うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマンZ「最後の勇者」

ウルトラマンZ』

第19話「最後の勇者」

(監督:辻本貴則 脚本:根元歳三

2年前にストレイジ偵察衛星を食らい、地球に食糧があると襲来してきた宇宙大怪獣ベムスターに対し、今日も先輩ジョーとハルンダムが出撃。

 

ガスタンクを食べ、火のオーラを纏い特攻を仕掛けてくるベムスターに腕を食われそうになったハルンダムは早速筋肉三倍盛りに変身しようとするも、急に光り出すエース兄さんメダル。

そしてそのタイミングで空にヒビが入り、危険を察知したベムスターはそのまま逃走してしまいます。

 

ストレイジはヒビ割れに対し現場待機。

地上待機となったハルキにゼットさんは光の扉で呼びかけます。

「あれは異次元人ヤプールの仕業に違いない」

空に入ったヒビ割れの正体は、かつてウルトラ6兄弟の1人であるウルトラマンエースと死闘を繰り広げたヤプールの残留思念であり、エースメダルが反応したのはそのヤプールが生み出した怪獣を超える怪獣・超獣の出現を予感したからではと推測。

そのエースには昔世話になっていたことを告げるゼットさんから、ウルトラマンエースがどのようなヒーローなのかが語られ、過去作を見てなくても楽しめるようしっかりと配慮されて相変わらず丁寧。

 

「超獣…ゼットさんは戦ったことあるんですか?」

「無い…でも今の俺とハルキなら、絶対負けないってな!」

「……押忍!!」

ただの情報共有に終わらず、ハルキとゼットのバディ感の更なる押し出しも出来ており、本作は痒いところにいい感じに手が届きます。

 

ついに空に入ったヒビは大きな穴となり、そこに殺し屋超獣バラバが降臨。

手始めに一発と言わんばかりに、道路を走っていた相当な数の車が吹っ飛ばされるのですが、やり過ぎでは。

ストレイジが厳戒体制を敷いており車両通行止めなどの対応もしていたと思うので、いくらなんでも車を走らせ過ぎだと思います。

待機していた先輩ジョーは久々の合体バンクでバラバに挑むも、あっさり玉砕し先輩は気絶。

最近あまりにも特空機の扱いが悪い気がします。

残留思念となったウルトラマンエースへの恨みを、少し姿が似ているウインダムにぶつけるバラバに対し、ヒロインのピンチを感じ取った主人公ハルキは主役三倍盛りに変身。

 

「食らえ!!!」

変身して早々、不意打ちを食らわせるベリアロクさんはさすがの腕前。

しかし怨念の詰まったバラバの攻撃に、またも魔剣さんを落としてしまい苦戦する主役ゼット。

この場面、地上を一般人(本作監督陣がカメオ出演してるとのこと)がうろついており、ゼットの移動とともに横スクロールするのですが、酷く気が散るのでやめてほしかったところ。

特撮において、等身大の人物と巨大ヒーローの動きを1カットに収める手法は最近特に工夫が見られるところですが、場合によっては目が回ったり集中できないことも多々あるので慎重に演出していただきたい部分です(武居監督は上手いイメージがありますが)。

 

異次元ホールを駆使してくるバラバにダメージを与えられたゼットさんはオリジナルの姿に戻ってしまい大ピンチ。

「このままじゃ、勝てない…」

さっきまで「絶対負けないって!」とか言ってたのにあっさり掌返しをしていて、やはりポンコツか…!

バラバの頭部剣が迫り、危機一髪のゼットを救ったのは目が覚めたヨウコ先輩のストーカーミサイル…ではなく、横から飛んできた斬撃!

直後、空からバウンドしながら落下してきて赤い球から、超獣退治の専門家・ウルトラマンエースが降臨!!

 

「あの人もウルトラマン…ゼット様のお知り合い……?」

メダルの導きによりこちらの世界にやってきたエース兄さんを前に、ウルトラストーカーはまたもときめいていました!

むしろ年齢的にはゼットよりドンピシャかもしれないぞ!

