うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマントリガー「悪魔が再び」

ウルトラマントリガー』

第21話「悪魔が再び」

(監督:辻本貴則 脚本:継田淳

いきなりトリガーが変身したと思ったら前回のバリガイラー戦のプレイバックであり、そしてその戦いが今回の引き金になるというなかなか珍しい導入。


シズマ財団の研究センターで調査が進められていた2つのカプセル、その中にはそれぞれ液状となった青と赤の生命体が封じ込まれていた。

およそ3億5000年前の古文書に記載された内容をさらっと解析しているのですが、桁が違いすぎて超古代文明と同列に出来ないのでは。

バリガイラーの落とした雷によって、封じられながらも活動を再開した青と赤の悪魔のカプセルを保護するべくケンゴとアキトが研究センターに向かい、ユナは待機命令を受けることに。

「先日のような勝手な行動は、許さんぞ」

良かった…隊長が前回のこと忘れてなくて良かった……!!(この程度のことで安心してしまうのが『トリガー』クオリティ)

というか前回爽やかに見送ったバリガイラーの行動が今回になって結構響いてきており、本当に笑顔で送り出して良かったのかあの誇り高き畜生。


ラーメンの使徒が研究センターに着いたと同時に青い液体が突如活性化し、液体から気体、最終的にその姿は青色発泡怪獣アボラスへと変化し、泡を吐いてビルを溶かし始める!

ケンゴは研究員たちの避難誘導に当たっていたが、怪獣に気を引かれていたため後ろから迫る溶解泡に気付かなかったアキトを庇い、泡に取り込まれてしまう…って避難誘導中に思い出したようにアボラスに発砲し始め(研究員の避難が終わってないのに何故か威嚇射撃で気を引こうとしてる謎)、その棒立ちの背中に泡が迫るという構図が色々な意味で間抜け過ぎて、以前も不用意な発砲で生命の危機を迎えていたのに全く反省が見られません。

そうこうしてるうちに雑に放置されていた赤カプセルからも赤色火焔怪獣バニラが解放されてしまい、どうやら昔からライバル関係にあったのか2体の怪獣はビルを破壊しながら取っ組み合いを始める。


「ケンゴが…ケンゴがぁ!!」

アキトが怪獣出現を察知した隊長からの連絡にもまともに応えられなくなっている中、カルミラ大先輩とダーゴンは異世界海底で2大怪獣大暴れをモニタリングしており、「これはまた好都合だねぇ」と混乱に乗じてユザレ誘拐を画策する大先輩は、何故こうも他力本願なのか。

ダーゴンをお使い代わりにしようとし、自身から積極的に動こうとしない主体性の欠如が自身の目的の軽さを裏付けしてしまっており、こういう場面で芯の通ってないキャラ造形が足を引っ張ってきています。

覚醒したユザレの力を甘く見ると痛い目に遭うぞとお使いを拒否するダーゴンと大先輩の間でも軋轢が生まれ始めてきており、仲良さげに絡んでいたのは第7話くらいでしたが、闇の巨人の心はもう一つの場所には無いという状況設定は上手くハマっています。


「GUTS-SELECTの本分を忘れるな!」

通信じゃ何やら分からんとナースデッセイに呼び戻されたアキトは現場でケンゴ救出を志願するも、怪獣を排除することがまずチームのやることだと隊長に釘を刺されることに。

隊長の言ってることはもっともなのですが、緊迫したこの状況で隊員が4人くらい後ろで棒立ちになっているのは、良いんですか隊長。

隊長とアキトの言い合いは監督のツイートからほぼ役者任せで撮ったシーンと明言していましたが(ずり落ちそうなキャップを掴んだのはアドリブとのこと)、直後のシーンでそのアフターフォローがしっかりしてないどころか、むしろ迫真の演技を台無しにしてしまってます。

本職の特撮パートはアボラスとバニラの怪獣プロレスが徹底して描かれ、映像としてはしっかり楽しめましたがそれ以外の適当さは実に天井知らずです。


同僚が説教されている場面を目撃しGUTS-SELECTの本分を思い出したヒマリ隊員はやっとファルコンで怪獣殲滅に向かうも、余計なちょっかいを出したことでむしろ2体の恰好の的となりファルコン、登場から20秒程であっさり撤退

挙句、トリガーがなかなか現れないと情けなく愚痴るマルゥルを叱る隊長、来年の健康診断では胃にも異常が発生してそうです。

「この程度の古文書が読めなきゃ、トレジャーハンターは務まらないってな」

怪獣への対処法を探すべく古文書を解析していたアキトに、前回ユナを密かに助け信頼ポイントを貯めてきているイグニスが見参。

アボラスとバニラは凶暴なだけでなく、倒されると全てを死に追いやる毒の血を放出してしまうという実に悪魔的な特性を持っており、悪戯に殲滅は出来ないことが判明し…バリガイラーの暴走がとうとうシャレにならないところまで侵食してきており、

