うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

発砲、そして爆発

「1980年代、日本の暴力団は幾多の内部抗争と政治との黒い癒着の末、全国統一を成し遂げ、更に海外のマフィアと手を結び、日本全土を制覇する巨大な犯罪組織を形成した。

"ジャパンマフィア"の誕生である。

 警察庁はこの巨大組織の壊滅を目的とし、選りすぐりの精鋭部隊を編成しジャパンマフィア(JM)に戦いを挑んだ。この部隊の唯一の目的は、ジャパンマフィアの壊滅である。

 恐れを知らぬ彼らの行動を、組織はMPすなわち"マッドポリス"命知らずの警官と呼んで恐れおののいた

 

大激闘 マッドポリス'80

第1話「マフィアからの挑戦」

(監督:関本郁夫 脚本:永原秀一)

 

アバンから吹き飛ぶ人や車が映され、発砲!それに次ぐ爆破!!を淡々とした上記ナレーションに重ねふんだんに見せつけてきており、あまりにもトンデモ過ぎて大笑いしてしまった(笑)

東映制作の刑事ドラマには以前から興味があり、ちょうど配信が開始された本作を試しに覗いてみたのですが、とんでもないものを見つけてしまった感に襲われております。

 

アバンナレーションからそのままOP。

事前にキャラ紹介をしておくと(Wikipediaを参照して自分の主観で書きます)

 

氷室健一(演:渡瀬恒彦

冷静沈着なマッドポリスのエース格。キャップの八代からも、特に信頼を寄せられてそうな雰囲気。

渡瀬恒彦さんマジイケメン。

 

松村兵助(演:梅宮辰夫)

潜入捜査なども淡々とこなすナイスガイ。

多分女性からモテるという設定。

今回に関してはヒロイン。

 

芹沢末八(演:志賀勝

元マル暴の刑事であり、大阪弁で相手を脅すなどおよそ刑事のイメージから程遠い男。

作品コンセプト的には意図的だと思われるが、明らかに刑事側にいる人間じゃない。

 

新田吾郎(演:片桐竜次

OPでの姿は完全にランボーな若手実力派の刑事。

事前の情報収集なども彼が行なってる模様。

演じる片桐竜次氏は個人的には「相棒」での活躍が印象深いです。

 

原田進司(演:中西良太)

マッドポリス最若手のヤンキー刑事。

車の運転手を務めており、バイクによる爆弾特攻を得意としてる。

 

緑川悠子(演:堀川まゆみ

紅一点でありながら前線に立ち、銃弾をぶっ放す勇敢な刑事。

OPでは笑顔で拳銃をぶっ放しており、多分一番やばいやつ。

 

八代浩幸(演:土屋嘉男)

マッドポリスを束ねるキャップ。

切れ者ではあるが、オフィスでいきなり歌い出す茶目っ気に溢れた一面も(多分、違う)

 

 

OP明け、アバンと役者紹介の濃度がとんでもないことになっていたのですが、逃げ回る外人を歩道、階段、川と執拗に追うバイクから始まり、本編での初見のインパクトも充分だ!!

逃げ回っていた外人はジャパンマフィアの構成員であり、それを追っていたのは明らかにあっち側の顔をした芹沢と最年少の進司であり、2人はジャパンマフィアの総会がいつどこで開かれるかを聞き出そうとしていたのです。

「あんなぁお前、やばいんだよ。先輩怒らせて死んだやつ多いんだわ」※警察官のセリフです。

会議のことを白状しそうにないマフィアを水に沈めるなどして追い詰める2人でしたが、隙を突いてマフィアが進司の持っていた拳銃を強奪し発砲!と思いきや、倒れたのは外人マフィア。

「これ以上小物当たっても無駄だよ」

※警察官のセリフです。

撃ったのは、マッドポリスのサブリーダー氷室でした。

 

場所は変わり、松村と悠子が潜入している夜のクラブ。

「ほらほら"死神"が現れた。神崎だよ」

そこに現れた恰幅の良い白スーツの男は、名うての殺し屋・神崎(演じるは中尾彬氏)であり、何やらクラブのママと始めたひそひそ話をバーテンダーに扮した松村はしっかりと聴取しました。

 

「キャップの八代以下、氷室たちマッドポリスの面々は近く開催される予定の、ジャパンマフィア第1回最高幹部会議の、日時と場所を知ろうと躍起になっていた」

巨大な犯罪組織であるJMを倒すためには、その組織を支配する最高幹部たちが誰なのかを探り出すことが絶対条件であり、その会議の場所を押さえることで一斉検挙を狙うというのが今回のエピソード。

クラブに現れた神崎の目的は、最後までJMに抵抗を見せていた暴力団を裏から支えていたフィクサーでありクラブの常連でもある飯田の抹殺であり、それは今日明日にでも実行されるということが判明。

