うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマントリガー「揺れるココロ」

ウルトラマントリガー』

第10話「揺れるココロ」

(監督:辻本貴則 脚本:林壮太郎

「何故だ…何故あの女が気になる…?」

第5話でのビンタ事件以降、ユナのことが忘れられないでいるダーゴンは、下校中のユナ(そういえば女子高生でした)を街中で平然とストーキング。

GUTS-SELECTのケンゴやイグニスに対する妙な慣れに隠れていましたが、この世界の地球はちょっと姿が違うだけでは特に不審の対象にならない模様(逆に火星出身のケンゴはマルゥルの姿に対してリアクションを取っていた)で、先日まで行われていたパラリンピックの理念の一つである"相互理解"への意識もあったりするのでしょうか。


「教えてやろう、それは…恋、コォーイ!!」

「この世の生きとし生けるものは、恋を重ねて強くなる…強くなる!」

そんなダーゴンを更にストーキングしていたイグニスが、面白半分でダーゴンの心を煽り恋愛指南を敢行していた頃、ナースデッセイの研究室では前回新たに出現した石版の一部の解析が進められており、エタニティコアに関するケンゴとアキトの会話にマルゥルが参加してきて今までの2人のやりとりから変化を付けてきたのですが、何故かマルゥルのことを完全無視で会話を続けるケンゴとアキト。

2人とも無視して酷いというよりは、その場にいてもいなくても問題無いような適当な相槌を打つマルゥルの参加が本当に不自然で、恐らく脚本段階では2人だけだったところを、話の流れよりその場での印象的な映像を重視する辻本監督が、演出ベースで無理やりマルゥルを捻じ込んだ結果なのでは。

あくまで憶測に過ぎないのですが、現状のマルゥルの扱いを含めあまりにも酷いシーンだったので、スタッフ間での情報共有を疑う場面です。


石版に触れたケンゴの脳裏に謎のビジョンが流れ、現代の3000万年前の地球において活性化の動きを見せているエタニティコアの謎が深まる中、唐突にアキトに通信してきたユナ(ご都合)の背後に迫る闇のストーカー!

「壁ドン…ときめいたか?」

完全に無防備だったユナに迫ったダーゴンは、壁ドン!(という名のツッパリ)バックハグ!!(という名のチョークスリーパー撫で撫で!!!(という名のアイアンクロー)で胸キュンゲージ上昇を図り、レアルートを切り拓いてしまったユナにもたらされる筋肉の寵愛!!

「いいか?世の中の全ての悩みはな…筋トレすれば全て解決するんだよ!ハハハハハ!!」

信越しにユナがダーゴンに襲われていることを察知したケンゴとアキトは現場に駆けつけ、前回の誕プレであるスタンガンを持ち歩きダーゴン撃退に利用していたユナ、そしてその姿に嬉しそうなリアクションを取るケンゴとアキトは良い意味で酷い光景(笑)


「我が剛腕には決して勝てぬ!」

何故かダーゴンの表情を読み取り恋をしていることに勘づいたケンゴは、アキトがゴモラキーをブートアップ!するもダーゴンに吹き飛ばされ自身も筋肉で立ち向かったところ、またもや脳裏に流れる過去の巨人の記憶ーーダーゴンと組手を行う自身ーーのビジョンを目にし、隙が生じたことでツッパリ壁ドンの餌食になりかけていたが、ケンゴの落としたスパークレンスで反撃に出たユナに救われる。

ユナの発砲!に動揺した筋肉恋愛の使徒ダーゴンは失恋ゼンカーイで癇癪を起こし、地団駄を踏んだことで街の地下に眠っていた怪獣(冒頭にて数週間前に反応があったと言及あり)を起こすことに。

指令室の方では隊長が活性化したエタニティコア云々言い出すのですが、目覚めたきっかけは明らかにダーゴンの地団駄でありそれを知らずに勝手にシリアスモードになってる隊長とのギャップが面白くならず、ほんと今回話運びに違和感がありまくりです。


「ファルコンちゃん大ピーンチ!!」

ファルコンは地上に出現した変身怪獣ザラガス(新しく付いた外殻みたいなものが安っぽい…)撃退に向かうも、地中に逃げたフリをして機体の真下から攻撃を仕掛けられ今日も撃墜されそうになっていたところに歩道橋でカッコ良くケンゴがブートアップ!

