うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマンZ「ベリアロク」

ウルトラマンZ』

第17話「ベリアロク」

(監督:越知靖 脚本:中野貴雄

「聞いて驚け!俺は宇宙の大海賊バロッサ星人、銀河のお宝を奪い尽くす!それが俺たちの掟だ!!」

「…なんなんだ?」

前回宇宙から舞い降りたモスラ、じゃなかった巨大な翼は以前ゼットに倒されたバロッサ星人の2代目(弟の1人ですが2代目)。

「こいつは宇宙のお宝…いただいていくぜ!!」

メツボロスの腕を装備して襲いかかる2代目の狙いは、ゼットが手にした新武器ベリアロク。

新しい武装にワクワクする男子は全宇宙共通。

 

「俺様に手を触れる前に一つ聞く。俺様を手にして、お前は何をする?」

連戦による疲弊からゼットが落としてしまったベリアロクは、ハルキが自身を手にしようとした時と同じように2代目に問いかけます。

「お前を使って、宇宙のすべてを手に入れる」

「フハハハハ!宇宙の全てか!面白い、俺様を手にするが良い」

割とあっさり使い手を変えてしまう困った魔剣さんは2代目の手に握られ、ファイナルブレイクの連打で結構追い込まれるデルタライズクロー。

 

しかし急に

「お前の攻撃はつまらん、もっと面白いものを斬らせろ」

「俺様は斬りたい時に、斬りたいものを斬る」

とまたまた面倒くさいことを言い出し、その場から逃走し使い手を離れたベリアロクに、ゼットの戦いをモニターしていた隊長が目を付けました。

 

帰還したユカ報告により、筋肉姉弟は病院で療養。

ホロボロスとの戦いで大破したキングジョー、博物館行きのセブンガーを除き、残る特空機はウインダムのみとなってしまいました。

スペック的に考えるとキングジョーの大破は想定外なのかと思われますが、こういう状況で貴重な一体を博物館送りにしてるのはいくらなんでも杜撰。

セブンガーのみが頑張ってた時代に比べれば三体いること自体が大きな進歩なのでしょうが、こういった「力を手に入れたことが慢心を生んでしまう」という要素は、今後の布石となるのでしょうか果たして。

 

「俺様の使い手は、俺様自身が決める」

どこかの商店街に縮こまって突き刺さっていた魔剣さんを2代目が発見し、抜こうとするも触れることすらできず。

そこに療養中のところを抜け出したハルキが駆けつけ、2代目と戦闘に。

治すべき傷を治さずに病院から勝手に抜け出すというプロフェッショナルの風上にも置けない行動は相変わらずの中野脚本。

しかもハルキがそんなケガしてるようにも見えないので(療養自体大事を取ってという面もあるのでしょうが、特空機のパイロットが不足してる面からストレイジにそんな余裕は無い)"病院から抜け出してまで戦闘に向かったハルキ"にヒーロー性を見出そうとしても要素が上手く繋がっておらず、土台が固まっていないまま建てた足場があっさり倒壊してしまってます。

 

一応ケガの影響もあり、2代目にとどめを刺されそうになったハルキの前に現れるジャグラー隊長。

「悪に強いやつは善にも強い、闇も光もぶったぎる。そういうところが気に入った。蛇心流・蛇心剣…お手合わせ願おう」

「面白い、斬ってみるか」

なんだか魂レベルで通じ合ってしまった疑惑のあるジャグラーを試そうと、あえて2代目に握られる魔剣さん。

「その太刀筋は光か、闇か?」

ここでのジャグラーVS2代目のアクション自体は見応えあったのですが、どうもカメラワークが安定せず着ぐるみがドタドタしてる感がひしひしと伝わってきてしまったのはマイナスポイント。

 

2代目に勝利したジャグラーにまたも問いかける魔剣。

「俺様に手を触れる前に一つ聞く。俺様を手にして、お前は何をする?」

「ハイハイ、さぁてどうしたもんかねぇ…俺はこの宇宙がどうなろうと関わりないし、光だの闇だのに興味もない。風の吹くまま、気の向くままさ」

「あての無い旅か…」

「だが…斬ってみたいやつらはいる」

「面白い、俺様を手にするが良い」

やはり何か通じ合うものを感じたベリジャグは、ここで魔剣コンビを結成!

「待て!剣を返せ泥棒」

「オイオイ人聞きの悪いこと言うなよ。剣が、俺を選んだんだぜ?」

どうでもいいのですが、今回横で突っ立ってるだけのハルキが異様に間抜けであり、どうもカメラワークが単調な気がします。

 

勝負に敗れたうえ魔剣まで奪われた2代目は、はらいせとばかりにジュランの種で巨大化。

ライザーを掲げたハルキは、落ちるようにして光の扉にアクセス。

このシーン、いります?

