『ウルトラマントリガー』
第17話「怒る饗宴」
(監督:越知靖 脚本:植竹須美男)
「リスクは承知の上だ!マキシマ・ナースキャノン、スタンバイ!!」
トリガー2体をあっさり消滅させた強敵メツオロチに対し、まだ未完成でどんな副作用があるか分からないガーゴルゴンキーのブートアップ!に頼るしかないと力強く宣言する隊長はすごくカッコ良いのですが、ガーゴルゴン使用に関しては何の布石も無かったのでいまいち盛り上がらないのが惜しい部分。
ガーゴル石化光線(キーの音声が「ガーゴルゴン!」なのが何だか敗北感)を乗せたナースキャノンでメツオロチを石化させることに成功するが、その見返りとしてナースデッセイは墜落。
それでもテッシン隊員の修理によってブリッジのみ復旧し、せっかくスキルを見せたのに周りから一切リアクションしてもらえないテッシン、さすがに可哀想。
分析によるとメツオロチは表面しか石化しておらず、翌日の昼には活動を再開する見込みとなっていたが、機体の70%が石化しているナースデッセイは戦力として機能できずメツオロチが石化している間に何もできない無力感に駆られるGUTS-SELECT。
「現状、いけるのは地上班とガッツファルコンのみ…有効なのは実弾の攻撃だけか」
すごく、頼りないです。
4代目!異世界からまた特空機持ってきて!!
ピンチの、ピンチの、ピンチの連続でどうにもこうにもならない時、D4が欲しい!!
会長(素)「今だ、撃つんだ!ナナセ隊員!!」
ヒマリ「喜んで(ポチッ)」
ーーー主人公不在につき、
『ウルトラマントリガー』・完
………すいません、さすがに暴れ過ぎました。
「そんな顔しないで。元気に、前向いてこ!スマイルスマイル!」
ブリーフィング中にもユナの顔が浮かないことに気づいたケンゴ……ってアキトー!!
主人公は簡単に気付いたぞアキトーーー!!!
「そうだね…そうだよね!」
そんなユナを全員で見つめ、隊長の号令も入り、決死の作戦に心中覚悟で団結するGUTS-SELECTはキズナリョクを-30%から-15%くらいに高め合っていた頃、街の片隅でイグニスはリシュリアの仲間たち、そしてそれらがヒュドラムに食い尽くされた("食事"の表現として石化させられているのですが、正直意味不明な描写)過去に想いを馳せていた。
それぞれが使命と復讐心を秘め、翌朝を迎えることに。
GUTS-SELECT地上部隊とTPUのモブ隊員との連携で、メツオロチがバリアーを発生させている背中の突起を破壊しちまおう作戦が繰り広げられそうになっていたその時ーーー!
「怪獣のバイタル急上昇!100、180……400!?早すぎる!!」
ある意味予定調和というか案の定というか、予定より2時間も早く石化から復活したメツオロチを撃退するためGUTS-SELECTとシズマガーディアンズは大量の銃火器を発砲!するも全く通用せず、逆にメツオロチの一閃により戦力の大半を削ぎ落とされてしまう。
地上部隊との連携で唐突なミリタリー描写が挟み込まれましたが、世界観にあまりマッチしてないリアル銃火器(知識は無いので実際は違うのかもしれませんが)を持ち出されても「何でそこでハイパーキー使わない?」という疑問が発生してしまい、普段ハイパーガンしか使わないケンゴとユナが見慣れないアサルトライフルを連射するという状況も「そういうシーンを撮りたかった」以上の必要性を描けていない(3000万歩譲ってナースデッセイ不調によりハイパーキーの調整が出来てないとも解釈可能ですが、だったらそれは説明が入るべき事項になるかなと)ため、緊迫感より困惑の方が先立ってしまいます。
「難易度更に上がった!?…でもやるよ、ファルコンちゃん!!」
GUTS-SELECTはファルコンを発進させ、残った地上部隊も各員散開してメツオロチの足止めに努めるもその進行は止まらず。
逃げ惑う市民にかつての仲間たちの惨状を重ねたイグニスは、感情を爆発させながらトリダーにブートアップ!顔面パンチからラッシュを仕掛けるもオロチの範囲攻撃を発動させてしまい、巻き込まれたナースデッセイとのリンクが途切れたファルコンは墜落しGUTS-SELECTは作戦継続が困難になる……。
しかし、墜落したはずのファルコンが再浮上しメツオロチの電撃を掻い潜り、エネルギー源である角の破壊に成功する!
そして、そのファルコンを操っていたのは、メンテナンスブースに入り込み操縦桿を握っていたケンゴであった!!
は?
メンテナンスブースもケンゴ搭乗も一切伏線の無かった展開で唖然とするのですが、シリーズのお約束ともいえる戦闘機搭乗を主人公が成し遂げた直後に、お役御免とでも言わんばかりにトリダーが雑にファルコンを追撃し、ケンゴはマルチトリガーにブートアップ!
