『ウルトラマントリガー』
第11話「光と闇の邂逅」
(監督:武居正能 脚本:ハヤシナオキ)
開始からいきなりカルミラと取っ組み合うトリガーで、実にガックリする導入。
前回トリガーが元ヤンだった!と引っ張ってきた大きな謎が明かされたことでそのまま怒涛の展開に持ってこようという狙いがあったのかと思われますが、話にワンクッションが無さすぎてドラマが全く乗っていない戦闘に対し、序盤が急ぎ足だったこともあり相変わらずイベント消化が忙しないな…と思ってしまうのが正直なところ。
「昔のアンタはもっと傲慢で、美しく情熱的だったよ!!」
アタシのターン!と意気込むカルミラさんが発動した闇の呪術によってフルボッコにされるがままのマルチトリガーが闇バンドで拘束され、援護に向かったGUTS-SELECTもダーゴンとヒュドラムにそれぞれ足止めを食らい、何だかよく分からないけどウルトラやばみを感じます!
絶体絶命の窮地の中、苦し紛れに呪術の発動された空に向けてゼペリオン光線を撃ち込んだケンゴは謎の空間に吸い込まれ、光を無くした抜け殻と化したトリガーは地に崩れ落ちることに。
戦いから切り離されたケンゴの辿り着いた先には、夢で見た3000万年前の超古代文明が3巨人によって蹂躙されている光景が広がっており、更にそこに4人目の闇の巨人・闇黒勇士トリガーダークも姿を現しケンゴに襲いかかる!
闇の巨人流・掟破りのトリダー光線地上発射によってスパークレンスを失くしたケンゴは消し炭にされかけるも、そのピンチを救ったのは思念体ではないユザレ!
現役バリバリの時でもシールド要員として活躍を見せていたユザレと共にケンゴはトリダーから逃走するも、崖に追い詰められ本エピソードで3回目の絶体絶命。
状況がよく掴めていないうえに丸腰であるケンゴがユザレの「逃げなさい!」に対し、すぐさまユザレを起こして見捨てずに行動する姿を見せたのは、セリフだけでなく動きでキャラクターを見せる武居監督らしい演出でした。
「やめてトリガー!僕が知ってる君は、闇の巨人なんかじゃない!!皆を笑顔にする、光の巨人だ!!」
トリダーの魔手がユザレに迫ったところに、突如ケンゴの手から光のシールドが発生しトリダーを跳ね返し、捨て台詞を残したケンゴはユザレを抱え自ら崖にダイブして撒くことに成功(笑)
「ちょっと情報量多すぎますね」
闇の3巨人はエタニティコア獲得の鍵となるユザレを捕らえるため、引き続きトリダーに闇ストーカーの任務を命じ、余談ですがカラフルな悪の戦士が4人並ぶとビークラッシャー四鎧将(『ビーファイターカブト』)に見えてどうしても笑ってしまいます。
更に次のエピソードの都合からかよく喋る3巨人に対し一切口を聞かないトリダーから滲み出る「背伸びして悪い友だちと付き合い始めたら、なかなか縁を切れずズルズル付き合ってしまってる不良を演じざるをえない中学生(カルミラに気に入られてるのが更にバツが悪い)」みたいに見えてしまって、そう思って見るとユザレは不良を登校させようとする生徒会長のポジションになるのでしょうか(何の話だ)。
「戦っていたのは、私たち地球星警護団だけでは無かったのですね…」
崖ダイブ後、何とか無事に済んだケンゴはユザレの膝枕で目を覚まし(さすがに動揺を見せた)、自身も闇の巨人と戦うラーメンの使徒であることをユザレに告げる。
しかしエタニティコアを狙うカルミラたちの猛攻によって仲間たちは倒れ、世界が闇に支配される未来を待つしかないと俯くユザレに、
「希望の未来は、すごく遠くにあるのかもしれない。でも、立ち止まっていたら絶対にたどり着けない。
同じ一歩なら苦しいより、楽しい方がいいでしょ!だから、スマイルスマイル!!」
ケンゴはやや飛躍した論理を叩きつけ、それでも笑顔を取り戻すユザレはベタなシーンですが、ケンゴのスマイルの使い方にも違和感が減り本作の積み重ねが良い方向に作用したと思います。
しかしそんな平穏も束の間、強襲してきたトリダーによってユザレが誘拐され、最大限のヒロインムーヴを発揮!