めちゃくちゃ唐突に挿入されたのでテンポを阻害してるうえ、その後何事も無かったように変身バンクに移っており「監督がやりたいことやっただけだな」というのが透けて見えてしまい、ある意味演出としては最低レベル。

 

エンタメとして面白いシーンや意欲的なカットを入れること自体は良いと思うのですが、そのためにはそれ相応の下準備が必要であり、やりたいことだけをピックアップして捻じ込むことは前作で大きな失敗を見せているので避けてほしかったところ。

本作で言うと第3話のベータスマッシュVSゴモラはプロレスを意識したかなりエンタメ寄りの描写だったと思いますが、あちらはゼットに変身する前からゴモラ輸送作戦をカブキアタックなども交えてフィクションとして面白おかしく描写しており、さらにゴモラを花粉症としたことで毒霧に繋がるなど、エンタメとストーリーの融合に力を入れていたため違和感なくできたシーンだと思うのです。

 

師匠三倍盛りに変身したゼットに、急に兄者の仇と復讐に燃え出す2代目…。

デルタライズクローのデザインでゼットと判断してなかった説が急浮上!

まあ、言動と行動からそれでもおかしくないのは演出・脚本面から見ても良かった点。

そんな2代目に意外や意外、竜巻閃光斬が破られてしまい苦戦するゼット。

そこに、もう一人療養から抜け出してきた筋肉の使徒が現れる。

「ウインダム推参!ゼット様、助太刀いたします!!」

ウルトラストーカーは不死身だ!!

 

テンションホルモンでも打ってきたのか、妙にアドレナリンの出てる先輩ンダムはアンリミテッドモードで右手に全パワーを集中し、ウインダムヨウコインパクトで2代目に大ダメージを与えます。

「頭部を破壊するのはやめてくれ〜!」

勢いがあって嫌いなシーンではありませんが、しつこい中の人ネタとチープな合成が映像の質を大きく下げており、面白い半分残念半分といったところ。

 

魔剣抜きで主役三倍盛り・デルタライズクローにチェンジしたゼットは目を血走らせ空中戦。

血走ったゼットとスピーディな空中戦は、非常に見応えがありすごく面白かったです。

とどめを刺そうとするゼットですが、先程返り討ちにされて転がっていた先輩ンダムが人質になってしまい、今日もヒロイン力チャージに余念の無いヨウコ先輩。

 

「ウルトラ卑怯だぞ!正々堂々戦え!!」

ひきょうもらっきょうも無いとキッパリ切り捨てた2代目は無抵抗のデルタゼットをタコ殴り。

「あーあ、だいぶ痛めつけられてるなぁ」

「いい気になって攻撃してくるやつには、必ずスキができる。あいつらはそれを待っている」

そんな状況でも、それを下で観戦してる魔剣コンビに漂うほのぼの感が何ともいえない(笑)

 

「ヨウコ先輩は、俺を助けてくれた!今度は…俺が助ける番です!!こんなやつに!負けてたまるかぁぁぁ!!!」

「そうとも…!最大のピンチは…最大のチャンスだ!!」

「何でだ?何でくたばらないのだぁ!?」

タコ殴りにされながらも決して倒れないゼット。

平和を乱すやつらは許さない、この星を守りたい、傷つき倒れても構わない…だからこそ今倒れるわけにはいかないのです。

「俺たちは…最後まで絶対に!」

「「あきらめない!!!」」

 

「お前の旅も面白そうだ、だが俺様はもっと面白そうなやつらのもとに行く」

「あぁ?」

「安心しろ。お前のことは黙っててやる。その方が面白そうだ…」

案の定あっさりコンビ解散した魔剣さんは、ハルキのインナースペースに侵入。

「俺様に手を触れる前に一つ聞く。俺様を手にして、お前は何をする?」

「……分かんない」

「分かんないって…そりゃ全宇宙の平和を!」

「黙れ、お前には聞いてない」

「俺たちに何ができるか、全然分かんない……分かんないけど!俺たちに!力を貸してください…」

「フハハハハ!未熟!!お前らは本当に未熟だ。だからこそ、いつか大きくて面白いものを斬るかもしれない…それを見てみる気になった。さあ、俺様を手に取れ!」

 

 

「なめるなよ、俺はこの力を使いこなしてみせる!」

「どうなっちまったんだ?建物も道路も柔らかい…砂で作ったみたいだ…」

 

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「ゼロ!ウルトラマンゼロ!!セブンの息子だ!!」

「模造品なんかじゃない!僕はリク!朝倉リク!!それが…僕の名前だぁ!!!」

 

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「お前だって…ウルトラマンだろうがッ!!!」

「疲れたよね…もう、終わりにしよう」

 

 

宇宙の穴を埋める針がリクの遺伝子と結びついたことで生まれた(本物ではない)ながらも、ハルキの叫びに黄金の魂を感じたベリアロクは再び、ハルキ=ゼットの手に収まる!!

