うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

ウルトラマンZ「想い、その先に」

ウルトラマンZ』

第20話「想い、その先に」

(監督:武居正能 脚本:小林雄次

「え、バコさん?」

セミカジュアル風味なスーツを纏ったバコさんは、カナダにいる娘・ルリが3年ぶりに帰国するということで一段と気合を入れておりました。

 

生物科学研究所の研究員を務めるルリはその業界においては有名人であり、ユカの憧れの人物でもあります。

そんなルリは人工生命体M1号を生み出しており、「あ、バコさんの娘だな」という妙な納得感を漂わせております(筆者の中でバコさんは、影で宇宙人を狩る殺し屋という認識です)。

ところで研究室でM1号を愛でてるルリの図はまあまあ凄まじく、何か見てはいけないものを見てしまった気分です。

 

街中で3年ぶりの再会となるイナバ親娘ですが、そこに母親(バコさんの妻)は来ておらず、「2人で楽しんできたら」とのことでした。

まあバコさんに娘がいたこと自体意外ではあったのですが(ハルキやヨウコ先輩も知らなかったことですし)、どうやら妻とは距離がある模様(別居してる?)。

裏で行われている殺し屋稼業において、色々と無理が生じていた可能性が考えられます(おい

 

ただ単に会うことしか考えてなかったバコさんは、ルリが一番行きたいところとして、父の職場であるストレイジ基地を案内することに。

「バコさん、今日は一段と素敵!」

実の娘の前で、枯れ専アピールを平然とやってのけるヨウコ先輩は本当に筋金入りです

憧れの人を前にキモヲタと化したユカなど、ルリの登場によりストレイジ整備班はお祭り状態。

手を止めて集合写真を撮ろうとする整備班にキレるバコさんですが、何故か自分が写真に写ることを拒んでいます。

殺し屋たるもの、写真に写り姿を晒すなど愚の骨頂といったところでしょうか(おい

 

「私たちはこれに乗って、怪獣と戦ってるんですよ」

血の気が多い職場を垣間見たルリは、今度はバコさんをM1号に会わせるために研究所に向かうも、そこで謎の組織がM1号を誘拐しようとする現場に遭遇。

その手引きをしていたのは、ルリと同じ研究室で働くクラタ君でした。

「Bad timingでしたね、博士」

今回(色々な意味で)一番面白かったセリフ(笑)

冒頭、ルリが早くバコさんに会えるよう声を掛けるなど優しい素振りを見せていた時からそうだったのですが、演技プランがすごく胡散臭くて何だか笑ってしまいました。

 

謎の組織に捕まりながらも抵抗を見せたM1号、分電盤に衝突したことによりエネルギーを吸って巨大化。

先輩ジョーとハルンダムが迎撃に向かうものの、近くにルリがいたことで攻撃は出来ず、ひとまず麻酔弾でM1号を眠らせます。

 

「長官からの命令だ、M1号を駆除する」

防衛軍の決定により、順当に排除されることが決まるM1号。

「あの子だって大切な生命なの!だからお願い」

実験動物だからではなく、あくまで一つの生命として守るべきだと詰め寄るルリですが、さすがに掘り下げがほとんど無い1ゲストの発言に過ぎないのでどうも共感は難しい。

ルリのこの発言から、ここから先はあまり面白くない展開になるかな…と思っていたところですが、そう、この作品には主人公がいました!!

 

「隊長!俺たちは怪獣を倒すために戦ってるんじゃない。生命を!守るために戦ってるんですよね?」

「時間は、俺たちが稼ぎます!」

ルリの想いを、そして生命を守るためにストレイジがあることを叫ぶハルキ。

そこにユカ、ヨウコ先輩も賛同し、立場を無くしたヘビクラ隊長かと思いきや

「面白ぇじゃねぇか、じゃあやってみろ」

とむしろその反応を待っていたと言わんばかりに、ギリギリまで防衛軍の足止めを行うことを約束。

人間が生み出し、人間の所業によって理不尽に始末される生命というプロットにすごく不安を覚えていた身としては、この一連のシーンで大きく流れが変わって本当に良かったです。

ストレイジなら、こうするな」というツボをしっかりと押さえていて、小林脚本がかなりの切れ味です。

 

翌朝8時まで目が覚めないというM1号に、細胞分裂逆進剤を投与することで小さくしよう作戦を展開することになったストレイジは、目覚める前に徹夜で逆進剤作成を行うも、案の定8時になる前にM1号が起きてしまいます。

