とても、とっても久しぶりのまとめシリーズ。
思い入れのある作品を紹介することで、これからのブーストに繋げようと思ったのですが、逆に入れ込み過ぎてなかなか完成せず…。
やっと出来た本文、長いですがお付き合いいただけたらと思います。
※本文はあくまで劇中設定の羅列ではなく個人の感想を書いてるものであり、ネタバレや不快感を覚える内容もあるかもしれませんので、事前にご了承ください。
スーパー戦隊勝手にまとめ
第42作目
「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」(2018〜2019)
「大怪盗アルセーヌ・ルパンが遺した不思議な宝物"ルパンコレクション"が"ギャングラー"に奪われた。
失ったものを取り戻すために戦う"快盗"
世界の平和を守るために戦う"警察"
君はどっちを応援する?」
あらすじ:
ドグラニオ・ヤーブンが仕切る異世界犯罪者集団ギャングラーの後継者争いが始まった。
大怪盗アルセーヌ・ルパンから盗み出したルパンコレクションを悪用し犯罪を働くギャングラーに対し、快盗と警察、それぞれの願いを秘めた2つの戦隊が激突しながら立ち向かっていく。
登場人物:
ルパンレンジャー(ビストロ・ジュレ)
夜野魁利/ルパンレッド
氷漬けにされ目の前から失われた兄・勝利を取り戻すために快盗になった快盗戦隊のリーダー格。
器用かつ飄々としており、ジュレにおいてもほとんど仕事をしないマイペースな性格であるが、損得関係無しに誰かを助ける優しさも持っている。
しかしその内面は完璧人間だった兄へのコンプレックスに満ちており、兄に似た言動を見せる圭一郎に対して愛憎入り混じった複雑な感情を持つようになる。
「遊びじゃねぇ…命がけで快盗やってんだ!!」
宵町透真/ルパンブルー
婚約者・大平彩を取り戻すために快盗になった最年長。
彩から教えられた料理スキルを活かし、ジュレではシェフとして腕を振るう。
クールな性格であり、邪魔者である警察に対しては特に警戒心が強く、表向きでも馴れ合う態度は見せない。
当初は目的を果たすまでの関係とドライに構えていたが、魁利と初美花に対して保護者のような意識を持つようになり、彩を取り戻すことと天秤にかけ葛藤することになる。
「絶対に…取り戻す!!」
早見初美花/ルパンイエロー
親友・一ノ瀬詩穂を取り戻すために快盗になった紅一点。
ジュレではウェイトレスとして、サボる魁利に悩まされながら働いている。
3人の中では最年少であり、困っている人を放っておけない優しさを持つ反面、警察に対しても譲る姿勢を見せる甘さも2人に指摘されることがある。
咲也から猛烈なアプローチを掛けられており、当初はそれを鬱陶しがっていたものの、彼の優しさと強さに触れ、徐々に心を動かされていく。
「あんたなんか、クシャクシャのポイだよ!!」
パトレンジャー
朝加圭一郎/パトレン1号
国際警察日本支部の警察官であり、警察戦隊のリーダー。
世界の平和を願う心が人一倍強い熱血漢であり、そのためには自身の危険も省みない。
暑苦しくオッサン臭いところがある反面、冷静かつ的確な判断力を持ち合わせている優秀な人物でもある。
魁利に対して世話焼きな面を見せるが、煙たがられることが多い。
「俺がすべきことは、己のプライドを守ることではない…人々の安全と平和を守ることだ!!」
陽川咲也/パトレン2号
射撃が得意な警察官。
明るく素直で人懐っこい性格であり、先輩である圭一郎とつかさに強い尊敬の念を見せる。
また子ども好きでもあり、幼稚園児たちのクリスマスパーティーに誘われたりもする。
初美花に一目惚れし何度もアプローチをかけ、その都度断られているが、自身のひたむきな行動が初美花の心を動かすことになる。
「もっと褒めてください!褒められると、伸びるタイプです!!」
明神つかさ/パトレン3号
警察戦隊の紅一点。
圭一郎とは訓練生時代からの腐れ縁であり、お互いのことはよく知っている。
男口調で気が強いクールビューティーであるが、仕事のストレスを可愛いぬいぐるみに顔スリスリすることで発散するなど、女性らしい面も持ち合わせている。
