うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

不完全燃焼

大激闘マッドポリス

第16話「人間狩り」

(監督:舛田利雄 脚本:峯尾基三


溢れ出す闘争心を抑えられない新田と進司(セコンド悠子)は何故かボクシングに興じており、意外にも勝ったのは進司。

その帰り道、若手三人衆は謎の男たちに銃を突きつけられ何事かとスイッチが入る。

「死にたくなかったら人質離せ」

※警察官のセリフです。

しかし悠子が人質になっていたことから抵抗のできなかった新田と進司は、謎の男たちにコンテナに閉じ込められ何処かに運ばれてしまい、敵を振り払おうとした悠子も発砲!されMPの半分が開幕から窮地に立たされることに。

そしてその光景を見つめほくそ笑む男が一人…ってメイスンじゃないか!?(『超電子バイオマン』出演の中田博久氏でした)


「相手の動機すらさっぱり分からん…最悪だな」

松村と芹沢の捜査も空しく、2人を拉致した者の手がかりを掴めないMPが傷ついた悠子の病室で苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた最中、当の2人は草木の生い茂るジャングルで目を覚ます。

コンテナに積まれたと同時に睡眠ガスで気絶させられたことで状況を飲み込めず、辺りを捜索していた2人の前に飛び出したのは木の枝に逆さ吊りにされた見知らぬ男の死体であった。

世界線が『プレデター』のそれに入りかけた直後、2人に向けられる発砲!

何者かが今度は自分たちをターゲットにしていることを感じ取り、丸腰の2人は逃避行に走るが進司が被弾し状況は悪化する一方であった…。

「ちくしょう…こんなところで殺されてたまるかよぉ!!」

しかし不屈の未確認生命体精神を発揮した2人は、自分たちを狙うハンターの一人を捕獲し武器を取るついで目的を聞き出そうとするも、残りのハンターの妨害により取調べ失敗。

更にその男は仲間たちによって銃殺刑に遭ってしまいます。


一方、怪我を押して捜査に向かった悠子の目撃情報から2人を拉致した男を傷害の前科がある平岩久(29)と特定し、2人の連れて行かれた場所を吐かせるため暴力に訴える氷室。

仲間想いが過ぎていつも以上に暴力的になっています。

「島だ、絶海の孤島か…」

2人が連れていかれた先は、見渡す限りの海が広がる無人島。

そして冒頭でほくそ笑んでいたメイスンこそがその拉致を命じた男・江尻であり、JMの麻薬部門担当(麻薬関係何回目だ)として全国に卸売している男でもあった。

「すいません!消防署どこでしょうか!?」

江尻の乗った車に声を掛け、よく分からない絡み方で煙幕弾を投げた氷室、そのまま江尻を拉致し取り調べという名の暴力を執り行うことに。

「狭いんだからデカイ態度取んなよ」

※警察官のセリフです。


圧の強いMPの年長三人衆に三方を取り囲まれた江尻は、平岩の供述を受け自白を迫られるも余裕の態度を崩さなかったが、去年の8月に兄弟部門の組織をMPに叩き潰されたことへの復讐であることに目論みを付けた氷室たちによって射撃の的にされ、両腕を撃たれたことで遂に観念して2人の連れて行かれた先を沖縄のハショウガ島であると自白。

「何の目的で?」「獲物だ…!」「…獲物?」

その頃、怪我の影響もあり心が弱ってきている進司とは対照的に野生のハブを捕まえて丸焼きにしたり、果物を取って齧りついたりランボー新田がサバイバル能力を存分に発揮し、見た目や能力的にもレンジャー部隊出身だったりとかの設定があるのかもです。


「ひょっとしたら、ひょっとしてるかもしれん…」

江尻の供述によると、2人を獲物として拉致したのは麻薬組織の中心人物である西岡竜(42)であり、"人間狩り"を趣味とする西岡は獲物の手配を金で江尻に命じており、その江尻は兄弟組織の復讐と報酬の金、両方を叶えるために新田と進司を拉致し提供。

更に黒い噂の絶えない西岡は捜査当局から目を付けられたためにJMによってハショウガ島に潜伏させられ、そこでヘロインの密造を行いながら定期的に供給される獲物を狩るという、自分にとって非常によく出来たシステムを形成し私欲を満たしていました。

「…狂ってる」

冷静な氷室もかなり怒ってるみたいで、この人たちにこれ言われたらお終いだな、と一線を超えた空気を醸し出します。

氷室以下は明朝ハショウガ島に飛ぶべく、静かにノルマを達成し牙を尖らせていた。


その西岡はというと、ハンティングを共通の趣味としている元ファッションモデルの女と一発始めそうな雰囲気になっており、女も絡めて金と快楽を貪る強欲な男を濃厚に描写し、今の時代だったらお茶の間を凍結させていたであろうシーンをお届けしていました。

報告に来た部下に邪魔され、代わりとばかりに火を付けたタバコを自分が吸って更に女に渡す西岡がハードボイルド。

「これで島暮らしの憂さ晴らしも出来る…ハンティングの醍醐味は、報酬狩りだ…相手が獰猛な程面白い…」


ハンターたちの追撃を逃れ洞窟に隠れていた2人でしたが、西岡によって隠れ場所の目処を付けられたことで再び追われる羽目に。逃走しながらの銃撃戦が展開されるなか、弾切れを起こし絶体絶命の新田たちを救ったのは見知らぬおっさんの発砲!

