うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマンデッカー「湖の食いしん坊」

ウルトラマンデッカー

第5話「湖の食いしん坊」

(監督:辻本貴則 脚本:継田淳


B 爆発で吹っ飛んだ瓦礫が

K キリノヘッドに直撃して気絶する姿に

B 爆笑

 


B・K・B! Yeah!!

 


何故これでOKを出したのかというレベルで不自然に飛んでくる瓦礫(というより少し大きい石)がキリノの頭部を直撃するシーンに大笑いしてしまい、直近だと某五十嵐家長男が宣った「仮○ライダーリ○イスこそ最高だ!!」と併せて二大巨頭として筆者の頭に君臨しています。

おかげでこのエピソードに関しては、シリアスとギャグの振れ幅を全く楽しむことが出来ませんでした。


OPにひっそりグリフォンが追加された今回、街で暴れる宇宙怪獣エレキングの飼い主であるピット星人・ユウコに対し、スフィアの影響で母星に帰れなくなっていることと自身の境遇を重ねたキリノが彼女を思いやってドタバタを起こす……というプロットなのですが、明らかに違法かつ無責任な飼育を行なっているユウコに、一切同情できないのが見てて辛い流れ。

現実でも起こりうるリアリティの高い問題を描き、そこに視聴者の同情(キリノとリンクさせるべき心情)を乗せたいのならゲストキャラの好感度こそ重要になってくると思うのですが、反省が無いどころか可愛げのある描き方をしたうえに、エレキングは悪くない!と一方的に主張するので彼方に吹っ飛んでいく没入感。

更にシナリオの深刻さに反して、エレキングの飼育場面も犬の餌用皿に積まれた乾電池を平然と出してくるなど、明らかにやり過ぎなギャグが全く釣り合っておらず。

『トリガー』のバリガイラー回でも思ったことですが、シナリオと演出とで方向性の乖離が激しすぎて、監督の判断でストーリーを捻じ曲げているのではと疑いたくなるレベル。


おまけに、そのユウコを手助けしたいと考えたキリノTPU保有の災害用バッテリーを無断で持ち出ししようとする完全アウトな行動を起こすこととなり、第2話ではカナタとリュウモンよりメンタル面で一歩リードしている場面がありましたが、それをかなぐり捨てる軽率さに唖然。

3億歩譲ってユウコの好感度が低いことに目を瞑ったとしても、レギュラーキャラの人間性に支障をきたす描写は控えるべきだったなと。

「メガアースでエレキングの命を繋いで、それからどうするつもりだったんですか?」

隊長から至極真っ当な指摘を受けたキリノはさすがに反省するが、それでもユウコを助けたい気持ちと怪獣宇宙人は皆○しが当然だろという考えが蔓延るTPUへの不信感を口にする。

「残念なことが二つあります。 一つはあなたが感情に走って、今までの信頼を台無しにしかけたこと。 そしてもう一つは、TPUをそんな融通の効かない組織と思い込んでいたこと……星は違えどスフィアの被害者同士、労わり合うのは当然です

組織のトップが変われば体質も変わりますよ…と持ち前のホスピタリティで部下のハートを鷲掴みにした隊長のもと下克上の機運が高まりつつ、隊長の判断でひとまずエレキングに災害用バッテリーのエネルギーを与えることになり、え、い、いいの???


「食性が電気の怪獣にメガアースなんて与えたら、エネルギー過多でどうなるかが分からない! 今すぐ任務を中止して!」

「もう遅いっす!」

と思っていたらその場に不在だったカイザキ副隊長(怪獣の専門家)からNGがかかるも時既に遅く、あと数メートル違っていたらカナタたちが、エレキングに踏み潰されそうになるレッドゾーンっぷりが炸裂。

街への侵攻を防ぐためカナタはデッカーフラッシュにディメンションするが、例の如くいつもの通り苦戦して夜の湖に叩きつけられ、更にエレキング相手にミクラスを召喚するというコテコテの敗北フラグが立ってしまい、全く役に立たず退場するディメンション怪獣。

窮地に陥ったかと思われたデッカーであったが、ユウコに躾られていたことをヒントにスキンシップを図るも直接触られることに強い抵抗を覚えたエレキングはますます凶暴化し、湖での電撃からの尻尾巻き付け攻撃で割としっかり痛めつけられる羽目に。


「ここで終わるわけにはいかねぇ! 奇跡を……奇跡を起こすんだぁぁぁ!!」

えらく漠然とした叫びに応えるかのように、眠りこけていたDさんからカードを提供されたカナタは奇跡の名を冠する姿へとチェンジ!

「飛び出せぇぇ…ミラクルッ!!

 デッカァァァ!!!」

不思議な力を纏った青きデッカー・ミラクルタイプに変身するが……画面が暗くて姿が分かりづらい。

湖の上に浮かぶ奇跡デッカーはエレキングの電撃を謎空間に流し込んで中和するだけでなく、なんと謎ウェーブでエレキングを巨大化前に戻すという80先生も真っ青の奇跡っぷりを演出し、これまでの話を台無しにする戦闘の決着に目が点。

唐突に差し込んだ「奇跡」というワードをミラクルタイプの名前と特性にかけて上手く持ってきたつもりなんでしょうが、ユウコ関連で絡む問題に対して何ら解答になっておらず、掲げたテーマや問題提起に真正面から向き合わず、肝心なところで「これフィクションですから」と誤魔化す手法は『R/B』や『タイガ』を彷彿とさせて不穏な要素です。


「私がいたら、絶ッ対に許しませんでした」

「面目ない……キリノ隊員の熱意に、あてられたようです」

割とシャレにならない事態を招きかねなかった隊長は「変にやらかすと謀反なんて夢のまた夢よ?」としっかり副隊長に灸を据えられ、有能アピールが強かった隊長に崩しを入れるのは良かったのですが、代わりにここ一番での判断の悪さが際立ってしまったようにも見え、失ったものの方が多かった感。

その反面、指令室で解説ばかりだったカイザキが不在なことでその存在感を発揮することと、エレキングの食事指導で講師に扮するなど愛嬌付けも辻本監督の演出が上手くハマり、改めて必要性をアピールできたのは好材料でした。

 


エピソードとしてはカイザキ以外の主要人物の動きは悪い部分の方が際立ち、ゲストキャラにも何ら感情移入を促せず、初登場のミラクルタイプも見づらい画面で湖に浮いているだけと(OP映像並に暴れるところを期待していた身としては)特撮面でも見せ場はほとんど無く、率直に面白くありませんでした。