うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

暴太郎戦隊ドンブラザーズ「おおもも、こもも」

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』

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ドン2話「おおもも、こもも」

(監督:田崎竜太 脚本:井上敏樹

前回の…ドンブラザーズは!…ではなく自称天才漫画家・鬼頭はるかの栄光と転落を振り返るところから始まる冒頭。

「訳の分からないうちに戦士ってやつになった私は、全てを失った……で、バイトを始めた」

と、妙に無表情な五色田介人がマスターを務める喫茶店・どんぶらでウェイトレスとして働くはるかのバイト先での諸々の態度含めて色々納得はいかないが、とりあえず地に足つけようとする逞しい姿勢を見せるのはストレスの少ない部分。

「で、申し訳ないが……私には金がない」

そんな喫茶店にやって来たマスターの趣味が見え隠れするメイド服のウェイトレスを顔を見ずにはるかだと見抜いた怪しい男はコーヒーを啜ってからカミングアウトし、お巡りさんこっちです。

「金には人々の欲望・悲しみ・怨念がこびりついている、不浄の物だ。だから持たない。

 …そこでだ、コーヒー代の代わりにどうだろう? 私が、俳句を詠むというのは」

社会的に見て明らかに不利な立場にいる男が流れるように取引を持ち出し、運良く五色田マスターが寛容だったことから涙を流しながら読んだ俳句で事なきを得た俳人は悠々とどんぶらを後にする。


「俺を信じろ。縁にも色々あるが、俺との縁は、超良縁だ!」

そんなことも露知らず、桃井タロウは本日も宅配便と共に縁を振りまいており、平凡で職場でも冴えない男認定されていながら、結婚生活3ヶ月で幸せを噛み締めているサラリーマン・雉野つよし(諸々の要素がすっごく不穏)、そして指名手配犯なのに普通にアパートに戻ってきて、張り込んでいたであろう刑事に追いかけられる自称無罪の男・犬塚翼と縁を結んだり結べなかったりしていた。

そんなタロウは、仕事仲間からバカ正直なのを良いことにお弁当のおかずをいつも献上させられていて、つよしの職場もそうでしたが一般人の当たりが嫌な方向で強めなのは現代において好き嫌いがかなり分かれそうで、井上脚本の手癖ともいえる部分ではありますが『ゼンカイジャー』との差別化という面もやはり強そうです。

「タロウ君はあたし、いくつだと思う?」

「68だ!」

空気を読めず、年齢の割に若いと言われる(実際若いとは思う)職場の母親的存在・さなえさんに実年齢を叩きつけるタロウは前回言及のあった「嘘をつかない」という部分にマイナスの含みも発生して、縁結びのアプローチも相まって善人の皮を被った狂人路線を貫くようです。


「もっと若くならなきゃ…もっと…!」

タロウに悪意の無い現実を叩きつけられたことでスイッチの入ったさなえさんに陰我を感じたホラー…ではなく鬼の気配が近づき若返りを果たしていた頃、バイト休憩中にスマホから檻男・陣のビデオメッセージを受け取ったはるかは15時に所定の場所に桃井タロウが現れることを写真付きで説明を受け、うん、なかなか親切設計。

しかしその場に現れたタロウは配達中で車を運転していたため、はるかに気付くことは無く全然親切じゃなかった…というか井上脚本

代わりにはるかは、その場所にタイミング良く現れた槍を持った様子のおかしい男を桃井タロウと判断し、追跡していたところを40代から20代くらいにさなえさんが若返る場面に出くわしてしまう。

「えーッ!?この人、変だ…」

桃井タロウ=変人に違いないという判断基準を持ってはいるものの、一応様子のおかしい人を見て「変だ…」と言えるはるかはギリギリ人間の心を保てていそうで安心しました(笑)

