うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

2人の力合わせ、その先へ進め

ウルトラマンZ』

 まとめ感想

 

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もう2ヶ月近く前になりますが、昨年12月に華々しく最終回を迎えた『ウルトラマンZ』。

初めて全話感想を書いた作品として、まとめ記事を書こう書こうと思っていたらこんな時期になってしまいました。

遅ればせながら、思ったことをつらつらと述べていきたいと思います。

 

※あくまで個人の感想であり多分に偏見も含まれますので、ご覧になる際はそういった点もご了承ください。

 

 

 

まず本作の特徴ですが、各話記事でも何度か書いている通り「手堅さ」「足腰の強さ」が挙げられると思います。

メイン監督を務めた田口清隆監督がシリーズ構成に名を連ね、最終回から逆算して物語が組み立てられた本作をメインライターである吹原幸太氏が丁寧に描くことでストーリーにブレが少なく、また特空機の活躍や、怪獣を中心とした作劇が見せるべき要素をしっかりとプッシュできておりました。

前作『タイガ』において最も不評だった部分は、せっかく揃えた設定を上手く物語に取り入れることができず、スタッフがそれぞれ違う方向に暴走してしまった点にあると思うので、『Z』という作品はコレがイチオシ!という部分を明確にしていたのが基本的な点でありながら、本作が人気になりえた要素であると思います。

 

玩具面においてもコレクションアイテム"ウルトラメダル"を展開することで、『オーブ』『ジード』で好調であったと思われるフュージョン路線を展開できたことが大きかったです。

またそれに合わせて、若き戦士ゼットを"3分の1人前"の未熟者と設定したのも面白かったです。

終わってみれば3枚のメダルが補っていたゼットに、ハルキとベリアロクが加わり三位一体になることで一線級の戦士に変わるという構成だったことが分かるのですが、取っ掛かりの設定と玩具展開が一致してたのもスッキリしてて良かったです。

 

手堅さと安定感を武器としている本作ですが、いわゆる"ニュージェネレーションシリーズ"の総決算というような多くの要素が入ってるのも特徴です。

メインキャラであるヘビクラ隊長は『オーブ』に登場したジャグラスジャグラー本人であり、『ジード』の主人公・朝倉リクが現役ヒーローと同じ変身アイテムを使って新しい変身を行い、公的機関である防衛隊が『X』以来に登場する等々…

特にヘビクラ隊長の行動原理は以前の作品と密接にリンクしており、"過去作品の出来事が、現役作品の縦軸に大きく絡んでくる"という要素は長期シリーズらしい強みであると同時に、かなりの挑戦であったのでは。

 

次にキャラクターについてですが、それも非常に魅力的なメンバーが顔を揃えました。

その中でも特に好きなのは、もちろんナツカワハルキ

(色々なジャンルで)最近視聴していた作品において"主人公の弱々しさ"がどうしても目立つことが多かったのですが、本作の主人公ハルキは各回感想でもちょくちょく書いている通り、私が最も主人公に必要なものだと考える"突破力"を持っているキャラクターであると感じます。

リク君先輩の前で戦士の一人となる宣言をする姿や、M1号を元に戻すために真っ先に口を開く姿は、分かりやすくヒーローという存在を示しており、特に好きな場面。

 

他に挙げるのはどうも難しく、というのも全体的に好きなキャラは同じくらい好きなので、同立でヨウコ先輩、隊長、バコさんといったところ。

ユカさんは後半での動きは悪くなかったのですが、前半での無神経さと価値観がコロコロ変わる姿がどうも共感できず残念ながら…。

人外組だとゼットさんはポンコツキャラとしての描写自体は面白かったものの、メインストーリーに大きく絡んでこないのが惜しかったところ。

魔剣さんはキャラというよりはbotと化してしまってた印象がどうも拭えないのですが、ヨウコ先輩に上手く転がされてしまう姿が見られたりと、「ベリアルっぽいけどベリアルじゃない」描写は面白かったです。

 

 

エピソードごとのポイント・評価

※繰り返しになりますが、個人の感想になりますのでご了承ください。あくまで明確な基準というより印象評価になります。

 