マフィアナンバーワンの殺し屋である神崎が自ら飯田を始末するよう動くことで、その配下の殺し屋たちを一網打尽にでき、更に最高幹部の一人である神崎から会議の日時と場所を聞き出せると判断したマッドポリスは神崎が動くことを待つことに。

飯田は死んでもいいのか…

更に今回の目的が、JMを潰すために陣容を知る必要がある→恐らくその一人であると思われる神崎をマーク→潜入捜査→神崎の目的が飯田にあると判明という流れになっているのですが、神崎をマークするに際して潜入捜査をする必然性が薄く(飯田が通ってるクラブに神崎が出入りしてるわけでもなければ、神崎の目的が飯田であることを最初から知っていたわけでもない)、潜入捜査の経緯がどうも順番違いになってる気がします。

この後の展開も考えての潜入捜査だったと思うのですが、理由付けをしようとして逆に無理が生まれてしまったような形です。

 

引き続き2人が潜入を続けるクラブにて、ついに神崎は飯田のもとに歩み寄り…ポケットから発砲!

飯田を守ろうと抗戦に入ったボディガードをスローモーションで蹴散らし、そのまま飯田も射殺。

弾切れになった拳銃を捨て、直後「話を聞こう」と言う飯田に対し、懐から新しい拳銃を出して撃ち殺す神崎が非常に凶悪。

何故か撃たれずに済んだ悠子は本部に通信するためトイレに駆け込むも、神崎の配下マフィアであったママに出口で待ち伏せされ、松村も異変に気付くも一歩遅く、2人は人質にされてしまいます。

 

何とか悠子からの通信を受け取ったMPは、JMのやり口を探るために神崎が始末した死体の処理方法を突き止めようと尾行作戦に。

車内での会話で視聴者に状況を説明しつつ、キャラの特徴が描かれているのは手堅い部分。

尾行の末、廃車処理場にやってきたMPはそこで、車に乗せられたままローラーに掛けられ、粉々にされる飯田たちの死体を目撃することに。

そんな彼らをモニタリングしていながらも何故か手を出さずにいたマフィア構成員は、ある人物がそこにいないことを神崎に連絡。

 

そしてMPがショッキングな光景にげんなりしていたのと同じ頃、会議の会場に男が1人。

その男、富樫謙司はかつて地方裁判所の判事を務めていた切れ者であり、最高権力者である田村亮と共にJMを支える両輪となっています。

富樫は誰もいない会場で、自身が音頭を取るであろう未来を妄想し、自己肯定力を高めていた…!

「ではジャパンマフィアの日本制覇と、限りない発展を祝して、お手を拝借!」

何だかとてもショッカーに見えてきました。

 

その頃、イスに縛り付けられてるうえ、未だ神崎の目的を掴めない人質2人は剃刀の刃?で縄を切り脱出成功。

ついでママフィアに一発お返しする悠子(笑)

そして松村が発砲!

そのまま逃走しようとするも、神崎の銃弾を左脚に受けた松村が悠子のみ逃がし再度人質に。

「人質は1人いれば充分だ、それに逃げてもらった方が都合がいい…」

 

何とか逃げ出した悠子は本部に再び連絡。

「ハイ八代。おう悠子か、何だって…松村が捕まった!?」

直後、氷室が無言で机の下のスイッチを押すと、そこからおびただしい量の拳銃が!!!

明らかに異常な武装を引っ提げて松村救出に動いたMPは悠子と合流してクラブに突撃するも既にもぬけの殻になっており、一同は廃車処理場に向かうことに。

 

再度縛り付けられた松村がヒロイン力を発揮してママフィアから会議が本日リバティーホテルにて行われることを聞き出している頃、MP一同は神崎たちの目的が誰かを始末することにあると目処を立てていました。

同じ頃、その松村の前で神崎は富樫と連絡を取っていました。

「私は、八代の首を持って必ず会議には出席する。皆さんにそう伝えといてください…」

実はターゲットだった真ヒロインの八代ですが、松村が掴んだ情報を知らないまでもキャップとしてチームを鼓舞します。

「いずれにしても、我々をおびき出したかったってとこだろう…罠にハマってやろうじゃないか!我々はこれまで、命を張ってジャパンマフィアと戦ってきた。これからだって同じだ!危険は覚悟なはずだ」

※警察官のセリフです。

ここでの八代キャップの音頭は、チームを鼓舞するだけでなく、マッドポリスらしい不敵さが出てて良いシーンでした。

「この際、松村の救出が先決だな」

「…強行突破ですか?」

「そうだ、準備してくれ。氷室、躊躇っていればいるほど松村の命が危なくなる。これは命令だ!」

※警察官同士の会話です。

 

MPが特攻作戦を考えていた頃、リバティーホテルにて開催されるJM最高幹部会議。

進行役の富樫は、自分たちの邪魔者であった飯田の死を大々的に伝え、更に

「それともう一つ、あそこに一つ空席がある。あの席に座るべき最高幹部の名は、我々の最も頼りがいのある兄弟ーーー神崎勝!!」

「今や我々にとって、たった一つの目の上のたんこぶはマッドポリス!我々がこのまま天国に居座り続けられるか、地獄に堕ちるかは奴ら次第…つまり連中は、我々の宿敵というワケです」

富樫は神崎にキャップの八代を倒させることで、唯一自分らに歯向かってくるマッドポリスを崩壊させようとしていました。

 

シーン変わった直後、MPは廃車処理場のフェンスを突破しそのまま発砲!そして手榴弾爆破!!