快盗やノエルの動きに敏感であり、その裏側に迫るべく考えを巡らせている。
「必ず生きて帰ると約束した。だから私は、強くいられる」
ルパン家関係
高尾ノエル/ルパンエックス/パトレンエックス
国際警察パリ本部から派遣されてきた潜入捜査官。
フランス語混じりの胡散臭い口調と、快盗と警察双方を行き来する行動の不透明さが不信感に繋がっていたが、各々との交流を経て信頼を掴むのと同時に、快盗と警察の融和を図ろうとする。
その正体は、アルセーヌに育てられた別世界の住人であり、ルパンコレクションを集めてアルセーヌを蘇らそうとしている。
「お楽しみは最後に残しておく方がいいだろう?ガトーに乗った、苺のようにね」
コグレ
ルパン家に代々仕える執事であり、魁利たちをルパンレンジャーに選んだ人物。
ルパンレンジャーの普段の活動を裏から支えており、また得意の変装で警察からの疑いを掻い潜ることに役立つこともしばしば。
魁利たちやノエルにドライな対応を見せるも、心の底では彼らを心配しており、サポートと助言を欠かさない。
「ダメですね…なるべく見ないようにしてきたのに…」
グッドストライカー
アルセーヌが所有していたなかで最初に意思を持ったコレクションであり、コレクションの力を高めることができる。
快盗からの愛称・グッティ。
その場で「グッときた」方に味方する気ままな性格で、快盗警察双方を困惑させる。
ノエルと仲が良い。
「グッドストライカー、ぶらっと参上〜〜!!」
国際警察
ヒルトップ
国際警察日本支部の管理官であり、圭一郎たちの直属の上司。
怒るよりも優しく諭してくれる性格であり、部下の失敗も受け入れやり直しのチャンスを与えるなど、圭一郎たちからの信頼も篤い。
披露はしてないが変装が得意らしい。
「仕事のミスは、仕事で取り返せばイイ。今度コソ、君の本気を見せてクレ」
ジム・カーター
国際警察の事務作業担当ロボット。
やや乱暴で余裕の無い性格ではあるが、仕事はきっちりとこなす。
ギャングラー出現の通報と連動しており、圭一郎たちに知らせる役割も担当している。
「エナジーオイルを飲んできますね」
東雲悟
圭一郎、つかさと同期生であり、咲也が配属される前にパトレン2号になるハズだった男。
ギャングラーとの戦いで重傷を負い戦列を離れていたが、終盤に再び圭一郎たちの前に姿を現す。
「相手の言い分に耳を傾ければ、本当の声が聴こえてくるさ。…音楽と一緒だ」
ギャングラー
ドグラニオ・ヤーブン
あらゆる世界において、略奪と暴力の数々を働いてきたギャングラーのボス。
長年座ってきたボスの座を賭けて、部下たちに後継者争いという名の残虐な犯罪を促す。
器は大きく、破天荒な部下たちの行動を基本は受け入れているが、逆鱗に触れると容赦ない仕打ちを与える。
「この俺をわざわざ呼び出したんだ、ぬるいもん見せんなよ」
デストラ・マッジョ
全身が爆弾でできたドグラニオの右腕であり、ギャングラーの参謀格。
冷静かつ豪胆な性格であり、割と部下の面倒見も良い兄貴分。
ドグラニオに対して強い忠誠心を見せるが、ゴーシュとは気が合わず会うたび嫌味を言い合っている。
コレクションに頼らずとも生半可な攻撃を受け付けない強靭な肉体を持っており、ドグラニオの後継者として最も有力だと考えられていた。
「ドグラニオ様の期待に応えるために、私は倒れるワケにはいかないのだ!!」
ゴーシュ・ル・メドゥ
ギャングラーの医者であり、改造や実験を喜んで行うマッドサイエンティスト。
ドグラニオからは気に入られており、自由奔放な行いを見せる。
人体を覗けるコレクションと、ギャングラーを巨大化させるコレクションなどのいくつかのコレクションを使いこなし、快盗と警察を翻弄する。
「私の可愛いお宝さん、……を元気にしてあげて」
ザミーゴ・デルマ
ドグラニオさえ一目置くギャングラーの一匹狼。
非道かつ好戦的な性格で、相手を一撃で氷漬けにしてしまう銃を使い戦う。
人間を氷漬けにして捕らえ加工し、ギャングラー構成員たちに"化けの皮"として売りつけている。
魁利たちの大切や人たちを奪った張本人であり、ルパンレンジャーの宿敵。
