大激闘 マッドポリス'80
第6話「殺しの追跡」
(監督:野田幸男 脚本:永原秀一)
いきなりアップでカメラ目線になる氷室。
前回予告の時点でメタ目線が差し込まれたので、いきなり視聴者に語りかける芸風にシフトしたのかと開幕から焦りました…。
そしてアジトでの服装は各自の色の主張が激しく、「レッドはキャップの俺だ」「それじゃ俺はさしずめ、ブルーってところかな」「え〜俺イエローっすかぁ?」「ごちゃごちゃ言うなようるさいな」みたいなやりとりがあったに違いありません。
今回のターゲットは東都観光社長・植村正樹(48)
東証一部上場の一流企業経営者の顔と、JMへの潤沢な資金提供者としての凶悪なギャングの顔があり、JMの存在をちらつかせ強引な会社乗っ取りを行ってきたこの男は、多くの人間から恨み憎しみを買っていた。
「組織の最高機関はこの金の成る木、最大の資金源を安全を確保するため、この男の護衛に万全を期さねばならなかったのである」
ナレーションさんもなかなか辛辣(笑)
これまでのボスの中では、特に小物感が強い植村を演じるのは、なんと2話連続「帰ってきたウルトラマン」から伊吹隊長こと根上淳氏。
事前の調べにより植村の乗り込む車が銃弾も爆弾も効かないこと、東都観光経営するマンションも警備が張り巡らされ簡単には近づけないことを確認する氷室レッドは、同じく東都観光経営で進司イエローが雑用係として潜入しているスポーツクラブに植村が通っていることを確認し、そこをチャンスと見て行動を開始します。
「氷室たちマッドポリスの狙いはたった一つ。ジャパンマフィアの資金源であり、経済界進出への有力な足掛かりでもある植村正樹、この悪虐非道な男の息の根を絶つことであった」
※警察官の思惑です。
JMきっての護衛のプロ・赤木宏が同行のもと、西新宿の会議に向かう植村を追跡する悠子の通信を受け、ビルの屋上でスナイパーライフルを構えていた氷室レッドは発砲!
「こちら氷室、挨拶は済ませた」
※警察官のセリフです。
手土産の一射目を食らわせた氷室レッドに続き、ホテルの一室から狙撃を見舞わせたのは水玉模様のジャケットを羽織った芹沢。
「兄弟、ワシの挨拶は終わった。今度はお前の出番や、派手にぶちかましたれぇ」
※警察官のセリフです。
その兄弟こと、今度はダンプカーに乗り込んだランボー新田の火炎瓶による妨害で植村カーの行手を阻み、車内で赤木と言い争いになった植村がスポーツクラブに向かうように仕向けると、先回りしていた氷室レッドと同じ赤ジャージに袖を通した松村が合流。
手筈通りにスポーツクラブで植村を始末しようとするMPツートップであったが、もちろん植村側もそれに気付いており、エレベーターで屋上まで逃げてからヘリコプターに拾ってもらうことを事前に富樫と打ち合わせており、MPの殺しの追跡1回戦目は植村に軍配が上がる形となりました。
11階まで駆け上がっても息も切らさないツートップを、邪悪な笑いでヘリコプターから見下ろす植村は良いシーンでした。
直後、アジトにてMPメンバーは、押収したヘロインを吸ってるのでは、と疑問に思うレベルのおかしいテンションでトランプゲームに興じながら、次の対策を練っており、植村に捨てられた女・喜多川かおるとコンタクトを取り、植村の拠点となっているマンションの警備体制を聞き出すことに成功。
訪問者を装い植村専用(本当にそう記載されてる)のエレベーターに潜入した悠子は化粧を直すフリをしてカメラの位置を確認。
情報を持ち帰って作戦会議を行うことに。
かおるからもたらされた情報が正しかったことが証明されるのですが、MPの中では彼女を疑う声は消えることなく…
MPが作戦会議を展開していたのと同じ頃、三田村富樫との接見ノルマを達成する植村のもとには、もちろんかおるも同席していました。
かおるに接触してきた男=進司をMPだと確信した三田村富樫は、逆に根絶やしにする絶好のチャンスだと植村に毎度恒例の圧力をかけ、植村のやる気を引き出していました。
「赤木と協力して、全力を尽くしましょう」
祝⭐︎仲直り
植村たちが席を外したと同時に、三田村は富樫に
「いざとなれば植村の代理はできる。だができるなら代理にしてやれん…やつは有能だ」
う、うん…若干の節穴疑惑が浮上して参りました…。
都内の某公園で昼間からタバコを蒸すツートップは、進司が連れてきたかおると対面。
そして彼女の口から、明日の晩、植村の部屋でパーティが行われるという情報がもたらされ、モチのロンそれは罠であり、承知の上で氷室はそれを快諾。
……スポーツクラブでの植村逃走の際にも露骨な妨害を仕掛けてきた(松村が彼女を疑う原因となった)ことも含めて、この人重要な局面での嘘が本当に下手。
