うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

進司!新田を射て

大激闘マッドポリス'80

第11話「爆殺マシーン」

(監督:野田幸男 脚本:宮田雪


「東南アジアの各地で大量の日本製ニセドル紙幣が発見された。だが、その国内での流出ルートの全貌は警視庁公安三課の必死の捜査にも関わらず、容易に掴むことは出来なかった。

 そして、ついに氷室以下マッドポリスに特別な任務が下された。それはニセドル密輸組織の、非合法による壊滅指令であった

歩道橋をバイクで駆け抜ける赤と黒の男女---進司と悠子は、殴る蹴るなどの暴行でとあるライダーを取り調べ。

ナレーションに被せられる映像にも、バットで密輸組織の人物を叩きふせる新田が映されたりなど、冒頭から暴力描写がフルスロットルで言葉通りMPの非合法っぷりが強調されます。


発砲!によってバイクから引き摺り下ろされたチンピライダーはただのトカゲの尻尾であったものの、大手製紙会社だと思われる佐藤製紙が造幣局に運ぶ紙を密輸組織がかっぱらう予定があることを聞き出す。

ニセ紙幣の製造に本物の紙幣と同じ紙が使われれば、ニセ紙幣がより完璧なものになってしまうことを危惧した進司と悠子は密輸組織にJMが絡んでいることを確信し、輸送車の確保に向かうも時既に遅く、まんまと紙をJM構成員たちに持っていかれてしまいます。

トレーラーにぞろぞろ付いていって発砲!してくる構成員が色々容赦ない。


輸送車には逃げられたものの、辛うじて射殺した構成員が所持していたニセ紙幣に、優れた原版の作成技術があることを睨んだ進司は心当たりのある人物として3年前に自分が逮捕した黒崎健二のもとを訪れる。

半年前に刑務所を出ていた元印刷工場の工場長である黒崎は案の定JMに金をちらつかされ、その印刷技術を提供することになっており、夜の12時に原版を金と引き換えに引き渡すことになっていました。

取引現場に氷室以下も駆けつけ、珍しく先回りができたぞマッドポリス


「とっつぁん、大丈夫だから心配すんな。俺は嘘つかないから」

暗闇に潜むMPというすごく見づらい画面で取引の時間を待つ進司と黒崎のとっつぁん。

工場の表通りでブツを引き渡すことになり、影で身を潜める進司でしたが、なんと現れた構成員は取引する間も与えずに黒崎を轢殺。

物陰から出てきた氷室の発砲!によって原版こそ守れたものの、黒崎を守りきれなかった進司は怒りのままバイクに跨り、逃げた構成員を追って単身特攻を仕掛ける。

しかしキャップから引き継がれた迂闊エネルギーが高まったことにより逆に気絶させられ、2話連続で囚われの身になってしまいます。


拉致された敵のアジトで目を覚ました進司の前に現れた男は仙波三郎

表向きは貿易会社の経営をしているが、裏では指名手配されているJM幹部を何人も密出国させている人間密輸のエキスパートであり、その腕を買われニセドル製造組織のトップに選ばれていた男であった。

そしてその横に立つ沢木一彦は元過激派で連続企業爆破事件の犯人として指名手配を受け、治安当局が血眼になって探してる重要人物。

沢木がニセドル紙幣の運び役になることを条件に、沢木の密出国を約束した仙波は沢木を右腕として働かせていました。

医大出身の沢木は爆破物だけでなく薬物に関する知識も豊富であり、なんと催眠を可能とする薬物を進司に投与!

MPの手に渡ったニセ紙幣の原版を、同じくMPである進司の手によって取り戻そうとするついで、ダイナマイトで吹き飛ばすよう指示。

進司は手元にあった釘を手に刺し正気を保とうとするも、薬物の効果と沢木の言葉巧みな暗示によってとうとう催眠状態になり犬と化してしまう

「いいか?今からお前は、このイヤホンから聞こえてくる俺の声の言う通りに動くんだ。立て!立つんだ!!」

この展開、どこかで見たことがあると思ったら、あれだ、竜馬さんだ…(『特警ウインスペクター』第15話「竜馬!正木を射て」参照)


最年少が凄まじい体験をしていることなど露も知らず、アジトでひたすら談笑する氷室(というより渡瀬さん)は進司の帰りを飯でも食いながら待とうと悠子に財布を渡し、買い出しに行かせることに。

部下の信頼を得るためには、まずは胃袋から掴むのがキャップの心得。

ここの場面本当に楽しそうに会話しており、特に氷室(というより渡瀬さん)はもはや素に戻って大笑いしているのが大変微笑ましいのですが、直前で進司が酷い目に遭っているのでやや不謹慎に見えてしまうのが困るところ(笑)

インスタントしか作れない悠子(そういや石上の時のコーヒーもインスタントだった)を指摘するのは芹沢にやたらツボっていましたが、直前まで何かやりとりがあったのでしょうか。

いずれにしても、当時の現場の雰囲気を感じ取ることが出来て何だか嬉しくなった場面です。


マッドポリスはお前の敵だ。やつらをそのダイナマイトで吹っ飛ばして、原版を取り戻してくるんだ」

薬物の影響を受け、更にイヤホンで操られているダーク進司は爆走バイクでMPアジトに帰還し、手筈通りに原版を奪いダイナマイトでアジトを爆破!!