また国際警察のスパイとも繋がっており、情報屋としても暗躍している。
「人を消すなんて、簡単なもんさ」
ポイント:
前作「宇宙戦隊キュウレンジャー」が、40作品を超えたその先として"多人数戦隊"という大きな挑戦を試みたことが転機となり、本作も"戦隊同士のVS構造"という極めて異例な挑戦に走りました。
若干ヒーローのモチーフにはしづらい"快盗"と、前例もあり鉄板モチーフとも言える"警察"がぶつかり合いながら、時に協力するという展開が主流の本作は、シリーズ史に残る程の斬新さを持ち合わせている一方で、極めて普遍的なテーマを内包した作品でもありました。
"VS"や"対立"といったフィクションテーマが推し進められる中で、"向き合い"や"相互理解"という現実においても大切だと思われるテーマも盛り込んでいるのが本作の特色です。
自分たちの大切な人たちを取り戻すという「私」のために戦う快盗、平和を守る使命を胸に「公」のために戦う警察の対立が根本に存在し、それは終盤まで覆されることはありませんでした。
しかし、物語が進む中で登場人物のちょっとした気付きや歩み寄りが丁寧に描かれ、根本は変わらないものの、少しずつ何かが変わっていく様子が映し出されておりました。
例を挙げると、第5話「狙われた国際警察」におけるルパンレッドとパトレン1号の直接対決。
「どんな言い訳をしようとも、快盗という手段を選んだ時点で貴様達は間違っている!!」
「そうかもね、けど……俺たちはこれしかないから快盗やってんだ!正論なんか、どうでもいいね!!」
魁利たちが快盗になった経緯を視聴者は知ってるものの、警察はもちろん知る由も無く、むしろギャングラー同様平和を脅かす存在だと認識してます。
序盤にして、ヒーローがヒーローに「NO」を叩きつけるという刺激的な展開が繰り広げられます。
立場の違う"快盗"と"警察"が同時に存在していることで出来る展開でもあり、また信念の違いにより、本気の衝突をすることも考えられるなど様々な要素を詰め込んでおります。
しかし本作の特徴は、そういった衝突がその場のイベントだけで終わらず、後の展開に綿密に絡んでくる点です。
激昂したルパンレッドにただならぬ執着を感じ、快盗たちが仮面の下に秘めた想いを疑問に思う圭一郎、自身との勝負を捨て、ギャングラーの攻撃から一般人を身を挺して庇ったパトレン1号に心の中で負けを認める魁利、VSとは「対立」でありながら、本気の「向き合い」でもあることが本作において重要になってくるのです。
そしてそれは、立場の違う戦隊同士だけのものではなく、チーム内においても必要不可欠であるとし、非常に目配りの効いた展開を見せてきます。
当初は同じ目的で集まり、誰かが倒れても残ったやつが願いを叶えればいいというドライなスタンスを取っていた快盗の3人ですが、願いを叶えるために繋いできたものが、彼らのチーム力を徐々に高めていくことになります。
しかし、快盗たちは普段ビストロ・ジュレのスタッフという「仮初の姿」を取っており、その姿で警察との関係性を構築していってしまいます。
情報を聞き出すために、そして鬱陶しいやつらを窯に巻くために「仮初の姿」として"向き合ってしまった"彼らは、警察たちとの関係性すら心地良いものに変わってきてしまいます。
それは大事な人たち=取り戻したい人間関係が、警察との関係=現在の人間関係に上書きされてしまう危険があり、偽りの関係を作ってしまったことにより快盗たちに苦悩が生まれることになりました。
そしてその地雷を思いっきり踏んでしまったのが、快盗であり警察でもある・高尾ノエル。
初登場から胡散臭い言動と、双方を行き来する立場の不透明さが目立ち、どちらからも信頼と信用が低いノエルでしたが、彼は特に、本作において大事なことである"向き合い"を拒んでおりました。
どういうことかというと、一般的に考えれば、公的組織の後ろ盾が無く色々不利な快盗側には、自身の境遇が近いこともあり、情熱的に接することで魁利たちにもある程度の信頼関係は築けておりました。