評価:

◎すごく良かった

○良かった

ー普通

△微妙

✖️ダメ回

 

第1話「ご唱和ください、我の名を!」○

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

・変身レクチャー

・「ウルトラ難しいぜ」

 

第2話「戦士の心得」

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

・丁寧な説明

・闇の稽古

・変身までの経緯は雑

 

第3話「生中継!怪獣輸送大作戦」◎

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

・硬芯鉄拳弾とカブキアタック

・ベータスマッシュ登場

・プロレス戦闘

 

第4話「二号ロボ起動計画」△

(監督:辻本貴則 脚本:鈴木智

セレブロ活動開始

・特空機2号ウインダム起動

・光放つオオタコレクション

 

第5話「ファースト・ジャグリング」✖️

(監督:辻本貴則 脚本:中野貴雄

・ゼットランスアロー登場

ジャグラー暗躍開始

・プロフェッショナル

 

第6話「帰ってきた男!」

(監督:坂本浩一 脚本:林壮太郎

・筋肉の戦士リク君先輩

ジード、新しい姿

ポンコツAIギルバリス

 

第7話「陛下のメダル」

(監督:坂本浩一 脚本:林壮太郎

セレブロ、ベリアルメダル生成

・ゼットさん等身大アクション

・ゼロ師匠降臨

・リクからハルキ、主役の座は渡された

 

第8話「神秘の力」

(監督:坂本浩一 脚本:小林雄次

・ガンマフューチャー登場

・劇場版スプリーム

・坂本特有の脚技

 

第9話「未確認物質護送指令」

(監督:中川和博 特撮監督:尾上克郎 脚本:鈴木智

・ハルキ初ウインダム

・ライトニングジェネレード初使用

・キングジョー回収

 

第10話「宇宙海賊登場!」

(監督:中川和博 特撮監督:尾上克郎 脚本:中野貴雄

・強敵?バロッサ星人登場

・ゼットさん再び等身大戦闘

・基地侵入イベント

・バコさん影の殺し屋疑惑

・竜巻閃光斬

 

第11話「守るべきもの」

(監督:武居正能 脚本:吹原幸太)

・キングジョーストレイジカスタム発進

・ハルキの過去

・怪獣は倒していいのか

 

第12話「叫ぶ命」

(監督:武居正能 脚本:根元歳三

・キングジョー躍動

・きな臭い防衛軍

・ゼットほとんど活躍できず

 

第13話「メダルいただきます!」

(監督:内田直之 脚本:池田遼)

カネゴン中心の総集編

・意外といい動きを見せるユカ

・EDの小粋な演出

 

第14話「四次元狂騒曲」

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

セレブロジャグラー接近

・「マグロ…ご賞味ください」

・ハルキ、父との再会

 

第15話「戦士の使命」

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

・リク君先輩再登場

セレブロからメダルを奪うハルジャグ

・黄金の嵐、デルタライズクロー

 

第16話「獅子の声」

(監督:越知靖 脚本:小林雄次

・ユカ主役回

・ロケーションがめちゃくちゃ

・メダル合成メツボロス

 

第17話「ベリアロク」✖️

(監督:越知靖 脚本:中野貴雄

・面倒くさい魔剣さん

・バロッサ2代目

・目が血走るゼット

 

第18話「2020年の再挑戦」✖️

(監督:辻本貴則 脚本:継田淳

・ケムール人二度目の来訪

・何故か裸

・ハルキにも春が来た

 

第19話「最後の勇者」

(監督:辻本貴則 脚本:根元歳三

・ゼットの名付け親エース兄さん

ヤプールしつこい

・異次元の力

 

第20話「想い、その先に」

(監督:武居正能 脚本:小林雄次

・謎の組織登場

ストレイジ活躍

・バコさんバズーカ

 

第21話「D4」

(監督:武居正能 脚本:鈴木智

・マザーケルビム、デカイ

・次元を破壊する力D4

ストレイジ解散

 

