うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

命知らず警察、追跡せよ

大激闘マッドポリス'80

第9話「殺人刑務所」

(監督:西村潔 脚本:峯尾基三

 

射撃訓練の結果でメンバーに昼飯を奢らされそうになる進司に対し「心配するな、俺の奢りだ」と笑顔で声を掛ける氷室。

チームの信頼を得るためには、部下の胃袋を鷲掴みにすることから始めるのがキャップの心得。

横浜の中華街でパーっとやりましょうと舞い上がるMPに突如発砲!が差し込まれる!

謎の男2人組の急襲に、いつも通り返り討ちで対応する氷室以下でしたが、一人仕留めるももう一人は逃亡を許してしまいます。


「金で殺し依頼されたんですね…」

前回同様レベルが高いのか、MP車両のウインドウを破壊するという功績を残した連中の正体は殺し屋であり、先程仕留めた男が死ぬ間際に口を割らせた悠子と進司が、言いづらそうに氷室が狙われていることを通告。

冒頭のほんわかムードから一気にシリアスなテンションに変わりましたが、死にかけの男から情報を聞き出したという悠子の発言がショッキング過ぎて他が頭に入ってきません。

「成功報酬1000万円、マッドポリスのキャップ氷室の首に付けられた懸賞金である」


氷室暗殺を図る黒幕の正体を探るため、急襲してきた男・暴走族上がりの赤松を探し尋問しようとするMPは昼間から道路を我が物顔で走る暴走族に聞き込みを行い、赤松の住処であるボロアパートを特定。

しかし赤松はMPの動きを察知していた何者かによって既に始末されており、逆に部屋にやってきた氷室はその何者かの発砲!により右腕を負傷してしまうもののピンチはチャンス、無線を傍受してたことを逆に利用し、嘘の情報を流しスナイパー岸上(演じるは『ウルトラマンA』の山中隊員こと沖田駿一氏)を誘き出すことに成功。


直後、血塗れで取調べという名の拷問を受ける岸上は観念し自身の安全保証と引き換えに、3ヶ月前に氷室以下によって逮捕され関東刑務所に服役中の東新会会長・浅倉泰造が黒幕であることを自白。

麻薬Gメンで自身も麻薬を使用していた岸上は、陰で覚せい剤の密輸・密売を行なっていた東新会と繋がりがあり、浅倉の指示を受けて行動していたとのことでした。

しかし問題は浅倉が服役中で、しかも逮捕されて以降一切誰とも面会を行っていない中での指令がシャバの人間に伝わっていることであった。

「たっぷり臭い飯食わしてやるから待ってろ」

※警察官のセリフです。

スーツ姿で浅倉との面会にやってきた氷室と松村でしたが、2人の追及をものともせずむしろ氷室を牽制するような態度を見せる浅倉が非常に嫌らしく、演じる金子信雄氏の演技がJM最高幹部の一人としての存在感を強く引き立てています。

前回の岩崎がかなり地味だったので、見た目的にも特徴的なのが効いてて、キャスティングも冴えてます。

「今の世の中、銭さえ出せば一人や二人平気で殺す。そんな連中がゴロゴロしてるからね…」


刑務所の中に内通者がいる可能性も考え、ひとまず東新会幹部である片岡を探し出すために、東新会メンバーたちを砂場に追い詰め、川にまで追いかけて取調べ(拷問)を行うMPですが片岡の尻尾は掴めず、逆に氷室が乗り込むMP車両がまたも殺し屋が操るダンプカーに狙われ、本日2台目の廃車確定するも、安定の返り討ちで殺し屋から片岡の居場所を突き止めることに成功。

ダンプカーに乗り移り拳銃を突きつける氷室が最高にクール。


片岡が浅倉を恐れ自白しないことを考慮しながらも、行動を起こした氷室以下は片岡の住処に向けて発砲!

車を盾に銃撃から逃れる片岡ですが、氷室の狙撃により車が爆発炎上し本日3台目の廃車確定。

サンダルに寝巻きで逃走する片岡を車で追いかけ(MPは車両を何台キープしているのか)拳銃で煽る芹沢は廃ボウリング場で1分23秒に及ぶ長回し演技を見せつけ志賀勝氏はどこからどこまでがアドリブなのか判断が付きません(笑)

「千切りにして、ニワトリの餌にしてやる」

※警察官の…と思いきやそれは浅倉の配下のフリをして片岡を追い詰めた新田のセリフであり、直後松村が背中にヤクザキックを食らわせたことで片岡は同業に拉致されたと勘違いしたまま顔の横で発砲!されるという徹底的なリンチによって遂に観念し、関東刑務所長の小田島が浅倉に買収されたことを自白。

「ムショの署長まで、ジャパンマフィアの一員か…」

麻薬Gメンだった岸上が麻薬を卸していたことも重なり、改めて第2話でのNo.1坂本の存在感とそれを打ち破ったMPの強靭さを感じられるのは嬉しいところ。


疑念が確信に変わったMPはあえて刑務所の人間がいる前で浅倉に片岡の自供内容を語り、刑務所職員を泳がせることに。

浅倉と通じている職員の木戸が接触したのは東新会幹部・野本三郎(33歳、3が多い)。

浅倉の伝言係である木戸を通し、指令を受けた野本は夜中浅倉脱獄の手引きを行うことになり、刑務所の制服を仕入れた浅倉は木戸と共に脱獄!…しようとするも、野本の動きをマークしていたMPに先回りされ、東映名物"いつもの坂"にて現行犯逮捕。

浅倉は更に殺人教唆で懲役が加算され一生ムショ入りになり、その浅倉と黒い癒着を持った小田島所長も当然御用となりました。

氷室以下マッドポリスは、服役しててもなお暗黒街で暗躍していた男の息の根を完全に止めることに成功しエンディング。

今回は本編と重ねて少し長めに流すという異色パターンとなりました。

 

 

場面がコロコロ変わるうえに登場人物が多く出てくる回となりましたが、テンポ良く情報を整理し、またキャスティングにも特徴的な役者をチョイスするなど工夫が見られ、思ったより見やすい回ではありました。

前述の通り、前回やや存在感の薄かったボスの岩崎に比べ、最高幹部の一人である浅倉は言動もさることながら、獄中においてもマッドポリスを攻撃できるというベクトルの違う能力の高さが独特な魅力を放っており、非常に見応えがありました。

 

その中でも銃器に詳しい芹沢や、突っ走り気味な氷室にフォローを入れる松村、しれっと2階から飛び降りる未確認生命体ぶりを見せる新田と進司など、MP側のキャラ描写にもこれまでの要素を入れつつ強度を高めていくのが相変わらず手堅い構成。

本作の良いところは、トンデモ展開でありながらふざけ過ぎずにキャラ描写を積み重ねてくれるところにあると思います。

 

最後の"いつもの坂"での撮影を見るにあまり予算の取れなかった回の可能性も考えられますが、銃撃戦だけでなくカーチェイスのシーンも差し込み迫力ある映像を作れた点も好印象。

車からダンプに乗り移る氷室は本当にカッコ良かったです。

 

 

次回、ギャグ系怪人は一周回って鬼門。