うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ルール無視のやつらに愛の掟で戦う戦士

大激闘 マッドポリス'80

第4話「切り札は黒いクイーン」

(監督:長谷部安春 脚本:山本英明

 

「世界各国に勢力を広げている国際マフィアの幹部が、続々と日本へ集結を始めた。彼らの来日の目的は、ジャパンマフィアの結成を祝って開かれる特設カジノに参加することだった。

 警視庁はいち早くこれを察知し、参加外人の密着尾行を始めた」

 

そんなワイドショーの特集みたいな始まり方をせんでも…という導入から、今回のボスである石上聖子と三田村富樫の接見が最初から描かれるという異色パターンに発展。

石上は日本の領海外に船を浮かべ、そこを特設カジノとして開く計画を立てていました。

「パーフェクト…予定通り、明後日開きます」

「警察はだいぶ動いているようだが…」

今日も圧力に余念の無い富樫に怯まず、カジノの開催を約束する石上には三田村も強い信頼感を寄せております。

「期待している…君の資金力と、社交会での顔で、賭博組織が結成できたんだから…」

 

特設カジノのことを聞きつけ、案の定行動開始していたマッドポリスは松村を潜入させ、石上と賭博の場で接触

チップではなく金貨で賭博する辺りが、とても嫌な感じです。

「我が社は今夜で倒産です。哀れな中小企業の社長のために、食事でもご馳走してはくれませんか?」

「よろしいわ…何なりとお申し付けください」

おい(笑)

クイーン石上に負けた(フリをした?)ギャンブラー松村は食事をご馳走してくれとだいぶ強引な誘い方を見せ、やたらと顔の怖い執事(芹沢)運転のもとオススメのお店に。

ちなみに芹沢は松村のことを「兄貴」呼びで、組織内の関係がまた掘り下げられることに。

 

カジノのことをグチグチ言いながら食事する松村。

ここの場面で意外なのは松村、テーブルマナーがイマイチ。

おまけに隣に座ってる石上とやたら距離が近く、お互い窮屈そうなのがすごい気になります。

食事中、それとなくあなた暗黒街にも顔が通りますよね?と探りを入れる松村の言葉をいなし、石上は席を外し、MPである松村と芹沢を始末するよう部下に電話で指示。

男2人はそんなことにも気付かず、彼女を自宅まで送ろうとし、JM構成員が待ち伏せしてるポイントまで向かってしまいます。

「おかげさまで、今夜はスリル満点…」

さて、復習です。

Q.「マッドポリス」時空において高確率で発生する現象は?

ヒントは前回感想に転がってると思います。

 


石上宅もとい地獄への一本道をひた走る松村と芹沢の前に現れる2台の車。

たじろぐ男2人をよそに、石上はこれでMP2人の首討ち取ったり!と余裕の笑みを浮かべるも…その車から降りてきたのはマフィアに変装した氷室以下。

A.罠に嵌めようとしたら、返り討ちに遭う。

ことが上手く運びすぎていることを疑問に思った氷室が直前で相手の待ち伏せに気付きこれを撃退、入れ替わって逆に石上を待ち伏せすることに成功したのでした。

「おかげさまで、今夜はスリル満点、素敵な夜だ」

 

無抵抗の石上を建設現場に連れていく氷室以下。

カジノで違法な賭博が行われる日時と居場所を吐かせるために、JMのボスの1人である石上を一睡もさせず監禁することになります。

「死にたくなきゃ、こっちの条件を飲んでもらう」

俺たちはマッドポリスっちゅうくらいだから、あんた1人消すくらいささやかな冗談で済むのよ」

「あんたをコンクリート詰めにするぐらい、簡単なんだぜ」

※警察官のセリフです。

さすがに不憫に思ってか、初対面から石上のことを気になってた芹沢が見張りと称してこっそりパンと牛乳を渡そうとし、「え、そういう展開なの…」と身構えたのですが、そこはさすがに氷室が気付き芹沢を制してくれました。