しかし警察に対しては快盗側の事情を知っているが故に、情報を堰き止める要因になってしまい、最後まで自身の意見を曲げることはありませんでした。
彼の考えとしては、前述の快盗と警察の"現在の関係"が保たれたまま、快盗たちの願いが叶えられることが(不可能に近いと分かっていながらも)理想だったということもあり、それが彼を暴走させてしまったのです。
最終的に、その理想は虚しく砕け散ることになるのですが、結果はどうあれ彼の行いは正当化され、ノエル自身に"向き合い"による"気付き"を与えることができませんでした。
最終回においても、警察たちとは信頼関係を築けているようには見えず(圭一郎たちは基本、仕事仲間としか思ってない)、シリーズ構成の粗なのか意図的なのかは不明ですが、テーマを守らなかったキャラクターの典型例といえる存在になったのが、高尾ノエル。
"VS"という特殊な構造にこだわった本作ですが、その道のりは非常に険しいものでした。
まず、ある意味で最も重要である玩具販促に関して、快盗と警察「どちらを選ぶか」という形を取ったために、売上が分散。
最終的には比較的売上の良かった快盗側にアイテムが集約されることになり、ストーリーの進行においても細かい変更を強いられたように見えました。
他には設定の粗が厳しいものだった、という点です。
具体的に言うと、快盗側は願いを叶えるためにルパンコレクションを全て欠けることなく集めなくてはいけません。
しかし警察側はそんな事情は知る由も無く、犯罪行為に及ぶギャングラーに実力を行使し、金庫の中のコレクションもろとも倒してしまう可能性がありました。
第9話においてそれが描かれ、快盗たちのギリギリの戦いという面は補強されたのですが、快盗はコレクションを獲るために警察と対峙、そして警察は(視聴者から見たら)快盗の邪魔者でしかないという、ストーリー進行が一辺倒になってしまう設定になっておりました。
もちろん脚本家とプロデューサーでそういう部分に気を利かせ、ストーリーが弛むことは無かったのですが、自分たちでかなり製作ハードルを上げてたことが分かります。
その反面、製作スタッフの熱量はシリーズでも段違いの様相を呈しており、特に演出陣の仕事は目を見張るものがありました。
演出ローテーションは
①初メイン監督の杉原輝昭
②東映特撮引っ張りだこの中澤祥次郎
③戦隊職人と呼べる加藤弘之
④帰ってきたベテラン渡辺勝也
の4人体制であり、
⑤総集編と配信作品担当の葉山康一郎
がスポット参加といった具合(敬称略)。
ローテ監督は4人いたものの
1クール目は合流が遅れた渡辺監督
2クール目は夏映画担当で杉原監督
3クール目は「ジオウ」にスポット参加で中澤監督
4クール目は「ルパパトキュウ」担当の加藤監督
がそれぞれ抜けており、実質3人ローテ体制となっておりました。
逆に言えば近年の東映特撮において監督の出入りが非常に少なく、挑戦的な作品でありながら、安定した演出を見ることができたとも考えられます。
一人ひとり分析していきたいと思います。
①杉原輝昭
「烈車戦隊トッキュウジャー」から戦隊シリーズに助監督として参加し、「動物戦隊ジュウオウジャー」にて本編初監督。次作「宇宙戦隊キュウレンジャー」のサブパイロットを任され翌年に、本作パイロットを担当することになった東映特撮の俊英。
前作前々作においてはやや振り幅の大きい演出が、パイロット監督になってどう転ぶかが楽しみ半分不安半分といった開始前でしたが、アニメ作品をオマージュしたような特徴的な画作り、スピーディかつダイナミックなアクションの切り取り方(アクション監督の領分もあるでしょうが)が秀逸でした。
また夏映画担当で2クール目は抜けていたのにも関わらず1クール目で3度登板、戻って速攻3本撮りを決行するなど怒涛のスケジュールをこなし、本編最多演出の16本を担当。
本作が挑戦的でありながら、熱量もしっかりキープできた作品となれたのはこの人の影響が最も強いと考えます。
②中澤祥次郎
戦隊シリーズ、仮面ライダーと各所から引っ張りだこで、オールマイティな演出を見せる東映特撮の中堅エース。
本作は「仮面ライダービルド」を年明けで離脱してから参加し、サブパイロットを演出。
