、キングジョーで殺すんだ!!」

長官の直接的な発言にハッとするハルキ。

怪獣もこの世界に生きる生命なのか…?

悩めるハルキに対し、年下ハンターヨウコ先輩が自身の考えを語ります。

「私たちが強くならなくちゃいけない。自分たちの力で、平和を守れるように」

「本当に、怪獣を倒すことが平和を守ることなんすか?あの二体のレッドキングだって卵を守ろうとしただけです!ライデンも、誰かに改造されて!!」

「卵が孵化して、エサを求めた子どもが街に出たら?」

「それは……」

「今この世界に、怪獣の居場所は無い。可哀想だけど…だからこそ、誰かに押し付けちゃいけない。ちゃんと背負いたいんだ、"生命を奪う"責任を

先程の戦闘で動きの鈍ったゼットを見逃さなかったヨウコ先輩は、誰かを守るために誰かを傷付ける覚悟と、それらを全て自身が請け負うという自己犠牲の心を示し、第5話における無茶な行動と接続させてきました。

「プロである先輩に憧れ」それに近付こうとするハルキに対して、「自身がプロとして戦う」ことにこだわりを持っているのがヨウコ、といったところでしょうか。

だからこそ、第5話で"プロフェッショナル"を"怪獣退治の専門家"にスライドさせてしまったことは、失策に思えてならず、どうしてもあの回だけは素直に飲み込めず。

 

ヨウコ先輩の言葉を聞き、更にモヤモヤを加速させたハルキは、筋トレを始めます。

どこかのアルケミースターズもそうやって真理を探ろうとしてる時がありましたが、自らの身体を苛めぬくハルキは、自身が倒してきた怪獣たちのことを思い出します。

本作は近年の主流であった、悪役に召喚される怪獣といった要素をあえて避け、野生怪獣をメインに置き物語を展開しておりましたが、序盤から野生怪獣を容赦なく爆殺してきたことは、意図的なものであったようです。

やはり本作はガイア愛が強い。

 

その脳内には父・マサルの声が響きます。

「お前たちは先に行け!…俺は1人でも多く助ける」

かつて母と自分、そして近くにいる誰かを助けようとした父なら、一体どうするのだろう…。

同じ自己犠牲でも、誰かを助ける行為とそのために発生する奪う行為の板挟みに囚われるハルキ。

しかし怪獣の出現は、止まってくれない。

「父さん……そうだ…俺も……!よっしゃぁ!!」

ハルキは父と同じように、一歩踏み出すことを選びます。

 

廃材処理場に再出現したグルジオライデンは、廃材を食べて栄養補給。

都市部の出現による被害拡大を防ぐため、ストレイジはキングジョーによる誘導作戦を展開することになります(序盤で制御システムの構築に時間がかかるとして出ない理由付けをしてました)。

ヨウコ先輩の乗り込んだキングジョーは、4機の戦闘機にセパレートモード。

「各機、配置につけ」

とハキハキ指示を出すヨウコ先輩がめちゃくちゃカッコイイ。

誘導弾とキャリアーを有効活用し、グルジオライデンを山間部に追いやった先輩ジョーは、4機の戦闘機を合体させ、タンクモードにチェンジ。

こんなオリジナルに無いギミック、一体誰が設計したんだ(歓喜

 

グルジオライデンが放った強力砲撃を、ペダニウム粒子砲で相殺したことにより生じたスキをつき、待機してたハルンダムがグルジオライデンを拘束。

「ヨウコ先輩!今です!!」

俺たちに"夢"を見せてください!!

「キングジョー・ロボットモード!!」

キングジョー・ストレイジカスタムのロボットモードが立ち上がる!!

