うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマントリガー「1時間の悪魔」

ウルトラマントリガー』

第6話「1時間の悪魔」

(監督:武居正能 脚本:根元歳三

苦戦属性を引きずり過ぎたことでついに開幕からピコンピコンで始まったマルチトリガーは夕焼けの街で無機質に暴れるロボット怪獣に完敗。

トリガーからケンゴに戻ったところにも容赦なく攻撃を仕掛けようとするロボットでしたが、活動を急停止しケンゴは何とか命拾い。


「悪魔が降りてきたのは、3日前だった」

3日前、無人島に宇宙から降りてきたロボット怪獣にGUTS-SELECTとトリガーが挑むもその強力なパワーになす術もなく、トリガー各タイプが3日に分け、毎回敗北しているという衝撃の展開。

とある星にて防衛用に製作された兵器ギガデロスを改造して作ったと思われるロボット怪獣は、強力なエネルギーを行使するため1日に1時間しか行動出来ず、1時間というタイムリミットが逆に23時間後の悪夢を引き立たせるというのは面白い展開でしたが、何故か大怪我しているケンゴに誰も突っ込まないなどウルトラマンの正体をどう隠すかを上手くストーリーに落とし込めてないのは残念な部分。


「1時間の悪魔…サタンデロス」

名前を付ける以外に未だ対策の図れないGUTS-SELECTの職場の雰囲気が悪化してきた頃、再度不法侵入してきた不審者イグニスが指令室に登場し、惑星破壊神サタンデロス対策への協力を申し出る。

「その顔の紋章、間違いねぇ!お前、リシュリア星人だろ?マジかよ…まさか生き残りがいたとはな…」

「生き残り?」

「うん…リシュリア星は100年前、何者かに滅ぼされたんだ」

「え…ひょっとして、イグニスの星もアイツに…?」

「いいや、他人の星を勝手に踏み荒らすやつらが気に入らないだけさ…」

筋肉ホールドで身柄拘束に来たテッシン隊員の身動きを封じるために能力を発動した際、顔に出現した紋章からマルゥルがイグニスの正体を特定し設定説明。

選択の余地は無いとイグニスの誘いに責任は全て私が取ると隊長が乗り、ここにトレジャーハンターと防衛隊の異種混合チームが完成する。


サタンデロスの厄介な部分は、簡単には破れないうえすぐに回復してしまうバリアシステムにあり、ナースキャノンで一点を狙って亀裂を生じさせ、そこに飛び込んで直接装甲を狙えば勝機が見えるという作戦となり、その飛び込み担当として超人的な身体能力を持つイグニスが自ら名乗り出る。

急に早口になった隊長の指示でキャノンの出力調整、ファルコンの戦闘シミュレート、現場警戒にGUTS-SELECTの面々が割り振られ、怪獣対策を主軸に据えた防衛隊の活躍を全面に押し出す回としてテンポ良く進んでいきます。

しかしさっきまで腕を吊っていたケンゴまで現場担当であり、怪我人を現場に配置するな。


「でも、地球人のお前がなんであんな力を?」

イグニスはガゾート出現の際にケンゴがトリガーに変身した姿を目撃していたことから、いざという時はお前の力が必要だと協力を申し出ており、火星で光を手にした経験を語り出すケンゴの回想で力強く壁に叩きつけられるカルミラさんはやはり強烈。

そして回想で改めて見ても横から見る「ウルトラマントリガー!」と叫んでる姿が間抜け過ぎて、イグニスに変身する姿を見せるためとはいえもう少し上手く演出できなかったのかとは思うところ。


イグニスがケンゴから巨人になる方法をさりげなく聴取したりする中、サタンデロス起動前に全ての準備は整い、GUTS-SELECTは作戦開始し、それと同時に頭の包帯を取りキャップを被るケンゴがすごく男前で、芝居と演出で主人公力を上げてきているのは地味ながら好印象。

「ヤツが動き出す前に叩く!ナースキャノン発射!!」

捨て身の出力マシマシナースキャノンによって破壊されたバリアの亀裂に、ファルコンの機首に乗ったイグニスが飛び込み、爆弾でサタンデロスのバリア装置を破壊!

「これが宇宙一のトレジャーハンターの、腕前ってな!!」

無敵だったサタンデロスに攻撃が直接通るようになり、隊長はナースキャノンをもう一発発射して一気に畳み掛けようとするも、横から飛び込んできた斬撃によってナースデッセイ号は機関部を損傷。

「やはりお前の仕業か。相変わらず悪趣味な野郎だ…」

「せっかくです、もう少し楽しみましょう…フッ!」

サタンデロス事件の首謀者であり、イグニスの因縁の相手でもあるヒュドラムは場をかき乱し、ケンゴはマルチトリガーにブートアップ!


サタンデロスを地上のユナとファルコンが足止めしてる間にトリガーとヒュドラムの激しい戦闘が展開され、闇の巨人の登場によって見応えのあるスピーディーなアクションを展開できるのは、本作の特徴が出て面白かったです。

「ほぉ〜この間より動きがいいですね。しかし残念です!せっかくの力を、人間なんかのために使うなんて。昔のあなたの方が、エレガントでしたねぇ

ケンゴが夢で見た闇の巨人に関して、何か知ってそうなヒュドラムですが、このセリフが"ケンゴに向けられたもの"なのか"トリガーに向けられたもの"なのかが不明瞭なのが相変わらず不穏で、更に苦戦するトリガーに地上から声を掛けたユナがヒュドラムに目を付けられ、攻撃の直前にシールド要員ユザレが発動。

