デジモンゴーストゲーム
簡易まとめ感想
〜2クール(第1〜25話)まで〜
令和の時代にデジモンアニメが帰ってきた…。
現在放送中のアニメ『デジモンゴーストゲーム』。
1999年の『デジモンアドベンチャー』を始めとし、TVシリーズから劇場版に至るまで休止と復活を繰り返しながら制作されてきたデジモンアニメの現状最新作ということで、毎週楽しみに視聴している筆者。
その魅力と特徴を少しでもお伝えしたく、筆を取らせてもらった次第であります。
まずは『ゴーストゲーム』にたどり着くまでのシリーズの流れをまとめていきます。
色々と複雑に絡み合ってる面もあるので、各シリーズを整理も兼ねて簡単に紹介していきながら振り返っていこうと思います。
※ちなみにデジモンシリーズの思い入れに関してはこちらの記事で語ってます。
↓良かったら参考程度に。
1999年〜2000年放送
記念すべき初代アニメ。
異世界「デジタルワールド」に迷い込んだ"選ばれし子どもたち"とそのパートナーであるデジモンたちの友情と進化を描いた作品であり、デジモンアニメの魅力がグッと詰まった傑作。
主題歌の「Butter-Fly」も世代を超えて人気を博した名曲。
2000年〜2001年放送
『アドベンチャー』の続編となるアニメ2作目。
前作の"選ばれし子どもたち"の後輩たちがデジモンカイザーに支配されたデジタルワールドを救うべく戦いに挑む。
「アーマー進化」や「ジョグレス進化」といった新たな進化の形式が描かれ、2作目にして前作との差別化が強く顔を出すことに。
2001年〜2002年放送
前2作から世界観を一新した3作目。
人間とデジモン、大人と子ども、有機物と無機物といった対比構造から炙り出される登場人物の心情がナイーブかつシビアに描かれ、独特な空気を醸し出す異色作。
デュークモンやベルゼブモンといった人気デジモンが多数登場するという点でも人気のある作品。
2002年〜2003年放送
4年続いたアニメシリーズの一旦の最終作。
パートナーデジモンは存在せず、主人公たちが十闘士と呼ばれるデジモンに自ら進化(変身)して戦い、荒んだ世界を駆け抜けるロードムービー。
メンバー構成が『ガッチャマン』や『コンバトラーV』といった王道アニメのそれに近いことも手伝い、ヒーロー色の強い作品となりました。
2005年放送
『デジタルモンスター ゼヴォリューション』
TVスペシャルで制作された全編フルCGのアニメ作品。
人間キャラは一切登場せず、当時展開されていた「X抗体」「イグドラシル」「ロイヤルナイツ」といったシリーズにおける重要な設定を巡るストーリーが展開された。
オメガモンやデュークモンと並ぶ人気デジモンであるアルファモンが初登場する作品でもあります。
2006年〜2007年放送
『フロンティア』以来4年ぶりにTVシリーズとして制作された作品。
主人公が「小学生でない」「名前に"タ(またはダ)"が付かない」「ゴーグルを着けてない」といった特徴を持ち、デジモンを直接殴ってパートナーを進化させるなどこれまでの作品と大きくかけ離れた面をアピール。
当時駆け出しであった人気女優の新垣結衣さんがレギュラー出演していたなど話題性の強い作品でもあります。
2010年〜2012年放送
『デジモンクロスウォーズ』
放送局がフジテレビからテレビ朝日に変わり制作されたTVシリーズ。
「ほっとけない!」が口癖の主人公・工藤タイキがチーム「クロスハート」のジェネラルとなり、デジモン同士を合体させる「デジクロス」を駆使してデジタルワールドに危機をもたらすバグラ軍に立ち向かうというストーリー。
また本作の特徴として、全79話という最長話数が制作されたという点も触れるべきかなと。
タイキとシャウトモンを主軸にクロスハートの立ち上がりを描いた第1期、「超進化」を得たジェネラルたちがチームを超えバグラ軍に挑む第2期『悪のデスジェネラルと七つの王国』、タイキの後輩・明石タギルを主人公に交代しオムニバス性を高めた第3期『時を駆ける少年ハンターたち』。
それぞれ25話程度の話数ながら独自の個性を放っているだけでなく、過去作品へのリスペクトの強さも随所に見られ、最終盤においてTVシリーズの主人公たちが集結するエピソードが描かれる等、これまでのアニメシリーズの総決算とも言える作品となりました。
個人的に《デジモン》シリーズの最終回を作ったのかなーと感じたのはここだけの話。
2015年〜2018年劇場公開(全6章)
未だ根強い人気を誇る『アドベンチャー』の『02』を超えた更なる続編。
劇場アニメとして全6章が制作されました。