スライディングしながら登場するマルチトリガーは面白かったのですが、直後のマンションの部屋から戦闘が見えるという場面、ハンドスラッシュを受け強化されたザラガスに吹っ飛ばされるトリガーはテンポが悪くて見辛かったです。

更にトリガーを援護するために地上から発砲!するアキトとその横で棒立ちのユナという絵面がすこぶる間抜けで、

「何故逃げない?弱き者が何故抗う!?」

と問いかけるダーゴンの方に同調できてしまうのは良くない画作り。

「誰かを守りたい、誰かを助けたいという強い気持ちが、私たちを動かしてるだけ!!」

直後のユナのセリフにおいても第5話からの進歩は一切感じられず、まあ好意的に解釈すれば前回、自身に眠るユザレを自覚したことでより強い使命感に目覚めたとも考えられますが、今回に関してはその「誰かを守りたい」という思いが向けられているのはすぐそこで苦戦してるトリガーであり、GUTS-SELECTのメンバーとして一般市民に向けられるべきなのでは…と突っ込まざるを得ません。

3000万歩譲って「(すぐそこで苦しんでる)誰かを守りたい」という思いだったとしても、そのすぐ隣にいるアキトが余計な攻撃をザラガスに加えその直後ユナもろともボカーンされていた可能性があり、展開に筋を通そうにも映像面での工夫が足りないのは、誠に残念。


攻撃を喰らう度に強化されるザラガスに対し

「そうか!」となったケンゴ…ではなくアキトの指揮でファルコンに搭載された液体窒素弾(ご都合)を受けたザラガスは細胞の活性化がストップ。

これからは筋肉の出番だ!と剛リキーをブートアップ!したトリガーは超絶パワーラッシュでザラガスを吹き飛ばすも、地上から棒立ちで眺めていたアキトとユナが、その下敷きにされそうになるというまさかの大事故発生。

完全に「ダーゴンがユナとアキトを助ける」というシチュエーションありきのご都合展開となってしまい、まあ脚本もなかなか手抜きなのですが、特撮描写の方にこだわりが強めの辻本監督とはいえドラマパートのやる気が無さすぎて、前回のブチギレ会長で力を使い果たしてしまったのではと少々心配になるレベル。

ダーゴンに指一本で押し返され、空中に放り出されたザラガスはそのままの流れでパワートリガーのデラシウム光流を受け、ビルに突っ込みながら爆散。


「お前も、その女に恋してるな?」

「な!な、何言ってんだよ!?」

戦い終わり、ダーゴンにユナがいる横で火の玉ストレートを投げられたアキトはまたもや残念ポイントを稼ぎ、この期に及んで大したリアクションを見せないユナには母親譲りの邪悪さが見え隠れします。

戻ってきたケンゴが横に並び、そうだよ!どうせ俺は主人公になれないよ!と得意の"諦めの境地"が発揮されそうになった時…

「いいだろう…好敵手として認めてやろう」

レアルートのヒロインがライバルを無理やりヒロインレースに引き摺りこんできたーーーーー

ダーゴンとアキトのヒロイン争いが始まったのは意外で面白かったのですが、やはり問題なのはその中心にいるユナのリアクションがつまらないことでしょうか…。

「生きとし生けるものは、恋を重ねて強くなる…

 その強さとは即ち、誰かを守りたいという強き心…

 決して侮るなかれ。

 強き心を持つ、弱き人間たちを…」


その夜、ナースデッセイの研究室では隠れていた石版の最後の部分が解放されており、そこにはかつてユザレと争っていた闇の巨人に4人目がいたことが記されていた。

「闇の巨人がもう一人?」

「その巨人の名前は…トリガー!?

ケンゴの脳裏に、今まで断片的にしか見えていなかった禍々しきトリガーの姿が浮かび上がり、つづく。

 

 

前回思わぬ傑作回を生み出した辻本×林コンビの2回目でしたが、今回は実に対照的な事故感満載のエピソードに。

ダーゴンの人間に対する認識の変化、遂にハッキリした過去のトリガーの姿など、本作らしく謎と布石を散りばめ"繋ぎ"の回としての機能を優先したといったところなのでしょうが、棒立ちのユナとアキトやテンポが悪いうえにやらかしが目立った戦闘など、決して褒められた出来では無かったのが残念でした。

ご都合展開が目立ったのも、林脚本に期待するレベルから見たら本当に酷かったです。

とはいえ前回を見る限り『Z』より本作の辻本監督の方が肌に合いそうな面もあるので、再登板を楽しみにしたいところです。

 

 

次回、デバン・ダ・カルミラ!

 


………

 


ケンゴ「必死に抵抗し、僕が時空を超えて飛ばされてしまった世界…」

 


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