うらひろの日記

その場で思ったこと、好きなもの、書いてみます。

夢に向かう約束

お世話様です。

「Z」最終回は後々ゆっくり。

 

今回は昨日仕事終わりに見て参りました、仮面ライダーの映画について。

 

 

ネタバレを含む内容になるので、まだ映画を見ていないという方はブラウザバックを推奨します。

 

 

それと先に、コロナ禍での厳しい状況での撮影に臨んだ役者・製作スタッフ・関係者一同に敬意を表します。

映画公開まで進めていただき、本当に感謝しております。

 

それでは、感想です。

 

 

「劇場短編 仮面ライダー聖刃(セイバー)

 不死鳥の剣士と破滅の本」

(監督:柴崎貴行 脚本:福田卓郎

 

あらすじ:

平和な世界に突如もたらされる終焉の嵐。

封印されていた不死身の剣士・バハトが解き放たれ、人間界とワンダーワールドが消し飛びことになる危機に、6人の剣士・仮面ライダーが立ち向かう。

 

感想:
冒頭、サッカーをしている子どもたちに加わろうとするも一歩踏み出せない少年に声をかける神山飛羽真。

第1話での、子どもにとっての良いお兄ちゃん像が久々に見られ嬉しかったところ。

それを本編で続けなかったのは、つくづくもったいない。

 

本作は良い意味で中身が無く、世界が滅びそうになってからはひたすらバトルであり、ヒーローのカッコ良さと勢いが全てといった作品です。

良かった点をピックアップすると

・いきなり映画ライダーと新フォームが画面に登場し、引きは充分

バハトの無音変身、からの劇場版オーズを彷彿とさせる回転映像での6人同時変身

→正直、ここだけでもう大満足でした。

・アクションに気合が入っていた

→雑兵を蹴散らしていくライダーの姿は、同時上映「ゼロワン」への意識が強く感じられました。

・炎の剣を持つ飛羽真

・ブレイブドラゴンの配色で正当進化した新フォームエモーショナルドラゴンは素直にカッコイイ

シールドモジュールが犠牲になりましたが…

 

人知れず世界を守ってきた仮面ライダーの活躍を見つめる人々の想いに応え、セイバーは真紅の剣で悪を貫き勝利。

最後、ベンチで目を覚ました少年の横に、自身の本を置いてく辺りが最高にダメな感じがしていいぞ!もっとやれ!!

 

全体的にヒーロー成分が凝縮されていて、見やすくて思ったより面白かったです。

 

難を挙げるとバハトのキャラクター。

パンフレットでの柴崎監督インタビューによると、短い尺ながらストーリー性も充実させたいという高橋Pの要望から、人間がいるから争いが云々みたいなことを言い出すバハトのキャラが決まったように感じましたが、少々胸焼けというか、どうでもいいと思ってしまったところ。

最後の描写を見るに、劇場短編は今後の展開にも少なからず絡んできそうですが、同じスタッフということで「ゴースト」の時のように、スピンオフも絡めてめちゃくちゃにならないことを祈るばかりです。

 

概ね満足ということで、本作で最も面白かったこの台詞で締め。

「マジで世界が終わっちまいそうだぜ!!」

by尾上亮

 


「劇場版 仮面ライダーゼロワン

 REAL×TIME」

(監督:杉原輝昭 脚本:高橋悠也

あらすじ:

アークが新たに選んだ謎の男・エスを党首に据えるテロ組織の楽園計画に、AI企業の若き社長・飛電或人とその仲間たちが立ち向かう。

 

感想:


中盤のアレだけで-1000点

もう触れるのも嫌なくらいなのでこの一言で済ませますが、悪い時の杉原監督が強く出てしまいました。

 

カルト宗教のような組織を率いる教祖エスから届いた挑戦状(「ブルースワット」感)を受け、儀式の間にてエスの変身する仮面ライダーエデンと激突するも、いきなり劣勢を強いられるゼロツー。

ゼロツーはサクッと敗北し、或人はゼアの能力を秘めたゼロツーキーをエスに奪われ、そのまま吹っ飛ばされ意識を失います。

予告の雰囲気から、本編の活躍の少なさを挽回してくれるものだとばかり思ってましたが、そんなことは無かったようです。

 

或人は何故か無人の電車内(インタビューによると西武池袋線のようです)で目を覚まし、そこで唯一意識を保った女性と遭遇。

明らかに様子のおかしい世界、そしてエスについて何かを知っているであろう女性と或人は行動を共にすることになります。

ここの場面、無人池袋駅からサンシャインシティ、東京駅にまで移動したりと異世界とはいえロケーションが不自然だったのが集中できなかったところ。

自分の知ってる場所がロケ地になると、なんだか落ち着かない気分です。

 

街に出没したS信者たちは仮面ライダーアバドンに変身し、街中の人々に謎のガスを浴びせます。

それに立ち向かったのは我らが仮面ライダーたち。

活躍をピックアップすると

・呆気なく変身するエイムズコンビ(一応サウザーが変身できるようにしたと後でフォロー)に絡みが無く寂しい

・ザイアスペックに微妙な顔を見せる刃さん

→各キャラの情報共有はザイアスペックで行われることに

飛び降りながら変身する滅、なんか面白い

・迅、本編序盤の子どもっぽい性格に

→後半の格好でこれやられるとものすごい違和感

不破と迅の絡み、面白くない

→ギャグとサスペンスのバランスを見誤りまくってて、どうしたいのかが全く分からない

・雷、亡は変身すらせず(スピンオフに注力か)

・孤独に仕事を続ける天津

→さうざーはどうしたのだろうか…?

