うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマントリガー「あの日の翼」

ウルトラマントリガー』

第9話「あの日の翼」

(監督:辻本貴則 脚本:林壮太郎

カルミラさん、今回1セリフのみで出番終了。

誰の出番だ?カルミラ・ダ・カルミラ!!

 


「3000万年前の地球との繋がり…か」

3話が終わって以降、世界各地を飛び回っていたシズマ会長がナースデッセイ号に帰還し、あらゆる国で怪獣の記録が見つかり、3000万年前にも現在と同じ怪獣頻出期が生じていたことをGUTS-SELECTに報告。

「何か私に、話があるんだな?私もお前に話したいことがある」

エジプトで発見された石版に似ている壁画をアキトを中心に解析を始めていたところ、自身の抱える謎に未だ冴えない表情のユナは、シズマと共にナースデッセイを出てとある地下洞窟へと向かい、シズマからの指示を受けた隊長は隊員たちの前で衝撃の事実を語り出す。


「私はこの地球の人間ではない」

シズマがユナを連れてきた場所には、以前デスドラゴ回で存在を言及されたガッツウイングが格納されており、それを前にしてユナ、そして隊長を通しGUTS-SELECTのメンバーに、シズマが30年前別次元からやってきたことを語る。

そしてその次元とは、地球平和連合TPCと精鋭部隊GUTS、そして光の巨人・ウルトラマンティガが存在していた地球。

「私の運命を変えるその日は、突然訪れた」

かつてTPCの情報局員だったシズマが調査を行なっていたところ、突如発生したワームホールに吸い込まれこちらの地球(面倒なのでティガ地球とトリガー地球と呼びます)に到達し、来るべき戦いに備えるためティガ地球から持ってきた技術を利用してGUTS-SELECT編成まで漕ぎつけたということだった。

前回のハルキに言及あり、ガッツリ絡んできた『ティガ』、ファンサービスの延長でどんどん差し込まれる『ティガ』の映像など細かいこだわりでポイントを稼いでいくのは何とも辻本監督らしかったのですが、「衝撃の事実!」という感じで語られたのは予想できる範囲でのことだったので、やや説明が冗長に感じてしまったのはもったいなかったところ。


石版に描かれた闇の巨人の出現によって戦いはこれからより一層激化すると予想され、より強い団結を促すために事実を聞かされたGUTS-SELECTは、ケンゴの発案で18歳の誕生日を迎えたタイミングでこれを聞かされたユナを励ます目的で誕生日パーティを行うことに…って君たちエキスパートチームだろ…。

「俺が祝ってもユナは…」

「…何言ってんだよ。アキトなら、絶対にユナのことを笑顔にしてあげられるって」

得意のスキル"諦めの境地"を発揮したアキトに対し、自らの信条と絡めてエールを贈るケンゴが気持ち良くハマり、前回までの2人の絡みが活きているのと同時に上手く作品のテーマを拾える林脚本の良さも出た場面になりました。


GUTS-SELECT内でパーティの準備に対する姿勢に温度差が生じている一方、シズマは更にユナの血筋の秘密を語ろうとするが、強制的に割り込んできたユザレがご丁寧に予言を残し、3000万年前カルミラに操られユザレを石に変えようと現れた石化闇魔獣ガーゴルゴン(返り討ちエネルギーによって逆に石化していた)の封印が解け現代に復活!

「ガーゴルゴン!忌々しいユザレを石に変え、私のもとへ連れておいで!!」

冒頭の回想シーンでのカルミラさんのセリフがまんま頭の中で繰り返されるのは生物兵器らしさがあって良かったのですが、自身の石化光線で自滅していたガーゴルゴンの封印というものがどうもしっくり来ず、第1話でのカルミラさんと同じで封印が解けたきっかけが不可解なことも手伝って、ご都合感の強い展開になってしまったのはもう少し工夫が欲しかったところです(一応、ユナが母の形見であるユザレの神具?を手にしたことが原因というような描かれ方に見えなくもないですが)。

ガーゴルゴン撃退に出動したガッツファルコン今日もあっさり撃墜され、現地にいたシズマ親娘の上に墜落しそうになったところをケンゴがマルチトリガーにカッコ良くブートアップ!してキャッチし、ファルコン意外と大きいな。

プロセスの多い変身シーンに工夫を付けてスタイリッシュにしたり、かつてのウルトラマンの伝統であった戦闘機救助を捻じ込んできたりと今回は辻本監督がバリバリです。


「お前は、私が守ってみせる。ユリカと、母さんと約束したんだ」

会長に謎のグーを贈られたトリガーがあいも変わらず苦戦している下で、シズマはユナに母・ユリカ(演じるのは「スマイルスマイル」繋がりか、ゴーオンイエローこと逢沢りな氏)との過去を語り出しており、ユナの血筋には代々ユザレの力が受け継がれてきたこと、別世界の男女から生まれたユナがユザレの呪…じゃなかった使命にも負けない強い子になると信じていたことをユナは知る。

……諸々の経緯が欠けているのですが、とりあえず現時点で判明したこととして、会長と超古代関連はまさかの別口案件。

まあティガ地球での不自然なワームホール出現を見るに、闇の巨人復活に対抗するための組織を作れそうな政治力を持った人物であるシズマを、トリガー地球に似た世界線であるティガ地球からユザレが召喚したという可能性もあり、繋がり自体は否定できるものではないのですが。

一つ気になるのはシズマ財団が一代で作り上げられたという説明が無かった(と思う)ことからも、会長はシズマ家の婿養子だったのでは?

