うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマントリガー「嗤う滅亡」

ウルトラマントリガー』

第16話「嗤う滅亡」

(監督:越知靖 脚本:植竹須美男

「俺が変身する時のフレーズは…漆黒の闇に決まっている!」と考えていたと思われるイグニスはウッキウキでトリガーダークに変身した前回から続いた今回、いきなりダークVSパワーで巨大筋肉決戦が始まっており、勢い重視の展開でキャラの心情や出来事におけるドタバタはスキップし、とりあえずイベントを見て!という態度は悪い意味で本作特有。


夜の街で再び相見えた2人のトリガーは互角の戦いを繰り広げるが、リブートキャンプを放棄したことで闇の稽古不足であったイグニスは力を抑えきれずに暴走。

しかしインナースペースでご丁寧にホロボロスキーをブートアップ!し、トリガーダーク・フェィィィィィスオープンッ!!!

超スピードを得たハイドロトリダーだったが、トリガーにトドメを刺そうとする寸前に苦しみ出しそのまま消滅してしまう。

「この力、必ず俺のものにしてみせる…!」


「以後この個体を、トリガーダークと呼称する」

「確かにトリガーダーク、って感じだよなぁ」

そういえば劇中では名前を呼ばれてなかったトリダーに名称を与えるのは細かい部分ですが、それに対するテッシン隊員のリアクションが冗談抜きにして小学生並の感想で、キャラにセリフを与えて出番を作ろうとするも、発言に芯が通っていないことで当たり障りの無い(それこそゲストの子どもとかが言っても変わらない)発言になってしまい、短いやり取りにも関わらずものすごく頭の悪い会話に見えてしまいます。

これまで肝心のキャラ描写をスキップしまくってたツケが後半どんどん回ってきており、もはやキャラクターにこの作品の魅力を見出すことは不可能なのでは。


GUTS-SELECTはトリダー以外に、街に突如出現した謎の物体の対処にも追われており、さすがに得体の知れない巨大な物体に対して「植物の種っぽい」とか言い出すケンゴは強引が過ぎる。

ケンゴの植物学者設定を忘れてませんよ!と脚本でアピールしても、演出側がその意図を汲んでいない(結果としてそう見えない)ためどうも足並みが揃いません。

また謎の物体に対してもGUTS-SELECTは何を調査しているのか(厳重に区画してる割にアキトが臨場するまでろくに解析もされていない)、出現の原因を把握しているのか(視聴者はトリガー対決で出現したことが映像から判断できる)、そもそも物体をどういうものだと仮定して動いているのかがまるっきり視聴者と共有されず、話の流れを理解できるのが視聴者のみになってしまってます。

そうすることで劇中人物の理解度が不明瞭になってしまい、これから目の前で起きることにケンゴたちがどう対処するのかが悪い意味で視聴者の想像任せになってしまい、イベントのために動かされる操り人形でしかないキャラクター描写と相まって、作劇面において「最低」と呼べる話運び。

本作初参加の脚本家と前作で本格デビューしたルーキー監督の組み合わせになった今回ですが、何もかもが雑すぎてキャラ描写の不足が段々と本筋の首に手を掛けてきております。


一方その現場では、自身が地球を訪れた際に持ち出したものの扱いに困っていたと呟くヒュドラムの前にイグニスが現れ、

「えぇと、あなたは…ああ!どこかの誰か」

「覚えてもらう必要は無い!リシュリアの仇…俺が今ここで討つ!!」

というやりとりは久々の対峙で、しばらくカルミラさんの部下Bだったヒュドラムの口ぶりも復活してくれて良い場面でした。

「ああ!リシュリア…それならよーく覚えてますよ。最期の最期まで、必死に逃げ回っていた方々ですよね?決して諦めることなく、傷付いた仲間に手を貸して、勇敢で高潔…いやぁ!実にエクセレントでしたよ!!」

「何をそんなに怒っていらっしゃるのです?彼らは永遠になったのですよ…この私の心の中でねぇ!!」

「黙れぇ!!!」

とことん嫌らしいヒュドラムの挑発に顔を歪めながらイグニスは殴りかかり、近接距離からヒュドラムの腹にブラック銃を発砲!

「ふははは…痛ぇなぁてめぇ!!」

相変わらず沸点が低いヒュドラの前でイグニスはダークキーをブートアップ!し、掴みかかりながらそのまま2体の闇の巨人が巨大化する流れはカッコ良く決まりました。


「ケダモノはケダモノと遊んでいなさい、それでは…」

またも理性を保てないトリダーに対し、ヒュドラムは謎の物体に何かエネルギーを注ぎ込み撤収、そしてその物体から高笑いを上げながら宇宙伝説魔獣メツオーガが誕生する!

