うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマントリガー「オペレーションドラゴン」

お世話様です。


先日最終回を迎えた『トリガー』ですがやはりTVシリーズのまとめ感想は残しておきたい(色々書きたい)と思ったので、今更ながら各話感想復活です。

後半は見返す時間を取れずストーリーがイマイチ頭に入っていないので、再確認の意味も込めてつらつらと記していこうと思います。


事前に断っておきますが、この時点で最終回まで見てしまっているので出来るだけ初見時の感想を思い出しながら進めようとは思うのですが、どうしても先の展開が頭を過って負の感情が爆発しそうになる時があります(良い部分をちゃんと褒められない可能性すらある)。

正直かなり読む人を選ぶ内容になるかと思われますので、読者の皆様方には大変申し訳ないのですが、あくまで自分自身の『トリガー』備忘録という前提で進めていきたいと思います。

 

それでは本文。

 


ウルトラマントリガー』

第15話「オペレーションドラゴン」

(監督:坂本浩一 脚本:足木淳一郎)

強大なアブ戦士に対抗するべく武装の強化を求められるGUTS-SELECTは、かねてから実用を考えられていたと思しきナースデッセイ号・バトルモードを頼ることに。

しかしその維持には膨大なエネルギーを必要とするため、解析を進めたアキトはアブ戦士の持つアブソリュート粒子を逆に利用してエネルギーの供給を図り、宇宙線研究所の装置を使ってその採取作戦に挑むGUTS-SELECT。

トリガーの波形を装置で再現することでアブ戦士を誘きよせ、ガンQキーでその力を吸い取りバトルモードを完成させる作戦"オペレーション・ドラゴン"がここに始動する。


「心を無にして本能のまま、内に眠る秘めたるパワーにタップするんだ。そうすれば、自らの手で、運命を切り拓くことができる」

「運命を、切り拓く…?」

その一方で、ユナ同伴のもとケンゴは新たな信仰に目覚めるべくリブットの特訓を受けることになり、よし、ここで前回予告にあってあのシーンだな!と構えていたら、ごく普通に暴力でケンゴを滅多打ちにするリブット。

ダンスによる神秘体験かと思っていたら、まさかの闇の稽古だった!という光景に見学に来たイグニスは何を思うのか。

「見えるものだけ信じるな」

(byヘビクラショウタ)

自らが光の化身であるという使命感に囚われるケンゴを導くべく、ウルトラブートキャンプに勤しむ傍らユナとイグニスの胸中も見透かすリブットは師匠キャラとしては違和感無い反面、さすがにゲストキャラの枠を大きくはみ出し過ぎたような。

『ウルトラギャラクシーファイト』などの作品を見ていればキャラ描写としては多少飲み込める部分もあるのですが、唐突に現れた他作品のキャラクターが今後のキャラの動向に影響を与えることで『トリガー』という単体の作品のディテールを大きくボヤかしてしまってます。

前作『Z』でもジードやエースの登場(によって起きた事象)が物語に深く関わっており、今後のシリーズの方針であると納得しなければいけない部分ではあるのでしょうが、それを前提として物語を組んだ結果、単体のTVシリーズとして完成度を引き下げてしまう姿勢は相変わらず疑問を覚える点です。


「やっぱりケンゴは笑顔が一番だよ!」

ユナと共に闇と光のリブートキャンプを経験し、無心のスマイルを取り戻したケンゴに仕上げとして、心臓麻痺による臨死体験をプレゼントするリブット師匠。

初めの暴力で心身共に追い詰め、トンチキ特訓を課すことで思考停止を促し、最後は臨死による神秘体験によって一段上のステージへと到達させる……これが光なんだ…!!