そう考えると、別次元から戦闘機乗ってやってきたどこぞの馬の骨をぱっと見育ちの良さそうなお嬢様が甲斐甲斐しく支え、夫として迎えたことに何ら不思議な点は見られず。

穿った見方をすると、「ユザレの遺伝子が眠ってるの」とかのたまうシズマ家の娘はトリガー地球の男たちからしたら地雷案件でしかなく、なかなか婿に恵まれなかったことに焦ったユザレの意志が事情を知らない別次元の優秀な男に目を付け、結婚するように仕向けたとも考えられ、本当に邪悪なのは会長ではなく、母の方だったという恐ろしい展開になってしまいます。


更に話を広げると、第1話でケンゴ母が会長に近い立場で仕事をしていたのも、実はマナカ家がケンゴの見たイメージに出てきた"超古代の神器を使っていた戦士"の家系に当たるとも考えられ、シズマ家とマナカ家は古くから強い結びつきがあるのかもしれません。

更にここまでの展開でケンゴ、ユナ、アキトの若手のメイン3人においては親の存在が言及されており、本作のテーマとして"家系"とそれに基づく"宿命"やら"使命"といったものが見えてくるのですが、そうなってくると戦士であるケンゴと巫女であるユナの間に入れない(入ることを諦めかけてる)アキトの今後の動向が物語として重要になるのと同時に、夢に出てくる闇の力が一体何由来になるのかという謎を秘めたケンゴの行く末も非常に気になるところです。


かなり脱線してしまいましたので話を戻すと、苦戦するトリガーを見かねた会長は謎の装置をカバンから取り出し、自身の身体に装着!

その装置とは、ガッツファルコンのプロトタイプとして改造された自身の愛機・ガッツウイングの遠隔操縦器であり、かつては人が乗り込んでいた過去作の戦闘機を、リモート操作で運用するという発想は目から鱗

「ガッツウイング、発進!!」

監督こだわりの発進シーンで力強く出動したガッツウイング1号はガーゴルゴンに発砲!

「私はユナのことを…この地球を守る!!」

会長操るガッツウイングは、被弾しても湖を撃って発生した水飛沫で消火してノーダメージなどやりたい放題であり、キリが無いからユナを直接狙おうとするガーゴルゴン(笑)

「私の中にいるんでしょ…ユザレ!出てきなさいよ!!」

ユナの叫びに応えるかのごとく、とうとう本人の前に思念体?として現れたユザレはまたもガーゴルゴンの石化光線を得意のシールドで跳ね返し、3000万年前の再現か?と思ったら今度はちゃんと避けたので成長を見せたぞガーゴルゴン!

「エクセレント!覚醒は近いようですね…」

そしてその光景をヒュドラムは嗤い、ダーゴンは黙って見つめており、カルミラさんはそろそろ泣いていい。


トリガーと並んで空を飛ぶガッツウイングは遂にガーゴルゴンの石化光線を浴びてしまうも、「たかがメインカメラをやられただけだ!」とゴーグルを外し、直接狙いを定めた会長に重なる主題歌!!!

 

Ready to pull the trigger

燃える闘志 湧き起こして

 

ガーゴルゴンはブチギレ会長の渾身の一撃により石化光線を放つ眼を全て破壊され、更にマキシマムブートアップ!!マルチソードフィニッシュで一刀両断し、力強く剣を見せつけるマルチトリガーはカッコ良く決まりました。


前回から引き続き自身の秘密を知ったユナと、それを隠していたアキトが微妙な感じになってしまうも、戦い終わりユナの誕生日パーティが無事執り行われ、アキトがプレゼントを渡すことで仲直り…と思いきやスタンガンを渡す(微妙に可愛くデコレーションしているのが更に残念ポイント)という絶望的な状況でナースデッセイのブリッジの空気が凍っていた頃、研究室の石版の一部が剥がれ、巨人像が眠っていた逆三角形の遺跡に似た紋様が姿を現し、更なる謎が展開され、つづく。

 

 

前回まで主にケンゴとアキトを中心とする掘り下げが進められた影響からか、溜めていた違和感の正体を掴むということでユナにスポットを当てた回…と思いきや第3話以来に登場した会長の大暴れ回。

割とあっさりユナにユザレの存在を知られたり、衝撃の展開っぽく語られるも特に驚きの無い会長の正体など色々と拍子抜けといった部分もありますが、以前から仄めかされていた『ティガ』との関連が遂に明確になり、それを前面に押し出した見せ方(ティガの後ろ姿は美しいの一言)は辻本監督の長所が活きてとても見やすかったです。

前作ではユカとバコさんの怪しい距離、謎の裸演出、唐突なエース推し(これに関しては"父と子"という要素を秘めたシリーズ構成による部分は大きいかなと改めて思いました)など色々と暴走しがちな辻本監督でしたが、今回は会長の活躍を存分に見せつけ、去年は組むタイミングの無かったセリフ回しの上手な林脚本とも相まって良い仕事でした。

難点を挙げるとすれば、ユナに芯が通ったようには展開できなかったのは残念だったのですが、今後取り返せる可能性もあるのでこれからも期待。

 

 

次回、生命長し恋せよゼンカイ!!