捨てられた理由として、そういうところが植村相手にも日常的に発揮されていたとかいう可能性はありそうです。
かおる=植村が垂らした露骨な釣り針に思いっきり疑問を向ける松村レッドですが、氷室レッドは「リーダーは俺だ」じゃなくて
「罠なら結構、ムラさん…誘いに乗りましょう」
仕掛けられた罠は、この世界においてはむしろチャンスでしかない。
MPリーダーの条件の一つ「罠に敢えて嵌る」を発揮した氷室はここ数話ではどうも迂闊さが目立っていたので、それを取り戻すレベルの不敵さが久々に良かったです。
「…勝算は?」
「無くもない」
その夜、2話連続で戦闘服に身を包んだMPはマンション近くで待機し、蝶ネクタイを身につけた氷室は拳銃を隠し持ったかおるをスポーツクラブまで迎えに行き、パーティ会場に向かう。
潜入を試みた5人はランボー新田を先頭に、屋上に鉤爪を引っ掛けなんと屋上までロープを伝い登って侵入。
先程の階段ダッシュもそうでしたが、こういうところで未確認生命体説のあるMPの身体能力の高さを見せるのは面白いところです。
しかし毎度のごとく、侵入した直後警備員に進司が見つかり声を上げられそうになったところ、隠れていたランボー新田が警備員を刺殺。
「前島は殺して構わん」だったり毎度毎度発砲!によって命のやりとりを見せているMPではありますが、暗闇からナイフで襲いかかり殺害するのは改めてすごい怖く、命とは尊いものなのです。
地上に悠子、屋上に芹沢を残しエレベーター上に潜入した松村、新田、進司の3人は天井板を外し、植村専用エレベーター内の監視カメラを死角から破壊。
かおるが氷室を連れてくるタイミングを待ち伏せしてた植村部屋の構成員たちは、これでエレベーター内の動向を確認できなくなり、セキュリティ重視で移動をエレベーターのみにした結果、逆にその狭いセキュリティホールを突かれてしまうことに。
殺しのパーティ会場に到着した氷室とかおるはエレベーターに乗り込み、その氷室の背中を狙い拳銃を構えたかおるは…発砲!と思いきや天井にいた松村たちによって拳銃を取り落としてしまい、逆に仲間の登場で蝶ネクタイを外しモードを切り替える氷室がめちゃくちゃカッコ良く、今回の氷室はグイグイと攻めてきます。
10階に到着したエレベーターの扉が開いたと同時に、次々発砲!する構成員たちですが、そこに立っていたのはかおる1人のみ。
構成員たちが問答無用で発砲することを承知の上で、かおる1人をエレベーターに残すMPもなかなか凶悪で、この辺りの命のシビアさも任侠映画の影響が強いところでしょうか。
氷室はというと、いつの間に着替えエレベーター天井に回り込んでおり、構成員が油断するスキを静かに…静かに待ち………
エレベーターから飛び出し発砲!!!
植村の部屋に見事奇襲をかけ、赤木を含めた構成員の大半を射殺。
BGMがメインテーマに即座に切り替わり、万全な植村の牙城を崩したマッドポリスのターンに大きく変わることで、メリハリの効いた非常に気持ちの良い展開。
今回これまではだいぶ大人しく進んでいたのですが、こういう切り替わりこそがカタルシスに繋がって、ちゃんとツボを押さえています。
女に目も暮れず、またも屋上からヘリコプターで単身逃げようとする植村に、やや冷ややかな目を向けながら氷室レッドは別れのライフルをお見舞いし、トドメを刺す。
このヘリコプターと、実際何をしてたのか分からない芹沢と悠子の扱いには?マークが浮かびましたが、作戦が上手くいかなかった時の待機要員だったと考えればまあ妥当でしょうか。
「孤立無援の戦いを続ける、氷室たちマッドポリスにとって美しいネオンの煌きは、束の間の安らぎでしかない」
ナレーションさんだいぶ無理やり締めた(笑)
前回前々回と女性ボスに翻弄されやや粗の目立った氷室以下MPでしたが、今回は誰かが拉致されることもなく割と終始優勢に進めてた印象。
これまでのボスの中では、植村がどうも肝の据わらない小物だったこともありますが、久々にマッドポリスの強い部分を見ることができたのも良かったです。
終盤においてのメリハリも非常にしっかりとしており、若干構成員たちの動きは間抜けになってしまったものの、ジャンキーな刑事ドラマとして抜群の破壊力を発揮し、現在見てる「レッドアイズ」にはこういう部分が足りてないなと改めて感じてしまう次第です。
ストーリーとしてはひたすら植村を追跡してるだけで、どうも書くことが少なかったのですが、その分クライマックスの一瞬の盛り上がりだけでお釣りが来る良回でした。
次回、ランボー新田また捕まる。
「スーパーポリスアクション・マッドポリス'80 大激闘!!」
ツッコミが追いつかない!!