そうこうしている内にGUTS-SELECTは宇宙線研究所にてトリガーの力を再現したアブソリュートホイホイを設置完了。

「なるほどねぇ、上手くいくことを願っているよ…」

その光景を人間に擬態したカルミラさん(声を演じる上坂すみれさんがそのまま人間態を演じるサービス)が不敵に見つめる中、あっさり誘き出されてくるディアボロ脳筋)からハイパーガンを使ってエネルギーを採取する隊長の「GUTS-SELECTの意地を見せろぉ!!」というシーン自体はカッコ良かったですが、踏ん張り空しくディアボロの動きを封じきれず。

隊長たちがトリガーいなかった腹いせにディアボロにあぽーんされそうになる危機に、駆けつけたのは神秘体験を終えたケンゴ…ではなくアブ戦士の活動を静観していたはずの3バカトリオ!!!

「貴様ら!我々との盟約を忘れたか!?」

「ハッ!知ったことかい。トリガーを、マナカケンゴを倒すのは私だよ!」

前回、ギリギリ悪の親玉としての格を保ったカルミラさんが自ら"残念"沼にどっぷりと浸かり始め、

いいぞ!もっとやれ!(え

ていうかディアボロというかアブ戦士たちはカルミラさんたちが大人しく約束を守ると本気で思っていたのでしょうか(笑)


利害の一致した闇の巨人の手助けによりナースデッセイ号はディアボロ成分を充分に摂取完了、更に怒りのディアボロに対して神秘体験を経たマルチトリガーが今度こそ降臨し、制御できなかったトリニティキーに力強く手を伸ばす!

「勝負だ!ディアボロ

 宇宙を照らす、超古代の光!!」

「この前とは違うってワケか、面白い!!」

何だかメギド三人衆みたいな口ぶりになった(そういえば坂本監督は『セイバー』にも参加していました)ディアボロと対峙する悟りニティトリガーは師匠と似た捌き手を披露。

キレイな型のようなトリガーの戦闘スタイルはカッコ良い場面ですが、相手してるのはホイホイにあっさり誘き出されたディアボロさん(脳筋)なので、素直に盛り上がるのが難しい場面^^;

そして「実験を始めようか」と遂に起動したナースデッセイ号・バトルモードがディアボロに追撃を仕掛け、シチュエーション的にはトリガーとGUTS-SELECTが協力して強敵に立ち向かう!という構図なのですが、両者の出来事が物語的に一切繋がっていないので、あらゆるイベントを消化しようとして結局あちらもこちらも立たず終い。


リブット登場、強力なエネルギー採取が必要になるという面で一応アブ戦士出現がきっかけとなる出来事で繋がっていると解釈することも可能ですが、ならば『トリガー』という作品の大きなステップアップとなるエピソードを、他媒体で主に展開しているゲストキャラに任せてしまって良かったのか?という問題が浮上。

百歩譲って、エタニティコアの力の一端だけでもケンゴが制御できるようになるイベントをリブットが担当することに目を瞑ったとして、それと同時に何の繋がりも持たないナースデッセイのバトルモードを絡める判断はさすがに欲張り過ぎで、いくら玩具販促の時期が関係しているとはいえ、もう少し何とか出来なかったのか。


その頃地上では、因縁のアブ戦士が仰け反っている姿を好機と見たリブットがユナからハイパーキーとスパークレンスをレンタルし、人間の姿から本来の巨体へと転生!

「生命を救う、銀河の光!

 ウルトラマンリブット!!」

リブットは悟りニティと並びディアボロとのリターンマッチに挑み、ここで流れる挿入歌はとてもカッコ良いのですが、ディアボロに膝蹴りを叩き込みつつ羽交い締めにするリブットさん、次々グリッターブレードで技を繰り出す悟りニティ、マキシマ砲を携えしゃしゃり出てくるバトルナースなど若干オーバーキル過ぎて、スローを多用してテンポを削いでしまっている部分からも見ててあまり楽しくない戦闘でした。

なんだかんだありウルトラマン2体と怪獣戦艦の合体光線により粉々に吹き飛ぶディアボロ…あっさり悟りニティとナースデッセイに押し負けたディアボロの今後が、実に心配。


「あなたのおかげで、大事なことに気付きました。僕は光であり、人でもある。その運命を受け止めて、生きていきます!」

「でも忘れないで、君の笑顔には、世界を救う力があることを」

「はい!スマイルスマイル!!」

神秘体験によって繋がった2人のウルトラマンは夕陽に染まる中でクロスタッチと今度はラーメン一緒に食べましょうという盟約を交わし、リブットは太陽に向けて飛び立つ。

そして、かつてはゴモラの力が備わっていたリブットキーを預かったケンゴとユナがアキトの研究室を訪れたところ、バトルモードの影響でめちゃくちゃになった部屋を一緒に片付けることに。