高校生になった"選ばれし子どもたち"の前に現れた新たなる試練を、新キャラクターを交え新しい視点で見つめ直すように制作されるも、設定改変や意味不明なストーリー展開、進化バンクを露骨な尺稼ぎに利用するなどマイナス面が目立ち、デジモンファンからは「出来の悪い二次創作」と呼ばれてしまうほど評価は芳しく無い模様。
ちなみに筆者は第4章を見て力尽きました。
2016年〜2017年放送
スマホから出現する「アプモン」の起こす奇妙な現象に対処すべく、主人公・新海ハルがガッチモンと組みアプモン活動を繰り広げる。
放送局がテレビ東京へと変わり、強気な玩具展開とメディアミックスが目を引いた作品。
しかしその強気な姿勢とは裏腹に盛り上がりは非常に小さく、デジモンとしても中途半端な取り上げ方が目立ったことから歴代でもとびっきりに影が薄い印象。
ちなみに筆者は第8話くらいで脱落しました。
2020年劇場公開
『デジモンアドベンチャーLAST EVOLUTION 絆』
『tri.』の反響(良いとは言ってない)を受け、『アドベンチャー』の完結編として制作された劇場作品。
ファンサービス溢れる作品であるということですが、正直に申し上げると『tri.』の件もあり筆者は未見。
ここまで見ていただいた通り、多くの作品が作られたシリーズではあるのですが、初代作品『アドベンチャー』の人気は20年以上経過した現在においても特に根強いことが分かります。
そして来る2020年4月、当時の放送局と放送時間であるフジテレビの日曜朝9時の時間帯にて、初代のリブート作品『デジモンアドベンチャー:』が放送されることになりました。
当時のデザインそのままに人間キャストと細かい設定を一新した作品で、初代では叶わなかったメンバー全員が究極体進化する展開も見られることに。
正に"復活した"デジモンアニメということで筆者も楽しんで見てはいたのですが、縦軸が強めなストーリーでありながら物語のゴールが不明瞭で、同じような展開が何度も繰り返されるうえに、キャラクターの感情の起伏が薄めなことから段々と熱が冷めていき、裏番組がスーパーヒーロータイムであったことからもブリッツグレイモンが出た辺りで離脱してしまうことに…。
前置きが長くなりましたが、そういった喜びと不満が入り乱れた『アドベンチャー:』の後番組として『ゴーストゲーム』は制作されることになりました。
視聴中断に漠然と悔しさを覚えていた筆者は、今度こそ作品と向き合ってみせるぞ!と改めてデジモンアニメを見ることを決断。
とりあえず視聴モチベーションを保つために、作品を見る基準の一つである"独自性"を探り出しながら、ここまで見てきた中で感じた本作の特徴を紹介していこうと思います。
①帰ってきた新作アニメ、そのコンセプトとは
まずは、作品を紹介するうえで欠かせない基本設定を確認。
新しいテクノロジーが発展した、ほんの少し先の未来。SNSでは「ホログラムゴースト」と呼ばれる真偽不明の怪奇現象の噂が飛び交っていた。
中学1年生の天ノ河宙(アマノカワ ヒロ)は、父が残した「デジヴァイス」という謎のデバイスを起動したことで、普通の人には見えない未知の生き物「デジモン」たちの姿が見えるようになる。
父から預けられたやんちゃなデジモン「ガンマモン」と出会ったその日から、宙は様々な怪奇現象に巻き込まれていく。
(無料配布のミニブックより引用)
メインキャラクターはこの6人。
面倒見が良く探究心の強い天ノ河宙とやんちゃで子どものようなガンマモン、SNSで多数のフォロワーを抱えるりるるんこと月夜野瑠璃と物知りかつ力持ちなアンゴラモン、天才だが臆病な性格の東御手洗清司郎と気が強く少々ずる賢いジェリーモンのコンビで物語は展開されることに。
目を引く設定としては、タイトルにある通り「ゴースト」の引き起こす怪奇現象をメインに据えているという点。
作品舞台を「ほんの少し先の未来」と設定し、SNSやアプリなどから発生する不具合を、人間界に迷い込んだデジモンの引き起こす怪奇現象に繋げるというアイデアは秀逸で、それだけで済ませずに日曜朝9時とは思えない直接的な怪異の描写がことのほか強烈なのが有無を言わさぬインパクトを放っております。
恐らく本作が制作された背景には前番組である『アドベンチャー:』の更に前番組の『ゲゲゲの鬼太郎(第6期)』の存在が大きく関係していると思われます。
『鬼太郎』は言わずもがなの妖怪譚であるわけですが、直近で放送された第6期は子ども向けアニメとしての側面が強かった第5期までの作品とは異なり、どちらかというと『墓場鬼太郎』のようなダークさも持ち合わせている点がSNS等でも話題になった一作(ちなみに鬼太郎を演じたのは本作でガンマモンを演じる沢城みゆき氏)。
