うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマントリガー「三千万年の奇跡」

ウルトラマントリガー』

第12話「三千万年の奇跡」

(監督:武居正能 脚本:ハヤシナオキ)

「お前は何のために光を手にしたんだ!!」

前回からヒロインムーヴ全開のアキトは暴走する現代トリダーに地上から叫びかけ、それによってユナはトリガー=ケンゴであることを知る。

アキトの制止も虚しく、GUTS-SELECTが闇のトリガーを攻撃対象と断定していた頃、過去に飛んだケンゴはインナースペースでトリダーとの殴り合いによってまたも傷だらけになっており、前回からの勢いが維持され純粋に盛り上がる展開。

「僕にとっての光は、君なんだよ!!」

一方的に痛めつけられながらも右ストレートを顔面に叩き込んだケンゴはひたすらトリダーの心に訴えかけるが、ついに、面と向かって光線を撃たれてしまう主人公。


ケンゴはこれまた前回発現した光のスマイルバリアによって闇光線を防ぎながら、トリダーの奥底に眠る"未来を夢見る心"を信じ、光線を弾き飛ばした直後繰り出された光と闇のライトニングクロスカウンターを制す!

尻餅を突きクールダウンしたトリダーは差し伸べられたケンゴの手を握り、言葉を発さないことも相まって表に出さなかった感情をケンゴに向ける(ダーゴンの表情を読めたのが伏線だった)。

「やっと笑ってくれたね…」

そしてその姿は、なんとケンゴに変わり、

「トリガー、君は、僕だったんだね…」

 


!!!???

 


………どうやらマナカケンゴという人間は超古代の巨人トリガーの人格そのものであり、まさかのウルトラマンの人格部分が過去の主人公そのもの」であり、未来の自分から影響を受け光になっていたという驚愕の展開。

ま、まあ確かにそれならケンゴがちょくちょく超古代のビジョンを見ていたことや、ヒュドラムがトリガーとケンゴを同一視していたことに納得できるのですが、色々理屈付けて説明しようとした結果、あっちこっちに散らばった要素を拾い切れないので、大きなカゴを作って無理やり掬い上げたといった感覚。


最終回から逆算してストーリーを構成した前作『Z』の影響からか、本作もそのような流れを感じることはできるのですが、例えば前作から一例を挙げると、

①主人公ハルキを中心とした人間関係

→相棒ゼットさん、ヒロインヨウコ先輩、協力者ときどき邪魔者ヘビクラ隊長等々

②地球人にちょくちょく怪獣を仕向けて恐怖を植えつけることで所有する兵器を徐々に向上させ、ゆくゆくは自滅に追い込もうとするセレブロの狙い

という一見、特に繋がりの無さそうな要素が同時並行で進められるのですが、そこに"特空機"という『Z』特有の設定が入り込むことで両者は密接にリンク。

セレブロの思惑によって当初はセブンガー1機のみの運用だったところから次元すら破壊するD4を搭載したウルトロイドゼロにまで発展していく特空機に、ハルキとヨウコ先輩が毎回ストレイジパイロットとして乗り込み出撃し、ピンチの時にはゼットさんに変身というプロットが確立されていることでストーリーを自然に進めつつ、その乗り込む機体や出撃人数、状況によっては身体ジャックすら惜しまないゼットさん等々…基本プロットにプラスしてあらゆるイベントが発生し、結果人物の掘り下げや愛嬌付けにも貢献することにも繋がって、縦軸の物語に横軸の展開が上手く噛み合わせることで作品の完成度を引き上げていました。

もちろん、前作は『R/B』『タイガ』の流れからやや生まれ始めた"シリーズの行き詰まり"を矯正するために「コレクションアイテムを用いたフュージョン変身」「防衛隊の復活」「人気キャラクターの再登場」といったコテコテな人気要素を詰め込んでる上に、シリーズ構成に《ニュージェネ》シリーズのエースとも言える田口監督が加わっていたため、まあ盛り上がらない理由が無いという状況でもありましたが。


