うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

行け行け高く空を行け

大激闘マッドポリス'80

第13話「スカイライダー大作戦」

(監督:長谷部安春 脚本:永原秀一)


見所は、2話連続でクズ男を冷ややかな目で見つめる悠子。


政府御用達の政治家、保守党幹事長・竹田俊作がJMによって誘拐され、竹田の解放と引き換えにある人物の刑務所からの釈放を求められていることを聞かされた松村はそれを仲間たちと共有。

その男はJM最高幹部の一人である吉崎健三(41)。

かつてのJMが各地の暴力団と血生臭い抗争を繰り広げていた際に、徹底的な暴力による強引な指導力で相手組織を震え上がらせていた男であり、当時の捜査当局が脱税容疑で刑務所にぶち込んでいた危険人物。

釈放後、中央アフリカの独裁国オルデニアに高飛びしようと既に飛行機まで手配されており、国ぐるみでJMに協力する勢力も飛び出し、OPナレーションの存在が活きているのは良い点。


「取引やりたきゃ勝手にやりゃいいじゃないですか。何でムラさん呼ばれたんですか?」

何でキャップの俺が呼ばれないんだ?とやや不満げな氷室は疑問をぶつけ、警察庁としては表向きJMの要求を飲んだ形にしつつも、報道管制を敷き秘密裏に竹田幹事長を救出して吉崎も刑務所から出さないという作戦を行うよう指示があったと松村は説明。

おまけに敵のアジトは分かっておらず、それを明日の午後4時までに探し救出作戦を遂行しろという無茶振り。

「手がかり無しよりはマシか…」

一応敵の居場所を知る手段として、構成員が使っている無線の電波が特殊なものであり、それの出どころを探れば竹田幹事長の捕らえられている場所も判明するということから、渋々ながら氷室以下は行動開始。


その頃、久々登場の富樫は誘拐実行犯の構成員・石坂と無線で連絡を取り、警察の動向を伝えつつ久々の圧力を掛けていました。

そして話が終わると、その場に同席していた三田村に富樫は

「この賭けは、やはり強引すぎると私には思えるのですが…」

「賽はとうに投げられたというのに、今更何を…お前のそういう弱虫が、マッドポリス共をつけ入らせるんだ。お前は確かに頭はいい。だが頭だけでは、組織は守れんのだ。

相手を萎縮させる圧倒的な行動力、力と度胸、今は一組織には、吉崎がどうしても必要なのだ

MPによって数々の組織を潰されてきたJMは弱体化の一途を辿っており、三田村は強引な賭けに出てでも吉崎の指導力を求め、富樫がそれに疑問をぶつけることで両者の間に遂に亀裂が生じました。

終盤における布石となるのか、さて。


「ムショの中にいたって、シャバで何が起こってるかくらいは簡単に分かるんだ。俺たちの組織を甘く見るんじゃねぇ」

刑務所所長立ち会いのもと吉崎と接見した氷室以下は、JMという後ろ盾を得たことで横暴な態度を取る吉崎(東新会会長・浅倉の存在も活きる自然な展開)を必ず地獄に送ってやると本人の前で吠え面をかき、松村と悠子のムーディー組を吉崎監視に残した氷室以下は電波の栃木県の山と房総沖から無線通信をしているJMの電波をキャッチし、敵のアジトを探し出す方向にシフト。

新田操縦のヘリコプターまで飛び出し、MPは航空戦力まで持っていました。

「その前に害虫退治といきますか」

※警察官のセリフです。

そう言って目印に?ヘリで何かの粉を撒きその場は撤収する筋肉ヤクザチームonヘリコプター。

怪しいヘリコプターを、ちょっと睨むだけでやり過ごす石坂たちが無能過ぎる…。

しかし周囲を山で囲まれ、唯一通行できる道も車両バリケードによって阻まれている敵の牙城は簡単には崩せないうえ、今回は時間以内に竹田幹事長を取り戻すというミッションも与えられていることから攻めあぐねる筋肉ヤクザチーム…とは少し距離を置いたスーパークールを気取る氷室キャップは、お馴染みの前のめり精神で空からの奇襲を発案。


「絶対にこのバイ菌野郎を国外に逃すわけにはいかん。氷室、頼むぞ」

※警察官のセリフです。

すっかりVIP気取りの吉崎が悠子にセクハラを仕掛けていたり、松村に嫌味を飛ばしていたりしていることなどつゆ知らずの氷室は、アジトの更に高所からハングライダーでアジトに接近

それと同時に爆弾を持ってスタンばっていた筋肉ヤクザチームが煙幕弾を投げつけてからの発砲!で構成員たちをバリケードの方に集中させ、空からアジトに到着しグライダーに括り付けられたマシンガンを手に氷室は竹田幹事長救出に向かう!