惑星であろうが彗星であろうが、宇宙のあらゆるものを食い尽くしてしまうメツオーガは手始めにトリダーに襲いかかり、さあ、ランチタイムだ。

メツオーガの重力操作能力によってトリダーが地下に下ろされるのですが一切必要性が感じられず、逆に「僕に任せて!」とトリダーを止めに入ろうとしていたケンゴがトリガーにすぐ変身しないのが不自然で、地下戦の映像は面白いものの、映像の面白さを追求してストーリーをおざなりにするという典型的なダメ展開。

辻本監督の演出(本作だと第10話)にも見られるのですが、特撮技術の進歩やカメラワークの工夫などを見せる都合で、話の完成度を大きく引き下げてしまうのは、率直に本末転倒だなと。


更なる重力攻撃の影響でメツオーガの餌食になりかけたケンゴはやっとマルチトリガーにブートアップ!し、先制パンチを食らわせるもいつも通りの苦戦に陥り、更にそこに突き刺さるトリダーのザイゴーグインパクトによってメツオーガ諸共地上へと放り出される。

「ユナ…巫女の運命を受け継ぐ者…」

メツオーガとトリダーに挟み撃ちにされているトリガーを見てやっと事態を整理できたGUTS-SELECTはファルコンを発進させ、現地で避難誘導に当たっていたユナもこの局面において邪悪遺伝子を目覚めさせつつあった。

トリガー=ケンゴを助けるためにユザレパワーを発揮しようとするユナだったが、かつてエタニティコアに触れ消滅したユザレの記憶を目の当たりにしてしまい、その手が止まる…。

そしてメツオーガの解析に夢中で、隣にいながらユナの様子に全く気付かないアキトー!!

そういうところだぞ、アキトーーー!!!


そんなアキトが色々と犠牲にして得た解析結果と、マルチトリガーのゼペリオン光線が食われた光景を目にしたことでメツオーガはエネルギーを口から摂取していることが判明。

喉下の袋に摂取した一旦エネルギーを溜める習性を利用し、それを起爆剤としてメツオーガをバラバラにしよう作戦をGUTS-SELECTは展開する!

バトルモードを起動したナースデッセイは妨害してくるトリダーをビームで退け、作戦を「そうか!」といつの間に理解したケンゴはトリニティにブートアップ!してメツオーガにエタニティボンバーを流し込む。

エネルギーを大きく溜め込んだメツオーガはトリニティに持ち上げられ、恰好の的になったことでマキシマナースキャノン直撃!

ウルトラマンが持ち上げた怪獣を防衛隊メカが攻撃する場面は『パワード』のテレスドン回オマージュも入ってそうです。


強敵を倒したトリガーとGUTS-SELECTであったが、メツオーガはバラバラになるどころかまたも姿を変え、新宇宙伝説魔獣メツオロチとして復活してしまう!

「力を吸収して進化する、ふはは…これだから使わなかったんですよ!うっかりコアを吸い込まれでもしたら、とても面倒なことになりますからねぇ」

上司のカルミラさん同様、残念沼に片足を突っ込み始めたヒュドラが経緯を説明し、未だエタニティコアへの執着を見せる辺りがどうも小物感が強く、やはり部下でしかないのか。

「しかし、自ら滅びへの扉を開くとは…お気の毒なことで…ふははは!」

トリニティも解除されエネルギーが尽きかけていたマルチトリガーをダーク諸共あっさり蹴散らしたメツオロチを止めるべく、隊長はガーゴルゴンキー使用を決意し、つづく。

 

 

リブット先輩客演回を経てイグニスとヒュドラムの因縁に再びクローズアップし、やっと『トリガー』後半戦スタートと言ったエピソードでしたが、話の導入の唐突さ、状況設定の雑さ、視聴者任せにすることで視聴者と劇中人物双方にリスペクトを感じられない話運びと、エピソード前半での悪い部分があまりに目立ち、乾いた笑いが止まりませんでした。

巨大戦が始まってからも戦闘に緩急が全く感じられず一本調子で続くので、間伸びしてるようにしか見えないのも退屈でした。

 

トリダーフェイスオープンや地下戦での映像など印象的なシーンはありましたが、そんなものが足しにならないくらいマイナスだらけのエピソードで、間違いなくここまででワーストの出来。

 

色々と犠牲にしたアキトは面白かったんですけどね!!!