「あんたの頑張りがどこまで続くか、見物だな」

 

「その夜、帰宅途中の警視総監が襲われた」

一方、石上を捕らえられたJMの方では目には目を、歯には歯を作戦でまさかの警視総監誘拐。

総監と石上の交換を持ちかけ、前回から引き続き人質交換展開に発展。

「逆さ吊りにしても吐かせるんだった…ちょっと紳士的過ぎたようだな」

総監の救出を第一に考えた氷室は組織に電話するよう石上に指示し、双方人質の無事を確認。

自分のことはいいから使命を果たせ、と氷室に勇敢な言葉を残す総監がカッコいい。

 

「指令を伝えるから、メモを取ってちょうだい」

直前に伝えることを条件に人質交換の場所を決めることになり、構成員にメッセージを託す石上。

しかしそれは暗号文であり、MPが自分を収容している場所を巧みに伝達していました。

保安庁を名乗りカチコミを仕掛けてきた構成員に対し、さすがに待ち伏せできなかった氷室以下は相手の発砲!で劣勢に陥り、悠子は脚を撃たれ負傷し(ムーディー組の弱点は左脚か)、石上を盾に構成員を引きつけた芹沢もその凶弾に痛めつけられ、石上を逃してしまい、まさかの「マッドポリス」ルール敗北の瞬間。

前回、メンバー全員銃弾の効かない未確認生命体説が浮上しましたが、打ちどころが悪ければ戦闘不能にまで陥るシーンが挿入され、完敗ムードを容赦なく醸し出し緊張感MAXな展開。

マッドポリス」ルールが通用しなかった理由としてはやはり"スピード感"が重要であると思われます。

先程松村が紳士的過ぎたと言及していたように、明後日にも開かれる(MPはその情報を知らないとはいえ)カジノの概要を掴むために、石上が「空腹と寝不足で根負けするのを待つ」というのはあまりにも悠長過ぎますし、「待ち」の姿勢が目立ちスピード感が足りないという点は、第1話から垣間見える、決断力の不足している氷室をキャップとするMPの最大の弱点と言えるかと思われます。

しかし、実際に石上を逆さ吊りにする氷室以下を見たいかと言われればそうではなく、犯罪者に容赦の無いと謳いながら、あくまで正義の刑事であることから逃れられないジレンマを本作は抱えているようにも見えます(芹沢が散々言ってたように、相手が美しい女性であることも原因ではありますが)。

「キャップ…本当にあたしたちの負け…?」

 

満身創痍のMPを尻目に、見事逃走に成功した石上は富樫に夕方カジノで落ち合うことを約束し、そんな石上の背中を蛇行運転しながら追跡する芹沢。

息も絶え絶えな芹沢から通信が入り、尾行の中継をすることで氷室以下を石上の向かう場所に誘導することに。

「芹沢生きてるのか!?」

芹沢の無事を聞いた瞬間、声を上げる氷室は相変わらず仲間想い。

「私も行きます!!」

あたいもハジキぶっ放したいよ兄貴!!!

と負傷した悠子も声を上げますが、今回は芹沢通信の中継役としてお留守番になり、氷室以下4名で今回も銃火器ノルマ達成し、出撃!

咳き込みながらも必死の追撃で、石上の逃走場所を探り当てた芹沢は事切れ、通信終了。

助手席で、子犬みたいな顔で通信を聞く進司がやたら面白いのですが、一体どうした!?

 

逃走場所にやってきた石上以下は、もう人質として残す必要も無いと警視総監を凍死させようと冷凍庫に放り込みます。

すぐに殺そうとせず、あくまで苦しませようとそのまま冷凍庫に閉じ込める辺りはマフィアらしい性格の悪さと、始末の仕方にこだわるあまり逆転されるきっかけを与えてしまう「悪の組織らしさ」が出ててとっても、ショッ○ーです。

冷凍庫に掛けた鍵を持ち出した石上が見張りを部下に任せ、特設カジノに向かおうとした瞬間に響く銃声。

そこには車の上部からひょこっと上半身を出して発砲!する進司の姿が!!!