 

どんな生き物でもダメージを与えれば恐怖を覚え隙が生まれるが、超獣にはそういう理屈が通用しないとあらゆる光線技を畳みかけるエース兄さん。

特捜エクシードラフト」で似たようなセリフを聞いたようなそうでないような。

更にドスことエースブレードを取り出した兄さんに並び、筋肉三倍盛りにチェンジしたゼットは…ランスアロー(生きてた!)を引っ張り出し応戦。

 

ヤプールの怨念に対し、これからも戦い続けることを誓うエースはゼットに、トサカにあるウルトラホールにエネルギーを集めさせ、更にそこからスペースQのエネルギーをゼットに託し、最期は必殺・スペースZでバラバを爆殺。

圧倒的な主人公力不足。

 

夕焼けの中語り合うAとZ。

エース兄さんは過去のゼットさんの面倒を見ており、名付け親でもあったことが判明。

「"Z"にはな、地球の言葉で"最後"という意味がある。お前がこの宇宙から戦いを無くして、平和をもたらす最後の勇者となれ」

自らが若い戦士に名付けたその名は、悲しい戦いを終わらせるために向けられた願いであると同時に、終わらない戦いに身を投じることになった自身に対する言葉だったのかもしれません。

若者に願いを託し、またも地球を飛び去るエース兄さんとゼットさん。

ゼットさんが残したZ字に一文字追加して、A字を作ってしまうエース兄さんはお見事でした。

でもZに足すんじゃなくて、自分で全部A字作ってくれた方がもっと好みだったなぁ…(おい

 

「異次元の壁を破壊する力…これは」

まるで十字架のごとく地面に突き刺さったバラバの剣をモニターで見つめ、何か不穏な様子を見せるユカ…でつづく。

 

 

………

中身が無い。

 

いや、つまらないとか虚無とかそういう話ではなく、この話を『ウルトラマンZ』という作品に入れ込む必要性が感じられません。

一応、異次元を超える能力に対してユカが反応を示しており、縦軸のエピソードにおいて重要な布石となるのでしょうが、逆にいえば「A」に興味の無い人にとってはそこの描写だけ見ておけばいいと断言できるレベル。

もちろん本作に限らず、ウルトラシリーズは過去作からの影響というか、作品の積み重ねと密接なリンクが特色ともいえるのですが、本筋にほぼ無関係の過去キャラを中心に据えて物語を展開するのは激しい違和感を感じてしまいました。

 

もっと不満なのは、終盤エースとヤプールの戦いに物語の焦点がスライドしてしまい、ハルキとゼットの主人公コンビに、ロクなセリフが回ってこないという本末転倒っぷり。

じゃあ第7話でのゼロやジードとの共演はどうなるのかという点ですが「ウルトラマンゼットはウルトラマンゼロの弟子」という基本設定のもと、ゼロの存在が物語に組み込まれ、そのゼロと関係が深いジードとともにクローズアップされることに、なんら不自然さはありません。

そういった偉大なる先達が登場する中でも、ハルキとゼットの主人公としての魅力は存分に押し出されており、ゼロやジードが大活躍してもゼットの魅力を削がない程度に収めていたことで『ウルトラマンZ』という作品における客演として納得のできる(主役を立てている)ものでした。

 

今回のエース兄さんは完全に主人公たちの出番を奪ってしまっており、発言に関しても「ウルトラマンA」という作品の補完にしかなっておらず、客演自体は楽しく見られたものの、どちらかというと楽しみにしていた『Z』としての作品の魅力を減じてしまうことになり、とても残念でした。

前回は過去作を下地にしながらも『Z』という作品の基盤がしっかりしていたので、尚更そういった違和感を強く感じてしまいます。

 

もちろん前述の通り、エース兄さんの説明もしっかりと盛り込んでいて初見の方にもアピールできてる部分はあったのですが、後半はつまらないとか出来が悪いというより、過去作のキャラ客演のスタンスが、今回は抜群に合わなかったといった印象です。

 

辻本監督が今回で本作最終演出ということで、大変気合の入った客演回を担当となりました。

しかし相変わらずブレーキ緩めの一般人描写や、いい加減クドイとさえ感じる自動車や監視カメラ映像の起用など、次回登板される時はもう少し引き出しの多さを見せてほしいところです。

 

 

次回、またも総集編。