エピソードさえ選んでいれば、完璧だったのに…(理不尽)

 

しかしライデンはあっさり拘束を抜け出し、あっさり倒される男の子たちの夢…。

「ゼットさん…やってやらぁ!!!」

ヨウコ先輩を守るためにハルキは、師匠三倍盛りゼットに変身。

ヒットアンドアウェイ戦法で、グルジオライデンにダメージを与えていきます。

今度こそとどめと光線の態勢に入ったゼットですが、ライデンは涙を流していました。

再び動揺したハルキは過呼吸を起こし、ゼットもフュージョンが解けかつてないピコピコを響かせてしまいます。

ライデンの涙は、ややというかかなり唐突で、ハルキの苦悩を見せるために少し強引に展開し過ぎたと思います。

 

ライデンの砲撃がゼットに迫るなか、再起動した先輩ジョーが飛び上がり、砲撃が空を向いたスキをついてゼロ距離ペダニウム。

ゼットは何も出来ずに、その場で消え去ってしまいます。

それを見て、影でほくそ笑むヘビクラ。

今回、ライデンを遺伝子操作した人物については語られていないのですが、果たして隊長は退屈を持て余すエイリアンに過ぎないのか。

 

「敵か味方かは、時と場合による」

 

「ハルキ、応答せよ!ハルキ!?」

ヨウコ先輩の問いかけに応じず、その場で叫ぶことしかできないハルキ、で次回。

 

1クール目の終わりということで、例年では主人公のジャンプアップやイベントのクリアといった要素が多い時期でしたが、本作ではまた方向性を変えてきました。

同じ時期だと「ウルトラマンオーブ」のサンダーブレスター登場に近いものがありましたが、あちらは表向き(商業的に)パワーアップというイベントをこなしているため、ヒーロー(主人公)が手も足も出ず、叫んで終わりという本作はかなり挑戦的。

 

また、素直で年下属性の強いハルキの、負の側面がついに浮上した回でもあります。

第7話において、リクとゼロから主役の座を受け取ったハルキでしたが、あくまで彼が受け継いだのは光の面だけだった("カッコイイ"ところをマネしてるだけ)という要素も浮かび上がり、ヨウコが既に噛み締めている苦い思いは飲み込めず、苦悩することになります。

ヨウコやリク、失った父への尊敬の念が、ハルキの根底を「自分が敬う人物に近付きたい」に固定してしまい、自身で考え、決断することにおいて大きな障壁となってるのかもしれません。

そう考えると、第5話のプロへのこだわりとか(その割に新聞は読まないなど、学習する気は無い)、ライザーを失ってゼットと離れた時の不安など、色々唐突だった行動に理由が付けられる気もしてきて、ここにきて、滅多打ちだった第5話の株が(少し)上昇。

 

そしてそれは、ゼロを師匠と慕うゼットにもそのまま返ってくる要素でもあり、偉大なる父(師匠)を主人公の2人が力を合わせ乗り越え、その先へ進むことが後半戦の大きなテーマとなるといったところでしょうか。

本作において"上下関係"は重要なポイントであり、ゴールとしてハルキとゼットの関係が"対等"になる(最初に戻る)ことが設定されているとも考えられますが、果たして。

重い展開は、昨年の悪夢を思い出させてあまりいい予感はしませんが、楽しみな要素も浮上して今後のストーリーにも期待を持てます。

 

田口監督が、最終回から逆算してシリーズ構成を作ったというのは過言ではなく、今回はこれまでのエピソードの細かい要素を本作初登板の根元歳三氏が上手く拾って、繋ぎ合わせてくれました。

惜しむらくは、ライデンの涙が唐突だった点と、あまりにも重い内容で展開してしまったことで、キングジョー(ヨウコ先輩)が泥を被り過ぎることになってしまった点でしょうか。

キングジョーの合体・活躍はもっとスカッとした場面にしてほしかったな、というのが正直。

まあまだ活躍の機会は十分にあると思うので、今後を楽しみにしたいと思います。

 

 

先の展開に、期待と不安を織り交ぜながら、

次回………え、そのタイミング!?