ケンゴはトリダーの行き先=エタニティコアへの入口である遺跡に向かう!徒歩で!!
「ついに、ついにここまで来たよぉ!エタニティコアの力で、宇宙を闇の一族だけの世界に作り変える!!
光の下でのうのうと暮らす、人間どもを消し去ってなぁ!!!」
酷く月並みな目的を自分から語るカルミラさんは案の定面白くならず、こういった面でキャラクターの積み重ねの薄さが出てしまうのはよろしくない作劇。
ケンゴとアキトの掘り下げが強く押し出されていたのは作品のとっかかりとしては尊重される判断だとはおもいますが、前作から主要キャラを増やした都合で各キャラ間のやりとりを充実させられないだけならともかく、敵の首領格(のキャラクター部分)に一切魅力を感じないのはさすがに考えものです。
遺跡の祭壇に横たえられたユザレを呪術で無理やり操り(デスドラゴやガーゴルゴンにかけたものと同様だと思われます)エタニティコアへの入口を開いたカルミラに、強大な力を持つエタニティコアの暴走の危険性と誰の心にも光があることを説くも、やはり生まれ持ったヒロイン力が不足していたからかケンゴが駆けつける前にトリダーに光線を撃たれ吹っ飛ぶユザレ。
ユザレは地べたを這いずりながらも、遅れてやってきたケンゴに超古代の言葉で希望を意味する"ルルイエ"という超絶不穏な言葉と、星々の光を集めた神器である青銅のスパークレンスを託し、エタニティコアにアクセスを試みるカルミラさんたちのもとへと送り出す。
太陽を模したような巨大な球体・エタニティコアの前にログインした3巨人は溢れ出しているエタニティの力にヒャッハーしながら、カルミラさんの主導により最初はトリダーにその力を握らせようとする(先に手を出そうとするも制止されるヒュドラム、は相変わらず抜け目ない要素)も、手が触れる寸前に駆けつけたケンゴが青銅スパークレンスを起動しなんとトリダーに強制アクセス!
今まで「トリガーを通して見ていたビジョンの一部が、実は自分の姿だった」という展開はなかなか面白く、太古のスパークレンスのシステムこそ不明瞭なものの"ウルトラマンにアクセス出来る神器"というアイテムの使い方が思わぬ意外性を発揮しました。
この意外性があるから『トリガー』は油断ならない。
ケンゴが入り込んだインナースペースでは、まるでこの前出会ったゼットとハルキの如く、自分と同じ目線でトリガーダークが立ちはだかり
「起きなさい、現代人」
…ではなく、差し出した手を払われたどころか闇の筋肉格闘術がケンゴを痛めつけ、今ここにゼットファイッ開戦!!
「分かったよトリガー…それでも僕は、皆を笑顔にしたいんだぁ!!」
トリガーの光を取り戻すため、ケンゴは闇の巨人との対決に生身で挑む!
その頃現代では、ケンゴが離脱し抜け殻となっていたはずのトリガーに闇の力が集まり、カルミラの呪術によってトリガーダークとして復活。
光から闇に転換された巨人の姿にGUTS-SELECTのメンバーが呆然とする中、現代のトリガーダークは溢れ出す闇の力で街を破壊し始める、でつづく。
次回、エタニティの力は誰の手に。
前後編ということで、エピソードのまとめ的な感想は次回にまとめます。
(2話まとめて記事にしようとしたけど、思ったより時間かかったとは言えない)