対して本作は東京五輪の影響などもあり、パイロット3話にて販促と物語の大きなイベントを詰め込む必要があったことから、もはやダイジェスト形式の如くイベントが消化されていき、世界観やキャラクターの掘り下げは4話以降に行われることになりました。

パイロットで作品の方向性を打ち出した前作とは対照的に、4話〜8話で主にケンゴとアキトの関係掘り下げを中心にじわじわと魅力を押し出すことで差別化を図ったという印象を受けます。

実際その狙いは作品人気の底上げとしては効果的だった(自分も楽しみにしていた)とは思うのですが、ケンゴとアキトの関係がハルキとゼットの後押しもあってバディものとしては面白かった反面、横槍を入れ辛いという最大の欠点を生み出すことにもなり、ただでさえ横の繋がりが薄いGUTS-SELECTの隊員たちはおろかメインヒロインでありながら、アキトの過去においてシズマ会長の受け売りしか語らなかったユナですら邪魔者でしかなく、9話以降唐突なユナ押しでそれっぽいセリフを吐かせたところで何ら心が動くことはないという状態になってしまいました。


これ以上続けるとひたすら脱線しまくりそうなのでこの辺りでやめておきますが、物語に散りばめられた要素の一つひとつは面白いということに対しそれらの連動性の薄さが積み重ねられたことによって、良くも悪くも今回のような悪魔的な展開にせざるを得なかったのかな…とまとめておきます。


ともかく文字通り現代ケンゴの手によって過去ケンゴ(何故か服装はGUTS-SELECT)は禍々しいトリガーダークの姿から光の使徒ウルトラマントリガーへと転生し、3巨人たちがその姿を見て「醜い」というリアクションを取るのはスパイスが効いて良かったところ。

「僕は…ウルトラマントリガーだッ!!」

過去と未来のケンゴが一つに…状態からテンションが上がったのか、エタニティコアの干渉?によってトリガーの3タイプが遺跡の前に並び立ち、ケンゴのビジョンの伏線を回収すると同時に、これはカッコ良い場面。

「私のトリガーを、返せぇぇぇ!!!」

いつの間にエタニティコアの前から強制ログアウトさせられていたカルミラさんたちがトライトリガーと1人ずつマッチアップしていた頃、現代にてトリガーダークと交戦していたファルコンとナースデッセイが共に撃墜され、ガゾートキーをブートアップ!したアキトがついにトリダーに銃口を向ける。

ウルトラマントリガーが、ケンゴが敵になるなら!俺があいつを止めるッ!!」

ヒロイン力、猛チャージ!!!


「僕が、希望の光なんだぁ!!」

トリガーは分身して闇の巨人に立ち向かうも、超古代からDNAに刻まれていた属性:苦戦をひっくり返すことが出来ず、パワーとスカイが敗れ遺跡に吸い込まれるような形で消失。

一人とり残されピコンピコンしているマルチトリガーのピンチに、ユザレが傷付いた身体を引きずり遺跡の祭壇に立ちエタニティコアの力の一端を発動。

「どうか、私たち人類の前に現れた"ルルイエ"に…エタニティの奇跡を!!」

エタニティコアの力を借り、えいっと軽い奇跡でも起こすのかと思いきや、何とトリガーまで巻き込んで闇の巨人を強制石化。

いや、何してくれちゃってんの?

この後の描写を見るに、一部とはいえエタニティのパワーが強力過ぎて制御できなかったことで、ユザレにとっても想定外のことが起きたということなのでしょうが、それだったら「"ルルイエ"のために奇跡を起こそうとした」というセリフがあまりにも噛み合っておらず、挙句ケンゴ(トリガー)を助けるどころかカルミラたちと一緒に石化させており、ありがた迷惑の極みでしかなく、やはりこの血筋は闇の巨人以上に邪悪に染まっています。


闇の巨人を封じることに成功するも、その影響で消滅したユザレの姿を見たケンゴは奮起し、石化する身体を押しながら何とか3巨人石像を宇宙まで運搬し、力尽きたところで石像となりかけるも、トリガーの中にいるケンゴは再び時空の歪みに取り込まれたことで石化を免れ、抜け殻と化したトリガーはそのまま火星に落下することに。