第22話「それぞれの明日」

(監督:坂本浩一 脚本:林壮太郎

・バロッサ3代目

・ピエロバコさん

・等身大ゼット三度

パイロット岩田栄慶

・セブンガースペシャル波乗りクラッシュ

 

第23話「悪夢へのプレリュード」

(監督:坂本浩一 脚本:吹原幸太)

・ウルトロイドゼロ起動

・坂本監督、繋ぐ意識

・何故か帰宅する海獣コンビ

 

第24話「滅亡への遊戯」

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

・ついに牙を剥くセレブロ

・ウルトロイドゼロからデストルドスに

・無職愚連隊結成

 

第25話「遥かに輝く戦士たち」

(監督:田口清隆 脚本:吹原幸太)

・バコさんドリル

・初キングジョーを乗りこなすハルキ

・「ペダニウム粒子砲…」「レーザーショット、フル出力…」「「発射!!」」

ストレイジご唱和

・Z字ゼスティウム光線

 

演出本数は田口監督7本、辻本監督4本、坂本監督5本、中川監督(尾上監督)2本、武居監督4本、越監督2本、内田監督1本の全25本。

メインの田口監督を筆頭に特徴的な演出が多かった本作ですが、個人的には坂本監督と武居監督の回が大当たりでした。

いつも通り坂本監督はヒーローの活躍を見事に描いていたのですが、自身の演出だけにこだわらず作品を進める上での"繋ぐ意識"を見られたのが嬉しかったです。

武居監督は今までこれといったエピソードは無かったものの、ストレイジのメンバーを多く動員してその活躍を積極的に見せるのが田口監督と同じくらい上手だったのがプラスポイントでした。

逆に評価の悪いエピソードが多くなってしまったのは辻本監督と越監督の演出回となりましたが、脚本面での折り合いもあるので次回以降に期待したい。

 

脚本面では吹原幸太9本、鈴木智3本、中野貴雄3本、林壮太郎3本、小林雄次3本、根元歳三2本、池田遼1本、継田淳1本の全25本(敬称略)。

シリーズ構成に田口監督が加わり丁寧に組み立てていたからか、メインの吹原さん以外のライターは3本で4人並ぶという不思議な構成。

鈴木さんや根元さんのように無難に書き上げる方もいれば、中野さんや林さんのように特徴が出るのも面白かったところ。

特に林さんのセリフのセンスは、自分の好きな香村純子氏の脚本を彷彿とさせてすごく惹きつけられました。

「リク君先輩!俺が力を貸すって言ったじゃないっすか!!」

は本当に大好きなセリフ。

 

縦軸の要素としてはストレイジの活躍、それに伴う防衛軍の暴走とセレブロの暗躍、ジャグラーの目的の謎といった部分にあるかと思いますが、組み立てが丁寧だった割に最終回においてどうも消化不良気味だったのは気になるところ。

シリーズ通して最終回でテーマをまとめるのはあまり上手いという印象は無いので、要素がまだ生きていた分まだマシだと言えますが、改めてテーマがあちこちから栽培マンのごとく生えてきて自爆し出した前作は衝撃の内容だなと。

 

今のところ8年連続で新作を作り続けているという記録更新状態で、これからも栄光と試行錯誤の両面を抱えて続いていくであろうウルトラシリーズ

最近はどうにも"もがき"が目立ったシリーズの中で、本作はそれを突破する力強さを見せてくれました。

先細りにならず、新しい要素を加えながらも過去の要素で作品を活性化させていくことは前述した通り長期シリーズの強みと言えるので、これからも臆さずに続けてほしいです。

 

強引な結びとなりましたが、とりあえず本作があったことで次回作のハードルが上がると同時に、俄然楽しみが増える(今やってるクロニクルも何だかんだ楽しく見てる)ので、これからもシリーズに強い期待を持って接していきたいと思います。

本当に楽しい作品でした。

 

 

以上、遅くなった上に簡単になりましたが『ウルトラマンZ』まとめでした。

 

お付き合いいただき、ありがとうございました。

 

「この手が届く限り、皆の生命守るぜ!!」

 

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