うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマントリガー「闇の支配者」

ウルトラマントリガー』

第24話「闇の支配者」

(監督:坂本浩一 脚本:ハヤシナオキ)

見どころは、火星で流れてるニュース番組にて、

「3日前、突如現れた異形の生物により、

地球に闇が広がっています

というトンデモ原稿(笑)


「ハッハッハ!皆あたしに平伏しなッ!!」

昭和のコントの絵面なのが一層おぞましいメガロゾーア大先輩から噴き出る闇にナースデッセイはまともに身動き出来ず、もはや用済みで始末されかけたユナを助けに地上へ降下するラーメンの使徒たち。

「これが、エタニティコアに触れた闇の姿…?」

エタニティの力を得ていつも以上に情緒の安定しないメガロ大先輩はマルチトリガー出現に興奮し、吹っ飛ばされつつもスカイアローを使って反撃するトリガーのアクションはカッコ良かったです。


大先輩のみでなく、闇の力に触れられたことでエタニティコアも暴走しており、地球はおろか全宇宙さえ消し飛ぶ程のエネルギーが放出されそうになっていた。

「あたしの望みはトリガー!トリガーのみ!! 宇宙が消滅しようと…関係ないねぇ!!!」

生まれた時から聞く耳を持たない大先輩にそんな事情は通用せず、今日もあっさりピンチになるトリガーを守るべくユナは祭壇に立ち、かつてのユザレと同じように指輪をかざしてユザレ遺伝子の解放を試みる!

「そうか…あなたも怖かったんだ……でも、守りたいものがあったんだよね? …私も守る! 皆の、笑顔を!!」

恐るべし、邪悪遺伝子の思し召し。

自らの命を賭してケンゴを、地球を守ろうとするユナであったが、天に掲げたその手を引き戻したのはアキト!!

「どうして止めるの!? これはユザレの末裔としての!巫女としての私の…」

「それがどうした! ユザレと同じ結末を迎える必要なんてない!! ユナはユザレじゃない! ユナはユナだッ!!!」

 

おおおおおおおおおお!!

アキトォォォォォォォォォ!!!

最終盤に来て主人公の立場を強奪してしまわんばかりのセリフが見事に決まりました!

 

『トリガー』世界におけるユザレ関係の肉付けは不足してる割に、ユナの巫女としての葛藤は比較的描かれてきたとは思いますが第15話で運命を受け入れることを選んだユナに、「そこまで背負う必要は無いんだよ」と気遣ってくれる存在が最終回一歩手前でやっと出てきてくれました。

これまで守る守るを連呼しながら具体的な方策を考えてこなかったケンゴとアキト(及びGUTS-SELECT)には多少の不満はあるものの、独りよがりに陥りがちな人物の動向を真正面から殴りにかかる展開を見られて気持ち良かったです。

まあ一番の問題は、この程度のセリフが入っただけで感動を覚えてしまうくらい本作のアベレージが低い点にあるのですが(^^;;


「ユナは間違ってる! 皆の笑顔には、ユナの笑顔も必要なんだ!!」

主人公力の低下に焦ったケンゴはトリニティ発動でまたも二刀流を披露し、更に地球で見つけた"ゴクジョー"であるユナを守るためにイグニストリダーも乱入して一気に逆転ムードに。

頼れる二番手ウルトラマンとして活躍するトリダーは素直にカッコいいと思うので、やはり第22話の出来の悪さが……あ、いや…何のことか思い出せないな(棒読み)。

ラーメントリガーズはWゼペリオン光線によってメガロゾーアとの光線撃ち合いを制し、大先輩、ば、爆死?