しかし返り討ちエネルギーが作用したことで、威力が全く足りていなかったダイナマイトはMPをギャグ時空に放り込んだだけに留まり、どうして今回は進司側と氷室以下側でここまで温度差が激しいのか(笑)

進司の異変を真っ先に感じ取り、新田の反撃も即座に止める氷室はカッコ良かったのですが。


原版を奪い逃走した進司ですが、用済みになったことで構成員の発砲!によって重傷を負い入院、氷室以下は進司が目を覚ますのを全員で病室で待っている間にも、原版が奪われより完璧になったニセ紙幣の製造は行われていました。

目を覚ました進司は氷室以下の尋問じゃなかった問いかけに応じ、自身が連れてかれた敵のアジトの特徴を思い出す。

灯台が見えたことから港付近にアジトがあるという疑いを持ち、更に現場に行けば分かると傷を負いながらも同行を懇願する進司を連れ、氷室以下は出撃!!


何故か峰不二子スタイルの悠子にアシストされなる進司の証言から、港の近くにある仙波貿易がアジトだと確信した氷室以下は、そこに潜んでいた構成員を返り討ちにし、仙波や沢木たちが輸送船に向かったことを聴取。

何故か港にあった自前のフェリー(船舶免許を持ってる梅宮さんが本当に運転?)で輸送船まで向かったMPは、呑気に船の階段を駆け上がる構成員たちに発砲の嵐!

的がいっぱいだぜぇぇぇぇぇ!!!!!

輸送船を舞台に展開される海上の銃撃戦は迫力があり、色々振り幅のあるエピソードですがアクションシーンをじっくりと見せてくれるのは良い判断だったと思います。

ギャグ要員にされがちだった芹沢にもしっかりと活躍の場面が用意されており、バランスを保ってくれたのも好印象。


悠子のアシスト付きとはいえ割とピンピンしてる進司が未確認生命体っぷりを見せつけつつ、自らを洗脳し耐えがたい屈辱と仲間を皆殺しにするよう指示を与えた沢木を追い詰める。

「撃つなぁ!う、撃たないでくれぇ!!」

「俺が撃つんじゃないんだぜ…俺の耳で、誰かの声が撃て…撃てって言ってんだよ……!!」

※警察官のセリフです。

果たしてその声は沢木のものだったのか、それとも言葉もなく無残に轢殺された黒崎のとっつぁんのものだったのか…。


沢木も撃たれ、ニセ紙幣も手放した仙波はフェリーで1人逃走しようとするも、それを追いかけてきた氷室、進司、悠子の3人が乗り込んだフェリーチェイスの末、氷室によって射殺。

MPの勝利と進司の頑張りを称えてか、タバコの火を進司と共にする氷室がやっぱりクールで美味しい中、早めに流れるEDと被さりナレーションで締め。

残り3人がドタドタと船の階段から降りてくるのはシュールでした。

「ジャパンマフィアのニセドル密輸組織は壊滅し、沢木の国外逃亡は阻止された。

 長い闇の中の戦いが終わった。だが彼らの行く手には、依然として十数部門に及ぶジャパンマフィアの黒い密輸組織が横たわっていた。

 そして、それらを根こそぎに壊滅していくこと無しに、彼らには本当の安らぎの日は訪れなかった

 

 

地下銀行襲撃」の脚本を担当した宮田氏の再登板となった今回。

前回登板時と同様MPらしい尖った発言が少ないのはやや残念でしたが、沢木を撃つ際の進司のセリフはカッコ良かったです。

黒崎のとっつぁんも絡めた発言にしてくれればもっと良かったのですが…。

ただ後半は三田村富樫が登場しない代わりにボスが2人組なことがパターン化してきましたが、"人間密輸のエキスパート(人の扱いに長けてる)"と"医大出身の過激派"という強烈なコンビを出し、それをMPが打ち破る姿を描くことで氷室以下のヒーロー性を引き立てるシナリオはやはり安定感があります。

 

余談ですが以前気になって調べた事項として、本作と筆者がよく見る東映特撮に共通するスタッフを探してみたところ、そのほとんどは繋がりは無く、今回助監督としてクレジットされていた澤井信一郎監督(『宇宙刑事シャイダー』『重甲ビーファイター』などに参加)の名前しか確認できませんでした。

クレジットされてない人物で現在関わりのある方もいる可能性はありますが、特撮とほとんど繋がりが無い本作にも徹底したヒーロー性が描かれていることから、時代劇や任侠ドラマ、刑事ドラマを源流とする東映という会社の地盤には、あらゆる作品ジャンルにおいても共通する"軸"が存在すると考えると色々面白いところです。

 

更なる余談ですが先日放送の『特捜9』第4シーズン第3話において、津田寛治氏演じる村瀬刑事が過去を思い出すという名目で、渡瀬恒彦さんの姿が回想シーンで蘇りました。

色々と込み上げる想いがある中、今回役者たちの素で楽しそうなシーンも描かれて、そういった面でも見ることができて良かった回だと思います。

大爆笑する渡瀬さん、またどこかで見てみたい。

 

 

次回、ショッ○ー?