また、ハルキ→2代目→ジャグラーと回ってきた魔剣クイズですが、あえて何度も繰り返してきた問いかけに対し、答えを見出せなくなるハルキというのは、結論を急がないで良かったと思います。

ゼットをガン無視だったので、今後そこが拾われたら嬉しいですがあまり期待はしないでおく。

「いいも悪いも、使い手次第ってことか…」

 

主題歌をバックにベリアロクで2代目を袋叩きにするゼット。

「宇宙の理を乱すやつは、俺たちが叩き斬る!!」

今日も圧倒的な主人公力の高まりを見せたハルキはデスシウムファングで2代目をガブリンチョ。

「あいつ、なんて言ってたんです?」

「"大海賊、地球に死す"だとさ」

「散り際も面白くないやつだ」

初めてベリアロクと意見が一致しました。

「ベリアロクさん、本当にありがとうございます!これからも、俺たち一緒に…」

「余韻を台無しにするな。俺様は斬りたい時に斬りたいものを斬る」

まさかのツンデレ属性を発揮し、ヒロインレースに飛び入り参加した魔剣さんであった…!

 

その夜、ホロボロスの爆風に巻き込まれボロボロスになったセレブロはカブラギの身体に限界を感じておりました。

そこにカブラギを取り押さえるべく機動隊員アサノが駆けつけるのですが、カブラギに向けたライフルが何故か破損。

「怖くない…あっという間だからジッとしてて……」

そのスキを狙いセレブロはアサノに乗り換え。

意識を取り戻したカブラギは、何も分からないまま連行されていき、暗闇の中で三日月型の傷を光らせるトゲトゲ星人がいた、でつづく。

 

第10話で言及されていたバロッサ星人の弟登場、ベリアロクを巡る各々の動向、再びベリアロクを手にするハルキ、セレブロ乗り換えと終盤に向けた要素も含めてイベントの多い回となりましたが、実際話はほとんど進んでおらず。

最後ボロボロのカブラギが出てきましたが、ホロボロスの爆風に吹っ飛ばされてたこととか半ば忘れてましたし、時間進行が遅すぎて情報の処理に苦労しました。

 

場面の切り替えもそうでしたが、今回は越監督が少し悪ふざけ気味でイマイチ乗れませんでした。

後半の戦闘シーンは良かったものの、全体的にテンポが悪くバラエティ性を強めようとねじ込んだシーンは面白くなくと、マイナスポイントが多すぎました。

血走るゼットの表現は面白かったので、そういったアイデアをどんどん発信していって実力を付けてほしいなと思います。

ところで、若手の監督が事故感満載のものを作り出す、というのは何か心当たりがあると思ったら杉原監督でした。

 

杉原輝昭・・・

『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』『仮面ライダーゼロワン』でメイン監督を務める。

斬新なカット、細かくスピーディでテンポの良い演出が評価され、最近の東映特撮演出陣においてエース格と目されている。

そんな彼も監督デビューしたばかりの時は意味不明なギャグ演出と、脚本との擦り合わせがしっかり出来てないのではと疑われる緊張感の無さを見せており、事故感溢れる作品を量産していた(本編監督デビュー作『動物戦隊ジュウオウジャー』第27話はある意味必見)。

 

前回登板ではそこそこ良かった中野脚本ですが、今回は第5話ほどではないにしろ逆戻り。

相変わらず一言の破壊力は高いのでセリフの抽出は面白いのですが(逆に今回感想はほとんどセリフの抽出)、中身が伴わないというか土台の建築に失敗してるのは最早名人芸。

中野さんの中ではハルキ→ヨウコ先輩に強い憧れを抱いているという描写に見えますが、肝心の先輩は後半ぶっ倒れてただけなので、相変わらず散りばめた要素の拾い上げが本当に下手です。

 

全体的に不満の残る回となりましたが、中野脚本のクセのあるセリフをさらっとこなすジャグラーや、ビシッと決める主人公ハルキは純粋に面白く、本作が積み上げてきた貯金のなせる業に上手くハマった気がしたので、結局は面白く見られました。

今後も楽しみです。

 

 

次回、旧作要素が強いとキツイのですが果たして…。