うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマントリガー「超古代の光と闇」

ウルトラマントリガー』

第3話「超古代の光と闇」

(監督:坂本浩一 脚本:ハヤシナオキ)

「あっ、それはルルイエ。僕が火星で育てた新種なんだ」

花の戦士ケンゴは今日も植物に水をやり、それを笑顔で応援するユナはそんなケンゴの教育係を命じられ、ヒロインポイントを稼ぐきっかけを掴もうとしていたナースデッセイ内での日常。

「でもいつか素敵な花を咲かせて、見た人皆を笑顔にする!予定なんだけど…」

「できる!」

そんな主人公とヒロインの様子を、気が安まらぬ様子で窺うアキトが美味しい(笑)


地球のマスコミは火星から地球にやってきた巨人・トリガーの存在について報道し、TPUもトリガーに関しては未だ監視対象であるというスタンスから隊長はそれに従うも、隊員たちからは不満タラタラ…とあなたたち、会長の言葉信じすぎでは?

そしてその会長の言葉を簡単に鵜呑みにしない隊長、やはり何か思うところはあるのでしょうか。


同じ頃、教育係と行動を共にすることになったケンゴは下校するユナとアキト(2人とも高校に通ってる)に付き纏う全身真っ黒な怪しいスマイル野郎と化し、色んな意味でカオスなパーティとなってきており、着替えを取りに若者トリオは一旦シズマ邸に向かうことに。

「アキトがまだ小さかった頃、この家に来たの。だから…きょうだいみたいなものかな?」

「…だな」

幼馴染と一つ屋根の下に暮らすも、ある意味当然ともいえる距離感になってしまったアキトが残念ポイントを稼ぎつつ、やや諦めに近いリアクションを取ってしまうのも、切ない。


「いいねぇ、ゴクジョーだ…」

支度が整ったユナでしたが、前回ナースデッセイ号を見上げていた怪しい男がユナの部屋に不法侵入しており、突如現れた不審者に殴りかかるポンコツ男子2人…

しばらく、監督得意の生身戦闘をお楽しみください。

役者の演技が現時点では拙いことと見せ方もどうも単調なので、この場面はどうも、見てて恥ずかしったです…。

どうでもいいことですが、アキトよりケンゴの方が喧嘩慣れしてそうな動きに見えます。

「全てのゴクジョーは俺に盗まれるために存在する。また来るぜ」

アキトのパンチを一発食らい、顔に不気味な紋章が浮かび上がったことから異星人と判明した不審者が、ユナの手前はっきりと言えないアキトに対し不敵に言い残したこのセリフ回しはカッコよかったですが、主人公の存在感が損なわれつつあって、どうも締まりが悪い。


ユナが異星人に狙われたことから、不審者の正体は石版に記されている3体の闇の巨人の一人ではないかと会長とアキトが推測を立てながら、スムーズにカルミラとダーゴンの存在を視聴者に説明し、この辺りは前回までに比べて上手く流れを組めていたと思います。

「この石版の全てが解読できれば、答えは出るのか…」

「ユナに…真実を伝えなくていいんですか?」

「時が来れば、私が話す」

「分かりました。ユナは必ず俺が守ります!」

ヒジリ隊員、上手く洗脳されていますが、多分会長は守る方は期待してないゾ。


翌朝「こんな時に学校行かなくても…」(本当だよ…)という中、例の巨人(人間大)がトリオの目の前に現れ、アキトがブートアップ!ゼットン火炎弾を放つもあっさりユナが連れ去られてしまう。

「さあ、"エタニティ・コア"のもとへ案内してもらいましょうか?ユザレ」

誘拐されヒロインゲージの高まりを期待するユナに第1話から巨人勢が見せている超古代語(本当にそういう名称)以外に現代語もちゃんと話せるインテリ巨人ならぬ俊敏策士ヒュドラムはその目的を語り、刃を突きつける。

まだ覚醒を見せていないという意味深な発言をヒュドラムが叩き出したタイミングで、突然飛んでくる衝撃波!

その正体はGPSで後を追ってきてブートアップ!したアキト…ではなく先程の不審者!!

アキトー!アキトーー!!

そういうところだぞーーー!!!