「エクセレント!順調に目覚めつつあるようですねぇ!!」

それすらも思惑通りというように見えるヒュドラムの目的と底知れなさがますます魅力的になり、謎の引っ張り方に関しては、非常に巧みで目を見張るものがあるのが本作の長所。

またその際、瓦礫と化した街において自分のいる所だけが無事だったことに違和感を覚えるユナを描くのも細かいところ。


ヒュドラムの狡猾さに、怒りが頂点に達したケンゴは俊敏キーをブートアップ!しスカイタイプでソードを使い、主題歌インストで怒涛の高速ラッシュ(田口監督の好きそうな主観カメラ)をヒュドラムに叩き込み、ヒュドラムが怯んだ隙を突いてスカイアローでサタンデロスの足を串刺しにし、動きを封じる。

そこに損傷しながらもエネルギーをチャージしたナースキャノンとファルコンのバルカンが叩き込まれ、GUTS-SELECTの活躍によってサタンデロスを爆砕!

「テメェ!調子に乗ってんじゃねぇぞ〜!!」

急に物凄く沸点の低くなったヒュドラムに、スカイトリガーは振り向きざまランバルト光弾を叩きつけ、打たれ弱かったのか派手に爆発するヒュドラム(笑)

この爆発の場面は坂本監督の好きそうなオープンセットでの大爆発で、武居演出では珍しいものだったと思います。


「地球人を代表して感謝しよう。ありがとう、イグニス!」

苦闘を乗り越えたナースデッセイ号内では、隊長がすごく爽やかにイグニスに感謝を述べ、これからもその知識を活かして協力しないか、仕事は山程あるけどな!と新メンバー勧誘の姿勢を見せていたが、

「いやー悪いが、正義の味方ってのは性に合わないんでね。まあでも、当分地球にはいるつもりなんで、また遊びに来るかもな」

トレジャーハンターは仕事になんか縛られないのだよというスタンスを見せ、去り際ケンゴに

「頑張れよ、ウルトラマントリガー」

と言い残しナースデッセイから立ち去るイグニスはユナにウインクを見せ、すぐさまユナの前に入って庇おうとするアキトが相変わらずなのですが、多分それじゃ好感度ゲージは上がらない。

「やっぱり、油断ならないやつ…」

 


船を降りたイグニスは一転、夜の街にてシリアスな態度で過去を思い出していたーーー

「おや?1人食べ残してしまったようですね…フハハハハハ!!まあ、いいでしょう!3000万年ぶりの食事はすっかり堪能しました!食べ過ぎは、身体に良くありませんからね…」

「おい…どこへ行くんだよ…?戦え…戦えよ…!俺と戦えぇぇぇぇぇ!!!」

まあ多分というか、おおよその予想通りヒュドラムはピンピンしてそうな空気を出しており、先程は急にブチギレてご都合感の出る退場となったところでしたが、因縁のあるイグニスの回想によってリシュリア星を全滅させた過去が掘り返され、またその行動を"食事"と呼んでいるのがカルミラとダーゴンより100年早く目覚めていることと絡んで非常に意味深で、ヒュドラ(もしくはその中に潜む何か?)が本作の縦軸の手綱を握っていると言っても過言ではありません。

「今の俺じゃ敵わない…だが、あの力なら…!!」

イグニスがそう呟く側でケンゴの姿が重なり、巨人の力の行く先はどうなるのか…?で、つづく。

 

 

サブパイロットで登板した武居監督が『R/B』以来の3本撮りを敢行し、終わってみれば主にケンゴとアキト、イグニスを中心としてキャラクターの掘り下げに尽力した3本となりました。

特に今回はこれまでに比べGUTS-SELECTの面々の活躍が大きく取り上げられ、玩具販促の都合にやや苦慮しながらもキャラクターを魅力的に描こうという動きは見られました。

しかし前回同様、個別で見れば個性的なキャラクターも横の繋がりは極端に少なく、例えばケンゴが怪我して指令室に出てきた際に駆け寄りながらも声を掛けず、アキトとナースデッセイの調整をして絡みがあったにも関わらずその後はナースキャノンの発射台にしかなってないテッシン隊員や、全員か映されてる時もただ後ほでスカして突っ立ってるだけで、ファルコン出撃の時だけ異常なハイテンションに変わるヒマリ隊員、「情報提供するだけの着ぐるみ隊員」以上の存在感を発揮しないマルゥルなど、メインの現地部隊との絡みもほとんど無く、キャラ同士のぶつけ合いすら発生させてもらえないでキャラを引き出せないのは、最近見たものだと『レッドアイズ』というドラマを思い出します。

今回に関しても各々のスタンドプレー感が強く、チームとしての一体感が薄いのは考えもので(そういうコンセプトだと言われたらそれまで)、それぞれの分野におけるエキスパートチームがどのようにしてチームアップしていくのか、という部分は本作では見られないかもしれません。

 


反面、ケンゴとアキトの関係に続き、イグニスとヒュドラムの関係性がより魅力的になったのは好材料で、それに絡む演出も見応えがあったのは面白かったところ。

特に田口監督が見せるような主観カメラでの高速ソードラッシュ、坂本監督得意の派手なオープンセット爆発を見せるなど、武居監督が他の監督の良いとこ取りを実施。

前作『Z』第24話の感想にて、坂本監督と田口監督をお互いを高め合う関係と評したのですが、『オーブ』以降本編監督として抜けることなくシリーズに参加してる武居監督にも大きな進歩が見られ、時にやらかしはするものの、大きな安定感を見せつける監督として今後も注目していきたいと思え、脚本の根元さんとの親和性も相まって楽しめる3本でした。

お二人の再登板が今から楽しみです。

 

 

そして次回、ポンコツ戦士の帰還!