うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマンZ「悪夢へのプレリュード」

ウルトラマンZ』

第23話「悪夢へのプレリュード」

(監督:坂本浩一 脚本:吹原幸太)

「第一特殊空挺機甲軍を新たに編成し、今後はこの部隊が、対怪獣ロボット兵器を運用することとします!」

高らかに報道陣に宣言する長官からスタート。

D4レイで甚大な被害を出していたことを記者Aに突っ込まれますが、それに対しユウキマイ(前々回から登場してるメガネの中年女性隊員)が力強く答えます。

 

「今まで人類は、怪獣の脅威からウルトラマンたちに助けられてきました。しかしこのままでいいのでしょうか?所詮彼らは宇宙人、いつまでも我々の味方をしてくれる保証はありません

今まで出現したウルトラマン(ゼット以外にジード、ゼロ、なんとエース兄さんまでいる)の映像を流し、その直後に映ったものはーーー

「その名も、ウルトロイドゼロ」

今まで集めたであろうデータから作成した人造ウルトラマンが、遂に大衆のもとに晒されることに。

 

「地球は、我々人類の手で守らなければならないのです!」

キングジョーでは暴発したD4レイを完璧にコントロールできる新たな特空機を前に、またも長官は高らかに宣言。

人類は自ら地球を守るための救世主を得たのか、そんな期待が高まる中、長官は誰にも聞こえない声で一つの言葉を呟く…

「カレカレータ…」

 

一方、ストレイジが解散したことにより防衛軍の警備員となったハルキは文字通り、死んだ魚のような目をしていました。

「隊長、見返すっつってもどうすりゃいいんすか俺…」

そんなハルキの主人公力低下をサーチしたのか、ヒロイン筆頭のヨウコ先輩が現れランチのお誘い。

出てきたのは唐揚げ弁当でしたが!!

 

「正直つまんないっす、今の仕事。そりゃ…警備も大事っすよ?でも、ストレイジで怪獣と戦ってた日々と比べると、生きてる感じがしないっていうか…」

ヨウコ先輩からヘビクラが除隊して無職2号(1号はバコさん)と化していた現状を聞き、溜まりに溜まった不満を漏らすハルキ。

ロボット乗りから下っ端に下ろされた男の運命は、駐車場で博士の男の子心をくすぐること(何を言っているのか分からないと思うので『ゴジラVSメカゴジラ』参照、とだけ言っておきます)。

確かにロケットパンチやら全身ミサイルやらバンバン使ってた、血と硝煙にまみれた世界が日常だった戦士にとって現状は地獄の苦しみだなと言わんばかりにハルキに同調するヨウコ先輩。

 

話題に困ったハルキは、ここでヨウコ先輩の腕相撲へのこだわりを聞き、それが防衛軍叩き上げの父の教えだったことが判明。

「いいかヨウコ、自分より強い男としか結婚するなよ」

高校生だった頃のヨウコ先輩をなんの躊躇もなく投げ伏せる父(恐らく合気道の達人)は、思春期の娘に、ものすごく恐ろしい呪いをかけていた!

おかげで学生時代から好きになった相手すら躊躇なく投げる修羅と化したヨウコ先輩は、自分より強い男を探すために、腕相撲で相手を見定めていたのです。

第1話から見せていた腕相撲要素でしたが、順当な展開に収まったという感じ。

ここで第5話のプロフェッショナル要素と掛け合わせてくれれば満足だったのですが、やはりあの回は無かったことになっているのか(一応、父が防衛軍の叩き上げということで"戦士としての誇り"に憧れはあったと解釈も可能)。

 

「カッコイイとこ見せちゃうから、警備頼んだよ」

近々行われるウルトロイドゼロの起動実験に向けて、主人公とヒロインがいい感じになってることなど露知らず、怪獣研究センターに異動となったユカは怪獣たちの動きに不自然さを覚えます。

「怪獣たちは、ウルトロイドゼロの存在に反応しています」

複数の怪獣たちの動きが活発化しており、ウルトロイドゼロ起動実験の中止を求めるユカですが、断固として聞き入れない長官。

 

実験計画が止まることはなく、ヨウコ先輩操縦のもと予定通りにウルトロイドゼロが起動。

その起動に応えるかのように、海岸にオイル怪獣タッコング海獣キングゲスラが同時出現。

「やっぱり…地球の怪獣たちはウルトロイドゼロの存在を恐れてるんだ」

更に今度は山から熔鉄怪獣デマーガも出現し、警備を抜け出したハルキは師匠三倍盛りに変身し海獣撃退に向かいます。

 

坂本監督演出ではなかなか珍しく、水際での細かいミニチュアが目立つ戦闘となったゼットVS二大海獣ですが、何気にゼットが別種の複数怪獣を1人で同時に相手するのは初めてでしょうか。

しかしフィールドパワーソース判定に失敗したゼットは海獣コンビにフルボッコにされ、海底に置き去りにされてしまいます。

ポンコツの極み!!!