「ちょっとはいい顔になったな」

ヒロイン、ここにあり

「私も、ユザレの末裔として自分の運命と向き合ってみるよ」

負けじと「私、ケンゴに膝枕したからね?」とヒロインアピールで対抗するユナであったが「そうか」とアキトの反応は冷たく、"運命は変えるものではなく、強くなって受け入れるもの"というエピソード単位の結論も面白くならず、またも首を捻るところです。

また、バトルモード使用がキャラの愛嬌付けになるのは良いのですが、やはりテッシンヒマリのリアクションが描かれないのは残念な部分。


こっそり戦艦に帰投していた2人が怒りの隊長に呼び出されていた頃、粉々になりながらも心臓部が無事だったことで再生したディアボロがタルタロスと共にザ・キングダムに一旦帰宅することに。

「エタニティコアが我々の脅威になるのは、まだ先のこと。今、優先すべき相手は…光の国」

本作スポット参戦となったアブ戦士が『ギャラファイ』への大きな布石を残し次回…と思いきや、

「秘めたるパワーにタップする、ね…」

リブット師匠の言動と行動から色々ヒントを得ていたイグニスは、アキトからくすねていた廃棄スパークレンスと空キーに闇の力を込め、黒い変身アイテムを生成する。

そのまま力を試すかの如く、闇のキーをブートアップ!

「未来を染める…漆黒の闇!

 トリガーダーク…!!」

変身したイグニスは過去のトリガーの姿で夜の街に出現、で今度こそ次回。

 

 

前作主人公のハルキとゼットに続き、他作品からのゲストキャラ登場のイベント回でありながら後半に向けて物語を大きく動かしに来たエピソード。

7.8話が外からの刺激としてのハルキとゼットを描きながら、序盤のメインイベントであったケンゴとハルキの関係性を発展させつつ、そのメインストリームにユナを組み込むという流れだったと思うのですが、今回はケンゴ・ユナ・イグニスに変化のきっかけをもたらし、トリガーと協力してディアボロを木っ端微塵に吹き飛ばすなどリブットさんがあらゆる方向で大暴れ。

ゲストキャラがスイッチとなって物語のポイントを切り替えること自体は別に不自然ではないのですが、ケンゴに光信仰を促す・ついで感覚でユナにもアドバイス・おまけにイグニスの心も見透かしトリガーダークになるきっかけを与えるなど、あまりにも多くのタスクをこなし過ぎていて、もはや台無しの領域。


その代わりというか、引き換えとしてナースデッセイ号をバトルモードにすることで本作の独自性を引き出そうという狙いがあったのかもですが、そのバトルモード自体も特に布石があった訳でもないうえに、そのきっかけがリブットと同じく外様のアブ戦士であることが致命傷。

結果としてケンゴ=トリガーのステップアップとGUTS-SELECTの戦力増強が同じエピソードで発生していながら、それらが外的要因でしか繋がっておらず、本作の「横の繋がりの決定的な不足」という、最悪の独自性だけがポツンと残される羽目に。

他にも(玩具販促の事情もありますが)「ウルトラマンになるには、その世界に合ったアイテムを使うことが必要」という設定も、7話でアキトがゼットキーを作った後に見せる展開では無いと思いますし、新たな設定を増やすことで奥行きを増すどころか単体作品としては、みるみる独自性を失っていってるようにしか見えないのが辛い。

"他作品との密接なリンク"という要素は時に壮大なカタルシスを生むものだと思いますが、注意しないと数多くの喪失へと導き、最終的には何者でもないスライムみたいな物体が転がるだけになってしまうのかなぁと。

 

 

そんなこんなで次回、ここ数話すっかりカルミラさんの配下Bであったヒュドラムにデバン・ダ・デバンの予感。