これまでに色々と顔を見せていた"トリガーとは何者なのか?"という問いに対する答え合わせといった描写が続きましたが、伏線回収というよりは序盤「それっぽく」演出した描写に後付けで「それっぽく」理由を付けたとしか思えない程のトンデモっぷりで、もはやこの突き抜け具合が清々しいレベル。

今回のこの展開を考えてパイロット版を組み立てたのか、制作の都合により急ピッチでパイロット版を仕上げた結果このようなトンデモ展開に発展したのか。

普通に考えて圧倒的に後者の説が有力になると思いますが、あくまで憶測でしかないのでまあ軽く聞き流していただけたらと思います。


「ケンゴがトリガーなら、あの闇のトリガーはケンゴじゃない!ケンゴは絶対に友達を悲しませるようなことはしない!!」

現代のトリガーダークに銃を向けたアキトに、超古代から受け継がれた邪悪遺伝子を刺激されたユナが突如千里眼を発揮。

「皆を笑顔にしたいんじゃなかったのか!?

 何が夢見る未来だ!俺はそんなウザい言葉を信じて、ウルトラマンになることを諦めた…

 お前に託したんだ!ケンゴォ!!」

ユナに諭されたアキトがトリガーダークに対してケンゴへの想いを叫びかける、自体は2人のこれまでのシーンが差し込まれたのも相まって良かったのですが、この時点で視聴者目線では「現代トリダー=ケンゴではない」という事実が明らかになっている上、都合良く千里眼を発動したユナが直前に別人説を提唱してしまっているので、唯一本作が積み重ねてきた"ケンゴとアキトの関係性の変化"が中身の薄いヒロインの発言によって、虚空に向かって発射されてしまうことに。

8話の最後から10話の3週かけて掘り下げが行われたユナではありますが、そこにケンゴ及びアキトが関わっている(ストーリーの流れとしてではなくキャラクターとして)ことは少なく、ヒロインの「それっぽい姿」を重視してしまったことで、作品の積み重ねてきたものが完全に無駄弾と化してしまうという災害級の大事故。

…まあ絵面としては、ユナに叫ばせた方が盛り上がるというのは事実ですが…そうなんですが…!


超古代の宇宙で石化を受け入れようとしていたケンゴのもとに響くアキトとユナの呼びかけにより、何かよく分からないうちにケンゴは現代に再臨、ユナは熱い抱擁でケンゴの帰還を祝福する…という展開でうーん…ここに持ってきたいならもっとケンゴとユナに、例えば意見の対立をさせておくなどいくらでも盛り上げられる状況を設定できたのに…

前回感想で冒頭からイベントが始まって溜めが無いことを指摘しましたが、ものの見事にクライマックスにおいてそれが足を引っ張ってしまっており、正直ネタ抜きに「ケンゴと抱き合うなら、アキトの方がよっぽど適任」と真顔で考え込んでしまい、ひたすら困惑。


まあともかく現代に帰ってきた転生ケンゴは自らがウルトラマントリガーであったことを2人に告白し(何も言わずスパークレンスを差し出すアキトの方がやはりヒロイン力が高い)、マルチトリガーにブートアップ!

光VS闇、3000万年を超えた願いと執着それぞれの化身とも言える2人のトリガーは現代の廃墟を舞台に互角の戦いを演じ、そこにおかんむりのカルミラさん率いる闇巨人トリオがトリダーに加勢しようとするも(ダーゴンがトリダーに手を差し出していて相変わらず好感度上げに余念がない)、トリダーはダーゴンやヒュドラムすら見境なく攻撃する暴走状態に突入してしまう。

カルミラが理想としていた「闇の巨人として君臨するトリガー」がカルミラたちの味方となりえる存在では無かった、というのはトリダーに理想像を勝手に押し付け、彼の本質を見なかった(見て見ぬフリをしてた?)カルミラの因果応報とも言えますが、一番可哀想なのはケンゴが飛び出たことで抜け殻になった挙句、操り人形にされてしまった旧トリガーだと思うのは私だけでしょうか。


「3000万年の時を超え、あなたにエタニティの欠片を…」

どんな逆転フラグもへし折るトリガー=ケンゴの苦戦属性を変えるべく、ユナを通してユザレが遺したエタニティの力がトリガーに届き、それは黄金のハイパーキーとなってケンゴの前に顕現する!