もちろん時間帯的に子ども向けアニメとして放送されていましたが、その目線はどちらかというと、子を持ち始めた親世代に向いているようにも感じられました。
『鬼太郎』で目を引き『アドベンチャー:』で親世代をロックオン、トドメに「デジモン×鬼太郎」とも言える『ゴーストゲーム』で親子共にデジモンアニメを楽しんでもらう…なんてことまで考えていた可能性も否定できず(与太)。
まあ仮にそうであったとしても『アドベンチャー:』で視聴を切ってる人は結構いると思われるので、その思惑は正直上手くいってないかなと(笑)
②オムニバス性重視のエピソード群
次に本作の特徴として独自性の強い怪奇現象を取り上げているが故に、一話ごとのインパクトを優先したオムニバス性の強さが挙げられます。
包帯グルグル巻きにされて拉致られたり、カボチャを被せられて縛られたりしても無事帰還するようなエピソードもあれば、明確に被害に遭って助からなかった人物も存在しており、怪奇現象によく出くわす主人公たちが毎度毎度怯えるシーンがあることに一定の説得力を保っております。
こういった作品は一話ごとのインパクトは強いものの、毎度同じ展開で飽きられがちという欠点と隣り合わせだったりするのですが、本作の場合幅広い怪奇現象を数々展開し、時には凶悪な通り魔が出現し、時にはただ迷惑なやつらが暴れてるだけだったり、そして時には心温まるようなエピソードなど実に豊富なラインナップ。
またその影響で、怪奇現象を起こすホログラムゴースト=デジモンたちの動向も非常に可笑しいことになっているのも特徴。
例をいくつか挙げると、
カラオケボックスでとある呪いの曲(前作ED曲を使用するという皮肉)を歌うと不気味な声と共に現れるが、最終的には宙の下手な歌声に心を打たれて修行の旅に出るセイレーンモン(CV:水樹奈々)
夜の首都高を爆走し「百鬼夜行」を引き起こした末に改心することなくデジタルワールドに送還されたシスタモンシエル(CV:ゆかな)
人間の子どもや幼いデジモンたちを誘拐し永遠に子どもとして遊ぶことを強要するも、最終的には海賊船に乗って旅に出たピーターモン(CV:野島健児)等々…
デジモンたちの動機やその結果として起こす行動がどうもぶっ飛んでおり、見ていて途中で気付いたことですが、恐らく本作のデジモンたちは変態属性が強めなんだなぁとしみじみ思うところです。
さて、本作オムニバス性が強いとこれまで繰り返して参りましたが、うっすら透けて見える縦軸の要素も見逃せない部分。
そもそも宙たちが何故ホログラムゴーストの事件に自ら向かっていってるのかという点についてですが、AI関係の開発者であり何故かデジタルワールドに滞在している宙の父・天ノ河北斗の謎に迫るためであり、デジタルワールドに通じる手がかりを探すことが一応の本作の目的。
縦軸を重視しながらゴールが不明瞭だった前作とは対照的に、オムニバス性重視ながら縦軸のゴールもうっすら意識できるようになっている構成は前作の反省が活きている点であると思います。
同時に前作から引き継いでしまった要素として、登場人物の関係性に大きな変化が見られないのは引っかかる点。
オドオドしてる清司郎とそれを引っ張るジェリーモンに関してはバディものらしい"波"を見ることが出来るのですが、宙とガンマモンそして瑠璃とアンゴラモンはパートナーらしさはありながらそれに伴う"衝突"が描かれることは少なく、自身の持つ信念や情念より、他者に対する妥協や譲歩といった面が強く出ている印象。
もう一つ、ストーリーに怪奇現象を取り扱う都合上若干不条理な展開が多くなっており、後述の進化によってエピソードごとに盛り上がりを作ることは上手な反面、テンションを急下降させて「ハイ、解散」みたいなオチを着けることが多いのも気になります。
人物の心情描写や不条理ものとしては興味深いアプローチではあるのですが、それらが「子ども向けアニメというフィクション作品」という枠の中では成立してるとは言えない描写であるとも感じられます。
ゴールは設定されているものの、その道のりにおけるパスワークなどに少し穴があるように思えるので、この先その穴に頭から突っ込まないことを祈りたいと思います。
③"進化"によってもたらされるもの
これまで作品単体のコンセプトや、尖った部分について主に触れて参りました。
最後にこの項では、歴代デジモンシリーズにおいて重要な要素であり、本作においても大きな影響をもたらす「進化」について語っていこうと思います。