墜落シーンすら描かれないファルコンが、テッシン隊員と並んでさすがに可哀想。
地上に降り立ったトリガーがまたもトリダーと対峙しそうになっていたところに、前回から瞑想に入り残念闇パワーを深めていたカルミラさんがタイミング悪く乱入し、デバン・ダ・カルミラ!!
「ケンゴ…ケンゴ……マナカケンゴォォォ!!!」
エ○ルドライバーみたいなフレーズで過去のトリガーを消した(と思い込んでいる)ケンゴに対する恨み節を吐きながらトリガーに襲いかかるカルミラさん改めカルミラ大先輩は高まった残念パワーに釣られたのかトリダーに取っ組みかかられており、早速瞑想の成果を発揮しています!
一方でカルミラ大先輩に吹っ飛ばされたトリガーは、さっきまで対処に困っていたことなど忘れていたかのようにメツオロチから背中に思いっきり攻撃を受け、トリニティキーをブートアップ!グリッターブレードとサークルアームズの二刀流で、角を失くしたメツオロチをあっさり爆殺(笑)
……ファルコンに次いで、役目を終えた怪獣に対する扱いもなかなかに酷い。
メツオロチを倒したのも束の間、何故かマルチに戻ったトリガーが迫るカルミラ大先輩に、とりあえずドスを見せつけ牽制する姿は間抜けで面白かったです(笑)
大先輩はトリガーの持つドス=サークルアームズを弾き飛ばすも、それをなんとトリガーダークがキャッチ!
更にホロボロスキーでハイドロトリダーにフォームチェンジし、ザイゴーグキーをマキシマムブートアップ!!でカルミラ大先輩に叩きつけるもエネルギーが尽き消滅。
大先輩は傷を負いながら尚もトリガーに襲いかかろうとするが、見どころの少なかったダーゴンが現れそれを静止。
ダーゴンとカルミラは自らの足下に目を下ろし、トリガーと共に戦うためにハイパーガンを構えるGUTS-SELECTの姿を目の当たりにする。
「これが人の力だ…甘く見れば痛い目を見るのは我々の方だ」
……前回今回とメツオロチ(オーガ)にほとんどやられっ放しだったうえに、作戦失敗をトリガーダークのせいにして、最終的にはケンゴ1人でどうにかしてしまった事実に目を瞑ればその通りですね!!
「今は退け!我らの勝利のために」
挑もうとしているのがエネルギー切れ直前のトリガー、キレイに横一列に並んでいるため簡単に薙ぎ払えてしまいそうなGUTS-SELECTの面々なので、いくら感情的に暴走しているとはいえカルミラ大先輩が負ける可能性は低く見え(ゼットンキーを皆使っているので苦戦は免れないか)、ここ数話は株を上げがちだったダーゴンが再び脚本の都合で撤退役を任されることになり、GUTS-SELECT関連の描写の薄さから発言にも説得力が一切無いため非常に面白くない展開。
まあ例えここでケンゴたちを始末したとして、それぞれが別の方向を向き出している闇の巨人一族の「長期的な勝利」を掴めないことに、ダーゴンは焦りを感じ始めているとも取れますが。
闇の巨人は去ったところで、変身解除し地べたを這いずり回っていたイグニスはアキトによってトリダーキーを回収され、GUTS-SELECTによる捕獲・収監の刑を受けることに。
「はぁ…上手くいくと思ったんだけどなぁ…」
独房のとても寝心地の悪そうなベッドに横たわったイグニスが呟いたところで、つづく。
前作と同じく第16.17話を担当することになった有望な若手である越監督の演出ですが、脚本が本作初参加の植竹さんだったこともあってか昨年以上の大事故回。
一定スピードのスローモーションが常に使われていることで一本調子で抑揚が無く、ファルコン、メツオロチ、トリガーダークと多すぎるキャラがちょくちょく行方不明になり挙句カルミラの乱入により、ぶつ切り感が強くなってしまったバトルシーンには全く感情を乗せられませんでした。
ストーリー面でも、前回からとてつもない脅威として描かれていたはずのメツオロチに対してGUTS-SELECTが消耗した戦力の中で対策を立てる姿にヒーロー性を見出すことはできたのですが、結果的にはケンゴ(トリガー)だけで決定打を与えることになってしまい、最後の勢揃いシーンに説得力を与えるどころか台無しにしてしまうという大惨事。
そこに自己満足感の強い演出を重ねたことで、前後の繋がりが感じられない積み重ねも布石も一切放棄したシナリオになってしまい、演出面でも歯止めの効かない地獄絵図に頭を抱えるエピソードとなりました。
『ガメラ大怪獣空中決戦』を意識したような夕陽に佇むメツオロチや、二刀流トリニティなど若手の監督らしい印象的な演出も光る部分もあったのですが、もう少し単体エピソードとしての完成度を引き上げて欲しいところ。
演出の方向性を見る感じ、越監督は恐らく辻本フォロワーだと思われるのですが、武居監督辺りに師事してみてはどうかと、自分勝手に思っております。
次回、息抜きエピソードの予感。