遠近を活かした独特なカメラワーク、引き出しをもっと増やしてやろうという役者への信頼感は相変わらずで、振り幅の大きい杉原監督のフォロー役として非常に大きな役割を果たしました。
3クール目に一時離脱となりましたが、戻ってからも安定の演出は健在であり、演出本数14本と杉原監督に次いで2番目の演出数となりました。
③加藤弘之
「侍戦隊シンケンジャー」中盤から抜けることなく戦隊シリーズを監督する"戦隊職人"
参加は3人目となったものの、序盤の山であるルパンレッドVSパトレン1号を演出し、その後もノエル初登場回など大事な局面を任されることが多かったです。
その中でも振り切れたギャグ描写(言わずと知れたエアロビ回)や、マニアックな小ネタを仕込むことが多かったのも特徴です。
小ネタの例:
・第20話、千葉一伸ボイスのギャングラーの解錠ナンバー「7・2・1」
Vシネクスト「ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー」担当のため第34話を最後に離脱し、演出本数10本で本作を終えました。
名曲「ルパンレンジャー Here we go!」を劇中でよく使ってたのも個人的にポイント高し。
④渡辺勝也
90年代から東映特撮を支える大ベテラン。
戦隊シリーズは「手裏剣戦隊ニンニンジャー」終了後2年間不在にしてたものの本作第14話から復帰し、ベテランでありながら参加以降抜けることなくローテに加わり、本作にふさわしい斬新な演出を見せることとなりました。
特に第31話の巨大戦を映していたところから、それを見上げるルパンレンジャーにシームレスに繋げる演出は驚きました。
師匠筋である長石多可男監督を彷彿とさせる心理描写が上手く、役者のあらゆる表情を引き出せていたことも印象的でした。
演出本数は加藤監督と並んで10本ですげ、2クール目から離脱無しの参加であり、演出が安定しない序盤を免れたという点では最も安定してローテを回した監督と言えるかもしれません。
⑤葉山康一郎
チーフ助監督として近年の戦隊シリーズに参加しており、第46話においてついに本編監督デビュー。
若干過剰なギャグ描写が目立ち不安な面はありますが、今後の活躍が期待できる1人となっております。
おすすめエピソード:
本当だったら全話見てほしいところですが、せっかくなので監督ごとのおすすめをご紹介したいと思います。
杉原監督:
第30話「ふたりは旅行中」(脚本:香村純子)
毒を食らっても入院しない警察官・圭一郎が休暇を申請して温泉旅行…?
何か裏があると踏んだノエルは、魁利を差し向け圭一郎の見張りをさせます。
そこで出会った一人の少女への対応を巡って、魁利は圭一郎に兄の姿を重ねてしまい…。
夏映画から戻ってきた杉原監督3本撮りの最後。
たびたび圭一郎に刺激されてきた魁利のコンプレックスが、ここにきて大きく揺さぶられ、作品の今後の方向性を決めたと言っていいエピソードです。
ルパンレッドVSパトレン1号の再戦が見られるのもポイント高し。
「似てんじゃねぇよ…めんどくせぇ」
第42話「決戦の時」(脚本:香村純子)
ギャングラー後継者争いに、ドグラニオの右腕デストラがついに参戦!
最強最悪の敵に対し快盗と警察、それぞれの想いを秘めた戦士たちが立ち向かう。
強大な敵に対する呉越同舟、組織内でのいざこざ、Wレッド同士の妙な信頼などの要素が爆発し、最高の盛り上がりを見せるロボ販促回。
スタッフインタビューによると、第42話終了の際に最終回の方向性を決めたということであり、終盤戦に入る前の大きな山場となった回とも言えます。
「……ズルい男だ」
「それが俺の売りなんで」
最終話「きっと、また逢える」(脚本:香村純子)
ドグラニオから世界を守るため、国際警察が実力を行使する!!
しかしそのドグラニオの中には、魁利たち3人の快盗が残されており…。
やっと登場するスーパーパトレン1号!!!
その超火力を持ってしても倒しきれないドグラニオに対し警察戦隊が取った手段は。
そしてその先に待っていた驚きのフィナーレとは…!