やはり、前回粉々に吹き飛ばすべきだったのでは。

しかしアボラスの溶解泡はバニラの火炎放射で取り除けることも発覚し、アキトはケンゴ救出と2大悪魔撲滅運動をイグニスに呼び掛ける。

「涙なんて二度とごめんだ。それが自分でも、他人でも…もちろん、地球人であっても」

ケンゴを想うアキトの涙を見たことで、かつての仲間たちとの別れの涙を思い出したイグニスはラーメンの使徒加入テスト参加に快く賛同し、世界よ、

これがヒロイン力だ!!


「お前から取り返した後、気になる部分を改良した。これならきっと、力の制御が出来るはずだ」

イグニスの手錠を解除したアキトは続けて、以前没収したブラックスパークレンスとトリダーキーを徐に取り出し…改良したってことは自分で変身する気満々だったな!!

夜中に1人で掛け声の練習してたなアキト!!(笑)

「未来を染める漆黒の闇、それは俺のことだ…イグニス、お前じゃない!!」(嘘)

冒頭のやりとりでイグニスには未だ懐疑的だったラーメンの使徒からしたら黒スパを微調整していた動機はあまりに謎ですが(機械弄りしたくなる性分といえばそれまでではある)、

「ヘボ発明家のやっつけ仕事か…期待しないでおくぜ?」

「…ウザい」

というやりとりは洒落が効いてて良かったです。

しかし隊長からしたら、2話連続で若手隊員が密かに命令違反を行っており(しかも2人とも会長の身内)、来年の健康診断の結果がいよいよ心配になってきました。


「未来を染める、漆黒の闇!

 トリガーダーク!!」

登場直後のダブルパンチで2大悪魔を開幕KOし波に乗った真トリダーは勢いそのままにスピーディな勝負を展開し、バニラの首根っこを掴んでケンゴを包んでいた溶解泡をバニラ火炎で焼き払う!

光のバリアで守られてたケンゴは溶解泡で溶かされることなく生還し、2大悪魔から足蹴にされているトリダーを助けるべくマルチトリガーにブートアップ!

3000万年の時を越え、ついに肩を並べた光と闇のトリガーは2億7000万年の違いがなんぼのもんじゃぁぁい!と2対2のタッグマッチへと挑み、迫力とスピード感がなかなか見応えのある戦闘。

……にも関わらず、肝心の毒の血関係は「瞬時に灼き尽くす」というよく分からない結論に落ち着き、強引に主題歌を流して必殺技でそれっぽい描写をしただけになったのはかなり拍子抜けで、尺の使い方をミスった感。

じゃあ何を削れば良かったかなぁ…と考えると、

真っ先に浮かぶのがファルコンなのが辛い。


「やつらは互いに助け合い、ますます強くなる。翻って我々は…闇の一族は……」

ダーゴンが誰もいない異世界海底で思いに耽ていた頃、戦い終わったケンゴはテスト合格ということでイグニスとラーメンの絆を育もうとしており、そんな2人の前に命令違反コンビがイグニスに礼を言うためだけにわざわざ現れる。

3人とも新たなラーメンの使徒誕生にすっかり油断してしまっており、密かにブートアップ!した等身大トリダーにユナが連れ去られてしまい、これ以上ないヒロインポイントを稼いだ!でつづく。

 

 

相変わらずどこまで演出プランを立ててるのか不明かつ適当なドラマパートがチラつく回でしたが、前回ほどシリアスとギャグの揺らぎが感じられず、後半は見応えのあるバトルを中心とする展開で、終わってみたら意外と楽しめたエピソードでした。

初代から本格的に復帰となったアボラスとバニラに新しい特色が加えられ、解決法はあっさりしてしまったものの、本作では最も扱いの良い怪獣になったかと思われます。


細かいところではイグニスの涙関連をクローズアップするなら、アキトにしろ過去のイグニスにしろ「涙」の描写をもっと印象的に演出しておけば劇的になったのになぁとは思う所存。

しかしイグニスの軽妙な発言がやや演技の拙いラーメンの使徒とは相性は良く、本作では珍しくキャラ同士の掛け合いで面白いと思わせてくれたのも良ポイントで、あれ、意外と褒めるところが多い(笑)

 

 

そんなこんなで次回、イグニス、死す(嘘予告)