「久しぶりだな、ヒュドラム。俺のこと覚えてるか?」

「ふーむ…はて、どこのどなたです?」

「よーく分かった…お前にとってはその程度ってことかぁ!!」

どうやらヒュドラムと浅からぬ因縁を抱える不審者は、呆れと怒りが入り交じったような叫びとともに顔の紋章を出現させ、リシュリア星人と呼ばれる異星人と判明。

今回は演技も撮り方もややキッツイものがあるのですが、この場面は素直にカッコ良くてやはり経験豊富な役者の安定感が光ります。


「エクセレント!思い出しましたよ!!…ん?客人のようですね」

湧いてきたぜ…となったヒュドラムですが俊敏移動でその場を去り、そこに遅れてやってきたアキトとケンゴは案の定先程の不審者がユナを連れ去ったと勘違いし、アキトによる容赦ない発砲!

しかし不審者でも自分を守ってくれたことから、ユナはその銃弾の前に立ち、突如覚醒して弾丸を止めるシールド要員ユザレ(笑)

「渡してはいけない…闇の巨人に……"エタニティ・コア"を…」

放たれた銃弾の前に緊張感ゼロで飛び出し、設定説明のために雑に覚醒させられるユナも大概ですが、「ユナは必ず俺が守ります!!」と言っておきながら覚醒シールドのきっかけになってしまうアキトがあまりにも哀れ。

その様子を見ていたヒュドラムがユナの身に危険が迫ればユザレ覚醒を促せるということを知るのですが、その場面を見せたいがためにアキトの行動をあまりにも軽率に描き過ぎですし、それに対するケンゴの反応も「君は夢の中の…」というもので、ユナにも軽率に発砲したアキトにも向けられておらず、普段から叫ぶ「スマイル!スマイル!」にこういう部分から肉付けできないのもなかなかに致命的。


ヒュドラムによって電磁波の中に潜む大量のクリッターが融合、変形闇怪獣ガゾートが出現させられ、それに対するマルゥル(GUTS-SELECT内のマスコット兼怪獣情報屋担当)の

「でっかいのが来るってことだよ!」というセリフは面白い一方、ファルコン出撃の命令で「喜んで(クール)と言ってしまうヒマリ隊員で色々台無しに。

闇の巨人によって操られる怪獣は目が充血し、発するエネルギーも巨人と同じものになるということが判明し、ガゾートは空中から街を破壊していたところ、今日も大口開いて叫びながらファルコンを操縦するヒマリ隊員によって地上に下され、ガウォーク形態に変形したファルコンとしばらく交戦。

「本当のスピードを見せてやれ!」

もはや本作の特徴とも言える「映像だけ迫真」をファルコンが発揮し始めたところで、気絶したユナに上着を掛けてもう満足したのか、ケンゴにすごく爽やかに青いハイパーキー(会長と話してた時に生成されていた)を渡すアキトー!アキトーー!!

そういうところだぞーーー!!!

一方、ケンゴはマルチトリガーにブートアップ!する様子を不審者にごく普通に目撃されており、あ、やっぱ叫んでるところって周りから普通に見えてるのか(笑)


何だか以前より四角くなって見えるガゾートの光弾攻撃と飛行能力に対処するため、アキトから託された俊敏キーをケンゴはブートアップ!

「天空を翔ける、高速の光!!」

細身な紫カラーのスカイタイプにチェンジしたトリガーはガゾートとの激しい空中戦を展開し、しゃしゃり出てきたファルコンも庇うことでポイントを稼ぎ、テンションの上がったタツミ隊長のハートもしっかりキャッチ!

肩を並べ空を舞うトリガーとファルコンの映像はストレートに決まりました。

トリガーはランバルト光弾で再びガゾートを地上に落とし、更に空中からスカイアローのマキシマムブートアップ!!アローストライクでガゾートを爆砕する!


今回も気持ち良く勝てた…と思ったのも束の間、夕陽を浴びていた背中に突き刺さった一閃により今度はトリガーが地上に叩き落とされる!

「エクセレント!懐かしいですねぇ…トリガー」

ガゾートとの戦いの直後なうえ、闇の巨人のイメージが頭に浮かび頭痛を発症しカラータイマーをピコンピコンさせながらも迫力の空中戦を繰り広げるトリガーと、まさに俊敏策士といった働きでカルミラダーゴンとは一味違う恐ろしさを見せるヒュドラムの戦いは映像も相まって見応えがありました。


本当のスピードって何だよ、あいつテキトーなこと言いやがって…と初陣で敗北寸前のスカイトリガーでしたが、そこに夕陽を背負いナースデッセイ号が浮上、そのまま規格外のナースキャノンを発射しヒュドラムを吹き飛ばす!