見知らぬおっさん2人組に連れられ、海岸のボートにやってきた新田たちは2人が麻薬捜査官であることを聞かされる。

麻薬Gメンは、警察手帳持ってた!

ヘロインの密造工場を暴くべくMPに手を貸すGメンでしたが、そのうちの一人が焦ってボートに駆け出したことであっさり射殺され見事無駄死にし、もう一人も胸を撃たれ海に落下し、これは生存フラグ…?

勢いで流されていましたが、ヘロイン密造団の言及はあったとはいえGメン登場はさすがに唐突であり、素直に盛り上がれなかったのは残念ポイント。


追い込まれた新田はカナヅチで泳げない進司を抱えながら、イチかバチかで海に飛び込み敵の射撃を何とか回避。

そこに、飛行機とフェリーを乗り継ぎ氷室以下が駆けつけ一気に状況は好転。

武器と仲間を手に入れた新田は、やっと機能した返り討ちエネルギーを全力全開!!!

ヘロインの製造工場も突き止め、敵を追い込んだ氷室以下は西岡パーティを無残に射殺。

女を撃つのは俺だと言わんばかりに

「もったいねぇな…」と松村は一発で西岡の女を射殺し、意外にも女に執着を見せた(欲望に忠実過ぎたとも取れるでしょうか)西岡は氷室の発砲!によりダメージを受け、更に新田の追撃を受け、自分が狙っていた獲物に見事返り討ちに遭い絶命。

「何が人間狩りだ!ふざけんな!!」

かくして、氷室以下マッドポリスは仲間たちを守り抜き、更にJMの麻薬組織も叩き潰すことに成功したのであります。

「面積14k㎡、周囲17km、珊瑚礁の美しいこの島で行われていた異常な出来事は、氷室たちマッドポリスの手で終止符が打たれ、一味の麻薬生成工場も破壊された」

今回が最終回だし、まだ三田村富樫も出てきてないから、俺たちの戦いはこれからだエンドだな!…と思っていたら、

「その後、ジャパンマフィアは、最大の資金源である麻薬部門での収益を失い、決定的な打撃を受け、

壊滅への道へと追い込まれていったのである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


………えーっと……あー……うん、予告の時点で多少覚悟はしてたんですけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャパンマフィア、ナレーションベースであっさり壊滅。

第1話から登場している大ボスの三田村富樫が前回わざわざ悠子と対面してるシーンを用意していたにも関わらず最終回においては登場無しどころか一切の言及すらされず組織壊滅。

あまり縦軸を意識していない作風はこの時代のスタンダードだったのかもしれませんが、本作は刑事ドラマとしては珍しく明確な敵組織として"ジャパンマフィア"を設定し、毎話必ず流されるOPナレーションにおいても名前が出ている程の存在感を示しており、氷室以下"マッドポリス"に並ぶ「本作の顔」とも言うべき組織でした。

普段特撮系を多く見ているという影響もありますが、明確な悪役として設定されたジャパンマフィアをあまりにもあっさり処分し過ぎていて、以前に言及した東映におけるノウハウの伝わってない部分が露見したなという印象を受けました。

特に前回前々回においてはヒットチームによるアジト乗っ取り、三田村秘蔵のダンヒル参戦等々特撮ドラマだとしたら終盤の決戦に向けた緊迫の展開が用意されていた(更に演出は『ギャバン』に参加していた田中監督)のですが、そういった要素が一切拾われることが無かったので、完璧な不完全燃焼。

 


好意的な見方をすれば、今回のボス=ラスボスである西岡は今までのJMボスと比べて仕事に対する使命感が欠如しており、女、金、趣味といった快楽に溺れている敵として描かれていたところがポイントかなと。

OPの時点から隠す気の無い狂気が漂う本作において多少の奇行は可愛いものであり(氷室たちがMPとして死命を賭け、犯罪者たちを容赦なく射殺している心情や背景などが一切描かれていないことからも、登場人物にまともな倫理観を求めている作風でない)、その筆頭である氷室の口から「…狂ってる」とまで言わせた西岡の存在は本作においては非常に大きく、JMが壊滅する大きなポイントとなり得たとも考えられます。

一応ヘロインの密造団として活動してはいましたが、まともに働いていたとも思えないので、本作の根底に任侠もののテーゼが組み込まれているのだと考えれば"組織に尽くさなかった男こそが、組織壊滅のトリガーだった"という要素は色々と興味深いものがあります。

 


しかし上記はかなり無理やり解釈したもので、セカンドシーズンの存在を知り、最終回とは思えない予告が流れた時点で色々察していたものの一つの連続ドラマの終わり方としては残念としかいいようが無く、最終回にして本作2回目の事故回となりました。

とはいえセカンドシーズンの配信も決まり、追加メンバーも出てくるということで、まだまだ氷室以下の活躍を見ることができるのは率直に嬉しく、こちらの方はキレイに畳んでくれることを期待しながら今後も感想を書いていきたいと思います。

 

 

色々と言いましたが、『大激闘マッドポリス'80』感想は以上となります。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

 

次回『特命刑事』でお会いしましょう。