『ウルトラマントリガー』
第4話「笑顔のために」
(監督:武居正能 脚本:根元歳三)
「ユナ…違う、君はユザレ!?」
「ケンゴ、あなたは…光であり…」
相変わらず肝心なところを言わないユザレと自身が闇の巨人の一味に加わり超古代文明を蹂躙するという不穏な夢に悩まされるケンゴ(勤務中に居眠り)は、超古代の遺跡が発見されたということでユナアキトと臨場したのですが、その遺跡がほぼケンゴの見た夢と同じ状態で残っており、初っ端から脱力。
映像的に分かりやすさを重視したのでしょうが、闇の巨人が大暴れしてるのにあんな巨大な塔がそのまま現存し、3000万年もの間発見されなかったというのも不自然過ぎます。
最近よく見つかるという話もあったので、何か力が働いて見えなかったという可能性も考えられますが。
現場では出土品の管理も行われており、そこで謎の光を放つカプセルのようなものを見つけたケンゴですがクセのある調査員がそれを横取り。
都合良く調査員を怪しいと断じたユナは、IDを提示するか身ぐるみ全部置いていくかの2択を迫るも、
「持ってないんだよな〜俺、顔パスだから…」
自虐か?自虐ネタなのか???
その正体は不審者ことトレジャーハンター・イグニスであり、古い出土品にはゴクジョーが多いという理由から調査員に紛れてみたもののあっさりバレて隊員たちに囲まれたのでそのまま逃走。
その後出土品は全てナースデッセイ号に搬入されアキトによる分析が始まり、冒頭の夢もありトリガーに繋がる超古代文明のことを気にするケンゴもそこに同席し、超古代の石版を前にしばしの説明タイム。
「トリガーの光を手にする前から、ユザレの夢を見ていた…あれは一体…?」
3000万年前の地球にて繁栄していた超古代文明は闇の3巨人によって滅ぼされ、そこを巫女ユザレが光の巨人トリガーと共に封印したと石版には記されているとのことですが、夢の中で闇に染まるケンゴの手、文明は滅びたにも関わらず巫女はどこから出現したのかという点も踏まえて全てが真実では無さそうで、今後ひっくり返す展開はありそうな予感。
「感心ばかりしてないでお前もしっかりしろ。世界中の皆を笑顔にしたいなんて、デカイ口叩きやがって…ったく、何でお前なんかが光に…」
「皆を笑顔にかぁ、いいねぇ」
そこに不法侵入のプロ・イグニスが出現し、ガッツスパークレンスの元になった青銅の神器を持ち去って何故か指令室に凸する。
取り押さえて尋問してやろうと筋肉担当テッシン隊員が掴みかかるもあっさり玉砕して存在意義が本格的に危ぶまれてきたのに対し、隊長が少ない挙動ながら研ぎ澄まされた戦闘術でイグニスから神器を取り戻し銃を突きつけ、順調にイケメンポイントを稼いできてます。
もはやわざと見つかって両手を上げるのが快感なのでは…という疑問がイグニスに生じてきたところで街の地下から怪獣が出現し、その怪獣・古代地底獣オカグビラ(グビラが過去に出てきていたことからテッシン隊員が命名、役に立った!)はイグニスがくすねていたカプセルのエネルギーに引きつけられて移動しており、ナースデッセイから地上に逃げたイグニスはそのカプセルを持っていたことからオカグビラに襲われる羽目に。
「イグニスー!頑張れー!!スマイルスマイル!!」
「スマイルゥ!?…出来るかバカぁ!!」
怪獣撃退に出撃したファルコンのアンカー引き上げの反動で吹っ飛ぶまでのイグニスがコミカルに描かれキャラの幅は広がったのは良かったのですが、吹っ飛んで「星になる」まではさすがにやり過ぎだったのでは。
飛んでいった反動でイグニスが落としていったカプセル(いつの間に発信機と呼ばれているのですが、何の発信機なのかは不明)をアキトが探している間にケンゴはマルチトリガーにブートアップ!し、登場ついでにアッパーカットで先制攻撃(笑)
しかしオカグビラの張り手攻撃と地底移動からのドリルアタックに今日もトリガーは苦戦し、地上でブーを垂れるアキトは都合良く積まれた瓦礫の中に発信機を見つけ掴もうと手を伸ばし、同じ頃避難誘導を行っていた(毎回これをやらされるエキスパートチームって…)ユナも都合良く転んで泣き出す女の子を抱き抱えていた。
「笑顔に…皆を、笑顔に…!!」
意外や意外、敵を空中に高く舞い上げ大ジャンプして追撃するというダイナミックなアクションを見せるオカグビラにトリガーはますます追い詰められるも、ユナのもとで泣いている少女を見て奮起、更にアキトが手にした発信機でオカグビラを引きつけている姿に何かを思いついたケンゴは剛リキーをブートアップ!してパワートリガーにチェンジ。
アキトが引きつけたオカグビラに何をするのかと思いきやいきなりロデオ、投げつけからの凶器パワークローをマキシマムブートアップ!!してハサミなのに頭から叩きつけてまさかの撲殺。
………え?