たじろぐ会長を前にデスクでドヤ顔する隊長が素敵です(笑)

「エクセレントじゃねぇなぁ!!俺はお楽しみを邪魔されるのが、宇宙一嫌いなんだよぉ!!!」

他の2人には無いキャラの振り幅を発揮し激昂するヒュドラムでしたが、これ以上暴れないようにとカルミラとダーゴンが回収していき、ヒュドラムを精一杯押さえつけるダーゴンさんの好感度が上がってしまい、巨人勢はやはり互いの掛け合いで油が乗っていきそうな雰囲気はあります。


結果的に命拾いとなり毎度の通りよろよろ歩くケンゴの前に存在を忘れかけられていた不審者が三度登場し、ユナを守ってくれたことに一応お礼を言うケンゴはちょっと主人公らしくて良かった点。

ケンゴが名乗ったことから不審者もトレジャーハンター・イグニスという名を2人に告げ、ゴクジョーを奪いにまた姿を現すことを約束する…。

ウルトラマントリガー…その力、ゴクジョーだな」


「ユナは超古代文明の謎を解く、重要な鍵となる存在なんだ」

「どうかこのことは、ユナには黙っていてほしい。抱えている運命の重さを、受け止められるかどうか…」

闇の巨人の目的がユナ=ユザレの握る"エタニティ・コア"の秘密であることを知った会長は、ユナのことをケンゴとアキトに任せ、しばらく基地を離れることに。

コレクションアイテムのハイパー"キー"という単語に合わせユナの存在を引き立て、更にケンゴの正体が最初から何人かに知れてるな…と思っていたところで「ユナがユザレであることを、主人公たちが本人に隠す」という逆転の発想は面白く、今後の楽しみとなりました。

ケンゴの正体が知られるか、ユナに宿った思念体・ユザレが出てくるのが早いか…先が見えないので気になりますね。


一方、地上からは締め出されたのか、どこぞの海底で反省会を行う3巨人は未だ興奮するヒュドラムを鎮め、各々の目的を語り出し、今後の活動に関して視聴者に情報共有、でつづく。

「いよいよ、我が好敵手と決着を着ける時か!」

「エクセレント…まあ、私は2人より100年早起きして、待ってましたけどね」

「3000万年前、成しえなかった悲願を今…

 "エタニティ・コア"を、闇の手に!!」

 

 

パイロット担当の坂本監督が担当する1〜3話にウルトラマンの初期3タイプを登場させるという初の試みとなりましたが、案の定散らかった要素を処理しきれなかった感の否めない構成となりました。

エピソード自体はカルミラたちの目的が明確になり、イグニスの登場でキャラ描写にもアクセントを付け、前回までは影の薄かったユナを中心に据える展開になり、やっとエンジンがかかってきたという印象ですが、相変わらずGUTS-SELECT内のキャラ描写が面白くなく、肝心のケンゴも細かい動作の不足で主人公力が大きく削ぎ落とされているので、早めの改善を期待したいところです。

所々で面白い部分はあったものの、細かい描写に引っかかりが生まれ全体的には惜しいエピソードとなりました。


一方で、闇の巨人の中では最後に登場しながら100年前に既に目覚めていた、ユナとユザレの関係に真っ先に迫っている、イグニスとの因縁、慇懃無礼な態度からの逆上といったヒュドラムの描写に関しては目を見張るものがあり、俊敏策士という肩書きの通り内外において優秀な立ち回りを見せる姿は今後も楽しみな部分です。


今回ドラマパートでは単調な演出が目立った坂本監督ですが、特撮パートにおいてスカイタイプとヒュドラムのワイヤーを駆使した空中戦はさすがの迫力で、詰め詰めな販促スケジュールの中で、ひとまずヒーローをカッコ良く撮ろうという監督の長所が出て良い判断になったと思います。

ストーリー運びとキャラ描写が演出に追いついていないのは引き続き難点ですが、セリフ回しが面白いのと、イグニスやヒュドラムも加わりキャラ描写も今後もっと深められていくと思われるので、その辺りは純粋に楽しみです。

 

 

次回、ケンゴは"主人公"になれるか。