…なんてことは無く、メガロゾーアから発生する闇は留まるところを知らず、ラーメンズは変身解除して撤退し(イグニスの謎ワープ技が炸裂)、ケンゴたちを乗せたナースデッセイもテッシンのど根性で何とか闇空域を離脱することに成功する。


その後、邪悪会長の命令によりTPU本部に帰還したGUTS-SELECTは会長から地球に起きてる異変を知り、3日間目を覚まさないケンゴを介抱しているという名目でユナが手を握っているのですが、邪悪遺伝子がケンゴの細胞の活性化を阻害してる可能性も否定できません。

もしくは邪悪遺伝子を3日間かけて浸透させることで、新たな悟りに導こうとしてる可能性も…あ、この辺でやめておきます。

「ケンゴ…世界の皆から、笑顔が消えちゃった…」

「ユナ……スマイルスマイル」

眠っていて返事できないはずのケンゴの声をユナは何故か耳にし、力が有り余ったのか火星にいる母の前にも精神体として現れるケンゴ。

恐るべし、邪悪遺伝子の思し召し。

「こんな僕を見ても、あんまり驚かないんだね…」

「ハハッ…あなたの母親だもの。あなたのラーメンの好みなら、何でも知ってるわ」

じゃなかった「あなたのことなら、何でも知ってるわ」

ケンゴ母は3000万年の時を超えて転生したケンゴを遺跡で拾い上げ、その瞬間にトリガーが元ヤンだった時代のあらゆる記憶を目の当たりにしており、21年前に神秘体験を得ていた。

そんな母の後押しを受けケンゴの心は身体へと帰っていき、長い眠りから目を覚ましたかと思ったら突如鳴り響くサイレン!


「見つけたよ! マナカケンゴ!!」

恐らくケンゴが目覚めるまでスタンばっていたメガロ大先輩が、ナースデッセイが格納されているTPU本部をターゲットに活動再開。

更に休暇中に力を溜め込んでいたのか、その姿は人とも怪獣ともつかないものと変貌しており、メガロゾーアは第二形態となりケンゴに迫る!

「何であいつはお前を狙ってるんだ!?」

テッシン隊員の詰め寄りに、とうとう隠しきれなくなったケンゴを見兼ねて隊長が徐にケンゴの肩に手を置き、強く語りかける。

「我々はGUTS-SELECTの仲間だ。お前がどんな秘密を抱えていようとも、何も変わらない…!」

母の、そして隊長の後押しにより自分がトリガーであることをGUTS-SELECTの前でカミングアウトするシリーズお決まりの身バレシーンなのですが、この場にいる半分以上の人が正体を知っている(または勘付いている)ので、ここでカミングアウトを持ってきても意外性も無ければ盛り上がりも一切ありません。

おまけに本作は似たような存在であるユナ=ユザレを同じメンバーの前で公言というイベントを先に消化してしまっているため、ケンゴがトリガーであることを隠す必要性が限りなく薄く、シリーズの約束事をストーリーのピークに持ってこようとした結果、色々と無理の生じたシーンになってしまいました。

この世界における"ユザレとは何か?"をきっちりと定義しているという前提のもと、何かしら理由付けをしていれば回避できた落とし穴だったと思うのですが、本作は見えてる落とし穴に自分から竹槍をセットした挙句、いきなり頭からダイブして勝手に串刺しになってるみたいな作劇が本当に多い。


「この地球には、私の大切な娘がいる。大切な仲間たちがいる…今はここが、私の故郷だ」

「なるほどね……確かにこの地球はゴクジョーだ! カルミラに渡すわけにはいかねぇな」

ケンゴに協力を求められたイグニスは出身がこの世界でない会長に世界を守る理由を問い(故郷というワードは監督の好きな『ウルトラマンレオ』リスペクトでしょうか)、卵が先か鶏が先かみたいな返答をいただいたところで決意を固める。

「GUTS-SELECTの総力を以て、メガロゾーアを迎え撃つ! 皆、覚悟は出来てるな!?」

ラジャー!!!!!

出自を超え、立場を超え、星を超え、次元を超えて…あらゆる想いを載せた筋肉戦艦ナースデッセイ号に集いしラーメンと筋肉の使徒は戦地へと赴き、2人のトリガーがメガロゾーアに飛び込んでいったところで、次回、最終回!!!

 

 

エタニティコアの不明瞭さ、ケンゴの正体を隠していた意味、ユザレの定義不足、特に意外性の感じられない会長の戦う理由など、気になる部分は多くあったものの、「ユザレと同じ結末を迎える必要なんてない!!」のアキトが役者の熱演もあって本作における最高のクライマックスになったので、それだけで満足してしまいました(笑)

ラーメンと筋肉の使徒が辿り着くゴールはどこにあるのか、「新時代の『ティガ』」が最終回で何を描いてくるのか、見届けていきたいと思います。