「宇宙を照らす、超古代の光!!

 ウルトラマントリガー!!!」

かつて世界を闇から救った光の巨人が最後に見せた姿に似た黄金の光を纏うグリッタートリガーエタニティがここに降臨!しかし…

「力が、制御しきれない…!」

某○菱みたいなデザインのカラータイマーはやや集合体恐怖症の人にとって辛そうだな…という第一印象のトリニティは景気付けにグリッターゼペリオン光線を闇の巨人ズに浴びせるも、強大な力に逆に景気良くのけ反ってしまう。

光線の使い勝手の悪さに「そうか!」と機転を効かせたトリニティがスティンガーブレード、じゃなかった光の剣・グリッターブレードを用いて三位一体分身斬りを披露し、超古代では劣勢になった3体分身がエタニティの力で強まり闇の巨人を撃退する姿はパワーアップが分かりやすくてカッコ良かったです。


「これは計算外ですね!ここは一旦引きましょう」

「許さないよぉ!マナカケンゴォ!!」

エタニティの力を、手に入れ損ねた上にトリガーに渡ってしまったことで形勢不利と判断するや、頭に血の昇ったカルミラを抑えダーゴンとヒュドラムは撤退を選び、トリニティとトリダーはお互いの力の矛先をぶつけんばかりに再び一騎討ちに突入。

超時空の光の戦士(ゴールドプラチナ…ゲホッゲホッ!)の一端に触れたケンゴは真顔でグリッターブレードを回転させ、必殺・エタニティゼラデスでトリダーを一刀両断!!

…するもエネルギー消費が激しく勝利と同時に消えるトリニティ、は力をコントロールしきれていない強化形態の姿として面白かったです(笑)


「おかえり。全く、最後まで世話が焼ける」

ヒロイン力全開で倒れそうになったケンゴを支えるアキトとユナの姿に、自分が一人じゃないことをケンゴは噛み締めていたーーーそんな頃、戦地を漂っていたトリガーダークの闇の力はトリガーの戦いを見つめていた男・イグニスに吸収され、リシュリア星人はその顔に紋様を浮かび上がらせ微笑を浮かべていた…。

 

 

前回今回と『トリガー』1クール目最後の山場に当たる前後編を武居監督が再登板で担当し、2ローテ目の初手がサブパイロットなのは実に『ギンガS』ぶり。

話としては、これまで散りばめてきた伏線と謎をひたすら回収していき、強化形態への変身という文面だけ見たらオーソドックスなパワーアップ回という雰囲気ですが、出来上がったものは闇鍋感満載の怪作といった空気。

とりあえずスタートさせた第1話から帳尻を合わせた結果なのか、今回のエピソードを見越しての第1話だったのか、どちらにしても話をてんこ盛りにしすぎて正気とは思えないシナリオを武居監督が何とか料理して、あらゆる形態のトリガーを魅力的に映す回にしてくれた感。

今回の諸々に関しては途中でたくさん書いているので省きますが、突き抜けぶりもここまで来ると清々しいと述べた通り、これはこれで感も出てきたのでもう諦めた方がいいんだな、と(一応褒めてるつもりです)。


まあその中でも、これまで無視してきたケンゴのことをターゲットに入れたと思われるカルミラさん(某霧崎と丸被りになりそうな感もありますが)、ついに巨人の力を手に入れたイグニス、すぐには制御できないエタニティの力など"新しい引き"をバンバン用意していき、楽しみを増やしていく本作の強みも出ているので、ここからの後半戦も楽しみにしたいと思います。

 

 

次回、お馴染みの総集編。

ナースデッセイメンバーに光は灯るのか?