 

と色々あるのですが、本作では或人との直接的な絡みが全く無く、もはや別作品のキャラクター。

本作全体的に「仮面ライダーゼロワン」という作品の皮を被った人たちがドンパチやってる、という印象が強く、キャラ描写はこれといって面白くならず。

キャラクターでいえば、本作ボスのエスも大概問題なのですがそれは後述。

 

迅の調べにより、世界中の人々の意識を奪っているのはパッと見ではガスにしか見えないナノマシンであり、それが人体に侵入してデータ化することで或人たちがいる世界に転送されていたとのこと。

街を蹂躙する信者アバドンはナノマシンが作り出したアバターであり、それが判明してからは倒された後「LOG OUT」表記が出たり、またすぐにログインしてきたりと「ロックマンエグゼ」や「レディプレイヤー1」のような演出も相まって、面白い展開でした。

問題なのはアバターが作れることにより姿が全く違う人物になれるという点で、白ロリの女性は実際はふくよかな子持ちである、というギャップは面白かったのですが、変にリアルな描写を盛り込んだことにより、この時点で想像できる本作のオチがどうしてもチラついてしまい(その通りになってしまいました…)、今後の展開に全く集中できませんでした。

 

本作において最も行動的だったのは滅パパであり、その滅はアズと接触

アークはデイブレイクの際、ヒューマギアのみならず同時期に研究されていた医療用ナノマシンもハッキングしており、そのデータも得ていたことを知らされます。

そしてそのナノマシンのハッキングによって起きた事故により婚約者を亡くした主任研究員・一色理人はエスそっくりの姿をしていました。

 

一方、ゼアの手助けにより現実世界に戻った或人はエスを止めるべく、再び儀式の間に赴きます。

今度はメタルクラスタに変身し、再生能力を持つエデンにメタルバッタを仕込んで内部から潰すなど、リベンジマッチをただの殴り合いにせず、ゼロワンに活躍を持たせたのは良かったです。

特にメタルクラスタはTV本編でも活躍が多く、或人のエースカードとして劇場版においても活躍が見られたのは嬉しかったところ。

まあそのエースカード自体が、物語の元凶からもたらされているものという根本的な問題が常に付きまとってしまうのが「ゼロワン」クオリティ。

 

一時は優勢になったゼロワンですが、ゼアの能力によって完成した破滅のキーによって終焉の一撃がエデンからもたらされ、儀式の間にいた信者ごと吹き飛ばされることに。

その後、儀式の間跡地でまたもおのれぇとのたうち回る或人の姿が映し出され、すこぶるテンポが悪い。

しかし終焉の一撃が予定より早くもたらされたことと、信者を犠牲にしたエスの行動に、福士誠治氏演じるケアハウスマネージャー隊長はエスに疑念を持つことに。

 

その頃、アバターの元となる人物を捜査していたエイムズと天津の常務取り調べ(触れたくないのでサラッと済ませます)により、宗教組織のアジトが特定され、現場班の滅パパが出陣。

そこで見つけたのは、取り出された脳髄が接続された機械でした。

 

同じ頃、とある教会にて三度エスの前に立ちはだかった或人は、エス=一色研究員の婚約者が異世界で会った謎の女性であったことに気付いており、エスの目的は新世界の創造ではなく、生命を奪われた彼女の生きる世界を作るために人々のデータを異世界に転送していたことだと判明。

世界消滅を食い止めるためにエスに立ち向かう或人はなんとかキーを奪いますが、既に発動された破滅のキーはもう止められない。

破滅のキーを見つめ、或人は悲壮な覚悟を決めます。

「世界中の、笑顔を守るためならな…!!」

キーをドライバーに差し込み、ゼロワン・ヘルライジングホッパーに変身!

メタルクラスタ(暴走)→アークワン(闇落ち)ともう暴走系はいいよ…と事前情報で思っていたところでしたが、変身自体が自らを犠牲に世界を守ることに繋がっており(その行為の是非については別問題)、TV本編で失われていた或人の"主人公としてのヒーロー性"を描き出せたことは、とても良かった点です。

 

「こわす!壊す!!コワス!!!」

「キーを破壊しなくてはいけない」という行為が破壊衝動に繋がり、エデンすら寄せ付けないパワーを発揮するヘルライジングホッパーは、エスにとどめの一撃を食らわせようとするも、止めに入ったのはなんとイズが変身した仮面ライダーゼロツー!!