数多くの進化スタイルが存在するデジモンシリーズですが、本作に関しては成長期→成熟期といったオーソドックスな進化スタイルが採用されております。
というのも本作、一応玩具販促番組ではあるのでメイン商材である「バイタルブレス デジヴァイス-V」の形式に則って進化が描かれているのです。
ちなみにこのデジヴァイス-V、入荷数が極端に少なく放送中ながら入手困難だったりします。
先述しましたが、筆者は作品の"独自性"にこそ最も強みを見出せるきっかけがあると考えており、一見シンプルな進化スタイルである本作において注目すべき点はどこにあるかを考えていたのですが、見つかったポイントとして、進化に対して王道を貫くスタンスでした。
前項でオムニバス性やインパクトを重視しているという説明をさせていただきましたが、ホラー作品としての描写は徹底していながら、デジモンとの戦闘が発生するシチュエーションを無理なく作り出し、
エピソードのピークにしっかりと「進化」を持ってきて、バッチリ盛り上げる工夫が施されているのが秀逸な話運び。
またシリーズ特有の進化バンクの構成も良く、腕に装着されているデジヴァイスを通して人間とデジモン、パートナーが強い繋がりを持っていることが短いバンクながら見事に表現されており、挿入歌「First Riders」も実に盛り上がる激アツソングとして進化を後押ししており、毎度進化バンクが流れるたび鳥肌が止まらなくなってしまう程に、中毒性の高い進化が描かれます。
「First Riders」あまりにも名曲過ぎるからリンク貼りたいけど、Amazonとかで配信されてないので公式の挿入歌PVのリンクだけ貼っときます。
肝心の進化形態について、先に好きな進化を挙げるとウェズンガンマモン。
トリケラトプスのような無骨な見た目でかつ、重戦車の如く砲撃をかます戦闘スタイルが実に好みに突き刺さる成熟期。
進化スタイルこそシンプルではありますが、主人公のパートナー・ガンマモンは成熟期への進化を4形態分持っているという異色さも兼ね備えているのが本作の油断ならないところ。
これらも条件によって進化の方向性が変わるというデジヴァイス-Vの販促が強く出ている面と言えますが、それによって毎話ガンマモンが進化する際に、直前まで何に進化するか分からない現象、筆者が個人的に進化ガチャと命名した楽しみが生じるという嬉しい誤算。
最も頻度が高いのは正統派進化であるベテルガンマモンなのですが、たまに登場するウェズンガンマモンや飛行形態のカウスガンマモンに進化した際は思わず声を上げてしまう程テンションが上がってしまいます。
というのも本作、玩具販促番組でありながら販促商品は極端に少なく、ストーリー構成における進化の方向性を見出すことが非常に困難になっております。
またオムニバス性の強さから次回予告においても怪奇現象を押し出すことが多いため、全く構えてないタイミングで新しい進化が登場するといったサプライズも珍しくありません。
来る第25話「紅ノ饗宴」にて、ヴァンデモンに追い詰められたベテルガンマモンが負の感情を高めてしまい暗黒進化してしまいそうになるも、宙の言葉を受け乗り越えた先に完全体・カノーヴァイスモンに超進化するという一つの山場を迎えることになりました。
実は筆者、このエピソードを見るまで『ゴーストゲーム』に完全体以降の進化が登場するかが不明だったことに一抹の不安を抱えており、「まあこのまま終わっても悪くはない、かな…」など本作に対して酷く後ろ向きに考えておりました。
そんな状況で視聴した第25話、多少不満な部分はありつつも完全体進化にピークを持ってくる展開に見事釘付けになってしまい、ガンマモンのみならずアンゴラモンとジェリーモンの完全体、そしてそれ以降の進化に期待を持つことができたことから、本作を最後まで応援する決意を固めた次第であります。
『クロスウォーズ』で終わったと考えていた筆者でありましたが、デジモンシリーズの進化は令和の世において次のステージに突入したのかと、改めて考え直すきっかけの作品でもありました。
結びに
いつもだったら全話視聴後にまとめ感想を出す筆者ですが、本作に関してはリアルタイムの今だからこそ魅力を1人でも多く共有したく記事にさせていただいた所存です。
何度も申し上げている通り、本作はオムニバス性が強いため、ちょっとした基本設定さえ頭に入れていれば途中から視聴することに対するハードルも低い作品だと思われます。
今からでもまだ間に合うぞ!!
『デジモンゴーストゲーム』を見るんだ!!
取り乱しましたが、『ゴーストゲーム』の簡易感想はここまでとさせていただきます。
ご覧いただきありがとうございました。