氷室運転のもと助手席に座っていたのは、そういうことだったのか!!!!!

 

すぐさま銃撃戦が始まり、前回に続き発砲!した相手から情報を聞き出そうとするMP

だから殺してから聞くな。

「女は俺が探す!」

MPはそれぞれ石上迎撃の松村、総監救出の氷室以下に分かれて行動し、氷室は構成員との撃ち合いに勝利し、冷凍庫の鍵も爆弾であっさり解除し、子犬のように縮こまっていた総監を無事に救出成功。

「俺に撃たれるより、降参した方が得だぞ!」

※警察官のセリフです。

石上を追いかける松村は徐々に距離を詰めていき、投降を呼びかけるも交渉不可能と判断したため車で逃走しようとした石上を射撃一発で射殺。

石上に一杯食わされ続けた松村が、最後は一発で勝負を制するのがとても渋い。

しかし直後、芹沢を探しに行った氷室から「総監頼んます!」と雑に総監を預けられ、余韻に浸れないムーディーであった(笑)

 

銃弾を腹に受け、車の中で倒れていながらも「腹が減った」で済ませる未確認生命体・芹沢の無事も確認され、中継班の悠子もひっそりと喜んでいました。

悠子は男勝りそうなキャラクター性を持っていながら、出しゃばり過ぎない奥ゆかしさが絶妙なバランスで、堀川まゆみ氏のルックスも重なりとても良い味を出しています。

逆に今回は田口久美氏演じるマフィアの女ボス・石上は今までのボスの中では最も肝が据わっており、女性でありながら(という書き方は今時らしくありませんが)非常に力強さを感じ、動きは少ないながらも抜群の存在感を醸し出しております。

 

カジノに向かっていた三田村は、その道のりに警察が駆けつけていたことから石上の敗北を悟り、踵を返すのみでした。

そしてマッドポリスは、今回の功労者である芹沢がグーグー眠っているのを横に、これからの戦いに更なる結束を誓うのです。

「その日開かれていた特設カジノは直ちに手入れされ、ジャパンマフィアの賭博組織は完全に壊滅した。それは間一髪の勝利だった。

 マッドポリスの行く手には、まだ多くの危機が待ち構えている。最後の勝利まで、彼らの道のりは長い

 

 

4回目にして初の女性ボスが登場。

MPが要人の身柄を押さえ、交換展開が発生するのは前回と同じように見えましたが、前回感想で言及した「マッドポリス」ルールを破壊するレベルの謀略に長けた石上勢力に、MPが一度は完全敗北する姿を見せたのが衝撃でした。

同時にそれは、前述の通り第1話の八代と氷室の掛け合いからも垣間見えた、氷室をキャップに据えるマッドポリスの弱点を突いた展開にもなったのですが、それにしても悠長過ぎる監禁作戦、暗号文を見抜けない迂闊さ、冷凍庫の鍵を爆弾であっさり解除(これも前回と一緒)など、雑な部分が目立った印象でした。

長時間監禁するつもりだったならあの建設現場は長居には向いてないでしょうし(相手が女性という油断と気遣いもあったのでしょうが)、今までの描写的にボス級が簡単に口を割るとは思えないので、別に石上が特別凄いとならないのはやや違和感のあったところ。

 

ただ、ここで「マッドポリス」ルールを破り、MPの弱点を突いてきたという点はとても興味深く、これを掘り下げてもらえたら嬉しいところですが、この時代にシリーズ構成という概念があったかも怪しいので、ほんのり期待する程度に収めておきます。

それと今回のメイン格である松村と芹沢にも、それぞれの活躍ポイントが用意されてて、ひたすら株を落とすだけにならないのは良かった点です。

……重傷でありながら一晩中追いかけっこしてた芹沢は若干緊張感を削いでしまいましたが(笑)

 

 

次回、氷室ついにヒロイン化!?