先輩ジョーとハルンダムの特空機2体がM1号を物理的に足止めし、隊長が電話で防衛軍進攻の時間を稼ぎ、その間にルリとユカが逆進剤作成に当たるという分割展開によって、それぞれの立ち位置とキャラクターが明確になっており、またそのキャラ分けにも違和感が生まれず、スムーズに進んでる姿に本作の丁寧なシリーズ構成の安定感を感じます。

 

しかし整備班決死のドラム缶太鼓芸も通用せず、徐々に市街地に迫るM1号。

逆進剤が完成したものの、防衛軍の最終防衛ラインにM1号が到達してしまい手遅れになるのですが、まだ終わってないとバコさんが声を上げます。

「ヘビちゃん、最後のチャンスを俺にくれないか?」

殺し屋、参戦。

 

「俺は諦めないっす、絶対諦めない!!」

今日も叫ばずにはいられない主人公はライザーを起動し、不意打ちアッパーからのスコーピオンデスロックを食らわす筋肉ゼット。

先輩ジョーから、何とかM1号の動きを止めるよう言われたゼットは主役三倍盛りにチェンジ。

「うお!やめろ、斬るな!」

「何だと?」

敵を斬れるとウッキウキで出てきたのにも関わらず、いきなりストップかけられる魔剣さん少し可哀想。

面倒くさいなんて言いながらも、しっかりと言うこと聞いてくれる優しい魔剣さんはデスシウムクローでM1号を拘束。

「今です!バコさん!!」

そして先輩ジョーのコクピットから現れたのは、バズーカを構えたバコさん!!!

「これ以上、娘を悲しませるんじゃねぇ!!」

「薬は注射より飲むのに限るぜ、

ゴ○ラさん」

峰○徹似の親友を持つ柄○明似の上司に世話になったであろうバコさんバズーカにより、直接口に逆進剤を投与されたM1号はそのまま中毒死…なんてことはなく無事に元の大きさに戻ります。スペ○ジめ!!

 

元の大きさに戻ったM1号を囲み、まるで恋人のように紹介するルリなどだいぶ久しぶりな気がする和やかな雰囲気でつづく。

「ハルキ、怪獣を倒すために戦ってるんじゃない、生命を守るために戦ってるんだって、そう言ったよな?…俺もな、生命を守るためにあいつら作ったんだ」

「やっぱり、お父さんは昔から変わらない…私の、憧れの人」

 

 

5年前の「ウルトラマンX」で衝撃の再登場を果たしたM1号が、設定を大きく変えての本作参戦。

中盤までの展開から色々と不安を覚えたところですが、ストレイジが流れを大きく変えてからは割と淡白なストーリーに。

前回登板においても、中身が薄いながらストーリーの組み立て自体はしっかりしていた小林雄次氏らしい脚本となりましたが、その中でハルキを始めとするストレイジの宣言を取り入れてくれたことは、本作の強みを活かしてくれてとても良かった点。

憧れの人物を悲しませたくないという面で、ユカがそれにすぐさま賛同するのもキャラに芯が通った形となって良い目配りでした。

 

また整備班渾身のドラム缶太鼓は若干悪ノリのような空気はあったものの、事前にルリと集合写真を撮ろうとしてる姿を映していたことにより違和感は感じられず。

更に本作元より整備班の大勢も一つのキャラクターとして丁寧に扱っているため、活躍することになんら不自然さは無いというシリーズ構成の長所が出て、個人的にはとても好きなシーンとなりました。

人物描写に定評のある武居監督の光る部分を再確認できて良かったです。

 

前回、特空機の扱いが悪くなってきたと感想で申し上げましたが、今回はギリギリまで頑張って活躍しているところを描写しており、生まれかけた不安を潰しに行く相変わらずの丁寧さ。

「この作品なら大丈夫だろう」という独特の安心感が損なわれることがありません。

 

難を言えばバコさんの親娘関係の掘り下げがM1号を絡めても思ったより進まなかったことと、ゼットさんの活躍が薄かったことになるのでしょうが、前回を考えるとストレイジの活躍が目立つことはバランス取りという面で妥当な選択だと思います。

個人的にはバコさんバズーカが面白かったので、まだもう一つサプライズがあると信じたい(セブンガーが空いてますよね…)。

それと謎の組織に関してあまり触れられませんでしたが、今後も登場する見込みはあるのでしょうか。

 

レジェンド客演回の次というやや期待値低めの回でしたが、終わって見ればこれまでの中でもパイロット3話に並ぶ傑作回でした。

ハルキを口火にストレイジの面々が声を上げるシーンは、何度見返しても熱いシーン。

今後も楽しみです。

 

あと今更ですが、後期EDがすごくお気に入りで、今回みたいな爽やかな終わり方の後だと尚良いなぁなんて思ったり。

 

 

次回、大地裂く牙。