一応アキトとケンゴの行動を見るに、アキトは避難誘導が終わっている場所にオカグビラを引きつけた後に何か行動を起こそうとしていた形跡が無いので、トリガー=ケンゴなら対処してくれるだろうという信頼のもと、とりあえず遠くまでオカグビラを連れていこうとしていたと考えられるのですが、まずケンゴを奮起させたのはアキトからの信頼ではなく"泣いていた少女の笑顔を取り戻す"であって、ここに来て2人のバディ要素を急に取り上げたことで初見では理解が追いつきませんでした。
おまけにユナにカッコいいところを見せたかったからか、ユナの前を通り過ぎて発信機を掲げるアキトもひたすら間抜けですし、それで何かを思いついたようなケンゴもその後の挙動は筋肉頼りになるなど、脳は筋肉だから筋肉は脳だみたいな展開に。
あくまで推測ですが、アキトの「何でお前なんかが光に…」発言から見るに今回脚本の根元さんは"ケンゴとアキトの信頼"を軸にシナリオを作っていたところ、現場ベースで色々と改変が加えられてしまったとも考えられます。
サブタイトルこそ「笑顔のために」ですが、主人公のスマイルに対する掘り下げは最後に少しセリフはあったもののほとんど行われなかったので、どっちが悪いとは言いきれませんが。
「頑張らなくっちゃ、皆の笑顔のために…」
そして海底ではドロンジョ一味…ではなく3巨人がまたも会議を行なっており、ユナを襲えばユザレを引き出せるという情報を共有。
トリガーの話を出された途端、癇癪を起こすカルミラに鼻を鳴らすダーゴン…とこちらも波風が立ってきたようでキャラ同士の掛け合いが面白くなりそうなのは好材料というところで、つづく。
パイロットを終え2人目に登板したのは、前作で作品の雰囲気に沿った演出を多く手掛けた『オーブ』以降のニュージェネ常連こと武居監督。
詰め詰めだったパイロット3話に比べ、見せるべき要素がそこまで多くなかったことからスッキリ見やすくまとまってはいましたが、節々に漏れているご都合主義があまりにも悪目立ち。
究極はユナの前で転んで泣き出し抱き抱えられる女の子の存在で、トリガーがオカグビラを倒したあとには泣き止んでユナに「やったね」と微笑む姿が用意された人形感が全く人間味を感じられずもはやホラーの領域でした。
他にもまともに見てない調査員(イグニス)を簡単に怪しいと言い出すユナ、怪獣が出現したと言うのに呑気にお宝を確認しようとするイグニス(わざわざ声に出して視聴者に説明)、出土品が何の発信機か分からないまま発信機と呼ばれ続けるなど場面が不自然かつ説明不足なので、カットしたシーンが多かったのではという疑問が生じます。
その一方で、1〜3話ほど緊迫した空気もなく、キャラクターに崩しを入れてきたのは今後面白くなる可能性もあるので、その辺りはまだまだ期待値高めで見ていきたいと思います。
次回、総集編連チャン…はすいません、スキップして次々々回、今度はアキト掘り下げか。