「ねぇ、誰だか分かる?」

「…さなえさん、お疲れ様!」

「私、いくつに見える?」

40代になった際に未だ実年齢を叩きつけてきたタロウに再々アタック(意味は若干異なります)を仕掛けるさなえだが、タロウの答えは変わらない。

「68!」

「……いくつに見える?」

「68、早く帰りなよ、さなえさん。まだ寒いんだし」

決して嘘をつかないためか、相手の嘘すら通用しないタロウは現実を叩きつけるだけでなく、さなえさんをその場に放置するというなかなかのドSっぷりを発揮し、ギリギリ人の心をキープしてるはるかがこの人に跪いてしまっていいのか、すごく心配になります。


「もっとだ…もっと……もっと若く!!」

若さへの渇望が頂点に達したさなえから出た電車のレールが若い女性を吸収し出し、ついにその姿は機関車のような烈車鬼(トッキュウジャーモチーフだから年齢絡みというエグい設定)に変貌してしまう。

「どうしよう、逃げたい…でも戦わなきゃ! 戦士だし…『初恋ヒーロー』の作者だし!!」

桃井タロウに会うつもりが、ヒトツ鬼との不慮の遭遇を果たし、立ちすくみながらも戦士として戦うことを決意するはるかには元々戦いに向かったワケではない(そもそも自分から戦いに向かったことは無かったのでした)という理由はありながらも、唐突さを隠しきれなかったのは残念。

「やめて! あなたは人間よ、元に戻って!」

アバターチェンジしたオニ黄が真っ先に取った行動が前回のよっぴー案件を受けてのことであることは手堅い仕事で、しかしそれも虚しく間髪入れずに駆けつけるメタリックブルーのバイク暴君。


烈車鬼を制止しながらバイク暴君を相手にし、キャパオーバーに陥ったオニ黄はその場に現れた桃井タロウ(人違い)に三度目のスライディング跪きを敢行し助けを乞うも、

「ウザい虫だ。どうする?ソノイ」

「好きにしろ、ソノザ」

槍男はバイク暴君のお仲間であり、それぞれソノイ、ソノザと名前が判明したところで四面楚歌となり窮地に陥ったオニ黄だったが、そこにキジ桃が飛んで駆けつけ、今のところ一番ヒーロースキルが高い気がするぞ雉野(笑)

「首輪も鎖も俺にはいらない。ましてや犬小屋など…うあー!!」

「犬!?」

「好きで犬やってんじゃねぇよ」

そして、クールなようで何だかノリの良さそうな子どもサイズのイヌブラザーが加勢し、先日黒ゼンカイザーが回収したリュウソウジャーギアを用いて何とリュウソウブラックにアバターチェンジ!

ついでキジ桃もリュウソウピンクにチェンジし、アバターという設定を活かしてか子どもサイズだったイヌ黒がしっかりと大人の体型に変わり、逆にキジ桃が女性の体型に変わるというのが面白いアイデア


「何なの?この人たち…」

様子のおかしい人が多すぎてもはや本当の桃井タロウと会っても偽物認定してしまうのでは…と不安を抱いたのかメンバーの見てないところでタロウはアバターチェンジし、またも天女を連れ神輿に乗ったバイクに跨り登場する赤タロウ。

前回あえて変身シーンを見せなかったと思われる赤タロウでしたが正直今回も見せる意味合いは薄く、せっかく初回て主人公の変身シーンをスキップするという変化球を投げ込んだのにも関わらず(販促の都合もあとは思われますが)どうも中途半端になってしまい、これなら第1話で変身シーンを見せた方が良かったなぁと思います。

「やーやーやー!祭だ祭だ!踊れ!歌え!!」

主人公補正を発揮した赤タロウはソノイ、ソノザ、烈車鬼3体を相手に華麗な剣捌きを見せ、

その立ち回りの中で唐突にアルターギアを起動して玩具サイズの赤タロウアルターアルターチェンジし、アバター空間を活かしてトリッキーな戦法を見せるソノイたちは急に我に返り、アバタージャンプで帰宅。

うーん…アルターの登場が唐突だっただけでなくソノイの撤退がまあまあ雑に処理されてしまい(ヒトツ鬼を無視する理由は今後語られるかもですが)、この数分は悪い時の井上脚本が続いてしまったなぁ…。


1体取り残された烈車鬼はアルターにチェンジしたことで幽体離脱状態になった赤タロウを背負う

オニ黄たちに襲いかかり、アルターから元に戻ってオニ黄の頸動脈を締め、烈車鬼(さなえ)に容赦なく回し蹴りを叩き込む赤タロウが果てしなく人の心を失っています。

「お供たち、必殺奥義だ!!」

ビィィッグ!ボンバー!!

