「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」
普段漫画もアニメもあまり摘まない筆者でありますが、段違いに話題になっていることや、原作知らない人でも楽しく見ることができるのかという謎の好奇心が湧いてきたことにより、知人の誘いもあってついに鑑賞。
原作に関しては一切読んでおらず、アニメ第1話だけを見てキャラの名前くらいしか知らない身ということで、劇場で買ったパンフレットから基本設定や背景などを補強してから見ることになったのですが………
めちゃくちゃ面白かった!!!
…先に思ったことを吐露してしまいましたが、以下、ややネタバレを交えての感想となるのでご注意を。
大まかなストーリーとしては、列車で人が消えてる事件が発生しており多分鬼が絡んでるから調べてこいやという依頼のもと、鬼殺隊若手衆の炭治郎、善逸、伊之助の3人が既に現地入りしていた"柱"(すごい強い鬼狩り)の煉獄さんと合流。
夢の世界に相手を閉じ込める鬼に苦しめられながらも、強い精神力と呼吸法で立ち向かうというもの。
キャラの名前くらいしか知らない筆者でしたが、序盤のやりとりや夢の世界での描写により、ある程度キャラの性格と関係性が掴めるようになっていたのは好印象でした。
こういった配慮の有無により、ストーリーに入り込めるか否かがハッキリと分かれます。
ただ炭治郎の家族に関しては、さすがに知ってないと辛いと思うので、原作やアニメを見てない方でもアニメ第1話は必修かと思われます。
宣伝ポスターなどからも伝わるように、本作最も輝いているのは煉獄さん。
中盤まではあっさり眠ってしまい(精神の核が壊されそうになった時に抵抗はしておりましたが)、もしや義勇に並ぶ無能なのでは…?(※アニメ第1話しか見てない筆者の中では、冨岡義勇は腕っぷしの強い無能という認識になっております)といらぬ心配までよぎりましたが、後半怒涛の煉獄ラッシュで大挽回!
炭治郎たちにとっては手本となる"柱"としての姿を存分に見せており、また終盤に急襲してくるアカザ(カタカナで許してください)に対してもキッパリと誘いを断る姿は文句無しにカッコ良く、お付きのカラスですら強い信頼感を寄せていたことも描写されております。
後輩たちに正義のために戦う姿を見せることは一貫しており、またその背景も劇中において丁寧に描写されていたことから、最期のシーンは涙無しには見られません。
そんな状況になり主役交代の危機…!なんてことは一切無く、主人公の炭治郎もフル回転の大活躍を見せます。
メンバーの中で一番に目を覚まし、また眠らされそうになっても夢の中で自決を繰り返し目覚めるという胆力を見せ、欲望に負け自分を襲ってきた人間に対しても優しさすら見せた彼を差し置いて誰を主人公と呼べますか。
もちろんその活躍には禰豆子や伊之助、善逸といった仲間たちの協力もあり、炭治郎を中心として物語が展開していることを、実感できるのが気持ち良かったです。
難を挙げると若干善逸が活躍の割を食らった気はしますが、まあ仕方ない部分でしょうか。
特に破壊力の高かったシーンは以下。
終盤での煉獄VSアカザにおいて、レベルの違いから全く加勢できない炭治郎と伊之助。
「人間は鬼と違って傷を治すのに時間もかかるし、老いにより腕前がどんどん落ちていく。鬼はいいぞ!!」という理屈のもと、徐々に煉獄を消耗させ倒したアカザが割とギリギリの時間を攻めた都合で陽の光から逃げようとしたところに
「卑怯者ォォォ!!!」
と叫ぶ炭治郎。
確かに人間の身体は鬼より弱いかもしれない、しかしそんな状況でも力に溺れることなく鍛錬を重ね、更に鬼にとって有利な時間である夜に鬼狩りをしているという事実からも、根本的な部分で人間は強いと宣言して見せます。
レベルの違う戦いを見てることしかできなかった炭治郎でしたが、逃げ帰るアカザに対し自分と煉獄の想いを叫ぶことでしっかりと主人公していて、大満足のシーンでした。
話は逸れますが、主人公がいかにして主人公になるかという点は、筆者の好きな作品である「動物戦隊ジュウオウジャー」「ウルトラマンZ」などでもよく見られる、悪や理不尽に対して啖呵を切るシーンにあると思うのです。
どんな逆境に立たされても、立ち止まることがあっても、最後には自身の足で立ち、自分と自分に影響を与えた者の想いをハッキリと口に出し、叫ぶことができる(また、そのために物語の積み重ねが重要になってくる)。
そういった部分でも本作の炭治郎は、これから成長できるという要素も含めて理想的な主人公と言えるのかもしれません。
他のお気に入りのシーンとしては、炭治郎に首を切られたエンム(本作の中ボス)が1人反省会を始めたところ。
その場面において、割と活躍した伊之助がそこまで評価高くなかったのも面白かったです。
とどめに、本編終了後に流れるエンドクレジット。
アニメ主題歌を歌っているLISAさんによる映画主題歌「炎」はバラードということもあり、ここも泣かずにはいられない…!
サビに入るタイミングで、煉獄さんの姿が黒バックに浮かび上がるという演出もニクい。
そこですっぱりと終了することでいい感じの余韻を残したままになり、エンディングまで好みの要素が多くすごく嬉しかったです。
煉獄さんの背景こそしっかり描かれたものの、煉獄父が腑抜けになった理由が本作だけでは不明でしたが、知人によるとそれは今後の展開に繋がる部分だということなので(言及はありましたし)、その後とその前を見つめるかは現在検討中。
突然決めた映画鑑賞となりましたが、非常に満足度の高い作品でした。
できればアニメを全部見てから再度鑑賞したいところですが、余裕ができるかが問題だ…!
それではここまで。
劇場版鬼滅の刃感想でした。