先程松村の命が云々とか言ってたが、人質もへったくれもあったものじゃない!

新田は車の上部からアサルトライフルを連射し、進司はバイクに乗り手榴弾を投げ、芹沢はダイナマイトを投げつけるなど本当にやりたい放題。

 

不意を突かれた神崎は松村を廃車に縛り付け、そのままスクラップにしようとベルトコンベアにセッティング。

松村を救出するためベルトコンベアに向かった八代ですが、神崎の狙撃を受けてしまい廃車のボンネットにその鮮血を流す!

そのままキャップと松村が人間スクラップにされそうになりながらも間一髪、氷室がベルトコンベアの電源を切ることに成功。

ギリギリのところで松村を救出するも、キャップは神崎を追うよう促し、MPメンバーの前で絶命。

 

キャップの言葉を聞いた氷室は、側近のママフィアすら切り捨て(松村に会議の内容を漏らしていたため、処分される理由はあることにはある)逃亡した神崎を追い、スクラップを挟んで一対一の銃撃戦に発展。

「どうしてそんなにムキになるんだ?八代は死んだんだよ!マッドポリスは大黒柱を失い、バラバラになっちまった!所詮貴様たちに勝ち目は無いんだ!!」

神崎の煽りに対し、マガジンを交換しながら氷室は冷静に、かつ熱く自らの思いを叫ぶ。

「神崎!貴様は考え違いをしてる!俺たちはバラバラにもならんし、勝ち目が無いとも思わん!!」

すれ違いざま同時に撃ち合った後、生死確認しようとした氷室は逃亡しようとする神崎カーに向けて発砲!するも、車は止められず神崎を逃してしまいます。

しかし、氷室は神崎を追うことは無い。

 

約束通り八代を始末し会場に駆けつけた神崎ですが、氷室渾身の銃弾を腹に受けており、息も絶え絶えな状態で会議室へ。

会議の空白の席に何とか一人で辿り着くも、座ると同時に事切れたように息絶えてしまいます。

飯田の死を以って始まった会議は、最高幹部の一人である神崎の死を以って中止されることになり、マッドポリスは辛くも勝利を掴んだことに。

「一つの戦いは終わった。ジャパンマフィア最高幹部の1人であり名うての暗殺者でもあった神崎を倒したが、その代償としてかけがえの無いキャップの八代を喪った。しかし、巨大な犯罪組織を相手に悲しんでるヒマは無い。八代の死は、新しいキャップ・氷室健一の誕生でもあった

八代の遺志を継いだ氷室率いるマッドポリスは、これからも発砲!を自重しない。

マッドポリスの戦いは、今始まったばかりなのである」

 

 

唐突な刑事ドラマの感想シリーズとなりましたが、前述の通りとんでもないものを見つけてしまった。

刑事ドラマというより、任侠映画の要素が強い(志賀勝氏や片桐竜次氏を起用している点からも意図的)作品で、冒頭から爆破と車両破壊で始まるのもすごくインパクトがあります。

調べたところによると、番組のコンセプトが「10秒に一発銃弾が放たれ、1分のうちに一人死ぬことになる」というものらしく、現代では恐らく成立させられないであろうぶっとび展開が目を引きます。

役者も豪華で、特に若かりし頃の渡瀬恒彦氏の二枚目っぷりがすごくツボにハマりました。

 

エピソードとしては、潜入捜査がやや強引になっていた点もありますが、まあ細かいことは気にせずに楽しめるという痛快ドラマ。

不自然なくらいに、キャップから氷室への信頼感を強調していたのですが、案の定氷室が新キャップになるという落とし所で決着。

キャップ殉職が衝撃の展開でありながら、その直後氷室の熱い宣言が飛び出し、その叫びが神崎の死によって間接的にJMにぶつけられるという構図が美しく、更に新生キャップを迎えることで、MPが新たなチームアップを果たす、という終わり方は見事でした。

 

 

毎週水曜日更新ということで、現役である「青のSP」「相棒」「遺留捜査」「レッドアイズ」と合わせて今年は刑事ドラマをいっぱい見ていきたいですね(いくつか純粋に"刑事ドラマ"と呼んでいいか微妙なものもありますが…)。

 

 

次回、ホテルでの死闘。

 

 

↓動画リンク貼っておきます。

https://youtu.be/Gtz9FiiQJs8