「おのれ快盗……!!」
「予告する、あんたのお宝…いただくぜ!!」
中澤監督:
第9話「もう一度会うために」
第10話「まだ終わってない」
(脚本:香村純子)
一般人が持つコレクションを狙う快盗、しかし同時に登場したギャングラー・ブレッツは警察によってコレクションごと爆破されてしまう。
「まだ終わってない」鍵を握る氷男・ザミーゴを巡って、魁利たち快盗の"繋がり"が試される。
窓ガラスを割って逃亡する快盗の犯罪者感をプッシュしてる場面や、エレベーター内での迫真の戦闘シーンなど面白い演出が多数の前後編です。
「魁利も私たちも、諦めずに希望を繋いだんだよ。だから…私たちの願いは一つ」
第25話「最高に強くしてやる」(脚本:香村純子)
金色金庫のライモン・ガオルファングの猛攻に苦戦する快盗と警察。
未だ快盗からの信頼を得られないノエルは、捨て身の作戦でライモンに挑む。
そしてルパンレッドの行動に、危ういながらも何か信念を感じたつかさは彼の手助けを決める。
本編において快盗と警察がついに共闘。
更にノリで生まれてしまうシリーズ屈指の下手物合体・グットクルカイザーVSX
作品の折り返し地点となった重要エピソードです。
「助かった、ありがチュー」
「こちらこそ、メルシー」
加藤監督:
第5話「狙われた国際警察」
第6話「守るべきものは」
(脚本:香村純子)
国際警察が秘密裏に輸送していたVSビークルを巡り、ルパンレッドとパトレン1号が激突。
勝負にこだわる圭一郎に、つかさはかつて自分にかけた言葉を思い出すよう忠告する。
快盗、警察、ギャングラーが入り乱れてのコレクション奪い合い。
更にWレッドの(メンタル面も含めての)激突がついに始まり、改めて"VS"というテーマが動き出した前後編です。
「バイカー撃退砲!!」
第34話「伝説の銃」(脚本:香村純子)
アルセーヌ・ルパン秘蔵のコレクション・ルパンマグナム。
それを手にしようとする魁利たちの前に立ちはだかったのは、取り戻したい大事な人たちの幻であった。
快盗たちの間にも生じ始めた温度差。
それらを振り切った魁利が向かう先は光か、それとも闇か。
「俺そういう眩しいの向いてない。気づいちゃった、今まで兄貴の真似してやってきたどんなことより…俺、めちゃくちゃ快盗向いてるわ」
渡辺監督:
第32話「決闘を申し込む」(脚本:大和屋暁)
ゴーシュの作り出したステータス・クインティプルに対抗するには快盗との協力が不可欠。
しかしそれを認めない圭一郎にノエルは決闘を申し込み、1号とXはお互いの信念をぶつけ合う。
ノエルがついに本心で圭一郎にぶつかり、それを汲み取った圭一郎は快盗への考えを更に深めることになるエピソード。
香村さん以外の脚本家が初めて重要回を任されたという点でも、必見のエピソードです。
「できるできないじゃない!やらなければいけないんだ!!それが君ともレッド君とも違う、僕の選んだ道だ!!!」
第39話「こいつに賭ける」(脚本:香村純子)
ザミーゴの存在を知ったノエルに、自分たちの知ってる情報を話すべきか…。
快盗内でも意見が割れる問題に苦悩する初美花に、意外な人物の助言が陽の光をもたらす。
そしてザミーゴに対抗するために、ルパンレッドが勝利の鎧を纏う。
スーパールパンレッド登場。
快盗と警察内でも少しずつ動きがあり、終盤に向けて物語が大きく動き出します。
「人間界ではこういうらしいぜ……エビで鯛を釣る」
「俺も会いたかったぜ…死ぬ程な」
5段階評価:
☆☆☆☆☆ 5/5
是非、全話見てください!!!
"VS"という作品コンセプト、キャラの機微が描かれた繊細なシナリオ、スピーディかつダイナミックなアクションなど他にはない見どころが詰まったシリーズ屈指の異色作。
その中にも強いメッセージ性や、王道とも呼べる燃え展開が内包されており、非常に贅沢な玉手箱のような作品です。
一話一話に詰まった細かい要素を拾う作業も楽しいかもしれません。
先程おすすめエピソードのところでいくつか取り上げたのですが、本作はメインライター香村純子氏を始めとする脚本家陣のワードセンスのキレが非常に良く、ちょっとした会話でも大変見応えのあるセリフ回しを見ることもできます。
多くの内容が詰まった本作、是非とも手に取ってお楽しみいただけたらと思います。
以上、とても長くなりましたが「ルパンレンジャーVSパトレンジャー」感想でした。
「国際警察の権限において、実力を行使するッ!!!」