ではなく、お供3人がハンドルを回すと持ち上がる台から七色の必殺斬撃を見舞う桃代無敵・アバター乱舞で烈車鬼をドン・ドン・ドンブラザーズ!!

初めてストーリー内で出た戦隊名が様子のおかしい男3人の決めセリフになってしまった!(笑)

倒されたヒトツ鬼は前回に引き続き巨大化して烈車鬼ングと化し、列車型の巨大な鬼にバイクで立ち向かう赤タロウがCGの出来も相まってなかなかの迫力。

まあすぐにジュランティラノを召喚して合体してしまうので、細かい点が雑になってしまうのですが(前回と違い黒カイザーではなく赤タロウが呼んだら来た)。

必殺のドン・ゼンカイクラッシュで烈車鬼ングを撃退したことでトッキュウジャーのアバタロウギアは黒カイザーによって回収され、吸収されていた若い女性とさなえも元通りに戻っていた…ってさなえにジャケットかけて最初から知ってたみたいな態度で最後は優しさを見せたみたいになってますが、鬼から解放するために放置したり回し蹴り叩き込んだり「ドン・ドン・ドンブラザーズ!!」してたのタロウ!?

人の心とは、一体何なのか。


「ねぇタロウ君、私、いくつに見える?」

「68、でも、生き生きとしている。幸せな68に見える」

若く見られることを嬉しく思いながら、お世辞を言われることにどこか二律背反として存在していたさなえにとってその一言はいっそ清々しく、現代らしい"肯定"のアプローチがありながら、現実の人間関係における"気遣い"に疑問を投げかけるという挑戦的な部分も本作は目立ち、この点でも好き嫌いはハッキリしそうです。

「ひょっとして、あいつが桃井タロウ……なんか、嫌だ…」

バイト中に頸動脈ホールドを思い出したはるかは跪くべきドンの存在を薄々と認識し出し、アバタロウギアを手元でこねくり回す五色田マスターが黒カイザーであることを示し、何故黒カイザーの回収したギアをドンブラザーズの全員が扱えるのかなど多くの謎を残しながら、未だ素顔で会うことのない戦士たちはそれぞれの日常を過ごしていたところで、つづく。

 

 

星獣戦隊ギンガマン』以来、実に24年ぶりに《戦隊》シリーズのパイロットを担当することになった田崎監督演出で、多くの情報量を秘めていながらそつなく映像として一定の盛り上がりを見せ、《平成ライダー》で磨かれたパイロット職人として確かな技術は令和の世においても健在です。

一方で未だ5人揃わないどころかメンバーの顔すら把握できてない、中途半端になった赤の初変身、目的と手段が不明瞭なソノイたちと作風を示すパイロット版でありながらカタルシスの欠如が顕著で、掴みの部分が良くも悪くも独特なのは吉と出るか、凶と出るかといったところ。

ガジェット的な面でいうと、特にアバタロウギアの扱いは『ゼンカイジャー』以上に雑になってしまいそうな不安がありますが、アバターであることを活かして姿形が変わる設定は面白いと思うので、使用回数が多くなると嬉しいです。

そしてすごく気になる点として、指名手配されながら普通にアパート住みで宅配便を受け取ろうとし、「俺は無実だ!」アバター逃走を決め、なおかつ戦闘にはノリノリで参戦し「ドン・ドン・ドンブラザーズ!!」と叫んでしまう犬塚さんに大変ときめいてしまって、今後も楽しみにしております(笑)

 

 

そんなこんなで次回、俳人(本作で一番顔が好み)参戦で五つの力!