見張りに付いていた構成員たちを時には盾に使い次々と蹴散らし、氷室は幹事長の身柄を確保…するも人相の悪さから殺し屋と間違われ、氷室は一言。

「幹事長、※私は警察官です

ついに!!

自分で言った!!!

氷室の口からこの発言を聞くとは思いもしませんでした(笑)

身柄を確保したものの車両バリケードが健在であることから身動きの取れない氷室と幹事長を逃がすために、筋肉ヤクザチームは仕込んだ爆弾によってバリケード爆破!!

さすがにダンプは爆破できなかった!!バリケードには普通車両2台と大型ダンプカー1台が使われており、普通車両だけ爆発炎上)

バリケードが破壊されたことで直ちに別のダンプカーで脱出しようとした氷室は、最後まで反撃を見せてきたアジトの責任者石坂をなんとそのまま轢☆殺

ある意味今までで一番衝撃の始末方法(笑)

アジトを壊滅させたMPは、更にダンプカーに幹事長を残し迎えを来させるよう捜査当局に連絡してヘリで帰宅(笑)


氷室以下の活躍により警察と三田村富樫双方が石坂軍団の敗北を知り、吉崎は刑務所に戻ることに。

「吉崎を逮捕したのはマッドポリスではなく我々だ。ジャパンマフィアを取り締まれるのはマッドポリスだけじゃないという生き証人なんだ!

 吉崎は刑務所に収まっていてもらわんと困るんだよ!!」

縄張り争いの空気を感じつつも、JMに対して戦っているのはMPだけではないと示す警察官のセリフは熱く、通信が切れてからの「頼む…!」もカッコ良かった場面。

なのですが、

さんざ吉崎にコケにされた松村は捜査当局の判断に不満げであり、口先では分かったといいながら吉崎を人気の無い野原まで勝手に連れ出し、自分たち流の"儀式"を行うと宣言…。

「まあ、遠慮しとこう…君たちの"パーティ"は我々の神経には耐えられんよ」

第10話「処刑儀式」より

 

目が据わり完全にキレた松村は、野原に連れ出した吉崎にあえて拳銃をレンタル。

撃ち合いするくらいなら、刑務所で臭い飯食った方がマシやわーと吠え面をかきながらも、隙を突いて松村を射殺しようとした吉崎は返り討ちエネルギーによってあっさり射殺。

「ジャパンマフィアの幹部吉崎も、独房の孤独に耐えかねて自殺か…まぁ偉いさん方にはそう発表してもらわなやな…」

 

え、えええええ!!!???

 

最後は氷室と松村がにこやかに笑って終わり。

えぇ…


いや、確かに吉崎を刑務所に戻すことは得策ではなく(刑務所にいてもシャバの情報を得ているので、独房に入れたところでまた逃亡を企てる可能性もあり火種でしかない)、ろくでなしのバイ菌野郎である吉崎に好き放題やられて怒りを燃やすのは真っ当と言えますが、今回の松村はいくらなんでも私情に駆られすぎだと思います。

おまけに今回初めて氷室が自らを警察官と名乗るシーンが用意されており、その直後に他の捜査員の期待を裏切る展開にしたのはさすがにやり過ぎでした。

まあ捜査当局の方もMPに短納期で無茶振りをしてた辺り、失敗したら全責任を彼らに押し付けようとしてる雰囲気もあったのでどっこいどっこいとも捉えられますが、終盤に向けてここで発生した溝が描かれるのかどうか。


溝といえばJM側の三田村富樫も考えの違いが明確に描かれ、こちらも余裕が無くなってきており波乱が起きそうな予感。

吉崎を取り戻すために幹事長を誘拐したというのはかなりの賭けであったとのことであり、そこまでして取り戻そうとする吉崎は演じる田中浩氏(『ジャッカー電撃隊』のジョーカーこと鯨井長官!)の熱演もあってかなりのインパクトでした。

芝居が熱かったからこそ最期の始末はだいぶお粗末で残念だったところです。


ところでサブタイトルが某ライダーの名前がまんま入っていますが、ちょうど放映時期が被っており、ハングライダーに乗る様子をじっくり描いたりと意図的な被せがあったのかも。

そのハングライダーのシーンも含めてやたらと間延びしてる演出や、説明セリフの多さがテンポを阻害しているため映像的にもどうも見辛かった回で、大きな踏み外しの無かった本作において初の事故回となってしまいました。

終盤に向けた要素が散りばめられ、今後も楽しみですが今回を引きずらないかは少し心配です。

 

 

次回、返り討ちエネルギー全開。