ダメージにより変身解除したイズはゼア内部にて旧イズとマッチングしており、或人を助けるために待機命令を無視して臨場。

自らを犠牲に止めに入ったイズの姿に変身解除することのできた或人は、種族を越えて想い合う自分たちにエスの想いを重ね、エスの心に寄り添うことを選びます。

しかし、エスの真の目的を知った福士隊長はエスを裏切り、エスからドライバーとキーを奪い仮面ライダールシファーに変身し、今度は自分が創造主として君臨しようとします。

或人とイズは傷ついた身体ながらも、彼女の脳髄があるアジトにエスを向かわせます。

 

う、うーん…

まあTV本編を見るに、こういう流れになることに驚くことはもう無いのですが、これが子ども向け作品として製作されてしまったことに、果てしない絶望感を覚えます。

本作スタート時のコンセプトとしては「人々の生活を人工知能がサポートする新時代において、人類はどのようにヒューマギア(異種族)と向き合っていくのか」という面が考えられていたように思うのですが、いつの間にか"或人とイズ(個人to個人)"にスライドしてしまっており「人類がどうするかより、自分が正しいと思ったことが正義だ」というメッセージに変わってしまってます。

色々と問題のある「ゼロワン」においてそれは妙な一貫性を抱えているため、物語の着地点としての完成度はともかく、視聴層からは支持されないわけだなとこういうところで感じてしまいます。

 

アジトに向かうエスを手助けする滅パパの前に現れる大量のアバドン軍に対し、刃さんと天津が駆けつけ自らの武器で生身アクションに入るのですが、本作においては必然性があまりにも薄く(わざわざ差し込んでまで描くシーンではない)、安易に坂本浩一監督の真似事をしたという印象を超えられませんでした。

そこに実に冴えない姿で登場した不破迅コンビが加わり、主人公以外の5人が同時変身。

「セイバー」の6人変身の方が燃えるとはどういうことだ…!!

まあその後のアクションは「ゼロワン」らしく非常に見応えのあるもので、特に高所落下しながら必殺技を放つランペイジバルカンが、翼を突き立てて背中からの落下を避ける(翼を飛ぶことに使わない)姿がすごく不破さんで面白かったです。

 

教会にて最終決戦に挑む或人とイズは、リアライジングゼロワンとイズツーに同時変身!!

思い出したようにイズの動きを取り込もうとするゼロツーが、率直に気持ち悪い…笑

そのまま舞台はのどかな昼の森に移行し、そこで全く盛り上がらない主題歌戦闘を繰り広げるのですが、肝心の主題歌もエスのシーンによってブツっと切られてしまい本当に!

本当に!!

本当にどうしようもないな!!!

 

その後はタイムリミットギリギリで、ダブルイチャイチャインパクトでルシファーを倒し、有力信者勢は逮捕されチャンチャン。

 


色々と文句の出た構成面ですが、まず今回の物語が60分の出来事という設定に無理がありました。

一応エスのセリフで「デイブレイクの起きた60分」と本筋に絡めてはいるのですが、あくまで後付の理由に過ぎず、だから何だというレベル。

演出面においても、時間が進行しているということを映像面で分かりやすく工夫してはいましたが、教会のシーンではちょくちょく数字がチラつくことですごく気が散り、余計なノイズにしかならなかったことが辛かったところ。

世界中でテロが起きてるのに普通にやってる福士隊長がケアハウスやってたり、ネカフェを何事も無さそうに利用してる人がいるなど、作品コンセプトと映像面が全く噛み合ってません。

もう一度言いますが、これ全部「60分の出来事」なんです。

 

他にも、相変わらず壊れた倫理観を押しつけてくる気持ち悪さがあったのですが、今回はそれに伴いキャスティングの問題も浮上。

エス演じる伊藤英明氏ですが、ただ虚空に向けて叫んでいる前半の展開だけだと無駄遣いでは?と思っていたのですが、後半婚約者が絡むことで物語にラブロマンスの要素が急浮上。

本作でやりたかったことはエスと婚約者の関係を通し、或人とイズの関係性とそのこれからを引き立たせることにあり、製作陣のかなり踏み外した"人間とヒューマギアの共生"というテーマを見ることに。

あまりにも鮮やかに道を踏み外してくるので、もはや手癖に見え修正不可能だなと諦めの境地に到達してしまいました。

 

現行作品の「セイバー」本編が盛り上がってないことから、比較として期待度が高まっていた本作ですが、見事斜め上に突き抜けることに。

逆に映画でいえば「セイバー」の方がスッキリしてて面白かったです笑

 

 

長くはなりましたが、これで感想とさせていただきます。

かなり文句を垂れ流してしまいましたが、こういうところも含めて楽しんではいるので、気分はそこまで害されていない自分がいます(むしろ私の文章で気分を害されたようなら、大変申し訳ないです)。

 

現在の情勢における都合で、色々と延期や改変を余儀なくされた中で製作された今回の映画は、それでもクリエイターの底力を見せられたような感触も感じており、見ててなんとなく盛り上がれた自分はやはりヒーローが好きなんだなぁと感慨深くなりました。

これからも応援していきたいです。

 

 

それでは今回はこの辺りで。

劇場版「仮面ライダーセイバー/ゼロワン」感想でした。

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