一応フォローすると、特空機パイロットから警備に回ったことでハルキの戦いの勘が鈍っていた、とか…。

 

ゼットが海岸に向かったことでデマーガ撃退に向かったヨウコロイドゼロですが、そこにまた古代怪獣ゴメス(第1話の個体と違い50m級)と地底怪獣パゴス(第18話登場の個体かは不明)が出現し、圧倒的不利な状況に。

「3対1か…上等!!」

血と硝煙の世界に生きる筋金入りの戦士・ナカシマヨウコに、限界はねぇ!!!

怪獣たちの攻撃をはね除け、黒煙の中を歩くヨウコロイドゼロ、はカッコいいシーンでした。

 

しかし、ゼットの取り逃した海獣コンビが駆けつけ、ヨウコロイドのもとに五体の怪獣が集い、俺たちは地球のパワーを五つに分け合っているんだ!と立ちはだかる戦う地球安全にさすがのヨウコ先輩も狼狽。

「怪獣たちが、ウルトロイドゼロを排除しようとしてる…?」

ヨウコ先輩に、求婚しに来た可能性も捨てきれない。

何とか追いついたゼット様が本日2回目のアルファバーンキック!!を披露し、そのまま主役ゼットにチェンジ。

ついにデルタライズクローもバンクが短縮され、終盤になったのだとこういう面でも実感します。

ライザーとベリアロクの二刀流で戦う主役ゼットはストレートにカッコ良く、前回から引き続き坂本監督の得意分野が発揮されて、重苦しい話の中でしっかりと見せ場を作っていきます。

本邦初披露だったと思うデスシウムクローとデスシウムファングの合わせ技により倒される海獣コンビと思いきや…

「暴走状態が解けた…」

 

え?

 

いや、確かにケムール人とカオリさんを引き剥がすことができるとか色々便利な魔剣さんではありましたが、"自身の安全を守るためにウルトロイドゼロを潰しに来た"怪獣が、"何か別の要因で暴れていただけ"にスライドしてしまい、話運びがおかしい。

また、どんな事情があっても自分の守るべきものを踏みにじることになる怪獣に向き合い、時には倒すことも避けられないという覚悟を決めたハルキがあっさり怪獣を逃してしまっており、その先に逃げ遅れた親子がいたらどうするのだろう?

という疑問がどうしても生じてしまい、本作では珍しい致命的な凡ミス。

 

海獣コンビは退けたものの、陸怪獣三体に囲まれたヨウコロイドは苦戦。

「今だ、撃つんだ!ナカシマ隊員!!」

ブレストファイヤーもといD4レイの発射を、指令室で促す長官。

「D4レイ…発射!!」

前々回での恐怖が過りなかなか引き金を引けなかったヨウコ先輩ですが、生命の危機にまたもD4レイを照射し怪獣たちを木っ端微塵に吹き飛ばします。

 

エネルギーを使い果たしたウルトロイドゼロのコクピットからヨウコ先輩を救出し、主人公とヒロインのお互いのゲージ上げはほんと抜け目無い。

無事ヨウコ先輩を救出したと思った直後、ウルトロイドに飛び乗る一つの影。

それは銭湯でラムネを飲んでいた無職であり、ストレイジの元隊長、トゲトゲ星人・ヘビクラショウタ=ジャグラスジャグラーであった!!

「見えるものだけ信じるなって、教えただろう?」

 

次回、ヘビクラ無職は、ウルトロイドを手に入れセレブロ(株)に就職か!!!???

 

 

ついに登場した人造ウルトラマン・ウルトロイドゼロ。

設定的には『ウルトラマンダイナ』のテラノイドを思い出すところですが、シナリオ的には「大地裂く牙」であり、やはりこの作品はガイア愛が強い。

今回を見る限りウルトロイドゼロは前述のテラノイドに近い末路を迎えそうですが、ここでまた一捻りあれば嬉しい。

 

そして今回は最終2話に入る前の坂本浩一最終演出。

前回が煩悩大爆発でバラエティ性重視だったこともあってか、今回は細かいミニチュアや怪獣の活躍(特空機も広義でいえば怪獣)が目立ったりと、怪獣映画を意識したような迫力ある画が満載。

二刀流ゼットなど、ヒーローの活躍もしっかり描く坂本監督らしさもありましたが、ウルトラマンだけでなく怪獣の活躍も描いてきた「ウルトラマンZ」という作品の本質をピックアップしてくれたような内容となり、メイン監督の田口監督が撮る最終2話に対しまたも"繋ぎ"の意思が感じられ、やはりここ10年でも坂本監督の進化は留まることを知りません。

 

反面、シナリオ面では前述のとおり、本作においては最大の致命傷とも言えるシーンが描かれてしまい、メインライターの吹原さんにしては残念な出来となってしまいました。

残り2話、どのような展開が待っているのかが楽しみでありつつも、若干の不安を残すことになってしまいましたが、信じて最後まで見届けたい。